広済堂ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

広済堂ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場する広済堂ホールディングスグループは、火葬・葬儀等のエンディング関連事業を主軸に、印刷等の情報ソリューション、人材サービスを展開しています。2025年3月期は、葬祭収益セグメントにおける式場増設効果や資産コンサルティング事業の伸長により、増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社広済堂ホールディングス の有価証券報告書(第61期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 広済堂ホールディングスってどんな会社?


広済堂ホールディングスは、祖業である印刷事業に加え、東京都内での火葬・葬儀事業や人材サービス等を展開する企業グループです。

(1) 会社概要


同社は1949年に櫻井謄写堂として創業し、印刷事業を開始しました。2000年に東京証券取引所市場第一部(現プライム市場)へ上場を果たします。事業多角化を進める中で、2020年には東京都内の火葬場運営を行う東京博善を完全子会社化しました。2021年に持株会社体制へ移行し、現商号に変更しています。

連結従業員数は1,083名、提出会社単体では78名です。筆頭株主はグローバルワーカー派遣株式会社で、第2位は信託銀行、第3位は福岡県に拠点を置く株式会社麻生となっています。

氏名 持株比率
グローバルワーカー派遣 13.93%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.74%
麻生 9.56%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長COO兼CFOは前川雅彦氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
羅 怡文 代表取締役会長CEO(最高経営責任者) 中文産業創立代表取締役、ラオックス(現ラオックスホールディングス)代表取締役社長・会長等を経て、2024年6月より現職。
前川 雅彦 代表取締役社長COO(最高執行責任者)兼CFO(最高財務責任者) 三和銀行(現三菱UFJ銀行)、日本郵政キャピタル常務取締役最高投資責任者、デジタルガレージ等を経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、渡邉雅之(弁護士)、上村明(弁護士)、竹村滋幸(元全日本空輸取締役副社長執行役員)、中井川俊一(ラス・カーズ・キャピタル代表取締役社長)、相澤茜(グローバル・ネットワーク代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「葬祭公益」「葬祭収益」「資産コンサルティング」「情報」「人材」の5つの報告セグメントを展開しています。

(1) 葬祭公益セグメント


火葬事業を営んでおり、東京都23区内の約7割の火葬を担う東京博善株式会社が事業主体です。100年を超える歴史を持ち、都民に縁のある斎場として独自の地位を築いています。

収益は、主に火葬業務の提供に伴う火葬料収入等から得ています。運営は、同社の完全子会社である東京博善株式会社が行っています。

(2) 葬祭収益セグメント


総合斎場における式場の貸出や付帯サービスの提供、および葬儀サービスの提供を行っています。近年は式場の増設やサービスの刷新を進め、成長領域として位置付けられています。

収益は、式場利用料や葬儀施工に伴うサービス料等から得ています。運営は、東京博善株式会社、株式会社広済堂ライフウェル、株式会社グランセレモ東京、株式会社広済堂エンジニアリングが行っています。

(3) 資産コンサルティングセグメント


金融サービス業や相続相談、不動産仲介業等を展開しています。エンディングに関連する周辺領域として、相続や不動産売却支援などを行っています。

収益は、金融サービスの手数料や利息、不動産仲介手数料等から得ています。運営は、株式会社広済堂ファイナンスや東京博善あんしんサポート株式会社等が行っています。

(4) 情報セグメント


同社の祖業である印刷事業やIPコンテンツ事業、事務受託(BPO)事業、IT事業を展開しています。印刷物のカラーマネジメントに強みを持ち、高品質な印刷業務や、行政・自治体からのBPO受託などを行っています。

