※本記事は、信越化学工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、半導体材料、生活環境基盤材料、機能材料、加工・商事・技術サービスといった多岐にわたる事業を展開しています。各事業は、グループ各社とともに製造・販売を分担し、相互に協力して事業活動を進めています。
単体従業員数は4,059名、連結従業員数は27,342名です。セグメントは電子材料事業、生活環境基盤材料事業、機能材料事業、加工・商事・技術サービス事業の4つです。
主な国内グループ会社は、信越半導体(電子材料事業)、信越ポリマー(加工・商事・技術サービス事業)、日本酢ビ・ポバール(生活環境基盤材料事業)、(連結子会社)日信化学工業(機能材料事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
信越化学工業は、素材技術の優位性を追求し、グローバル市場で持続的な成長を目指す化学メーカーです。従業員が安心して長期的に活躍できる環境を重視しており、安定したキャリア形成が期待できるでしょう。人材育成と働きやすい環境整備に力を入れていることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が長く勤める傾向が見られます。平均年齢が40歳代前半であることから、経験豊富な人材が多数在籍し、安定した組織基盤を形成していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,988,000円 |
| 平均勤続年数 | 18.8年 |
| 平均年齢 | 40.8歳 |
| 単体従業員数 | 4,059人 |
| 連結従業員数 | 27,342人 |
| 単体のグループ内比率 | 14.8% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。これらの制度は、同社および国内連結子会社に適用され、一部の海外子会社では確定給付型の制度も導入されています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は877億円、年金資産は707億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「持続可能な企業活動を積極的に行い、他の追随できない素材技術によって社会と産業の求める価値を生み出す」という企業規範のもと、持続的な成長を目指しています。この実現のため、相互信頼を礎に、あらゆる現場で地道な改善と迅速な課題解決を続ける仕事集団を形成・育成し、会社とともに持続的な成長を遂げることを人材戦略の基本方針としています。また、業界で最も高い労働生産性をさらに高めることを目指し、「従業員1人当たり営業利益」を主要指標としています。
給与等の決定にあたっては、「高い目標に挑戦し、これを成し遂げた人を高く評価する」という能力・成果主義の考え方に基づき、業務上で発揮された能力および成果を踏まえて決定されます。賃金の引上げについては、労使相互信頼を念頭に置き、定期的な昇給と世間の情勢、会社内の課題解決、労働市場での競争力維持、利益配分などを総合的に考慮し、魅力ある賃金水準と賞与の支給に取り組んでいます。
人材戦略として、変革・挑戦を支える学び、異動、抜擢の機会を拡充する「人材育成」と、安心して働くことができる「人材基盤」の強化の両面から人的資本への取り組みを推進しています。人材育成では、高い専門性を軸にしながら周辺領域でも力を発揮できる「T字型人材」の育成に注力しており、OJTを基軸に、階層別研修、国際化対応研修、AI研修、MI(materials informatics)研修など、成長段階や職務に応じた多様な学習機会を提供しています。
人材基盤の強化では、人材の確保と定着、多様性の推進、柔軟で生産性の高い働き方の整備、そして安全と健康の確保を一体で進めています。採用においては「自分自身でしっかり考えることができる人」を重視し、性別、国籍、年齢、障がいの有無などにかかわらず、能力主義の考え方に基づく多様な人材の採用を進めています。ワークライフバランス推進のため、労働時間の適切な管理や有給休暇を取得しやすい環境づくりに加え、結婚、出産、育児、介護、病気の治療など、人生のさまざまな局面に柔軟に対応できる制度を整備しており、フレックスタイム制や在宅勤務も活用されています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。賃金は退職手当、通勤手当を除いて算出されており、管理職に占める男性労働者の割合や交代勤務手当の対象となる男性労働者の割合が男女賃金差異に影響しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 3.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 88.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 78.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 80.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 36.3% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 信越ポリマー株式会社
賃金は退職手当、通勤手当を除いて算出されています。正規雇用労働者は同社から社外への出向者を除き、他社からの出向者を含みます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 6.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 74.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 76.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 60.6% |
