※本記事は、ダイトーケミックス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ダイトーケミックスは、化成品事業として各種化成品の製造・販売を、環境関連事業として産業廃棄物の処理などを手掛けています。同社グループは、電子材料、イメージング材料、医薬中間体などの化成品と、産業廃棄物処理や化学品リサイクルを展開しています。
単体従業員数は252名、連結従業員数は328名です。セグメントは化成品事業、環境関連事業の2つです。
主な国内グループ会社は、日本エコロジー(環境関連事業)、ディー・エス・エス(化成品事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ダイトーケミックスは、化学メーカーとして専門性を追求しながらも、社員を「人財」と捉え、その育成と働きやすい環境づくりに力を入れています。健康経営を推進し、社員一人ひとりが心身ともに健康でいきいきと働ける職場を目指している点が特徴です。
中期経営課題では積極的な採用と教育投資を掲げており、長期的な視点で社員の成長を支援する姿勢がうかがえます。安定した環境で専門性を高め、キャリアを築きたいと考える方にとって、同社グループは魅力的な選択肢となるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が40代前半、平均勤続年数が14年を超える水準となっており、比較的長く勤める社員が多い傾向が見られます。これは、社員が腰を据えてキャリアを形成しやすい環境があることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,604,000円 |
| 平均勤続年数 | 14.9年 |
| 平均年齢 | 40.7歳 |
| 単体従業員数 | 252人 |
| 連結従業員数 | 328人 |
| 単体のグループ内比率 | 76.8% |
同社および一部の連結子会社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。退職一時金制度もあり、2026年4月1日付で最終給与比例方式から、従業員の勤続年数や役職等に応じて付与されるポイントに基づいて給付額が計算されるポイント制に変更されています。
退職給付債務は23.5億円、年金資産は22.9億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ダイトーケミックスは、あらゆる企業活動において社員の力を最も大切であると位置づけ、社員を「人財」として最大の財産と考えています。社員一人ひとりの可能性を引き出し、活力を生み出すとともに、その活力を組織として最大限に生かすことを重視しています。健康経営を通じて、社員がより健康でいきいきと働ける職場づくりを推進し、労働生産性の向上と企業価値の向上に繋げていく方針です。
社員の給与は、会社業績だけでなく、同業他社の水準や世間相場を勘案して適宜見直され、会議体を経て決定されています。目標管理による人事制度を運用しており、中期経営課題の達成に向けて社員が能力を十分に発揮できるよう、人事制度自身の設計・見直しおよび運用を行っています。直近では、2026年度からの新たな人事制度の運用に向けた取り組みを開始しています。
人材育成においては、主体性を持って積極的・能動的に考え、行動できる社員の育成を目指し、OJTを中心とした能力開発と集合研修を補完的に実施しています。あらゆる階層の管理者が部下の能力開発指導者としての責任を果たすとともに、社員の職能別基礎能力の底上げと各部門の職能別専門性の高度化を支援しています。将来の経営幹部育成を目的とした経営戦略立案研修やOJTリーダー研修なども役職位に応じて実施しています。
人権に関する行動計画として「コンプライアンス基準」を制定し、基本的人権の尊重、多様性の尊重、ハラスメント防止、安全安心な職場づくりに取り組んでいます。女性の活躍推進にも積極的で、仕事と子育てを両立できる働きやすい環境づくりや女性の積極的採用、育児介護休業制度の周知、女性社員向けの健康セミナー開催などを推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の数値は本記事では取得できていません。
人材育成・働きやすい職場環境
当社グループにおける主要な事業を営む当社単体の指標及び目標となります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性社員育児休業取得率 | 69.2% |
| 女性社員育児休業取得率 | 100.0% |
| 年次有給休暇取得日数 | 14.5日 |
| 女性社員割合 | 7.9% |
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男女の平均継続勤務年数の差異 | 3.8年 |
| 男女賃金差異(全労働者) | 62.8% |
| 男女賃金差異(うち正社員) | 83.3% |
| 男女賃金差異(うちパート社員・有期雇用者) | 73.8% |
職場の安全衛生・保安防災
当社グループにおける主要な事業を営む当社単体の指標及び目標となります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 休業災害件数 | 4件/年 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ダイトーケミックスは、化学品の製造・販売を行う「化成品事業」と、産業廃棄物処理や化学品リサイクルを手掛ける「環境関連事業」の二つの柱で事業を展開しています。同社グループは、これらの事業を通じて社会の多様なニーズに応えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、化成品事業と環境関連事業を主軸としています。化成品事業では、電子材料、イメージング材料、医薬中間体などの製造販売を行い、環境関連事業では産業廃棄物の処理や化学品のリサイクルに取り組んでいます。
化成品事業
この事業では、電子材料、イメージング材料、医薬中間体、その他化成品を製造・販売しています。半導体材料や有機EL関連材料、インスタント写真向け材料、新規受託の印刷材料などが収益源となっています。医薬中間体は在庫調整の影響を受けています。