収益は、印刷物やIT商材の製造販売、BPO業務の受託料等から得ています。運営は、主に株式会社広済堂ネクストが担っており、海外子会社も含まれます。

(5) 人材セグメント


人材派遣、人材紹介、求人媒体発行、日本語学校運営などのHR関連サービスを提供しています。近年はベトナム等の外国人材紹介にも注力しています。

収益は、求人広告掲載料、人材紹介手数料、派遣料金、教育サービス料等から得ています。運営は、株式会社広済堂ビジネスサポート、株式会社キャリアステーション、株式会社ファインズ等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は300億円台後半で推移しており、直近の2025年3月期には383億円まで伸長しました。経常利益は2021年3月期の18億円から右肩上がりで増加し、2025年3月期には80億円に達しています。利益率も大幅に改善しており、高収益体質へと転換が進んでいることが窺えます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 315億円 354億円 367億円 355億円 383億円
経常利益 18億円 36億円 42億円 53億円 80億円
利益率(%) 5.8% 10.2% 11.4% 15.0% 21.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 17億円 36億円 46億円 29億円 37億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高の増加に伴い売上総利益が増加しました。販売費及び一般管理費は抑制されており、結果として営業利益率は15.0%から21.7%へと大きく向上しています。収益性の高い事業へのシフトやコストコントロールが成果を上げていることが読み取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 355億円 383億円
売上総利益 135億円 161億円
売上総利益率(%) 38.0% 42.2%
営業利益 53億円 83億円
営業利益率(%) 15.0% 21.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料が24億円(構成比30%)、支払手数料が7億円(同8%)を占めています。

(3) セグメント収益


当期は、葬祭収益セグメントが大幅な増収増益となり、全社の業績を牽引しました。資産コンサルティングセグメントも大型案件の寄与により利益が急増しています。一方、情報セグメントは微減収ながら増益を確保しましたが、人材セグメントは減収減益となりました。葬祭関連事業がグループの収益柱として成長しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
葬祭公益 55億円 60億円 11億円 12億円 20.9%
葬祭収益 87億円 104億円 35億円 43億円 41.1%
資産コンサルティング 5億円 18億円 3億円 14億円 80.6%
情報 152億円 148億円 3億円 4億円 2.7%
人材 56億円 53億円 -1億円 -2億円 -3.0%
調整額 -2億円 -1億円 2億円 11億円 -
連結(合計) 355億円 383億円 53億円 83億円 21.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

広済堂ホールディングスは、営業活動によるキャッシュ・フローが大幅に減少した一方、投資活動によるキャッシュ・フローは増加に転じました。財務活動によるキャッシュ・フローも減少しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 100億円 -85億円
投資CF -90億円 41億円
財務CF -7億円 -29億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、社名にある「広済」(広く社会に貢献する)を経営理念としています。「人生100年を様々な場面でサポートする広済堂グループ」となることを目指し、社会環境の変化や顧客ニーズに対応しながら、社会から必要とされ、社会的責任を果たせる企業集団となるよう努めています。

(2) 企業文化


同社は「進取の精神」を掲げ、顧客や生活者のニーズの一歩先を読みながら常に新しいものに挑戦する姿勢を重視しています。また、「お客さま第一主義」を追求し、社会環境やライフスタイルの変化の中で真に必要とされる商品やサービスを探り、提供していくことを行動の指針としています。

(3) 経営計画・目標


同社は3年の中期経営計画を策定し、1年ごとに更新する方針をとっています。基本方針として「長期的な利益成長を目指し、基盤強化を進める」「戦略的投資と効率化の推進」「株主還元の充実」を掲げています。

* 2027年度 売上高:468億円
* 2027年度 営業利益:100億円

(4) 成長戦略と重点施策


成長領域であるエンディング事業を中心に投資を進める戦略です。葬祭公益では周辺地域からの誘致等で稼働を高め、葬祭収益では式場増設による収益力向上を図ります。情報はIPコンテンツ領域への進出やBPOの内製化、人材はグローバル人材事業の確立、資産コンサルティングは顧客接点の拡大により安定収益化を目指します。

* 資産コンサルティングセグメント:営業利益で10億円超の水準維持

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「進取の精神」のもと、変革に挑戦し社会貢献できる人材の育成を重視しています。事業拡大に向けた視野拡大のため、個人事業主型副業の認定や新規事業公募を促進しています。また、働きやすい環境整備として、採用後の定期面談やリモート勤務等を組み合わせ、社員の定着を促進する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.1歳 9.2年 6,970,000円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 65.6%
男女賃金差異(正規雇用) 68.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 34.4%


※女性管理職比率および男性育児休業取得率について、同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 価格競争


同社グループの競合には豊富な経営資源を持つ企業が存在します。急激な景気後退や需要縮小により価格競争が激化した場合、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 市場の変化


印刷事業におけるペーパーレス化の進展、人材サービス事業における雇用情勢の急変、葬儀事業における家族葬や直葬などの簡素化の加速など、各事業を取り巻く市場環境が大きく変化した場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 原材料費の変動


印刷用紙などの原材料価格は市場動向により変動します。これらが高騰し、コスト削減で吸収できない場合や販売価格への転嫁が困難な場合、同社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。