タイガースポリマー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タイガースポリマー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タイガースポリマーは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、家電用や産業用のホース、ゴムシート、自動車部品などのゴム・樹脂成形品の製造販売を展開しています。直近の業績では、日本および東南アジアでの販売増加が牽引し、連結売上高が前期比増収、営業利益も増益を達成するなど、堅調な推移を見せています。


※本記事は、タイガースポリマー株式会社の有価証券報告書(第84期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. タイガースポリマーってどんな会社?


同社は、独自の技術を活かし、家電や産業用ホース、ゴムシート、自動車部品などを製造販売するメーカーです。

(1) 会社概要


1938年に大阪市で個人創業され、1948年に設立されました。1956年に電気掃除機用ゴムホースの製造を開始し、1978年には米国に合弁でホース製造会社を設立して海外展開を本格化させました。2000年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、2012年にはメキシコに成形品製造会社を設立するなど、着実にグローバルな事業基盤を拡大しています。

従業員数は連結で1,786名、単体で568名です。筆頭株主は同社の取引先グループの持株会であり、第2位は関連会社、第3位も仕入先グループの持株会となっています。事業関係者との強固な連携のもと、安定的な企業基盤を構築していることが伺えます。

氏名 持株比率
タイガース取引先持株会 10.03%
タイガー興産有限会社 9.98%
T.P.C持株会 4.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.0%です。代表取締役社長は澤田宏治氏です。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
澤田宏治 代表取締役社長 1990年三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行、1997年同社入社。岡山工場長、代表取締役専務等を経て、2021年より現職。
渡辺健太郎 取締役会長 1971年三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行、2000年同社入社。代表取締役社長等を経て、2023年より現職。
植田英司 常務取締役 1985年同社入社。購買部長、取締役経営管理部長などを経て、2021年より現職。
豊田裕之 常務取締役海外事業部長 1988年同社入社。海外子会社社長、執行役員オートモーティブ営業部長等を経て、2025年より現職。
井上宏章 取締役経理部長 1984年同社入社。経理部長、執行役員経営管理部長等を経て、2023年より現職。
冨田保彦 取締役品質保証部長 1987年同社入社。海外子会社社長、執行役員購買部担当等を経て、2024年より現職。
後藤秀彦 取締役総務部長 1991年三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行、2021年同社入社。執行役員総務部長を経て、2023年より現職。


社外取締役は、小西華子(弁護士)、細見拓人(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」「米州」「東南アジア」「中国」の報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 日本


家電用ホース、産業用ホース、ゴムシート、マット、自動車用部品などのゴム・樹脂成形品の製造および販売を行っています。多様な顧客ニーズに対応した付加価値の高い製品を提供しています。

顧客企業への製品販売から収益を得ています。運営は同社のほか、子会社である武庫川化成、ラバー・フレックス、高槻化成がそれぞれの製造拠点で担っています。

(2) 米州


主に米国とメキシコにおいて、産業用ホースや自動車用の成形品などの製造および販売を展開しています。世界市場の成長を取り込むための重要な拠点として機能しています。

ホースや成形品の販売代金が主な収益源です。運営は米国イリノイ州のTigerflex Corporationや、オハイオ州のTigerpoly Manufacturing、メキシコのTigerpoly Industria de Mexicoなどが担っています。

(3) 東南アジア


タイおよびマレーシアを拠点とし、家電用・産業用ホースや自動車用成形品の製造および販売を行っています。汎用製品の市場開拓にも注力しています。

製品の販売収益が中心です。運営はタイのTigerpoly (Thailand)やTigerflex (Thailand)、マレーシアのTigers Polymer (Malaysia)などの子会社が行っています。

(4) 中国


中国市場向けに家電用ホースや自動車用部品を中心とする成形品の製造および販売を展開しています。最適地での調達と生産を推進しています。

顧客への製品販売を通じて収益を得ています。運営は、浙江省の杭州泰賀塑化有限公司および広東省の広州泰賀塑料有限公司が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は過去5期間にわたり一貫して増加傾向にあります。経常利益は一時的に変動が見られるものの、直近では35億円となり増益を確保しています。当期利益も順調に推移し、底堅い収益基盤を維持しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 409億円 453億円 479億円 493億円 501億円
経常利益 18億円 19億円 43億円 33億円 35億円
利益率(%) 4.4% 4.1% 9.0% 6.7% 6.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 14億円 22億円 14億円 24億円