環境関連事業
この事業では、産業廃棄物処理と化学品リサイクルを手掛けています。産業廃棄物処理分野では、岸和田工場での中間処理が収益に貢献しています。化学品リサイクル分野では、有機溶剤のリサイクルが収益を上げています。
同社グループの売上高は、化成品事業が大部分を占めており、環境関連事業がそれに続く規模となっています。主要な顧客としては、富士フイルム、三木産業、住友化学、東京応化工業などが挙げられ、これらの顧客は主に化成品事業に関連しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 化成品事業 | 171億円 | 177億円 |
| 環境関連事業 | 15.9億円 | 17.3億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は概ね増加傾向にあります。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、一時的に損失を計上した期がありましたが、その後は回復し、安定した水準で推移しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 161億円 | 164億円 | 158億円 | 186億円 | 195億円 |
| 経常利益 | 17.5億円 | 12.9億円 | △7.3億円 | 8.2億円 | 8.9億円 |
| 経常利益率 | 10.9% | 7.9% | △4.6% | 4.4% | 4.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 15.8億円 | 9.2億円 | △10.1億円 | 8.2億円 | 7.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 49.17 | 28.65 | △31.23 | 25.47 | 24.57 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期からわずかに増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。従業員1人あたりの営業利益は前期と同水準を維持しており、安定した収益創出力を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 59.2百万円 | 59.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.7百万円 | 2.7百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、事業活動で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も継続しています。これにより、堅実な財務運営を行っている状況がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を上回る水準で推移しています。手元資金も増加傾向にあり、事業運営の安定性を示すものです。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っていますが、安定した財務状況は、事業の継続性や将来の成長投資を支える基盤となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 149億円 | 164億円 |
| 自己資本比率 | 61.1% | 56.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.6% | 5.1% |
| 現金及び預金 | 27.8億円 | 48.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の営業活動による資金は安定してプラスを維持しており、事業で着実に資金を生み出している状況です。当期は前期と比較して営業活動による資金の増加額は減少しましたが、減価償却費や税金等調整前当期純利益、売上債権の減少などが主な要因となっています。
投資活動による資金は、関係会社株式の取得や有形固定資産の取得による支出が増加し、マイナス幅が拡大しています。これは将来の成長に向けた積極的な投資が行われていることを示しています。
財務活動による資金は、長期借入れによる収入が増加したことで、前期のマイナスからプラスに転換しました。営業活動で得た資金と投資活動による支出を合わせたフリーキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で生み出した資金で投資を賄い、なお余剰資金がある状態です。このようなキャッシュフローの状況は、同社グループが安定した事業運営を基盤としつつ、成長に向けた投資も継続していることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性、そして会社の成長性にも期待が持てる状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 27.5億円 | 25.9億円 |
| 投資CF | △11.9億円 | △18.4億円 |
| 財務CF | △10.3億円 | 13.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 15.5億円 | 7.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
