※本記事は、昭和パックス株式会社 の有価証券報告書(第129期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 昭和パックスってどんな会社?
昭和パックスは、クラフト紙袋やポリエチレン重袋などの産業用包装資材を主力とするメーカーです。
■(1) 会社概要
1935年に昭和製袋工業として設立され、肥料用クラフト紙袋の製造を開始しました。1953年に重包装用クラフト紙袋、1964年にポリエチレン重袋の製造を開始し、1989年に昭和パックスへ社名変更しました。1999年に株式を店頭登録し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。
同グループの連結従業員数は665名、単体では365名です。筆頭株主は同社製品の販売仕入取引先でもあるサンエー化研、第2位は紙パルプ専門商社の新生紙パルプ商事、第3位は金融機関の三菱UFJ銀行であり、事業パートナーや金融機関が主要株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| サンエー化研 | 19.30% |
| 新生紙パルプ商事 | 19.10% |
| 三菱UFJ銀行 | 3.10% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は小野寺香一氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小野寺 香一 | 代表取締役社長生産本部長 | 1987年同社入社。営業企画開発部長、執行役員フィルム事業企画部長などを経て、2021年より現職。 |
| 湯口 毅 | 取締役営業本部長 | 1991年同社入社。中部支店長などを経て、2021年より現職。 |
| 清水 貴雄 | 取締役管理本部長 | 1994年同社入社。亀山工場長、総務人事部長、執行役員などを経て、2023年より現職。 |
| 多久 秀臣 | 取締役 | 1994年同社入社。資材部長、執行役員を経て、2023年より現職。 |
| 花井 謙介 | 取締役 | 1995年同社入社。製袋技術部長、執行役員などを経て、2023年より現職。 |
社外取締役は、大舘諭(元パイオニア取締役兼常務執行役員)、赤木鉄朗(元NEC台湾社及び韓国社代表取締役会長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「重包装袋」「フィルム製品」「コンテナー」「不動産賃貸」および「その他」事業を展開しています。
■重包装袋事業
石油化学製品、セメント・窯業、化学薬品、農産物、肥料、食品などを包装するためのクラフト紙袋やポリエチレン重袋を製造・販売しています。産業資材や食料品の物流を支える基幹製品です。
主な収益は顧客への製品販売代金です。運営は主に昭和パックスが行い、子会社の九州紙工、ネスコ、山陰製袋工業、タイ昭和パックスなども製造・販売を担っています。
■フィルム製品事業
熱収縮包装用フィルム、パレット包装用フィルム、農業用フィルム、二次加工用フィルムなどを製造・販売しています。産業用から農業用まで幅広い用途に対応したフィルム製品を提供しています。
主な収益は顧客への製品販売代金です。運営は主に昭和パックスが行い、子会社の九州紙工、ネスコ、タイ昭和パックスなども製造・販売を担っています。
■コンテナー事業
粉粒体や液体輸送に使用されるフレキシブルコンテナー、バルクコンテナーなどを製造・販売しています。物流効率化や大量輸送のニーズに対応する製品群です。
主な収益は顧客への製品販売代金です。運営は主に昭和パックスが行い、子会社の九州紙工、ネスコ、山陰製袋工業、タイ昭和パックスなども製造・販売を担っています。
■不動産賃貸事業
保有する貸ビルや貸倉庫の賃貸を行っています。
主な収益はテナントからの賃貸料収入です。運営は昭和パックスが行っています。
■その他
包装用原材料、包装用機械、その他関連製品の販売やビル管理業などを行っています。
主な収益は顧客への商品・製品販売代金やサービス料です。運営は昭和パックス、九州紙工、ネスコ、山陰製袋工業、山陰パック、タイ昭和パックス、昭友商事が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は210億円から230億円台で推移しており、直近の2025年3月期は233億円と過去5期で最高を記録しました。経常利益率は5%台後半から7%台で安定的に推移しており、2025年3月期は7.0%と高水準を回復しています。当期純利益も増益傾向にあり、堅実な業績推移を示しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 199億円 | 216億円 | 223億円 | 217億円 | 233億円 |
| 経常利益 | 13億円 | 16億円 | 13億円 | 12億円 | 16億円 |
| 利益率(%) | 6.6% | 7.3% | 6.1% | 5.8% | 7.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6億円 | 7億円 | 6億円 | 7億円 | 8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益率も17.6%から18.3%へと改善しました。営業利益率は4.7%から5.9%へと上昇しており、収益性の向上が見られます。増収効果に加え、採算性の改善が進んだことで、各利益段階で増益となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 217億円 | 233億円 |
| 売上総利益 | 38億円 | 43億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.6% | 18.3% |
| 営業利益 | 10億円 | 14億円 |
| 営業利益率(%) | 4.7% | 5.9% |
