共和レザー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

共和レザー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する、各種合成表皮材の製造・販売を行う大手メーカー。トヨタ自動車が筆頭株主であり、車両用内装材を主力としています。2025年3月期は、自動車生産の回復等により売上高は564億円と増収でしたが、固定費増加や原材料価格の影響等により経常利益は17億円と減益になりました。


※本記事は、共和レザー株式会社 の有価証券報告書(第127期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 共和レザーってどんな会社?


合成樹脂製品のパイオニアとして、自動車内装や住宅、ファッション分野へ高機能な表皮材を提供するメーカーです。

(1) 会社概要


同社は1935年、4社の合併により設立され、1949年に塩化ビニルレザーの製造を開始しました。1961年に東京証券取引所へ株式を上場。2011年には中国の共和興塑膠(廊坊)有限公司を連結子会社化し、グローバル展開を加速させています。2022年の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しました。

現在の従業員数は連結1,391名、単体708名です。筆頭株主は事業会社(主要販売先)であるトヨタ自動車で、第2位は同じくトヨタグループの豊田通商、第3位は自動車内装部品メーカーの林テレンプホールディングスとなっており、事業上の結びつきが強い株主構成です。

氏名 持株比率
トヨタ自動車 35.08%
豊田通商 6.52%
林テレンプホールディングス 4.37%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名 (※) の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は花井幹雄氏が務めています。社外取締役比率は18.2%です。
(※) 2025年3月31日時点。

氏名 役職 主な経歴
花井 幹雄 取締役社長執行役員(代表取締役) トヨタ自動車常務理事、堤工場長を経て、2017年より同社取締役。2018年より現職。
河島 竜太 取締役専務執行役員(代表取締役) 1985年同社入社。車両営業部長、営業本部長、モビリティ事業部長などを歴任し、2023年より現職。
栁川 大介 取締役専務執行役員 トヨタ自動車入社後、トヨタダイハツエンジニアリングアンドマニュファクチャリング財務役などを経て、2023年より現職。
竹内 泰憲 取締役専務執行役員 トヨタ自動車堤工場成形部長を経て、2021年同社入社。生産本部長などを経て、2024年より現職。
稲垣 忠彦 取締役常務執行役員 1988年同社入社。第3技術部長、取締役を経て、2024年より現職。


社外取締役は、大井祐一(元豊田通商代表取締役副社長執行役員)、淺間一(東京大学大学院工学系研究科教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「各種合成表皮材」の単一セグメントで事業を行っていますが、製品の用途別に「車両用」「住宅・住設用」「ファッション・生活資材用」の3つの分野を展開しています。

(1) 車両用表皮材


自動車の内装に使用される合成皮革や成形複合材などを製造・販売しています。主な顧客は自動車メーカーや内装部品メーカーであり、特にトヨタグループ向けの売上が大きな割合を占めています。
収益は、製品の販売対価として自動車関連企業から受け取ります。運営は、同社および中国子会社の共和興塑膠(廊坊)有限公司などが担っています。

(2) 住宅・住設用表皮材


住宅やオフィスなどの壁紙、家具、ドアなどに使用される化粧フィルムや合成皮革を提供しています。耐久性や意匠性に優れた製品を展開し、快適な住空間づくりに貢献しています。
収益は、建材メーカーや家具メーカーなどへの製品販売により得ています。運営は主に同社および子会社の共和ライフテクノが行っています。

