共和レザー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

共和レザー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

共和レザーは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、主に車両用、住宅・住設用、ファッション・生活資材用などの各種合成表皮材の製造および販売を展開しています。直近の業績では、主要顧客からの受注減少等により、連結売上高は558億円と前期比で微減となり、経常利益は10億円と減益の傾向となっています。


※本記事は、共和レザーの有価証券報告書(第128期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 共和レザーってどんな会社?


車両や住宅、ファッション向けに各種合成表皮材を製造・販売するメーカーです。

(1) 会社概要


1935年に富士革布など4社が合併して設立されました。1949年に塩化ビニルレザーの製造を開始し、1961年には東京証券取引所へ株式を上場しています。1963年のウレタン合成皮革の製造開始以降も製品の幅を広げ、2000年代以降は中国等に子会社を設立し、2024年にはインドに関連会社を設立するなどグローバルな事業展開を進めています。

現在の従業員数は連結で1,393名、単体で708名です。筆頭株主は事業会社であるトヨタ自動車で、第2位も事業会社の豊田通商、第3位も同じく事業会社である林テレンプホールディングスとなっています。

氏名 持株比率
トヨタ自動車 35.08%
豊田通商 6.52%
林テレンプホールディングス 4.37%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は花井幹雄氏です。社外取締役は2名です。

氏名 役職 主な経歴
花井幹雄 取締役社長執行役員(代表取締役)監査室担当BR戦略推進室担当 1984年トヨタ自動車入社。2016年同社堤工場長を経て2017年共和レザー常勤顧問に就任。取締役副社長などを歴任し、2023年より現職。
河島竜太 取締役専務執行役員(代表取締役)海外・国内事業統括コーポレートセンター長調達部担当東京営業所担当大阪営業所担当 1985年共和レザー入社。2017年車両営業部長、取締役を経て営業本部長やモビリティ営業部長などを歴任し、2023年より現職。
栁川大介 取締役専務執行役員経営企画センター長Sobagni事業部長経理部担当DX推進部担当経営企画部長 1988年トヨタ自動車入社。2020年共和レザー理事を経て2021年常務取締役。DX・戦略本部長などを歴任し、2023年より現職。
竹内泰憲 取締役専務執行役員モビリティ事業部長モビリティ統括部担当環境管理室担当 1987年トヨタ自動車入社。同社堤工場成形部長等を経て2021年共和レザー理事。生産本部長などを歴任し、2024年より現職。
稲垣忠彦 取締役常務執行役員 1988年共和レザー入社。2016年第3技術部長、2019年取締役を経て、インダストリー事業部長などを歴任し、2024年より現職。


社外取締役は、大井祐一(元豊田通商代表取締役副社長執行役員)、淺間一(東京大学大学院工学系研究科教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「各種合成表皮材」の単一セグメントですが、主な用途として以下の事業を展開しています。

車両用


自動車等の内装材向けに、塩化ビニル系、オレフィン系、ウレタン系といった各種合成表皮材を製造・提供しています。主な顧客は国内外の自動車関連メーカーを中心とした企業です。

車両用内装表皮材の販売を通じて収益を得ており、同グループの売上の大部分を占めています。事業の運営は共和レザーおよび中国等の子会社が行っており、主要顧客にはトヨタグループなどが含まれます。

