【平均年収859万円】日本触媒 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収859万円】日本触媒 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

日本触媒は、グループ各社とともに化学品の製造販売を主な事業内容とする企業です。マテリアルズ事業とソリューションズ事業を展開し、幅広い化学製品を提供しています。連結従業員数は約4,880名で、直近の業績は減収減益となりました。


目次

※本記事は、株式会社日本触媒 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. 企業概要:どんな会社?


日本触媒は、化学品の製造販売を主な事業内容とする企業です。同社グループは、マテリアルズ事業とソリューションズ事業の2つの報告セグメントを展開し、幅広い化学製品を提供しています。

単体従業員数は2,573名、連結従業員数は4,880名です。セグメントはマテリアルズ事業、ソリューションズ事業の2つです。

主な国内グループ会社は、日宝化学(ソリューションズ事業)、日触物流などです。

当連結会計年度においては、株式会社イーテックを連結の範囲に含めるなど、グループ体制に変化がありました。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


日本触媒は、化学メーカーとしてグローバルに事業を展開しており、従業員の成長と多様な働き方を重視する企業文化が特徴です。同社グループは、事業戦略の実現に向けた最適な人材の育成と配置を通じて、個々の能力を最大限に引き出すことを目指しています。

また、持続的に価値を生み出す源泉を「人」と捉え、多様な人材がいきいきと働く組織への変革を推進しています。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


日本触媒の従業員は、平均勤続年数が長く、比較的安定して働く傾向が見られます。平均年齢も日本の労働人口全体と比較して、中堅層が中心となっていることがうかがえます。

項目 数値
平均年間給与 8,590,000円
平均勤続年数 16.6年
平均年齢 39.4歳
単体従業員数 2,573人
連結従業員数 4,880人
単体のグループ内比率 52.7%


退職給付制度として、同社および主な連結子会社は、確定給付型と確定拠出型の両制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度であり、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。

退職一時金制度も設けられており、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。なお、退職給付債務は352.4億円、年金資産は467.3億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


日本触媒グループは、人材を企業価値創造の源泉と位置づけ、「事業戦略の実現に最適な人財を育成・配置し、個々の能力を最大限に引き出す」ことを人材戦略の基本方針としています。マテリアルズ事業からソリューションズ事業への変革に向け、専門性・多様性・実行力を兼ね備えた人材の獲得と育成に注力しています。

従業員給与・報酬の決定においては、人材戦略との整合性を重視し、役割・成果・能力発揮を適切に反映した体系を採用しています。外部労働市場との競争力確保や企業業績との連動も考慮し、優秀な人材の獲得・定着および挑戦を促す設計となっています。

同社は2022年度より新しい人事制度を導入し、「考動(自ら考え行動する)」と「多様性」をコンセプトに、意欲と能力のある従業員が早期に上位の役割にチャレンジできる機会を提供しています。具体的には、自己推薦による昇級審査受験や、従業員自身がキャリアを申告し上司と面談する「自己申告」制度を導入しました。人材育成では、OJTを基本としつつ、自己選択型研修の充実を図り、自律型人材の育成を進めています。

多様な人材の活躍推進に向けては「D&I推進方針」を策定し、従業員一人ひとりの多様性を尊重する職場環境・風土づくりに取り組んでいます。女性活躍推進では、キャリア形成支援策の実行やフレックスタイム制度、在宅勤務制度の拡充を進めています。男性の育児休職取得率向上にも力を入れており、2022年10月に出生時育児休職制度を導入し、育児休職のうち15日間を有給としています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与は60歳以降の従業員を含んでおりません。

指標 数値
女性管理職比率 7.0%
男性育児休業取得率 98.1%
男女賃金差異(全労働者) 82.6%
男女賃金差異(正規雇用) 83.9%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 61.8%

連結子会社の法定開示


主要事業会社3社の数値のみ掲載します。

▼ 日本乳化剤

指標 数値
管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 2.8%
男性労働者の育児休業取得率 100.0%
労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) 74.5%
労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) 75.2%
労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) 75.1%

人財育成・活躍推進


上記の指標は、提出会社を対象に集計されています。

指標 数値
事務系・化学系女性採用比率 38.8%
女性管理職(基幹職)比率 6.3%
男性の育児休職取得率(15日以上) 95.7%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


日本触媒グループは、化学品の製造販売を主な事業としています。同社グループは、子会社28社、関連会社および共同支配企業16社で構成されており、幅広い化学製品を提供しています。事業は「マテリアルズ事業」と「ソリューションズ事業」の二つの報告セグメントに区分されています。

マテリアルズ事業

アクリル酸、アクリル酸エステル、酸化エチレン、エチレングリコール、特殊エステル、高吸水性樹脂、無水マレイン酸、プロセス触媒などを製造・販売しています。収益は、これらの基礎化学品および機能性化学品の提供から得ています。当連結会計年度においては、製品海外市況や原料価格の下落に伴い販売価格が下落したことなどにより、売上収益および営業利益は前期から減少しました。