販売費及び一般管理費のうち、発送運賃が8億円(構成比27%)、給料手当が7億円(同26%)を占めています。売上原価は売上高に対して82%を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の重包装袋事業は製品価格改定や一部用途の需要増により増収増益となりました。フィルム製品事業は売上が微増、利益は横ばいでした。コンテナー事業は売上が減少しましたが、利益率は改善しました。不動産賃貸事業は安定的に推移しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 重包装袋 | 138億円 | 153億円 | 11億円 | 13億円 | 8.8% |
| フィルム製品 | 41億円 | 43億円 | 2億円 | 2億円 | 4.0% |
| コンテナー | 21億円 | 19億円 | 0.2億円 | 0.4億円 | 2.2% |
| 不動産賃貸 | 2億円 | 2億円 | 1億円 | 1億円 | 51.2% |
| その他 | 14億円 | 16億円 | 0.5億円 | 1億円 | 8.7% |
| 調整額 | - | - | -4億円 | -4億円 | - |
| 連結(合計) | 217億円 | 233億円 | 10億円 | 14億円 | 5.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
昭和パックスは、営業活動で得た資金で投資活動や財務活動の支出を賄い、事業運営に必要な資金を確保しています。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加や売上債権の減少などにより、前連結会計年度に比べて大幅に増加しました。投資活動では、有形固定資産の取得や定期預金の預入などにより資金を使用しました。財務活動では、配当金の支払いなどにより資金が流出しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10億円 | 20億円 |
| 投資CF | -7億円 | -23億円 |
| 財務CF | -2億円 | -3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「お客様からお客様へ、安心で豊かな未来を願い包装の“カタチ”を創り続ける」を企業理念として掲げています。「安心・安全な製品を、安定供給することで物流という社会基盤を支える」を使命とし、多様なニーズに応える最適な製品の提供を通じて、豊かな未来を創造することを目指しています。
■(2) 経営計画・目標
同社は2030年に向けた長期ビジョン「PAXXS Vision-2030」を策定し、経営に取り組んでいます。具体的な数値目標として、以下の指標を重視しています。
* ROE(株主資本利益率):5.7%(2025年3月期実績)
* EPS(1株当たり当期純利益):297.41円(2025年3月期実績)
■(3) 成長戦略と重点施策
中期経営計画では「ニーズをカタチに」「品質の追求を」「仕事に自信を」の3つをテーマに掲げています。重包装分野ではAI・画像センサーによる品質管理や新製品開発でシェア拡大を図り、フィルム分野では機能開発・用途開発を推進しています。また、環境対応型商品の開発や生産効率化のための設備投資も積極的に行っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「仕事に自信を」というテーマのもと、「ワーク・ライフ・バランスをかなえる雇用環境と働きやすい職場づくり」「プロフェッショナル職業人の育成」「ジェンダー平等の推進」を人材投資の3本柱としています。人事制度の見直しや多様な人材の育成を通じて、従業員が働きがいを感じ、会社と共に成長できる組織を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 36.8歳 | 13.7年 | 5,647,278円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 54.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 56.8% |
| 男女賃金差異(正規) | 58.7% |
| 男女賃金差異(非正規) | 75.9% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、平均有給取得日数(14.2日)、障害者雇用率(2.43%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 景気変動の影響
同社グループの製品は素材産業や食品産業、農水産業などで使用されるため、これらの産業の生産動向や景気変動の影響を大きく受けます。景気後退や自然災害、感染症流行などにより顧客の生産が縮小した場合、売上が減少する可能性があります。
■(2) 原材料の市況変動
主要原材料であるクラフト紙やレジン(合成樹脂)の価格変動が業績に影響を与えます。原材料価格が高騰し、製品価格への転嫁が遅れた場合、利益率が悪化するリスクがあります。
■(3) 法的規制変更の影響
事業展開国における予期せぬ規制変更や、環境関連法令の厳格化による対応コストの増加が、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。特に環境規制に関しては、将来的な義務の追加等が懸念されます。
■(4) 災害発生の影響
地震や台風などの自然災害、火災などの事故により、生産拠点が損壊し操業が中断するリスクがあります。設備の修復費用や生産・出荷の遅延が業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。



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