※本記事は、アトミクス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アトミクスグループは、塗料販売事業と施工事業を展開しています。道路用塗料や建築用塗料、家庭用塗料、コンクリート構造物の保護・補修材の製造・販売を主軸とし、交通安全や生活環境インフラの維持管理に係るソフトウェアの開発・販売も手掛けています。
単体従業員数は218名、連結従業員数は278名です。セグメントは塗料販売事業、施工事業の2つです。
主な国内グループ会社は、アトムサポート(注2.3)(塗料販売事業)、アトムテクノス(施工事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アトミクスは、人と環境に配慮した製品開発を通じて社会貢献を目指す企業です。従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていることがうかがえます。給与水準や働き方に関する具体的なデータから、同社の雇用環境を詳しく見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、安定した環境でキャリアを築いている社員が多い傾向が見られます。平均年齢も比較的高いことから、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,482,000円 |
| 平均勤続年数 | 20.5年 |
| 平均年齢 | 44.6歳 |
| 単体従業員数 | 218人 |
| 連結従業員数 | 278人 |
| 単体のグループ内比率 | 78.4% |
同社グループは、従業員の退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。これらの制度は、同社および連結子会社の一部に適用されています。
退職一時金制度があり、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。なお、確定給付制度に係る退職給付債務は2億2,356万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
アトミクスグループは、事業の充実と持続的な成長のために人材の確保と育成を重視しています。競争優位性の維持と経営戦略の実現には「自ら考え行動する社員・チャレンジする社員」が必要であると考え、教育体系を構築し育成に取り組んでいます。DX人材の育成を通じて生産効率を高め、収益性の確保を目指しています。
同社の給与制度は、基本給、各種手当、賞与で構成されており、等級や役職に応じた目標設定と人事考課に基づいて昇給・昇格が決定されます。人事考課では、業務遂行度、努力、知識、技能などが公正に評価され、年2回の業務・情意評価と年1回の効力評価を評価会議で実施しています。賞与についても年2回の業務・情意評価により各社員の賞与係数を決定しています。
また、同社は「自ら考え行動する社員・チャレンジする社員」の育成を目指し、ワークライフバランスの向上と自己実現の支援を通じてエンゲージメント向上を図っています。2025年4月からは資格取得支援制度を導入し、社員のスキルアップと生産性向上を促進しています。2023年4月には65歳定年制度を導入し、ベテラン社員の就業環境改善と高年齢層社員の活用を進めています。その他、人間ドック費用の補助や、2026年4月からの社宅手当等の拡充により、働きやすい雇用環境の整備に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アトミクスは、塗料の製造・販売と、それらを用いた施工を主要な事業とする同社グループです。長年にわたり培ってきた技術力と製品ラインナップを強みに、社会インフラの維持管理から一般家庭まで幅広いニーズに応えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、塗料の製造・販売を行う「塗料販売事業」と、塗料を用いた工事を請け負う「施工事業」の二つのセグメントで事業を展開しています。国内市場を中心に、多様な顧客層に対して製品とサービスを提供することで収益を上げています。特定の顧客への収益集中は見られず、地域別では日本国内の外部顧客への売上高が大部分を占めています。
塗料販売事業
道路用塗料、建築用塗料、家庭用塗料、コンクリート構造物の保護・補修材の製造と販売を行っています。また、交通安全や生活環境インフラの維持管理に係るソフトウェアの開発・販売も手掛けています。収益は、主に製品の販売から得ており、アトムサポートが家庭用塗料の販売を、アトム機械サービスが道路用塗料の施工機製造を担っています。
施工事業
アトミクスが製造する道路用塗料やコンクリート構造物の保護・補修材、床用塗料などを使用した工事を請け負っています。収益は、主に工事の請負から得ています。運営は、アトムテクノスが中心となって行い、新製品開発や製品改良に必要な情報を得る役割も果たしています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 塗料販売事業 | 115億円 | 118億円 |
| 施工事業 | 8.5億円 | 9.3億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、直近5年間で売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向を示しています。特に当連結会計年度においては、売上高が前期から増加し、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は大幅な増益となりました。これは、原材料価格の高騰や物価上昇が続く中でも、価格改定による利益確保や、受取配当金の増加、補助金収入、固定資産売却益の増加、投資有価証券売却益の計上などが寄与しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 111億円 | 114億円 | 121億円 | 123億円 | 128億円 |
