※本記事は、小池酸素工業株式会社 の有価証券報告書(第102期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 小池酸素工業ってどんな会社?
小池酸素工業は、機械装置、高圧ガス、溶接機材の製造・販売を行うメーカーです。ガス・溶接・切断のトータルソリューションを提供しています。
■(1) 会社概要
1918年に創業し、1936年に小池酸素として設立、1953年に現商号へ改称しました。1969年に東証二部へ上場し、2002年には中国に現地法人を設立するなど海外展開も推進しています。2022年の市場区分見直しにより東証スタンダード市場へ移行しました。
2025年3月期末時点の連結従業員数は1,064名(単体329名)です。筆頭株主は小池酸素工業取引先持株会、第2位は関連会社の小池商事、第3位は重要な取引先である日本酸素ホールディングスとなっており、取引先や関連企業が上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 小池酸素工業取引先持株会 | 9.00% |
| 小池商事 | 6.45% |
| 日本酸素ホールディングス | 6.33% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名、計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は小池英夫氏で、社外取締役比率は55.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小池英夫 | 代表取締役社長 | 1996年入社。国際部長、常務取締役、グローバル販売部長等を経て2019年より現職。 |
| 冨岡恭三 | 代表取締役副社長(管理部長) | 元千葉銀行。2014年入社。管理部長、常務取締役等を経て2019年より現職。 |
| 横野健一 | 取締役(営業部長 兼グローバル機械販売部長) | 1991年入社。機械販売部長、営業部長等を経て2020年より現職。 |
| 鈴木和美 | 取締役(常勤監査等委員) | 元京北スーパー、エバークリーン。2006年入社、2022年より現職。 |
社外取締役は、横田健二(元MOLシップテック社長)、賢持善英(元日本液炭社長)、冨本音丸(元日鉄物産執行役員)、飯塚学(元JFE商事常務)、廣野安生(元神鋼商事常務)です。
2. 事業内容
同社グループは、「機械装置」「高圧ガス」「溶接機材」の3つの報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。
■機械装置
中大型切断機、ガス自動切断機、溶接機械等の製造・販売を行っています。主な顧客は造船、建設機械、建築鉄骨業界などの金属加工を行う企業です。
製品の販売代金や保守サービス料が主な収益源です。運営は小池酸素工業、小池酸素(唐山)有限公司、コイケアロンソン等が担っています。
■高圧ガス
酸素、窒素、アルゴン等の工業用ガスや医療用ガスの製造・仕入・販売を行っています。産業界や医療機関など幅広い顧客に供給しています。
ガスの販売代金が収益源です。運営は小池酸素工業、小池メディカルなどが主に行っています。
■溶接機材
溶接棒、電気溶接機、安全保護具等の仕入・販売を行っています。溶接作業を行う建設・製造現場などが主な顧客です。
商品の販売代金が収益源です。運営は小池酸素工業、コイケ酸商などが担っています。
■その他
燃焼式排ガス処理装置やヘリウム液化機等の製造・仕入・販売を行っています。半導体製造現場などで利用されています。
製品の販売代金が収益源です。運営は小池酸素工業などが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は増加傾向にあり、利益面でも経常利益率が上昇しています。直近では増収増益となっており、業績は堅調に推移しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 392億円 | 418億円 | 479億円 | 514億円 | 552億円 |
| 経常利益 | 14億円 | 21億円 | 38億円 | 51億円 | 60億円 |
| 利益率(%) | 3.5% | 4.9% | 7.9% | 10.0% | 11.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -2億円 | 8億円 | 15億円 | 23億円 | 29億円 |
■(2) 損益計算書
売上高、売上総利益ともに増加しており、営業利益率も向上しています。コストコントロールと売上拡大が利益増に寄与していることが読み取れます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 514億円 | 552億円 |
| 売上総利益 | 156億円 | 179億円 |
| 売上総利益率(%) | 30.4% | 32.4% |
| 営業利益 | 43億円 | 54億円 |
| 営業利益率(%) | 8.4% | 9.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が47億円(構成比38%)、運賃が12億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
機械装置セグメントが大幅な増益となり、全体の利益成長を牽引しています。高圧ガスや溶接機材は売上が安定していますが、利益は横ばいまたは微減となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 機械装置 | 222億円 | 259億円 | 34億円 | 49億円 | 19.1% |
| 高圧ガス | 201億円 | 204億円 | 15億円 | 14億円 | 6.7% |
| 溶接機材 | 83億円 | 82億円 | 6億円 | 6億円 | 7.1% |
| その他 | 8億円 | 8億円 | 2億円 | 2億円 | 25.4% |
| 連結(合計) | 514億円 | 552億円 | 43億円 | 54億円 | 9.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
小池酸素工業は、事業運営に必要な流動性と資金源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、ガス・溶接・切断のトータルシステムサプライヤーとして、先端技術の研究開発やシステム製品の開発を積極的に推進することで生み出されています。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に設備投資や長期運転資金の調達に充てられています。財務活動によるキャッシュ・フローは、金融機関からの借入等により、資金調達を行っています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 43億円 | 37億円 |
| 投資CF | -12億円 | -13億円 |
| 財務CF | -15億円 | -22億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「ガス・溶接・切断の総合製造・販売会社として世界市場での顧客の満足と信頼を獲得する」ことを経営理念に掲げています。ステークホルダーにとって価値を高める企業であり続けるため、行動を変化させ、新しい技術を生み出し、人と技術と環境の調和を図る方針です。
■(2) 企業文化
同グループ行動規範として「社員の多様性、人格、個性を尊重するとともに連帯感を持ち安全で働きやすい職場環境を確保」することを掲げています。また、「智・技を高め、皆で働いて皆で良くなろう」という価値観のもと、組織としての結束力を高める文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は中期経営計画「NEXT STAGE 2026」を推進しており、2027年3月期の数値目標として以下を掲げています。
* 連結売上高:570億円
* 経常利益:63億円
* ROE:10%
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画に基づき、機械装置部門ではDBCファイバーレーザー切断機の販売強化や、切断現場の自動化・省力化・IT化を進めています。高圧ガス部門では充填工場の再構築や物流合理化、医療分野の強化に取り組み、その他部門では水素燃料を用いた排ガス処理装置などの開発に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「人材の多様性を重視した人事施策の推進」と「働きやすい職場環境の醸成」を掲げています。多様な人材の採用や適正配置、定年再雇用制度の見直し、階層別研修の充実などに取り組み、持続的な成長に向けた人材基盤の強化を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.5歳 | 15.2年 | 6,655,662円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.0% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 75.6% |
| 男女賃金差異(非正規雇用労働者) | 73.3% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員採用者に占める女性の割合(27%)、正社員に占める女性社員の割合(19%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 売上計上時期の遅延リスク
同グループの機械装置部門等では売上計上基準に検収基準を採用しています。取引先の受入準備の遅れや海外での政変等により据付工事の進行に支障が生じ、検収がずれ込むことで売上計上時期が遅延する可能性があります。
■(2) 競合による価格競争リスク
主に受注生産を行う機械装置部門等において、他社との競争激化による受注価格の低下が同グループの経営成績に影響を与える可能性があります。これに対し同グループは新技術・新製品の開発等で対応に努めています。
■(3) 売上債権の回収リスク
同グループでは取引先ごとに回収状況のチェック等を行っていますが、取引先の業績悪化等による売上債権の回収遅延や貸倒れが発生する可能性があります。同グループは与信管理や債権保全等によりリスクの最小化に努めています。



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