タイガースポリマー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タイガースポリマー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場する同社は、家電用・産業用ホース、ゴムシート、自動車用成形品の製造・販売を行う化学品メーカーです。当連結会計年度の業績は、海外での減産影響等があったものの為替換算の影響等により増収となりましたが、諸経費の増加等により経常利益は減益となりました。


※本記事は、タイガースポリマー株式会社 の有価証券報告書(第83期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. タイガースポリマーってどんな会社?


ゴム・樹脂製品の製造技術を核に、家電用・産業用ホースや自動車部品などをグローバルに展開するメーカーです。

(1) 会社概要


1938年に創業者がゴム製品の製造販売を開始し、1948年に法人へ改組しました。1957年に電気掃除機用ビニールホースを開発し、1978年には米国にホース製造の合弁会社を設立するなど海外展開を推進しました。2005年に東京・大阪証券取引所市場第一部へ指定され、現在は自動車部品や産業資材分野で事業を拡大しています。

連結従業員数は1,895名、単体では569名です。筆頭株主はタイガー興産有限会社で、第2位は取引先持株会、第3位は代表取締役社長の澤田宏治氏です。主要な製造拠点を日本、米州、東南アジア、中国に持ち、各地域で生産・販売を行うグローバルな体制を構築しています。

氏名 持株比率
タイガー興産有限会社 9.87%
タイガース取引先持株会 9.37%
澤 田 宏 治 4.46%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.0%です。代表取締役社長は澤田宏治氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
澤 田 宏 治 代表取締役社長 1990年三菱銀行入行。1997年同社入社。岡山工場長、専務取締役などを経て、2021年6月より現職。
渡 辺 健太郎 取締役会長 1971年三菱銀行入行。2000年同社入社。経理部長、代表取締役社長などを経て、2023年6月より現職。
植 田 英 司 常務取締役 1985年同社入社。購買部長、経営管理部長、総務部長などを歴任し、2021年6月より現職。
豊 田 裕 之 常務取締役海外事業部長 1988年同社入社。タイ現地法人社長、オートモーティブ営業部長などを経て、2025年4月より現職。
井 上 宏 章 取締役経理部長 1984年同社入社。経理部長、経営管理部長などを歴任し、2023年4月より現職。
冨 田 保 彦 取締役品質保証部長 1987年同社入社。米国及びタイ現地法人社長、購買部兼資材部担当などを経て、2024年1月より現職。
後 藤 秀 彦 取締役総務部長 1991年三菱銀行入行。2021年同社入社、総務部長。2023年6月より現職。


社外取締役は、小西華子(弁護士)、細見拓人(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ホース」「ゴムシート」「成形品」事業を展開しています。

ホース


当部門では、掃除機用・洗濯機用・エアコン用などの家電用ホースおよび、一般産業用・土木建築用・住宅用などの産業用ホースを提供しています。顧客は家電メーカーや住宅設備関連企業などが中心です。

製品の販売による収益を得ています。日本国内では同社、武庫川化成、ラバー・フレックスが、海外では米国のTigerflex Corporation、マレーシアのTigers Polymer (Malaysia) Sdn. Bhd.、タイのTigerpoly (Thailand) Ltd.、中国の杭州泰賀塑化有限公司などが製造を行っています。

ゴムシート


当部門では、パッキング材や緩衝材として使用されるシートおよび、主として玄関用などのマットを提供しています。自動車部品メーカーや産業資材を扱う企業などが主な顧客です。

製品の販売による収益を得ています。製造は主に同社が日本国内で行っており、販売は同社および連結子会社のタイガース工販などが担っています。

成形品


当部門では、ゴムを主原料とした押出成形・プレス成形品や、合成樹脂を主原料としたブロー成形・射出成形品を、主として自動車部品として提供しています。自動車メーカーや部品メーカーが主要な顧客です。

