【平均年収875万円】科研製薬 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収875万円】科研製薬 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

科研製薬は、医薬品、医療機器、農業薬品の製造・販売を行う薬業と、不動産賃貸事業を展開しています。連結従業員数は1,000名を超え、直近期は売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも減少し、経常利益は損失を計上しました。


目次

※本記事は、科研製薬株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


科研製薬は、医薬品、医療機器、農業薬品の製造・販売を行う薬業と、不動産賃貸事業を展開しています。同社グループは、科研製薬と連結子会社4社で構成されています。

単体従業員数は1,086名、連結従業員数は1,114名です。セグメントは薬業、不動産事業の2つです。

主な国内グループ会社は、当社、科研ファルマ、アーサム、アーディ社などです。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


科研製薬は、医薬品事業を主軸とする企業として、専門性の高い人材が長期的に活躍できる環境を提供していると考えられます。社員の定着を重視し、キャリア形成を支援する制度が整備されている傾向が見られます。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、社員が安定して長く働き続ける傾向があることがうかがえます。これは、長期的なキャリア形成を重視する方にとって魅力的な要素となるでしょう。

項目 数値
平均年間給与 8,748,060円
平均勤続年数 17.3年
平均年齢 41.9歳
単体従業員数 1,086人
連結従業員数 1,114人
単体のグループ内比率 97.5%


同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方の退職給付制度を採用しています。これらの制度は、提出会社および一部の連結子会社に適用されています。

退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は143億円、年金資産は144億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


同社グループは、長期経営計画2031に基づく経営戦略「3つのTransformation(研究開発、海外展開、経営基盤)」の実現に向けた人事戦略を掲げています。基本方針として「プロフェッショナルとして常に新たな挑戦をし、変革を追求し続ける人材の育成」と「同社グループに最適な人事制度と就業環境の整備による社員のエンゲージメント向上」に取り組んでいます。

人事制度においては、職務遂行能力に応じた等級と、担う役割に応じた職位に対し、その内容に見合った処遇を実施しています。能力を発揮し成果を導き出す人材を相応しい等級・職位へと昇格・昇進させることで、プロフェッショナル人材の育成を実現しています。賞与は個人の業績評価に応じて決定され、より高い成果を出した従業員に対して相応の賞与を支給できる仕組みとなっており、公平性と納得性の高い給与体系を整備しています。

人材育成上の重要課題として、多様な人材のモチベーション向上とリテンション、高い事業目標に挑戦する意欲を持つ人材の積極的な登用を認識しています。また、研究開発、海外展開、経営基盤のTransformationに必要な能力強化と補充にも注力しています。

具体的な取り組みとして、コンプライアンスの徹底、フレックスタイム制や在宅勤務制度の導入によるワーク&ライフバランスの推進、育児・介護休業制度や時短勤務制度の整備による子育て・介護支援を進めています。男性社員の育児休業取得を促進するため、育児休業期間の一部を有給とする制度も導入しています。さらに、従業員エンゲージメントレベルの測定や健康経営の推進、オンライン学習サービスの導入、社内外の研修プログラム活用による能力向上と組織開発にも取り組んでいます。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。労働者の男女の賃金の差異は、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を算出したものであり、提出会社の労働者の賃金は性別に関係なく同一の基準を適用しています。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 7.2%
男性労働者の育児休業取得率 82.9%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 75.3%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 78.1%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 82.4%

多様性・登用

指標 数値
経験者採用比率 54.0%

育児・介護支援

指標 数値
年次有給休暇取得率 64.5%
男性労働者の育児休業平均取得日数 33.4日間

人材育成・エンゲージメント

指標 数値
従業員エンゲージメントレベル -
人事部主催研修延べ時間 4,639時間

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


科研製薬は、医薬品、医療機器、農業薬品の製造・販売を行う薬業と、不動産賃貸を行う不動産事業の二つの事業を展開しています。同社グループは、革新的な新薬の創出と提供を通じて健康寿命の延伸に貢献し、皮膚科・整形外科領域を中心にグローバル展開を目指す創薬企業としてのビジョンを掲げています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、薬業と不動産事業を主軸としています。薬業が同社グループの収益の大部分を占めており、不動産事業は安定した賃貸収入を確保しています。

薬業

医薬品、医療機器、農業薬品の製造・販売を主な事業内容としています。収益は、製商品の販売やライセンス契約に基づく一時金収入、ロイヤリティから得ています。国内医薬品事業では、既存治療薬の売上増加や新製品の販売開始があった一方で、後発医薬品への置き換えが進んだことにより減収となりました。海外売上高も、前期にあった契約一時金収入の反動により大きく減少しています。農業薬品事業では、主力製品の売上が増加し、増収となりました。