(2) 損益計算書


増収に伴い、売上総利益および営業利益ともに増加しています。利益率も改善傾向にあり、堅調なコスト管理と付加価値製品の販売拡大が効果を上げていることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 493億円 501億円
売上総利益 99億円 107億円
売上総利益率(%) 20.1% 21.3%
営業利益 28億円 30億円
営業利益率(%) 5.7% 6.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が19億円(構成比24.3%)、研究開発費が15億円(同19.2%)、運賃及び荷造費が13億円(同17.0%)を占めています。また、売上原価の売上高に対する構成比は78.7%となっています。

(3) セグメント収益


日本セグメントは産業用ホースや自動車部品の販売増により増収となりました。東南アジアも堅調に推移した一方、米州や中国では自動車部品などの販売減により減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
日本 216億円 232億円
米州 223億円 218億円
東南アジア 25億円 25億円
中国 29億円 26億円
連結(合計) 493億円 501億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 51億円 24億円
投資CF -38億円 -1億円
財務CF -15億円 -23億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「経済活動を通して付加価値を生み出し、広く社会に貢献する。」「全てのステークホルダーの信頼と期待に応える。」「企業の発展と永続性確保のため、市場の変化にすばやく対応し、常に顧客指向を『信念』として柔軟に対応する。」という理念を掲げています。

(2) 企業文化


独自の基本技術をもとにニッチ市場で高シェアを獲得するよう経営資源を集中させる文化があります。また、海外で需要のある国に事業を展開して最適地での生産を行い、優れた技術により品質や効率などの面で他社との差別化を図る姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


売上高、営業利益、経常利益の金額(量)と各利益率(質)を重視した経営を行っています。また、資本の有効活用と収益性向上のため、株主資本利益率(ROE)の目標値を設定しています。

* 株主資本利益率(ROE)の目標値:8%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「売上・収益計画の必達」「連結経営の強化」「企業体質の強化」を柱としています。有望市場でのシェア拡大や新製品の開発、自動化設備の導入による効率化を進めるとともに、アジア・オセアニア地域の市場開拓やDX推進による業務の高付加価値化を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様性のある人材確保を目指し、性別や年齢に関係なく能力を発揮できる職場づくりを推進しています。また、階層別・職種別研修を充実させるとともに、海外出張研修などを通じてグローバルに活躍できる人材の育成と適材適所による人員配置に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.2歳 18.5年 6,152,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.4%
男性育児休業取得率 314.3%
男女賃金差異(全労働者) 72.5%
男女賃金差異(正規雇用) 75.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 67.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用した労働者に占める女性労働者の割合(34.4%)、労働者に占める女性の割合目標(20.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定の取引先への依存


本田技研工業に対する売上高が約42%を占めており、特定顧客への依存度が高くなっています。顧客企業の業績変動や予期しない契約の打ち切り、調達方針の変化や値下げ要求などがあった場合、同社グループの経営成績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 製品の品質問題


品質保証体制を確立し高品質な製品の提供に努めていますが、製品の欠陥によって将来リコールが発生するリスクを完全には排除できません。多額のコスト負担や製造物責任賠償などが発生した場合、業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

(3) 海外市場への事業進出


売上高の過半を米州や中国などの海外拠点が占めています。予期せぬ法規制の変更、人材確保の難しさ、インフラ未整備による生産活動への影響、または地政学的要因による社会的混乱などが現実化した場合、海外での事業活動に支障が生じる可能性があります。

(4) 為替レートの変動


海外拠点で生産および販売される製品が多く存在します。連結財務諸表作成のために円換算されるため、現地通貨価値に変化がなくても、米ドルなどの主要通貨に対する急速な円高が進行した場合、円換算後の価値が減少し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。