※本記事は、ケミプロ化成株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ケミプロ化成は、化学品事業とホーム産業事業の2つの事業を主軸とする企業です。紫外線吸収剤や酸化防止剤などの化学品、木材保存薬剤などを製造販売しています。
単体従業員数は222名です。同社のセグメントは化学品事業、ホーム産業事業の2つです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ケミプロ化成は、化学のプロフェッショナル集団として高付加価値製品を創出し、社会貢献を目指す企業です。従業員の長期的なキャリア形成を重視し、ワークライフ・バランスの推進や多様な働き方を支援する環境整備に力を入れています。
社員一人ひとりが意欲的に働けるよう、人材育成や処遇改善にも継続的に取り組む姿勢が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の長期雇用を重視する方針が示されており、平均勤続年数や平均年齢からも安定した人材定着の傾向がうかがえます。年齢構成としては、幅広い年代の従業員が在籍していることが想定されます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,482,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.8年 |
| 平均年齢 | 44.2歳 |
| 単体従業員数 | 222人 |
| 連結従業員数 | - |
| 単体のグループ内比率 | - |
同社は確定給付型と確定拠出型の退職給付制度を導入しています。適用範囲は国内グループ会社です。
退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社の人材戦略は、長期雇用に立脚しており、人材獲得、育成、処遇などの人事施策を通じて、人材自体の持続可能性を維持・向上させることを基本方針としています。定期的かつ継続的な新卒採用に加え、中途採用により不足や強化すべき部分を補うことで、中長期的に安定した組織活動を維持しています。
若年層や業務経験年数の浅い層に対しては、計画的な育成ローテーションを通じて職務範囲の拡大と視座の向上を促し、個々のレベルアップを図ることで企業全体のトータル人材力強化を目指しています。日常の業務成果を適正に処遇に反映することで、従業員の業務へのやりがいと納得度を高める方針です。管理者層や長期勤務者には、その経験や知識に基づき役職や任務を担ってもらい、職責と結果に応じた処遇を行うことで、業績貢献を促しています。
月例賃金は、担当する仕事の内容や責任の重さにより決定した職階に応じ、人事評価結果に基づき定期的に昇給・降給する仕組みです。継続的な業務貢献により月例賃金を積み上げていくことを基本とし、ベースアップについては社会的な動きを勘案しながら柔軟に対応する考えです。賞与は会社全体の業績結果に応じて支給月数を決定し、個人単位の支給額は人事評価結果に基づき決定されます。
また、ワークライフ・バランスを重視し、長時間労働の撲滅や年次有給休暇取得促進を通じて仕事とプライベートにメリハリをつける意識醸成、企業風土づくりを推進しています。60歳到達の定年時点で、65歳までの定年延長または1年単位の有期雇用契約を選択できる定年制度を導入し、高齢者層の活用と多様な働き方の両立を図っています。性別や地域、国籍、学歴などを問わず、職種の特性に合った多様な人材の採用に努め、適材適所や将来を見据えた人事異動、ITを活用した柔軟な働き方や業務効率化の推進、育児休業取得向上や子育てを行う従業員の就業支援の充実化にも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率および男女賃金差異(非正規雇用労働者)は開示されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 5.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 83.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 83.1% |
多様性・登用
直近3年実績です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男女別採用比率(男性) | 89% |
| 男女別採用比率(女性) | 11% |
健康・安全
2025年度実績です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 平均所定外労働時間 | 6.7時間/月 |
| 平均有給休暇取得日数 | 14.8日/年 |
人材育成・エンゲージメント
2025年度実績です。人材育成の目標として、女性男性ともに全労働者の平均継続勤続年数を17年以上としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 平均継続勤続年数 | 15.8年 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ケミプロ化成は、化学品事業とホーム産業事業の2つの事業を主軸に展開しています。ファインケミカル分野における高い技術力を活かし、多様な製品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
ケミプロ化成は、化学品事業とホーム産業事業の2つの事業を主たる業務としています。同社グループは、同社と関連会社1社で構成されています。創業以来培ってきた有機化学合成の高い技術力を背景に、特定の大口取引先との協力関係を維持しながら成長してきました。
主力製品のコモディティ化や競合の台頭、環境規制強化といった外部要因に直面しており、新たな柱の構築を目指して研究開発体制の強化と販売チャネルの多様化を進めています。特に受託ビジネスの強化に注力しており、取引量が増加する傾向にあります。
化学品事業