製品の販売による収益を得ています。製造は、日本では同社および高槻化成、米州ではTigerpoly Manufacturing, Inc.やメキシコ法人、東南アジアではタイ法人、中国では杭州および広州の現地法人が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面では、前期に大きく伸長した後、当期は減益となりましたが、高い水準を維持しています。当期純利益については、法人税等調整額の影響もあり増加しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 366億円 409億円 453億円 479億円 493億円
経常利益 15億円 18億円 19億円 43億円 33億円
利益率(%) 4.0% 4.4% 4.1% 9.0% 6.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 16億円 14億円 30億円 34億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は減少しました。売上総利益率は微増したものの、営業利益率は低下しており、コスト増加の影響が見られます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 479億円 493億円
売上総利益 99億円 99億円
売上総利益率(%) 20.6% 20.1%
営業利益 32億円 28億円
営業利益率(%) 6.7% 5.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が18億円(構成比25%)、運賃及び荷造費が13億円(同19%)、研究開発費が13億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


日本および米州セグメントは増収となりましたが、利益面では経費増により減益となりました。東南アジアは一部地域での販売減により減収減益、中国は自動車販売不振の影響で減収となり、損失幅が拡大しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
日本 219億円 237億円 10億円 10億円 4.1%
米州 209億円 223億円 20億円 20億円 8.8%
東南アジア 40億円 40億円 3億円 1億円 3.5%
中国 48億円 41億円 -3億円 -3億円 -6.9%
調整額 -38億円 -47億円 1億円 1億円 -
連結(合計) 479億円 493億円 32億円 28億円 5.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ現金を借入金の返済や投資に回しており、財務体質が健全な状態にある「健全型」と言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 77億円 51億円
投資CF -36億円 -38億円
財務CF -9億円 -15億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、経済活動を通じて付加価値を生み出し、広く社会に貢献することを経営理念としています。株主、従業員、取引先、社会など全てのステークホルダーの信頼と期待に応えるとともに、企業の発展と永続性を確保するため、市場の変化に素早く対応することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、常に顧客指向を「信念」とし、その実現のために多種多様な変化に対して「柔軟」に対応することを重視しています。3つの基本技術(ホース、ゴムシート、成形品)をもとに、バランスのとれた経営を志向し、ニッチ市場での高シェア獲得や、技術開発による差別化を図る風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社は、投資家による長期的な投資を促進するため、企業価値および株主利益の向上に取り組んでいます。経営指標としては、売上高、営業利益、経常利益の金額(量)と各利益率(質)を重視しており、具体的な数値目標として以下の指標を掲げています。

* 株主資本利益率(ROE):8%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、「売上・収益計画の必達」、「連結経営の強化」、「企業体質の強化」を重要課題として掲げています。具体的には、ニッチ市場や有望市場でのシェア拡大、新製品・新技術の開発、自働化設備導入による効率化、グローバルな調達体制の構築などを推進します。また、DX推進による業務効率化や人的資本への投資も強化する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、性別・年齢・職歴等を問わない多様な人材の確保と、従業員が能力を発揮できる職場づくりを目指しています。全従業員を対象とした研修や階層別・職種別研修を充実させ、グローバル人材の育成にも注力しています。また、働き方改革やDX推進により、業務効率化と高付加価値化を実現し、社員エンゲージメントを高める方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.0歳 18.1年 6,219,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.4%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 72.9%
男女賃金差異(正規) 75.8%
男女賃金差異(非正規) 66.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用した労働者に占める女性労働者の割合(正職員)(24.0%)、採用した労働者に占める女性労働者の割合(準職員・パート)(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定の取引先への依存


同社グループの売上高の約42%は本田技研工業グループに対するものであり、同社の業績や契約状況、調達方針の変更などが、グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、製品の付加価値向上や他分野の拡販に努めています。

(2) 品質問題


品質保証体制を確立し高品質な製品提供に努めていますが、製品の欠陥によるリコールや、製造物責任賠償保険でカバーしきれない多額のコスト発生などが、経営成績に悪影響を与える可能性があります。厳しい管理基準のもとで生産活動を行い、リスク低減を図っています。

(3) 海外市場への事業進出


米州、中国、アジア地域などで事業を展開しており、予期しない法規制の変更、人材確保の困難、インフラ未整備、社会的混乱などがリスクとなります。これらのリスクが顕在化した場合、事業活動に支障が生じる可能性があります。事業継続計画書の作成などで対応しています。

(4) 為替レートの変動


売上高の約56%が海外拠点によるものであり、現地通貨建ての項目は円換算時に為替レートの影響を受けます。特に米ドルに対する円高は事業に悪影響を及ぼす可能性があります。為替予約を行うことで、変動リスクの回避に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。