#レンゴー転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、レンゴー株式会社 の有価証券報告書(第157期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. レンゴーってどんな会社?
国内トップクラスの段ボール・板紙メーカーであり、軟包装や重包装、海外事業も展開する「ゼネラル・パッケージング・インダストリー」です。
■(1) 会社概要
1909年に創業し、日本で初めて段ボール事業を開始しました。1920年に聯合紙器を設立、1949年に大証一部、1950年に東証一部へ上場し、1972年に現在の社名へ変更しました。2011年には「ゼネラル・パッケージング・インダストリー」を宣言し、近年はトライウォール社の子会社化など海外事業も拡大しています。
連結従業員数は25,011名、単体では4,372名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位も同様に資産管理を行う株式会社日本カストディ銀行、第3位は主要取引銀行である株式会社三井住友銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 10.52% |
| 日本カストディ銀行 | 10.22% |
| 三井住友銀行 | 3.83% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性14名、女性1名の計15名で構成され、女性役員比率は6.0%です。代表者は代表取締役会長兼CEOの大坪清氏と、代表取締役社長兼COOの川本洋祐氏が務めています。社外取締役比率は26.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大 坪 清 | 代表取締役会長兼CEO | 住友商事代表取締役副社長を経て、2000年6月同社代表取締役社長に就任。2020年4月より現職。 |
| 川 本 洋 祐 | 代表取締役社長兼COO | 1978年4月同社入社。取締役兼専務執行役員などを経て、2020年4月より現職。 |
| 長 谷 川 一 郎 | 取締役兼副社長執行役員 | 住友商事出身。同社常務取締役、専務執行役員などを経て、2021年4月より現職。製紙部門、資材部門を統轄。 |
| 井 上 貞 登 士 | 取締役兼副社長執行役員 | 1985年4月同社入社。専務執行役員などを経て、2022年6月より現職。パッケージング部門を統轄。 |
| 前 田 盛 明 | 取締役 | 1973年4月同社入社。代表取締役兼副社長執行役員などを経て、2025年4月より現職。特命事項を担当。 |
| 馬 場 泰 博 | 取締役 | 1974年福井化学工業(現同社)入社。取締役兼副社長執行役員などを経て、2025年4月より現職。特命事項を担当。 |
社外取締役は、佐藤義雄(元住友生命保険会長)、奥正之(元三井住友フィナンシャルグループ会長)、玉岡かおる(作家・大阪芸術大学教授)、住田功一(元NHKエグゼクティブアナウンサー・大阪芸術大学教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「板紙・紙加工関連事業」、「軟包装関連事業」、「重包装関連事業」、「海外関連事業」および「その他の事業」を展開しています。
**(1) 板紙・紙加工関連事業**
国内において、板紙、段ボール、段ボール箱、クラフトパルプの製造・販売を行っています。主な顧客は飲料・食品メーカーや物流業界など多岐にわたります。
製品の販売対価を収益源としています。板紙の製造・販売は同社および丸三製紙などが、段ボール・段ボール箱は同社、大和紙器、セッツカートンなどが、クラフトパルプは大興製紙がそれぞれ運営しています。
**(2) 軟包装関連事業**
国内において、軟包装製品やセロファンの製造・販売を行っています。食品包装や日用品包装などに使用されています。
製品の販売対価を収益源としています。軟包装製品の製造・販売は朋和産業およびアールエム東セロなどが、セロファンの製造・販売は同社が運営しています。
**(3) 重包装関連事業**
国内において、重包装製品の製造・販売を行っています。化学製品や工業製品などの輸送・保管に使用される大型の包装製品です。
製品の販売対価を収益源としています。運営は主に日本マタイなどが行っています。
**(4) 海外関連事業**
海外において、板紙、段ボール、段ボール箱、軟包装製品、重包装製品、不織布の製造・販売を行っています。中国、東南アジア、欧州、北米などで展開しています。
製品の販売対価を収益源としています。板紙はビナクラフトペーパー社、段ボールは大連聯合包装製品有限公司、軟包装は江蘇中金瑪泰医薬包装有限公司、重包装はトライウォール社などが運営しています。
**(5) その他の事業**
国内における不織布、紙器機械の製造・販売、運送事業、保険代理業、リース業、不動産業などを展開しています。
製品販売や運送サービスの対価などを収益源としています。不織布はレンゴー・ノンウーブン・プロダクツ、紙器機械は山田機械工業などが製造を行い、運送等はレンゴーロジスティクスや山陽自動車運送などが運営しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は毎期増加傾向にあり、第157期には9,933億円に達しています。一方、利益面では経常利益が300億円台から400億円台で推移しており、増減を繰り返しています。当期純利益も200億円台から300億円台で推移しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,807億円 | 7,469億円 | 8,461億円 | 9,008億円 | 9,933億円 |
| 経常利益 | 432億円 | 366億円 | 287億円 | 480億円 | 392億円 |
| 利益率(%) | 6.3% | 4.9% | 3.4% | 5.3% | 3.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 164億円 | 180億円 | 120億円 | 182億円 | 115億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高は約10%増加しましたが、売上総利益率はほぼ横ばいから微減となりました。営業利益率は5.4%から3.8%へと低下しており、収益性がやや低下しています。コスト増の影響を受けた形となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 9,008億円 | 9,933億円 |