紫外線吸収剤、写真薬中間体、電子材料、製紙用薬剤、酸化防止剤などの製造販売を行っています。収益は、これらの製品の製造販売から得ています。主力製品である紫外線吸収剤の需要低迷や新製品の販売計画の遅れにより、当事業年度は減収となりました。製紙用薬剤や酸化防止剤は拡販効果により増収となっています。
ホーム産業事業
木材保存薬剤などの製造販売を行っています。収益は、木材保存薬剤やホームセンター向け塗料、室内用・業務用塗料の新規開発、受託販売などから得ています。当事業年度は、工事受注の減少に伴う関連製品の減収が影響し、前事業年度を下回る結果となりました。木材保存薬剤は増収となっています。
売上高は日本が大部分を占め、その他地域からの売上も存在します。化学品事業ではOEM販売や受託製造製品の販売が主流であり、特定販売先への依存度が高い傾向があります。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 化学品事業 | 87.6億円 | 80.2億円 |
| ホーム産業事業 | 9.5億円 | 9.3億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の売上高は、当事業年度において前年同期から減少しました。利益面では、売上高の減少が影響し、営業利益および経常利益が減少する結果となりました。一方で、特別利益の計上により、税引前当期純利益および当期純利益は増加しています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ケミプロ化成は、財務の安定性を確保しつつ、事業活動と投資活動を通じて資金を運用しています。本業で得た資金を投資に充て、将来に向けた基盤を築いている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率が39.0%であり、前期から増加しています。プライム市場の製造業平均と比較すると、自己資本比率は下回る水準です。
ROE(自己資本利益率)は6.0%となっており、こちらもプライム市場平均を下回っています。手元資金は1,657百万円であり、不況時の耐性を確保しています。これらの状況は、同社の雇用や給与の安定性を判断する上で重要な要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 4,777百万円 | 4,999百万円 |
| 自己資本比率 | 35.9% | 39.0% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 6.0% |
| 現金及び預金 | 2,131百万円 | 1,657百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
ケミプロ化成のキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは40百万円の獲得となっています。これは税引前当期純利益や減価償却費、投資有価証券売却益などによるものです。一方で、棚卸資産の増加や仕入債務・未払金の減少が資金を減少させる要因となりました。
投資活動によるキャッシュフローは70百万円の支出です。これは老朽設備の更新のための有形固定資産の取得や基幹システム更新のための無形固定資産の取得による支出が主な要因となっています。投資有価証券の売却収入や保険積立金の解約収入もあり、支出は抑制されています。
財務活動によるキャッシュフローは443百万円の支出となりました。これは短期借入金や長期借入金の返済、リース債務の返済によるものです。営業活動で得た資金と投資活動による支出を合わせたフリーキャッシュフローは30百万円のマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る投資が行われている状況です。この資金の流れは、同社が事業の維持・強化のための投資を継続しつつ、借入金の返済を進めていることを示しており、今後の成長性や雇用安定性を判断する上で注目すべき点です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 1,250百万円 | 40百万円 |
| 投資CF | △285百万円 | △70百万円 |
| 財務CF | △712百万円 | △443百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 965百万円 | △30百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は主要顧客であるBASF社への依存度が高く、同社の販売戦略が同社の業績に重要な影響を与える可能性があります。また、将来の成長事業と位置付けている有機EL等の電子材料関連事業は、最先端分野であり競合各社も新規製品開発に取り組んでおり、今後の製品採用状況によっては十分な収益を獲得できないリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ケミプロ化成は、化学のプロ集団として社会貢献と技術革新を追求し、持続可能な成長を目指す企業です。従業員が安心して意欲的に働ける環境を重視し、社会から必要とされる存在であり続けることを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は創業以来、「社会に貢献する開発型企業」としての役割を強く認識し、常に時代に求められる企業を標榜しています。化学のプロ集団として技術開発に挑戦し、独自の新しい発想と技術力をもとに高付加価値製品の創出に取り組んできました。
「人にやさしく、社会の繁栄に寄与するケミプロ化成製品をグローバルに展開したい」と願っています。社名の由来であるケミストリー(化学)によるプロスペリティ(繁栄)実現に向け、「いいなと思われる、自慢できることがある会社になろう!」という中長期ビジョンのもと、社会や顧客から頼りにされ、社員と家族が誇らしく思う会社を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は「Flexible(しなやかな)な企業となり、 Sustainability(持続可能性)を追求する」を基本コンセプトとしています。これは、消費者(顧客)目線、社会性、永続性、応用力、柔軟性、強靭性を持つ企業を目指すことを意味しています。