▼ 三益半導体工業株式会社
賃金は退職手当、通勤手当を除いて算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 14.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 74.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 74.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 61.4% |
▼ 直江津電子工業株式会社
賃金は退職手当、通勤手当を除いて算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 2.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 33.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 69.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 71.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 56.3% |
人材育成
対象範囲は当社及び国内連結子会社です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 一人当たりの年間研修費 | 33,500円 |
| 大学聴講生派遣制度利用者数 | 5名 |
人材基盤
人材の確保
採用時女性比率は当社及び連結子会社を対象としています。事務系・技術系の採用時女性比率は当社総合職(連結子会社への出向者を含む)を対象としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 採用時女性比率 | 28.9% |
| 事務系:40%以上 | 47.1% |
| 技術系:10%以上 | 8.0% |
多様性の推進
課長級以上の管理職に占める女性比率は当社及び連結子会社を対象としています。障がい者雇用率は当社及び国内連結子会社を対象としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 課長級以上の管理職に占める女性比率 | 12.3% |
| 障がい者雇用率 | 2.3% |
健康経営
健康診断受診率は当社(連結子会社への出向者を含む)を対象としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 健康診断受診率 | 100% |
労働安全衛生
重大事故件数は当社及び国内連結子会社を対象としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 重大事故件数 | 0件 |
ワークライフバランス推進のための取り組み
男性育休取得率は当社(連結子会社への出向者を含む)を対象としています。年休取得率は当社及び国内連結子会社を対象としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育休取得率 | 88.1% |
| 年休取得率 | 76.2% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
信越化学工業は、半導体材料や生活環境を支える基盤材料、高機能な化学製品、そしてそれらを応用する技術サービスまで、多岐にわたる事業を展開しています。世界中の産業と人々の暮らしを支える化学製品を提供し、幅広い分野で事業活動を行っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、半導体シリコンや塩化ビニル樹脂、シリコーンなどの化学製品の製造・販売を主軸としています。これらの製品は、電子産業からインフラ、日用品まで幅広い分野で利用されており、安定した需要を背景に収益を上げています。特に海外での売上高が全体の半分以上を占めており、グローバルな事業展開が特徴です。
電子材料事業
半導体シリコン、希土類磁石、フォトレジスト、マスクブランクス、合成石英製品などを製造・販売しています。電子・光・磁気技術の応用を支える材料技術を提供しています。
収益は、半導体市場の動向に合わせた半導体材料の販売から得ています。当連結会計年度では、半導体市場の回復を捉え、売上を伸ばしました。
生活環境基盤材料事業
塩化ビニル樹脂、か性ソーダ、メタノール、クロロメタン、ポバールなどを製造・販売しています。環境負荷を抑えながら、インフラや生活を支える材料を提供しています。
収益は、塩化ビニルや苛性ソーダなどの基盤材料の販売から得ています。当連結会計年度では、一部製品の市況軟化や原料価格上昇の影響を受け、売上高は減少しました。
機能材料事業
シリコーン、セルロース誘導体、金属珪素、合成性フェロモン、塩ビ・酢ビ共重合成樹脂、液状フッ素エラストマー、ペリクルなどを製造・販売しています。多様な分野で求められる高機能な製品を提供しています。
収益は、機能性の高い製品群の販売から得ています。当連結会計年度では、高機能製品の販売を強化した成果が収益に結びつき、営業利益は増加しました。
加工・商事・技術サービス事業
樹脂加工製品、技術・プラント輸出、商品の輸出入、エンジニアリングなどを手掛けています。材料の応用とエンジニアリングの活用を通じて、顧客の課題解決に応えています。
収益は、半導体ウエハー関連容器や自動車関連製品の販売、各種役務提供から得ています。当連結会計年度では、半導体ウエハー関連容器やシリコーン成型品の需要が堅調でした。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 電子材料事業 | 9,343億円 | 1兆158億円 |
| 生活環境基盤材料事業 | 1兆416億円 | 9,814億円 |
| 機能材料事業 | 4,486億円 | 4,408億円 |
