昭和パックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

昭和パックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

昭和パックスは東京証券取引所スタンダード市場に上場する、産業用包装資材の製造・販売を手掛ける企業です。主力であるクラフト紙袋等の重包装袋をはじめ、フィルム製品やコンテナーなどの事業を展開しています。直近の連結業績においては、採算確保に努めた結果、前年比で売上および経常利益ともに増収増益のトレンドにあります。


※本記事は、昭和パックス株式会社 の有価証券報告書(第130期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 昭和パックスってどんな会社?


昭和パックスは、重包装用クラフト紙袋やフィルム製品などを製造・販売する産業用包装資材のメーカーです。

(1) 会社概要


1935年に昭和製袋工業として設立され、肥料用クラフト紙袋の製造・販売を開始しました。1964年にはポリエチレン重袋、1971年にはフレキシブルコンテナーバッグ等の製造を開始し事業を拡大しました。1989年に昭和パックスへ社名変更し、1997年にはタイに子会社を設立して海外事業へも進出しています。

同社グループの従業員数は連結で681名、単体で379名です。筆頭株主は事業会社のサンエー化研で、第2位も事業会社の新生紙パルプ商事となっています。長年培った技術を強みに、各産業の物流基盤を支えています。

氏名 持株比率
サンエー化研 19.30%
新生紙パルプ商事 19.10%
日本証券金融 4.80%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長生産本部長は小野寺香一氏です。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
小野寺香一 代表取締役社長生産本部長 1987年同社入社。営業企画開発部長、フィルム事業企画部長等を経て、2021年より現職。
湯口毅 取締役営業本部長 1991年同社入社。中部支店長等を経て、2021年より現職。
清水貴雄 取締役管理本部長 1994年同社入社。亀山工場長、総務人事部長等を経て、2023年より現職。
多久秀臣 取締役 1994年同社入社。資材部長を経て、2023年より現職。
花井謙介 取締役 1995年同社入社。製袋技術部長等を経て、2026年より現職。


社外取締役は、大舘諭(元パイオニア取締役)、赤木鉄朗(元日本電気執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「重包装袋」「フィルム製品」「コンテナー」「不動産賃貸」および「その他」事業を展開しています。

重包装袋


石油化学製品用、セメント・窯業用、化学薬品用、農産物用、食品用などのクラフト紙袋や重包装袋を製造・販売しています。各産業の生産物を安心・安全に全国へ届けるための物流資材として幅広く利用されています。

顧客である素材産業や食品産業の企業から包装袋の販売対価を受け取ります。運営は主に同社および九州紙工、ネスコ、山陰製袋工業、タイ昭和パックスなどの子会社が行っています。

フィルム製品


熱収縮包装用フィルム、パレット包装用フィルム、農業用フィルム、二次加工用フィルムなどを製造・販売しています。産業分野だけでなく、ハウス栽培などで用いられる農業分野のフィルム需要にも対応しています。

顧客からフィルム製品の販売代金を得る収益モデルです。運営は主に同社および九州紙工、ネスコ、タイ昭和パックスが行っています。

コンテナー


粉粒体や液体を輸送するためのフレキシブルコンテナーやバルクコンテナーなどを取り扱っています。多様化する物流ニーズに応える大型の包装資材を開発・提供しています。

顧客からのコンテナー製品の購入代金が主な収益源となります。事業運営は同社をはじめ、九州紙工、ネスコ、山陰製袋工業、タイ昭和パックスが行っています。

不動産賃貸


自社保有の不動産を活用し、貸ビルや貸倉庫、貸駐車場などの不動産賃貸事業を展開しています。

テナントや利用者からの賃貸料が収益源となります。運営は同社が単独で行っています。

その他


各報告セグメントに含まれない事業として、包装用原材料や包装用機械、その他関連製品の販売、ビル管理業などを手掛けています。

関連製品の販売代金や各種管理手数料を顧客から受け取ります。同社および各子会社が運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高が210億円から230億円台で推移し、底堅い需要に支えられています。利益面では一時的な落ち込みがあったものの、価格転嫁や採算性の改善が進み、直近では利益率が上昇傾向にあります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 216億円 223億円 217億円 233億円 236億円
経常利益 16億円 13億円 12億円 16億円 19億円
利益率(%) 7.3% 6.1% 5.8% 7.0% 7.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 6億円 7億円 8億円 21億円