事業構造・収益性に関するリスクとして、同社グループが主力とする半導体業界やディスプレイ業界などは、技術革新が速く市場状況や価格変動の影響を受けやすい傾向があります。また、ドル建て取引の増加に伴う為替変動リスクも存在し、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクとして、労働者人口の減少や雇用情勢の変動、有能な人材の流出などにより、計画通りの人材確保や育成が進まない場合、同社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ダイトーケミックスは、スペシャリティ・ファインケミカル企業グループとして、社会と顧客のニーズに応える製品・技術・サービスの提供を通じて、持続的な成長を目指しています。快適で豊かな社会づくりへの貢献を経営理念に掲げ、社員一人ひとりの力を重視する企業風土を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ダイトーケミックスグループは、社会と顧客が求める一歩先の製品・技術・サービスを提供することで、更なる信頼を獲得し、安定的かつ持続的に成長するスペシャリティ・ファインケミカル企業グループを目指しています。同社グループは「快適でより豊かな社会づくり」への貢献を経営理念に掲げています。持続可能な開発目標(SDGs)の達成を通じて、サステナブルな社会の実現に貢献していくことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、企業理念である「快適でより豊かな社会づくり」のもと、「グッドマインド」「グッドパートナー」「グッドテクノ」という3つのキーワードを全社員で共有しています。行動指針としては、人間性の尊重を基本に置き、「すべての人を顧客と考え」「創造と革新に挑戦し」「迅速に対応する」ことを掲げています。
「ものづくり」メーカーとして「安全第一」を基本とし、QCD(品質・コスト・納期)を大切に迅速かつ丁寧に対応することで、顧客満足を上げていくことを重視する企業風土です。社員一人ひとりが持つ可能性を引き出し、その活力を組織として最大限に生かすことを重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、経営課題として「人材採用と育成、健康経営の充実」に取り組んでいます。環境面では「2030年までにGHG排出量15%削減」を目標に掲げ、環境保護・環境保全・生物多様性への取り組みを推進しています。
また、「グループ力を強化し、シナジー効果の最大化」も重要な経営課題の一つであり、DX推進、AI活用、自動化等による安全、品質の向上と省力化を目指した設備投資の充実も図っています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ダイトーケミックスは監査等委員会設置会社へ移行し、取締役会による監督機能の強化を図っています。経営の意思決定と業務執行の責任分担を明確にするため、執行役員制度を導入しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ダイトーケミックスの株主構成を見ると、筆頭株主は個人株主である平松裕将氏です。上位には東京応化工業や三木産業といった事業会社が名を連ねています。また、日本生命保険などの機関投資家や、ダイトーケミックス取引先持株会、ダイトーケミックス社員持株会も上位株主として同社を支えています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 平松 裕将 | 13.19% |
| 東京応化工業 | 4.86% |
| 三木産業 | 4.67% |
| 日本生命保険(相) | 4.66% |
| ダイトーケミックス取引先持株会 | 4.61% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役執行役員社長は住友朱之助氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 住友 朱之助 | 代表取締役 執行役員社長 | 1992年7月同社入社、営業部長、執行役員営業部、業務部担当を経て、2022年6月より同社代表取締役執行役員社長に就任。2024年4月より現職。 |
| 南 修一 | 取締役 常務執行役員 | 1987年3月同社入社、大阪工場長、管理部長、執行役員管理部、QA・RC部担当を経て、2021年6月より同社取締役常務執行役員に就任。2026年4月より現職。 |
| 坂本 雄輝 | 取締役 執行役員 技術開発センター担当 | 1998年7月同社入社、技術開発センター長、執行役員技術開発センター長を経て、2024年6月より同社取締役執行役員技術開発センター長に就任。2025年4月より現職。 |
| 岩﨑 正 | 取締役 執行役員 管理部、QA・RC部担当 | 2000年10月同社入社、業務部長、執行役員管理部、QA・RC部担当を経て、2025年6月より同社取締役執行役員管理部、QA・RC部担当に就任。現職。 |
社外取締役は、中村あつ子氏(ハル代表取締役社長)、杉本容子氏(ワイキューブラボ代表取締役)、村上純二氏(村上純二公認会計士・税理士事務所開設・監査等委員)、安部将規氏(アイマン総合法律事務所入所・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員を取締役会の構成員とすることで、取締役会の監督機能を強化しています。監査等委員3名のうち2名が社外取締役であり、外部からの客観的かつ中立的な経営監視体制を整えています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬体系は、役位ごとに定められた月額基本報酬である固定報酬と、年次の業績に連動する業績連動報酬(賞与)で構成されています。業績連動報酬の指標には当期純利益が採用されており、企業価値の持続的向上と株主利益の最大化を目指す方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.2億円 | 30.2百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 16百万円 | 16.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 24百万円 | 6.0百万円 |
なお、当事業年度における業績連動報酬の指標目標は当期純利益6億25百万円でしたが、実績は当期純利益11億1百万円でした。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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