| 加工・商事・技術サービス事業 | 1,367億円 | 1,360億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は概ね増加傾向にあり、特に前期から当期にかけては微増となりました。一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて減少しています。これは一部製品の市況下落が影響したものです。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2兆744億円 | 2兆8,088億円 | 2兆4,149億円 | 2兆5,612億円 | 2兆5,740億円 |
| 経常利益 | 6,944億円 | 1兆202億円 | 7,872億円 | 8,205億円 | 7,083億円 |
| 経常利益率 | 33.5% | 36.3% | 32.6% | 32.0% | 27.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5,001億円 | 7,082億円 | 5,201億円 | 5,340億円 | 4,745億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 240.76 | 347.84 | 259.41 | 269.52 | 252.69 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、当連結会計年度において前期からわずかに増加しました。これは、連結従業員数が増加する中で、売上高も堅調に推移したことを示しています。
一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から減少しています。これは、一部製品の市況下落による営業利益全体の減少が影響していると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 93.9百万円 | 94.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 27.2百万円 | 23.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
信越化学工業グループは、安定した財務基盤を築いています。事業活動で得た資金を投資に回しつつ、余剰資金も確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
信越化学工業グループは、高い自己資本比率を維持しており、強固な財務基盤を有しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回る水準で推移しています。潤沢な手元資金も確保されており、事業の安定性につながる要素となっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 4兆8,376億円 | 4兆6,433億円 |
| 自己資本比率 | 82.6% | 78.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.0% | 10.4% |
| 現金及び預金 | 1兆7,084億円 | 1兆6,601億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
信越化学工業グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費などで資金が増加した一方、法人税等の支払額などで資金が減少したことにより、前期に比べ減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や定期預金の純増額により、前期に比べ使用額が増加しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があったものの、自己株式の取得や配当金の支払額により、前期に比べ使用額が増加しました。
本業で安定的に資金を生み出し、積極的な投資活動を行いつつも、自由に使える資金を確保している状況です。この資金の流れは、同社グループが事業の成長と安定性を両立させながら、将来に向けた投資を継続していることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 8,819億円 | 7,127億円 |
| 投資CF | △1,426億円 | △5,448億円 |
| 財務CF | △4,549億円 | △5,048億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 7,394億円 | 1,678億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループ製品の主要な市場がある国および地域の経済環境の動向は、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、主要製品の中には、世界的な需給環境により大きな価格変動が起きるものもあります。
連結売上高の海外売上高比率は79%となっており、今後も高い水準で推移する見込みです。在外連結子会社等の財務諸表項目の円換算額は為替相場に左右され、大幅な変動が生じた場合、同社グループ全体の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
信越化学工業は、他の追随を許さない素材技術を基盤に、社会と産業の発展に貢献することを目指しています。安全を最優先し、環境への配慮と適切な企業統治を経営の根幹に据える企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「他の追随できない素材技術によって社会と産業のために価値を生み出し、株主の皆さまのご期待にお応えしていくこと」を目指しています。顧客や産業の課題解決に資する製品を数多く開発し、世界最高水準の技術と品質を追求しています。