| 経常利益 | 4.5億円 | 1.8億円 | 3.8億円 | 3.7億円 | 6.1億円 |
| 経常利益率 | 4.0% | 1.6% | 3.2% | 3.0% | 4.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.8億円 | 82百万円 | 2.4億円 | 2.3億円 | 9.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 71.38 | 15.39 | 44.96 | 43.00 | 177.58 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加しており、生産性の向上が見られます。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から大きく増加しており、収益性の改善が進んでいることが示されています。これらの指標の改善は、同社グループが事業活動の効率化や収益構造の強化に取り組んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 43.6百万円 | 45.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.2百万円 | 2.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
アトミクスは、強固な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しています。本業で着実に資金を創出し、将来に向けた投資もバランス良く行われている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループは、高い自己資本比率と潤沢な手元資金を確保しており、安定した財務基盤を築いています。これは、事業活動を継続する上での強みとなります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 104億円 | 112億円 |
| 自己資本比率 | 68.9% | 68.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.2% | 8.8% |
| 現金及び預金 | 28.3億円 | 42.4億円 |
同社グループの自己資本比率は当期で68.6%となっており、プライム市場の製造業平均46.8%と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)は当期で8.8%となり、前期から大きく改善しました。プライム市場平均の9.4%に近い水準となっています。
現金及び預金は当期で42.4億円と、前期の28.3億円から増加しています。この手元資金の厚みは、不測の事態や経済変動に対する耐性を示すものです。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループは、本業で安定的に資金を創出し、投資活動も行いながら、全体として資金を増やしている状況です。これは、事業の持続的な成長と財務の健全性を示すものです。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは6.5億円の獲得となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加や減価償却費の増加があった一方で、固定資産売却損益や売上債権の増加などによる減少があったためです。
投資活動によるキャッシュフローは△1.1億円の使用となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入があったものの、有形固定資産の取得や定期預金の預入れによる支出があったためです。財務活動によるキャッシュフローは△0.4億円の使用となり、主に配当金の支払額やファイナンス・リース債務の返済による支出がありました。
これらの結果、フリーキャッシュフローは当期で5.4億円のプラスとなり、本業で稼いだ資金が投資を上回る優良な状態を示しています。同社グループは本業で安定した資金を創出し、将来に向けた投資も行いながら、資金余力を確保している状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 10.2億円 | 6.5億円 |
| 投資CF | △6.5億円 | △1.1億円 |
| 財務CF | △1.3億円 | △0.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 3.7億円 | 5.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの経営成績は、設備投資や個人消費の動向、政府・自治体の交通安全対策の実施状況、原材料価格や為替変動、株式市況等の影響を受ける可能性があります。また、主要な原材料の多くは石油関連製品であり、原油・ナフサ価格の動向が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アトミクスは、ESG経営を積極的に推進し、社会貢献と持続可能な成長を目指す企業です。独創的な技術と顧客志向を重視し、社員の幸福と自己実現も追求する価値観を掲げています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの経営理念は、製品・サービスを通じて社会課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献することです。独創的な発想と高度な複合化技術により市場でナンバーワン、オンリーワンを目指し、価値を提供することを掲げています。会社の成長発展を通して、社員の幸福を追求し、自己実現を支援することも理念としています。