不動産事業

文京グリーンコート関連の不動産賃貸を主な事業内容としています。収益は、主に賃貸料から得ています。前期に比べて売上高は増加しています。

セグメント 売上高(2025年3月期) 売上高(2026年3月期)
薬業 916億円 743億円
不動産事業 24.8億円 25.4億円


同社グループの売上高は、薬業が大部分を占めており、不動産事業は比較的小規模です。主要な顧客としては、アルフレッサ株式会社、株式会社メディセオ、株式会社スズケンといった医薬品卸売業者が挙げられ、特定の顧客への売上集中が見られます。海外売上高は薬業に含まれており、前期に比べて大きく減少しました。

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの直近5期間の業績は、当連結会計年度において売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも減少となりました。特に経常利益は損失を計上しています。これは、前期に計上された知的財産譲渡やライセンス契約一時金収入の反動に加え、後発医薬品への置き換えの進行が売上高に影響を与えたためです。また、新たなライセンス契約締結に伴う研究開発費の増加も利益を押し下げる要因となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額増加により支出に転じています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 760億円 730億円 720億円 940億円 769億円
経常利益 175億円 87.3億円 99.5億円 213億円 △2.1億円
経常利益率 23.1% 12.0% 13.8% 22.6% △0.3%
親会社株主に帰属する当期純利益 95.5億円 54.4億円 80.2億円 139億円 21.4億円
1株当たり当期純利益(円) 251.43 144.80 212.67 365.42 56.57

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から減少しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期は利益を計上していましたが、当期は損失に転じています。これは、売上高の減少と研究開発費の増加が主な要因であり、同社グループ全体の収益性が低下したことを示しています。

指標 2025年3月期 2026年3月期
従業員1人あたり売上高(連結) 83.5百万円 69.0百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 18.7百万円 △0.8百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


科研製薬グループの財務状況を見ると、本業からの資金流出が見られ、現在は成長に向けた投資を積極的に行っている段階にあることが示されています。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


科研製薬の財務基盤を見ると、自己資本比率は当期で82.8%となっており、プライム市場の製造業平均と比較して高い水準を示しています。これは、外部環境の変化に対する耐性があることを示唆しています。

一方で、ROE(自己資本利益率)は当期で1.4%となり、前期から大きく減少しています。プライム市場平均と比較しても低い水準となっています。

手元資金である現金及び預金は当期で447億円となり、前期から減少しています。しかし、同社グループは事業運営上適切な水準の流動性を確保できていると認識しています。

これらの財務状況は、同社グループが安定した経営基盤を維持しつつも、収益性には課題があることを示しており、今後の事業展開が雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 1,526億円 1,476億円
自己資本比率 78.9% 82.8%
ROE(自己資本利益率) 9.4% 1.4%
現金及び預金 541億円 447億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


科研製薬のキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業キャッシュフローは当期に△110.8億円の支出超過となりました。これは主に法人税等の支払額の増加によるものです。

投資キャッシュフローは3.2億円の収入となり、前期の支出超過から転換しています。これは主に有形固定資産売却額の増加によるものです。

財務キャッシュフローは△88.4億円の支出となっており、自己株式処分による収入の減少が主な要因です。

結果として、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合わせたフリーキャッシュフローは△107.6億円となり、資金の流出が続いている状況を示しています。

同社グループは、開発パイプライン拡充のための研究開発費用やM&A・導入費用などを主要な資金需要としており、持続的な成長のための資金需要には積極的に対応していく方針を示しています。これらの資金の流れは、同社グループが現在、事業の変革期にあり、将来に向けた投資を優先している状況を示しており、今後の事業成長とそれに伴う雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 297.8億円 △110.8億円
投資CF △196.5億円 3.2億円
財務CF △53.7億円 △88.4億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 101.3億円 △107.6億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク


継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク


同社グループは、薬事行政のもと様々な規制を受けており、薬価基準の改定やジェネリック医薬品使用促進策等の医療費抑制策が進展していることをリスクとして認識しています。これらの行政施策の動向は、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、製薬業界における他社との競争に伴うリスクも挙げられています。競合品や特許切れ後のジェネリック医薬品との販売競争は、同社グループの製品売上高を減少させる原因となる可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク


人材・組織に関するリスクの記載はありません。

④ 雇用安定性・リストラ


解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


科研製薬グループは、患者さんのクオリティ・オブ・ライフ向上と健康寿命延伸に貢献することを目指し、高い倫理観と活力ある企業風土を大切にしています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