| 売上総利益 | 1,754億円 | 1,818億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.5% | 18.3% |
| 営業利益 | 489億円 | 374億円 |
| 営業利益率(%) | 5.4% | 3.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が450億円(構成比31%)、運賃及び荷造費が321億円(同22%)を占めています。
■(3) セグメント収益
板紙・紙加工関連事業は製品価格改定により増収、軟包装関連事業は連結子会社の増加等で大幅増収となりました。一方、海外関連事業も増収となりましたが、全社的にはコスト増や市況の影響を受けています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 板紙・紙加工関連事業 | 5,109億円 | 5,147億円 |
| 軟包装関連事業 | 1,213億円 | 1,816億円 |
| 重包装関連事業 | 443億円 | 450億円 |
| 海外関連事業 | 1,892億円 | 2,131億円 |
| その他 | 350億円 | 388億円 |
| 連結(合計) | 9,008億円 | 9,933億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、銀行借入および社債発行により資金調達を行い、キャッシュマネジメントサービスで効率的な資金活用を図っております。
営業活動による資金は増加しましたが、前連結会計年度に比べ収入は減少しました。これは、税金等調整前当期純利益や減価償却費が主な要因です。
投資活動による資金は大きく減少し、有形固定資産の取得や子会社株式の取得、定期預金の増減が主な支出となりました。
財務活動による資金も減少し、長短借入金の増減、社債の償還、配当金の支払い、リース債務の返済が主な要因です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 896億円 | 770億円 |
| 投資CF | -760億円 | -973億円 |
| 財務CF | 173億円 | -145億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「ゼネラル・パッケージング・インダストリー(GPI)レンゴー」として、あらゆる産業の包装ニーズに対し、創造的なパッケージング・ソリューションを提供することを掲げています。高い倫理観と公正な経営姿勢で企業価値を極大化し、広く社会に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
「Less is more.(より少ない資源で大きな価値を)」をキーワードに、環境負荷低減と高品質な製品づくりを追求する文化があります。また、「人本主義(人間中心主義)」を経営の基礎に据え、従業員一人ひとりの成長が企業の成長につながるという考えのもと、現場力やチームワークを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
創業120周年にあたる2030年3月期に向けた中期ビジョン「Vision120」を掲げ、「人本主義」と「Less is more.」を基盤に業容の質的向上を図っています。
* 売上高:1兆2,000億円
* 経常利益:720億円
* ROE:8.5%
* D/Eレシオ:0.7倍
■(4) 成長戦略と重点施策
コア事業の強化、環境問題への対応、DX推進などを重点施策としています。製品の適正価格維持に努めつつ、コスト競争力の強化やグループ経営の深化を図ります。海外事業では「選択と集中」による収益向上を目指し、グローバル人材の育成にも注力します。また、脱炭素社会の実現に向けた環境経営も強力に推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人本主義」を経営の柱とし、自ら学び考えやり抜く人材の育成と、多様な人材が活躍できる環境整備(DEI推進)に取り組んでいます。全要素生産性(TFP)の向上を目指し、心のゆとりと豊かさを持って働ける組織風土の醸成に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.9歳 | 16.6年 | 7,794,922円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.5% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 71.8% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 49.6% |
※男性育児休業取得率は、HTML原文において「正社員 管理職 140.0%」「総合職 97.4%」「業務職 98.0%」と職種別に開示されており、全社の統合数値の記載がないため「-」としています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ワークエンゲージメント(48.5)、障がい者雇用率(2.6%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 製品需要および市況動向の影響
主力製品である板紙・段ボール製品は国内景気動向の影響を大きく受けます。景気後退による需要減少や競争激化により市況が悪化した場合、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、食品向けなど安定需要の確保や提案型営業による付加価値向上に努めています。
■(2) 原燃料価格の変動
主原料である段ボール古紙や、燃料としての都市ガス・LNG等の価格変動リスクがあります。海外需要や国際商品市況の影響を受けやすく、価格高騰時にはコスト増となります。同社は、省エネ投資による原単位改善や燃料多様化に取り組み、リスク軽減を図っています。
■(3) 海外事業におけるカントリーリスク等
中国、東南アジア、欧州などで事業を展開しており、為替変動、政治経済情勢の変化、法規制の変更などのリスクが存在します。これらが顕在化した場合、業績に影響を与える可能性があります。情報収集と共有を徹底し、適切なリスク管理に努めています。



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