この理念のもと、同社グループはESG経営を積極的に推進し、社会に貢献できる企業を目指しています。社会の発展に役立つ製品・サービスを提供し続ける企業でありたいと考えています。
第14次三ヵ年計画(2023-2025年度)では、「安全・安心・快適な社会を創る」を価値基準とし、事業を通じて社会課題解決に取り組みました。第15次三ヵ年計画(2026-2028年度)では、気候変動への対応として自社のCO2排出量削減を具現化し、顧客のCO2排出量削減活動も事業機会と捉えて戦略を展開する方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「市場を絞り込みその市場でナンバーワン、オンリーワンになること」と「社員の顧客志向徹底」を継続的に重視しています。環境の変化を変革の機会と捉え、価値のある製品やサービスの提供に努める姿勢があります。
新たな経営基盤の構築として、事業継続体制(BCP)の強化や、社会的責任(ESG・サステナビリティ)を果たす行動の推進により、企業価値の向上を目指しています。サステナビリティに関する考え方として、「人と環境にやさしい思いやり」を持つ企業として、「地球及び人の安全・安心と快適さの確保」を経営基盤としています。
主に「環境対応型製品」及び「交通安全」をコンセプトに製品開発を行うことで社会に貢献していく方針です。人材育成においては、「自ら考え行動する社員・チャレンジする社員」の育成を目指し、ワークライフバランスの向上と自己実現の支援を通じてエンゲージメント向上を図っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、収益基盤の再構築に向けた事業ポートフォリオの最適化を課題としています。また、人材の強化(採用、育成、多様化への対応)や、社会の課題解決と新しい価値創造に向けた研究開発の強化も重点テーマです。
BCP体制の強化(地政学的リスクへの対応と原材料の安定調達)や、工場の生産性向上、リニューアルも対処すべき課題としています。SDGs、ESGへの取り組みと企業価値向上も重要なテーマです。
気候変動が社会に与える影響を重要な社会課題と捉え、人材確保も持続的成長のために重要だと考えています。人的資本経営に取り組み、各種施策により社員のモチベーションを高め、グループ内の人材育成及び働き方改革を一層推進していく方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アトミクスは監査役制度を採用した経営体制を敷いています。取締役会は社外役員も出席し、経営方針の決定と業務執行の監督を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
アトミクスは、複数の持株会や投資育成会社、信託銀行が上位株主として名を連ねる資本構成となっています。筆頭株主はアトミクス取引先持株会であり、東京中小企業投資育成や日本マスタートラスト信託銀行(株式付与ESOP信託口)も主要な株主です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| アトミクス取引先持株会 | 17.65% |
| 東京中小企業投資育成 | 12.22% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(株式付与ESOP信託口・75715口) | 7.00% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は宮里勝之氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮里 勝之 | 代表取締役社長 | 1985年3月 同社入社、2020年4月 執行役員道路事業部長兼久喜工場長兼岡山工場長、2021年6月 取締役、2023年6月 代表取締役社長より現職。 |
| 花形 裕透 | 取締役執行役員レイズ事業部長 | 1991年8月 同社入社、2013年6月 取締役兼大阪支店長、2020年4月 取締役事業本部長兼大阪支店長、2025年4月 取締役執行役員レイズ事業部長より現職。 |
| 冨士田 学 | 取締役執行役員管理統括部長 兼経理部長 | 1992年2月 同社入社、2012年4月 管理統括部長、2015年6月 取締役、2020年4月 取締役執行役員管理統括部長、2023年12月 取締役執行役員管理統括部長兼経理部長より現職。 |
| 鈴木 太亮 | 取締役執行役員 技術本部長 | 1996年4月 同社入社、2018年4月 塗料事業部長、2021年4月 執行役員技術本部長より現職、2021年6月 取締役より現職。 |
社外取締役は、田中滋子氏(株式会社リクルートキャリアコンサルティング在籍)です。
同社は監査役制度を採用した経営体制であり、取締役5名、監査役3名で構成されています。社外取締役1名と社外監査役2名を選任しており、社外役員による業務執行の監視・監督が行われています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アトミクスの役員報酬は、基本報酬(固定)と役員退職慰労金(積立型退任時報酬)の金銭報酬で構成されています。取締役の個人別の報酬額は、代表取締役社長が社外取締役の意見を得て決定されます。監査役の報酬は、監査役の協議によって決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 49百万円 | 12.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 8百万円 | 8.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 10百万円 | 3.3百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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