同社グループは、「一人でも多くの方に笑顔を取りもどしていただくために、優れた医薬品の提供を通じて患者さんのクオリティ・オブ・ライフの向上につとめる」ことを企業理念としています。
2031年ビジョンでは、「画期的新薬の迅速な創出・提供により健康寿命延伸に貢献し続ける企業」と「皮膚科、整形外科領域を中心にグローバルに展開する創薬企業」を掲げています。
これらの理念とビジョンに基づき、企業価値の最大化とステークホルダーの信頼に応えることを基本方針としています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


同社グループは、経営の基本方針として「患者さんと医療関係者のニーズに即した有用な医薬品の創製・提供」「医薬品企業としての社会的責任を自覚し、高い倫理観をもって社会から信頼される企業」「社員が仕事に歓びと誇りをもち、活力あふれる存在感のある企業」の三つを掲げています。
また、サステナビリティ基本方針では「患者さんのよろこび」「社会のよろこび」「社員のよろこび」の「3つのよろこび」の追求を重視しています。
プロフェッショナルとして常に新たな挑戦をし、変革を追求し続ける人材の育成と、最適な人事制度と就業環境の整備による社員のエンゲージメント向上を人事戦略の基本方針としています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループが対処すべき課題として、研究開発及び導出入活動への重点投資を挙げています。
具体的には、3領域(免疫系・神経系・感染症)への集中投資や、国内外の企業・研究機関との共同研究・戦略的提携を進め、パイプラインの充実と画期的新薬の上市を目指しています。
営業基盤の強化では、強みを持つ皮膚科・整形外科領域でのプレゼンス向上、ICT活用による付加価値の高い情報提供に取り組んでいます。
人材育成においては、イノベーティブなチャレンジの奨励と人を活かすマネジメントを推進し、次世代リーダーやグローバルで活躍できる人材の育成、働く環境の整備を進めています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


科研製薬は監査役会設置会社であり、社外監査役を含む監査役が経営監視機能を担っています。意思決定の迅速化と監督・業務執行機能の明確化のため、執行役員制度を導入しています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


科研製薬の株主構成を見ると、日本マスタートラスト信託銀行をはじめとする信託銀行や金融機関が上位に名を連ねています。複数の機関投資家が同社の株式を保有しており、幅広い層に支えられている資本構成となっています。

株主名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.22%
日本カストディ銀行(信託口) 5.70%
農林中央金庫 4.84%
ゴールドマン・サックス・アンド・カンパニーレギュラーアカウント 4.75%
みずほ銀行 3.87%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は堀内裕之氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
堀内 裕之 代表取締役社長 1984年同社入社後、広島支店長、大阪支店長、執行役員、医薬営業部長、営業本部長、常務取締役を経て、2020年より代表取締役社長を務めています。
鈴土 雅 常務取締役 富士銀行(現みずほ銀行)入行後、モスクワみずほコーポレート銀行社長、みずほフィナンシャルグループ部長を歴任。2016年同社入社後、総務部長、執行役員、経営企画部長、取締役を経て、2024年より常務取締役を務めています。
綿貫 充 取締役研究開発本部長 1989年同社入社後、臨床開発部長、研開企画部長、研究開発本部副本部長を歴任。2021年より研究開発本部長、2022年より執行役員、2023年より取締役を務めています。
梅田 泰弘 取締役 農林中央金庫入庫後、営業企画部主任考査役、営業第三部長、常務執行役員、特別参与を歴任。2024年より同社取締役を務めています。
奥山 明美 取締役 1994年同社入社後、安全性情報部長、薬事部長を歴任。2025年より同社取締役を務めています。


社外取締役は、髙木正一郎氏(元鳥居薬品代表取締役社長)、井上康知氏(長濱・水野・井上法律事務所パートナー)、石川さと子氏(慶應義塾大学薬学部薬学教育研究センター教授)です。

同社は監査役会設置会社です。社外取締役は、取締役会の意思決定に直接関与し、中立・独立した立場から経営の助言と監督を行う役割を担っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


科研製薬の役員報酬は、持続的な成長へのインセンティブを目的として、基本報酬、賞与、株式報酬で構成されています。基本報酬は固定で、賞与と株式報酬は業績連動型となっており、職責や中長期業績などを総合的に考慮して決定される仕組みです。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 6名 2.8億円 46.3百万円
監査役(社外除く) 2名 48百万円 24.0百万円
社外役員 5名 37百万円 7.4百万円


なお、株式報酬は、当事業年度における役員株式給付引当金繰入額として計上されています。

個人別報酬が開示されている役員は、堀内裕之氏(1.06億円)です。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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