(3) ファッション・生活資材用


靴、鞄、衣料用などのファッション素材や、椅子張り地などの生活資材向け合成皮革を開発・販売しています。機能性とファッション性を兼ね備えた製品を提供しています。
収益は、アパレルメーカーや家具メーカー等からの製品販売代金となります。運営は同社および共和ライフテクノが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近5期間で増加傾向にあり、特に2025年3月期は564億円と過去最高水準に達しました。一方、利益面では2023年3月期に大きく落ち込んだ後、2024年3月期に回復しましたが、直近の2025年3月期は再び減益となりました。利益率は変動があり、原材料価格やコスト増の影響を受けていることが窺えます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 412億円 471億円 458億円 520億円 564億円
経常利益 19億円 23億円 6億円 27億円 17億円
利益率(%) 4.6% 4.9% 1.3% 5.2% 3.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 17億円 3億円 20億円 11億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加しましたが、売上総利益は微増にとどまり、売上総利益率は低下しました。営業利益は減益となり、営業利益率も低下しています。売上の伸長に対し、コスト増加が利益を圧迫している状況です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 520億円 564億円
売上総利益 99億円 101億円
売上総利益率(%) 19.1% 17.9%
営業利益 26億円 21億円
営業利益率(%) 4.9% 3.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が26億円(構成比33%)、その他経費が25億円(同31%)を占めています。また、研究開発費として10億円(同13%)を計上しており、新製品開発への投資を継続しています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、用途別の売上高を開示しています。車両用は子会社の受注回復等により増収、住宅・住設用およびファッション・生活資材用もそれぞれ増収となり、全用途で売上が拡大しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
車両用 452億円 489億円
住宅・住設用 29億円 31億円
ファッション・生活資材用 39億円 44億円
連結(合計) 520億円 564億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFで得た資金の範囲内で投資と財務活動(配当支払等)を行っており、健全な財務状態を維持している「健全型」です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 71億円 13億円
投資CF -19億円 -45億円
財務CF -6億円 -13億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「お客様との和」「社会との和」「共和グループの輪」「社員の和」という4つの「和と輪」を経営理念として掲げています。ステークホルダーとの信頼関係を築き、社会に喜びと感動を提供することを目指し、時代を先取りする開発力・生産力の実現や、高い倫理観を持った企業市民としての活動を重視しています。

(2) 企業文化


労使相互信頼を土台とし、社員が誇りを持ち成長を実現できる企業風土の醸成を目指しています。オープンでフェアな企業活動を通じて社会からの信頼獲得に努めるとともに、職場環境の整備やコミュニケーションの活性化を図り、働きやすい職場づくりを推進しています。

(3) 経営計画・目標


将来の持続的成長に向け、中期経営計画に基づいた積極的な投資やDXの導入を進め、生産性の向上と強固な収益体質の構築を目指しています。また、環境対応や人的資本への投資も重視しています。

* 2025年度CO2排出量削減目標:▲30%(2013年度比)
* 2030年度CO2排出量削減目標:▲50%(2013年度比)
* 2050年度:カーボンニュートラル実現

(4) 成長戦略と重点施策


「サーキュラーエコノミーのトップランナー」を目指し、サプライチェーン全体での脱炭素や環境に優しい商品づくりを推進しています。重点施策として、中期経営計画に基づく積極投資、DXによる生産性向上、職場環境整備、人的資本投資を掲げています。また、気候変動対応として省エネや再生可能エネルギー導入を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


変化する市場環境に対応するため、自ら考えチャレンジする人財の創出を目指しています。女性の新卒採用比率20%以上を目標とするなど多様な人材の確保・活躍推進に加え、階層別研修やeラーニングなどの育成施策を強化しています。また、健康経営を推進し、家庭と仕事の両立支援やシニア人材の活躍など、長く安心して働ける環境整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.3歳 15.3年 6,291,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -%
男性育児休業取得率 81.8%
男女賃金差異(全労働者) 76.1%
男女賃金差異(正規雇用) 76.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 117.7%


※女性管理職比率については、提出会社は公表していないため記載を省略しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の新卒採用比率(36%)、健康経営優良法人認定(51.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新製品開発力のリスク


売上の大部分を占める車両用内装表皮材において、価格、性能、意匠など市場ニーズに合わせた製品開発がタイムリーに実施できない場合、競合製品への置き換え等により受注が減少し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 公的規制および環境規制


国内外での事業展開において環境関連などの公的規制を受けています。将来的な規制強化により追加コストが発生したり、特定の原材料が使用不可となることで代替品開発や設備投資等のコストが増加する可能性があります。

(3) 特定の取引先への依存


車両用内装材を主にトヨタグループ向けに販売しており、売上高の約50%を同グループが占めています。そのため、同グループの自動車生産・販売動向が同社の業績および財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

(4) 原材料価格および調達リスク


主原材料が石油関連であるため、原油・ナフサ価格の変動が業績に影響します。また、供給逼迫や災害等により原材料不足が生じた場合、生産遅延や調達コストの上昇を招くリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。