生産性の向上に絶え間なく努めながら、世界中の顧客に安定的に製品を供給し、顧客の動向や市況の変化に迅速かつ的確に対応することに努めています。飛躍的に成長する半導体産業に不可欠な素材と技術を提供し、先端電子材料総合メーカーとしての機能、特にAIの進展を支える機能を拡充していく方針です。
人間社会の持続的な発展とその質の向上を、環境負荷を抑えつつ実現するために、効率を極めることが必須であると考えています。同社グループは、世界の産業と人々の生活を支えるエッセンシャルサプライヤーとしての役割を果たすことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、持続的な成長により企業価値を高めることに取り組んでいます。経営と事業活動の根幹として、安全を常に最優先すること、環境への配慮と適切な施策、社会への貢献、そして企業統治を適切に行うことを掲げています。
企業規範として「持続可能な企業活動を積極的に行い、他の追随できない素材技術によって社会と産業の求める価値を生み出す」ことを掲げています。人材戦略の基本方針は、相互信頼を礎に、あらゆる現場で地道な改善と迅速な課題解決を続ける仕事集団を形成・育成し、会社とともに持続的な成長を遂げることです。
安全に関する三つの行動指針として、「規則や手順」を確実に守ること、「職場に潜むリスク」を見つけ出し速やかに排除すること、「危険に対する感性」を高めることを定めています。人間尊重を最優先とし、性別、国籍、年齢、障がいの有無などにかかわらず、多様な人材がそれぞれの能力を発揮できる職場を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、顧客の需要に確実に応えていくために供給態勢を常時点検し、拡充の手立てを前広に施すことを課題としています。経済事情の揺れ幅が従前の領域を超えてきていることに加え、中国からの過剰輸出が複数の市場で続くと目されており、それに対する対応策を多角的に打っていく方針です。
2050年カーボンニュートラル実現に向けた計画の推進を、重要な経営課題と位置づけています。リスクマネジメント委員会が、気候変動によるリスクも含め事業を取り巻くさまざまなリスクに備え、リスクを排除することに取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査役制度を採用しており、独立性の高い社外取締役と社外監査役が経営の監督機能を果たしています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成は、信託銀行や生命保険会社、海外の金融機関が上位を占める特徴があります。特定の創業家や事業会社が経営に強い影響力を持つような構成ではありません。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 18.19% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.21% |
| 日本生命保険相互会社 | 4.13% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は14名(男性11名・女性3名)で構成され、女性役員比率は21.4%です。代表取締役社長は斉藤恭彦氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 秋谷 文男 | 代表取締役 取締役会議長 半導体事業・技術関係担当 | 1964年4月同社入社。技術部長、取締役、常務取締役、専務取締役を経て、2004年6月信越半導体代表取締役社長に就任。2023年6月代表取締役取締役会議長より現職。 |
| 斉藤 恭彦 | 代表取締役 社長 | 1978年4月同社入社。シンエツPVC B.V.取締役、取締役、常務取締役、シンエツハンドウタイアメリカInc.取締役社長を経て、2016年6月代表取締役社長より現職。 |
| 上野 進 | 取締役専務執行役員 珪素化学技術・ 磁性材料事業部関係担当 | 1968年4月同社入社。群馬事業所長、取締役シリコーン事業本部長、常務取締役、専務取締役を経て、2021年6月取締役専務執行役員より現職。 |
| 轟 正彦 | 取締役専務執行役員 半導体部関係担当 | 1976年4月同社入社。半導体事業部業務部長、信越半導体取締役、取締役、信越半導体常務取締役を経て、2021年6月取締役専務執行役員より現職。 |
社外取締役は、小宮山宏氏(東京大学元総長・役員報酬委員会委員長)、中村邦晴氏(住友商事元代表取締役社長・役員報酬委員会委員)、マイケル・マクギャリー氏(PPG Industries, Inc.元取締役会長CEO・役員報酬委員会委員)、長谷川眞理子氏(総合研究大学院大学前学長)、日比野隆司氏(大和証券グループ本社元取締役兼代表執行役社長CEO)です。
同社は監査役制度を採用しています。独立性の高い社外取締役が経営の監督に加え、豊富な経営経験や知見に基づいた助言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、取締役の報酬を固定報酬、業績連動報酬、ストックオプションの3種類で構成しています。これにより、中長期的な企業価値向上と株主価値向上へのインセンティブを高める設計となっています。監査役の報酬は職責に応じた固定報酬のみで、社外取締役および監査役には業績連動報酬やストックオプションは支給されません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 監査役(社外除く) | 2名 | 34百万円 | 17.0百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 1.9億円 | 23.9百万円 |
| 取締役(社外除く) | 4名 | 9.9億円 | 2.48億円 |
個人別報酬が開示されている役員は、秋谷文男氏(2.53億円)、斉藤恭彦氏(2.64億円)、上野進氏(1.08億円)、轟正彦氏(1.05億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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