ソリューションズ事業

コンクリート混和剤用ポリマー、グリコールエーテル、洗剤原料等の水溶性ポリマー、医薬中間原料、電子情報材料、ヨウ素化合物、粘接着剤・塗料用樹脂、電池材料などを製造・販売しています。収益は、多様な産業向けに高機能な化学製品やソリューションを提供することから得ています。当連結会計年度においては、一部製品の販売数量増加やスプレッド拡大などにより、売上収益および営業利益は前期から増加しました。

同社グループは、特定の顧客グループからの売上収益が全体の10%以上を占める集中が見られます。また、売上収益の半分以上を日本以外の地域から得ており、アジア、欧州、北米などグローバルに事業を展開しています。為替レートの変動が財政状態に影響を与える傾向があります。

セグメント 売上収益(2025年3月期) 売上収益(2026年3月期) セグメント利益(2025年3月期) セグメント利益(2026年3月期) 利益率
マテリアルズ 3,108億円 2,944億円 129億円 102億円 3.5%
ソリューションズ 1,181億円 1,238億円 51.1億円 65.0億円 5.3%

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの直近5期間の業績は、売上収益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益ともに変動を伴いながら推移しています。当連結会計年度においては、売上収益、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益のいずれも前期から減少となりました。特に営業利益は前期に比べて減少幅が大きくなっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 3,693億円 4,196億円 3,920億円 4,093億円 3,999億円
税引前利益 337億円 262億円 157億円 232億円 215億円
税引前利益率 9.1% 6.2% 4.0% 5.7% 5.4%
親会社の所有者に帰属する当期利益 237億円 194億円 110億円 174億円 168億円
1株当たり当期純利益(円) 148.72 122.07 70.48 113.90 112.15

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの生産性指標を見ると、当連結会計年度における従業員1人あたり売上収益(連結)は81.9百万円、従業員1人あたり営業利益(連結)は3.6百万円となっています。これらの数値は、同社グループの連結従業員数に基づいた1人あたりの収益創出力と利益創出力を示しています。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
従業員1人あたり売上収益(連結) - 81.9百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) - 3.6百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


同社グループは、安定した財務基盤を構築し、将来に向けた投資も継続しています。このような財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも影響を与える重要な要素となります。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループは、強固な財務基盤を維持しています。自己資本比率はプライム市場の製造業平均(46.8%)を大きく上回る水準であり、手元資金も十分に確保されています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均(9.4%)を下回っていますが、安定した財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性につながる要素の一つと言えます。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
自己資本 3,830億円 3,966億円
自己資本比率 70.5% 68.4%
ROE(自己資本利益率) 4.5% 4.3%
現金及び現金同等物 546億円 518億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、前期に比べて増加し、535億円の収入となりました。これは、法人所得税の支払額が増加したものの、営業債権の減少や配当金の受取額の増加によるものです。

投資活動によるキャッシュフローは、建設中のリチウムイオン電池用電解質製造設備等の有形固定資産の取得や子会社株式の取得による支出が増加したため、483億円の支出となりました。これは将来の成長に向けた積極的な投資姿勢を示しています。

財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払額や自己株式の取得による支出が増加したものの、借入れによる収入が増加したことにより、98億円の支出となりました。結果として、フリーキャッシュフローは52億円のプラスを維持しており、本業で安定的に資金を生み出しつつ、成長投資を継続している状況がうかがえます。このような資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を基盤に、将来の成長を見据えた投資を行っていることを示しており、長期的な雇用安定性や給与水準の維持に貢献する可能性があります。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 470億円 535億円
投資CF △305億円 △483億円
財務CF △168億円 △98億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 165億円 52億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、化学品の製造販売事業をグローバルに展開しており、海外売上収益が売上収益の約56%を占めています。そのため、各国・地域の政治・経済・景気の悪化およびそれに伴う製品需要の減少によって、様々な製品の販売や設備稼働に影響が波及する可能性があります。また、マテリアルズ事業の競争激化を受け、より安定した収益と成長が見込めるソリューションズ事業へのポートフォリオ変革を掲げていますが、変革の遅れや市場ニーズの急変により十分な収益が得られないリスクがあります。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは、多様な価値観を持つ自律した人財の確保・育成に取り組んでいますが、人財育成計画の遅れや人財の定着が進まなかった場合には、中長期的な成長を達成できない可能性があります。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


日本触媒は、テクノロジーを通じて人々と社会に豊かさと快適さを提供することを企業理念に掲げ、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。未来を見据えた変革を推進し、社会課題の解決と企業の成長を両立させることを重視する会社です。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