(2) 損益計算書


売上高は前年比で微増となりましたが、売上総利益・営業利益ともに増加し、営業利益率は上昇しています。原材料価格の高止まりや人件費上昇といったコスト増要因に対して、価格への転嫁や生産効率化が奏功しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 233億円 236億円
売上総利益 43億円 44億円
売上総利益率(%) 18.3% 18.7%
営業利益 14億円 16億円
営業利益率(%) 5.9% 6.9%


販売費及び一般管理費のうち、発送運賃が8億円(構成比29%)、給料手当が8億円(同27%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力である重包装袋やフィルム製品は、採算重視の販売活動などにより堅調に売上を伸ばしました。一方、コンテナー部門は需要低迷などの影響で減収となっています。全体としては主要事業がけん引し、増収を確保しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
重包装袋 153億円 154億円
フィルム製品 43億円 44億円
コンテナー 19億円 18億円
不動産賃貸 2億円 2億円
その他 16億円 17億円
連結(合計) 233億円 236億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 20億円 21億円
投資CF -23億円 -13億円
財務CF -3億円 -4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「お客様からお客様へ、安心で豊かな未来を願い包装の“カタチ”を創り続ける」という新たな企業理念を掲げています。長年の経験と技術開発力を活かし、安心・安全な製品を安定供給することで、物流という社会基盤を支える使命を持っています。

(2) 企業文化


同社は、約束する価値として「信頼の供給力」「確かな品質」「新しい提案力」「環境に対応する力」「誠実な経営」を定めています。課題解決に向けたスピード感やあらゆる可能性を粘り強く探求する姿勢、顧客や仲間に尊敬と感謝の心を持って共に成長していく文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2022年度を初年度とする中期経営計画「PAXXS Vision-2030」を策定し、段階的に経営課題の解決に取り組んでいます。持続可能な社会への貢献を目指し、以下の指標を目標として重視しています。

- 1株当たり当期純利益(EPS)
- 株主資本利益率(ROE)

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業の強化として、重包装袋分野ではAI・画像センサーによる品質管理や新ニーズに素早く対応できる営業体制の構築を進めます。フィルム分野では機能・用途開発を通じた拡販を推進します。あわせて、環境対応型商品の開発や製造設備の更新による生産性向上を図り、新しい価値の創造を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


中期経営計画において「仕事に自信を:“働くことの満足感”を得られる職場環境づくり」を掲げています。ワーク・ライフ・バランスをかなえる雇用環境と働きやすい職場づくり、プロフェッショナル職業人の育成、ジェンダー平等の推進を柱とし、従業員が働きがいを感じて成長できる組織を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 36.8歳 13.5年 5,875,176円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 58.6%
男女賃金差異(正規雇用) 59.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 82.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、平均有給取得日数(13.9日)、障害者雇用率(2.40%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気変動の影響


同社グループの収益は、大口顧客である素材産業や農水産業の生産高の増減など、景気動向に大きく左右されます。海外経済の回復遅れなどによる国内生産の低下や、世界的なサプライチェーンの混乱による景気変調が生じた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料の市況変動の影響


主力製品の主要な原材料として、クラフト紙やレジン(ポリエチレン・ポリスチレン樹脂)を使用しています。国内外の様々な要因によって原材料価格が上昇し高止まりした場合、原価率が上昇し、同社グループの業績および財務状況に相当な影響が及ぶリスクがあります。

(3) 法的規制変更の影響


事業を展開する国や地域において、予想外の規制変更や行政運用の不透明性によるリスクにさらされています。また、環境に関する規制がより厳しくなり、有害物質等を除去する義務が追加された場合には、これにかかる費用が業績に悪影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。