住宅・住設用


住宅の内外装向けに、鋼板・合板用化粧フィルムや加飾フィルムなどの各種フィルム製品を製造・提供しています。住宅関連メーカーや建材メーカーなどが主な顧客となります。

これらの住宅・住設用製品の販売によって対価を受け取る収益モデルとなっています。本事業の運営は主に共和レザーおよび子会社の共和ライフテクノが行っています。

ファッション・生活資材用


靴やカバンなどのファッションアイテムや、生活資材向けに、ファッション性や機能性に優れた各種合成皮革の開発および製造を行っています。

インターネットを通じた個人向けの販売も含め、製品の販売対価として収益を獲得しています。事業の運営は主に共和レザーおよび子会社の共和ライフテクノが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は450億円台から560億円台へと拡大基調にありましたが、直近では主要顧客からの受注減少によりわずかに減少しています。経常利益率も直近では原価や経費等の影響により1%台へと低下し、減益傾向となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 471億円 458億円 520億円 564億円 558億円
経常利益 23億円 6億円 27億円 17億円 10億円
利益率(%) 4.9% 1.3% 5.2% 3.0% 1.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 13億円 0.7億円 20億円 11億円 7億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微減となりましたが、北米向けを中心とした売上構成の悪化などにより、売上総利益率は低下しています。これに伴い営業利益も大きく減少し、収益性が低下する結果となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 564億円 558億円
売上総利益 101億円 92億円
売上総利益率(%) 17.9% 16.5%
営業利益 21億円 9億円
営業利益率(%) 3.8% 1.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が28億円(構成比33%)、その他が27億円(同33%)、運賃及び荷造費が13億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


車両用の売上高は自動車メーカーからの受注減少により減少しました。一方、住宅・住設用およびファッション・生活資材用は堅調に推移し、それぞれ前期を上回る売上を計上しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
車両用 489億円 478億円
住宅・住設用 31億円 35億円
ファッション・生活資材用 44億円 45億円
連結(合計) 564億円 558億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.6%で市場平均を上回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 13億円 8億円
投資CF -45億円 -32億円
財務CF -13億円 -7億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「経営理念」のもとに、お客様・仕入先様・地域・グループ各社・社員と「和と輪」を繋ぎ、社会に喜びと感動を提供していくことを掲げています。「社会との和」「お客様との和」「共和グループの輪」「社員の和」という4つの柱を通じ、高い倫理観を持ち社会から信頼される企業市民となることを目指しています。

(2) 企業文化


労使相互信頼を土台とし、社員が誇りを持ち成長を実現できる企業風土の醸成を重視しています。また、「みんなの知恵で未来に渡そうきれいな地球」というスローガンのもと、環境に配慮し人と地球に調和した企業活動を行う文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は「サーキュラーエコノミーのトップランナー」の達成を長期的な目標として掲げています。また、環境目標としてCO2排出量の削減を設定しており、2030年度までに単体で2013年度比50%削減、グループ連結では2035年度までに2021年度比50%削減、2050年度のカーボンニュートラル実現を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画に基づく積極的な投資やDXの推進を継続し、生産性向上と強固な収益体質の構築を図ります。設備の老朽化更新や高付加価値商品の開発、原価低減を進めるとともに、既存事業の拡販や新規事業の開拓による事業拡大に取り組みます。また、生地の開発・生産機能を取り込むことで、新機能や環境対応商品の開発を加速させます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


市場環境の急激な変化に対応し成長するため、自ら考えチャレンジする人材の創出を重視しています。女性の採用を積極的に行い多様な人材が活躍できる職場環境の整備を進めるほか、階層別研修やe-ラーニング等を通じた人材育成に取り組んでいます。また、健康経営を推進し、誰もが安心して働きやすい職場づくりを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 39.7歳 15.7年 6,465,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 28.5%
男性育児休業取得率 94.1%
男女賃金差異(全労働者) 74.5%
男女賃金差異(正規雇用) 74.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 110.3%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の新卒採用比率(38%)、健康経営度評価(52.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) トヨタグループ等への依存リスク


同社グループは、車両用内装材を主にトヨタグループ向けに販売しており、売上高の概ね50%を占めています。そのため、同グループの自動車生産および販売動向が大きく変化した場合、同社の経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料の価格変動および調達リスク


主原材料が石油関連であるため、原油やナフサ価格の高騰が収益に影響を及ぼす可能性があります。また、供給逼迫や自然災害による供給網の寸断などにより原材料の不足が生じた場合、生産の遅れや原価の上昇を招くリスクがあります。

(3) 災害等による操業中断リスク


同社グループは製造設備における定期的な点検等を行っていますが、大規模な地震やその他の自然災害によって操業が中断した場合、各製品の生産能力が大きく低下し、経営成績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報セキュリティに係るリスク


業務効率化などのために情報システムを運用していますが、サイバー攻撃やコンピュータウイルスの侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、通信回線のトラブルによる製造の停止等が発生した場合、被害規模によっては業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。