同社グループは、企業理念を「〜私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」と定めています。人々が安心して暮らせる、持続可能な社会の実現に貢献することを目指している会社です。

2030年に向けた長期ビジョンでは、「事業の変革」「環境対応への変革」「組織の変革」という3つの変革を掲げています。これからの社会に必要とされる素材やソリューションの提供を通して、さまざまな社会課題解決への貢献と同社グループの持続的な成長を実現していく方針です。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


日本触媒グループは、企業理念「TechnoAmenity」のもと、ステークホルダーとの対話を重ね、公正・誠実な事業活動を通じて持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しています。事業活動を通じて社会課題を解決し、人と社会の未来に貢献すること、地球環境を守り、将来世代にわたって安心できる社会を築いていくことを重視しています。

また、多様な人財が活躍し、成長し続ける組織を目指すことも掲げています。人財開発においては、多様な人財の個性、意欲、能力を活かすこと、自律的に考動し成長する人財を支援すること、そして制度に沿って人財を公正に評価し報いることを重視しています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループは、中期経営計画2027の非財務目標として、サステナビリティ戦略を推進しています。この戦略は「人と社会への貢献」「環境対応の推進」「会社の基盤強化および持続的成長」を柱としています。

非財務目標の達成に向けて、GX戦略、人財戦略、デジタル活用戦略に取り組んでいます。具体的には、GX戦略ではGHG排出量削減と環境貢献製品の売上拡大による環境への貢献を目指しています。人財戦略では、事業戦略の実現に最適な人財を育成・配置し、個々の能力を最大限引き出すことを掲げています。デジタル活用戦略では、スマートファクトリー化やスマートラボ化により生産性向上や製品上市を加速させる取り組みを進めています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


日本触媒は監査役会設置会社であり、執行役員制度を導入しています。取締役会は経営の意思決定と執行監督を担い、執行役員が業務執行を行う体制です。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


同社の株主構成を見ると、筆頭株主は信託銀行であり、複数の機関投資家が上位に名を連ねています。特定の創業家や事業会社が過半数を占めるような資本構成ではなく、幅広い株主によって支えられていることが特徴です。

株主名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.22%
日本カストディ銀行(信託口) 4.57%
ENEOSホールディングス 4.06%
りそな銀行 3.71%
三洋化成工業 3.42%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は17.0%です。代表取締役社長社長執行役員は野田和宏氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
野田 和宏 代表取締役社長 社長執行役員 1986年4月 同社入社、2017年4月 吸水性樹脂事業部長、2020年6月 取締役常務執行役員、2022年6月 同社代表取締役社長社長執行役員より現職。
高木 邦明 取締役常務執行役員 事務部門管掌 1987年4月 住友化学工業㈱(現住友化学㈱)入社、2019年5月 同社総務人事本部長、2020年6月 同社取締役常務執行役員より現職。
住田 康隆 取締役常務執行役員 事業創出部門管掌 コーポレート研究本部担当 健康・医療事業推進本部担当 新規事業推進本部担当 R&D統括部担当 プロセス触媒研究部担当 1991年4月 同社入社、2020年4月 事業創出本部長、2021年6月 同社取締役常務執行役員より現職。
松本 行弘 取締役常務執行役員 生産・技術部門管掌 エンジニアリング本部担当 DX推進本部担当 レスポンシブル・ケア本部担当 電池材料事業化プロジェクト本部担当 インドネシアプロジェクト担当 1988年4月 同社入社、2014年4月 生産本部長、2016年6月 取締役執行役員、2023年6月 同社取締役常務執行役員より現職。
薦田 健二郎 取締役常務執行役員 事業部門管掌 電池材料事業本部担当 事業企画本部担当 購買物流本部担当 1986年4月 同社入社、2022年4月 事業企画本部長、2025年6月 同社取締役常務執行役員より現職。


社外取締役は、瀨戸口哲夫氏(元大阪ガス代表取締役副社長執行役員・指名・報酬委員会)、櫻井美幸氏(花水木法律事務所共同経営者・指名・報酬委員会)、池田安希子氏(元ジョリーパスタ代表取締役社長)です。

同社は監査役会設置会社です。取締役会は社外取締役3名を含む8名で構成され、経営の意思決定と執行監督の妥当性を確保しています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


同社の役員報酬は、固定報酬である基本報酬と、業績連動報酬である賞与および株式報酬で構成されています。社外取締役と監査役は業務執行から独立した立場であるため、固定報酬の基本報酬のみが支給されます。取締役(社外取締役を除く)の報酬割合は、基本報酬55%、賞与30%、株式報酬15%を目安としています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 6名 2.8億円 46.2百万円
監査役(社外除く) 3名 54百万円 18.0百万円
社外役員 5名 60百万円 12.0百万円


なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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