従業員が安心して意欲的に働ける社内環境の整備、地域社会との共存、環境への配慮、コンプライアンスの推進を通じて企業価値を高めることを掲げています。特にワークライフ・バランスを重視し、長時間労働の撲滅や年次有給休暇取得促進、全方向性マトリックスコミュニケーション(部門や階層を超えたコミュニケーション)を推奨し、従業員満足度向上に努める企業風土です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、中期経営計画において「持続可能性の追求」を重点方針の一つとして掲げています。これに基づき、プラントサステナビリティ追求、工場ピッカ美化、公正なQCA活動の推進、働き方改革といったタスクフォース活動を推進しています。
具体的には、廃棄物高度処理法の確立や革新的な廃水処理技術の探索、作業環境改善、QCA力量の向上、環境に配慮できる分析技術の確立に取り組んでいます。また、報酬水準の見直しや人員・組織体制の適正化といった働き方改革、優秀な人材の確保・育成にも努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ケミプロ化成は、経営環境の変化に的確に対応するため、経営の意思決定の迅速化、透明性、合理性の確保を重視しています。同社は監査役制度を採用しており、社外取締役と社外監査役を組み込むことで、外部の視点を取り入れた適正な意思決定と業務遂行の監督機能が機能する体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ケミプロ化成は、事業会社であるケアシステムズが筆頭株主として経営を支えています。公益財団法人福岡直彦記念財団や個人株主も上位に名を連ねており、多様な主体によって資本が構成されています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ケアシステムズ | 20.86% |
| 公益財団法人 福岡直彦記念財団 | 16.79% |
| 福岡 靖介 | 7.96% |
なお、前事業年度末において主要株主であった福岡靖介は、当事業年度末現在では主要株主ではなくなっています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性12名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼管理本部長は兼俊寿志氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 兼俊 寿志 | 代表取締役社長兼 管理本部長 | 1985年4月株式会社第一勧業銀行入行。2013年5月同社出向、管理本部財務経理部長。2014年6月同社常務取締役。2016年6月同社代表取締役副社長。2019年4月同社代表取締役社長。2024年7月より現職。 |
| 河井 典生 | 常務取締役 営業本部長兼 購買部長兼 コンプライアンス 担当役員 | 1989年3月同社入社。2008年4月同社執行役員。2011年6月同社取締役。2016年6月同社常務執行役員。2018年6月同社常務取締役。2024年7月より現職。 |
| 赤瀬 寿 | 常務取締役 生産本部長兼 福島工場長 | 1984年3月ISC化学株式会社入社。1997年8月同社転籍。2016年4月同社執行役員。2018年6月同社取締役。2020年7月同社常務取締役。2023年2月より現職。 |
| 箱崎 竜也 | 取締役 生産技術部 統括本部長兼 姫路工場 生産技術部長兼 営業本部 新規ビジネス推進部技術担当役員 | 1995年4月同社入社。2019年7月同社執行役員。2024年6月同社取締役生産技術部統括本部長兼姫路工場生産技術部長兼明石工場生産技術部長兼営業本部新規ビジネス推進部技術担当役員。2024年7月より現職。 |
| 大學 隆行 | 取締役 営業本部 副本部長兼 営業部長兼 営業管理部長 | 1995年4月同社入社。2019年7月同社執行役員。2021年4月同社執行役員営業本部営業部長兼営業管理部長。2024年6月より現職。 |
社外取締役は、柳雅二氏(株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループ顧問)、寶田健太郎氏(宝田・寿原会計事務所代表)、田中耕司氏(資本政策研究所代表)です。
同社は監査役設置会社であり、社外取締役と社外監査役を設置することで、経営の客観性と中立性を確保し、業務執行に対する監督機能を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ケミプロ化成の役員報酬は、社内取締役に対しては固定報酬と業績連動報酬が、社外取締役および監査役に対しては固定報酬がそれぞれ支給される仕組みです。業績連動報酬は、業績達成度に応じてポイントを付与し、譲渡制限付株式として給付される株式報酬の形式をとっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.0億円 | 20.1百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 10.8百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 25百万円 | 3.6百万円 |
なお、当事業年度における役員報酬等の総額は136百万円であり、対象となる役員は合計13名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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