マンダム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マンダム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の化粧品メーカー。「ギャツビー」等の男性用化粧品を中心に、日本、インドネシア、海外その他で事業を展開しています。2025年3月期は、日本事業の好調や円安効果により売上高は増収となりましたが、インドネシア事業の苦戦等により営業利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社マンダム の有価証券報告書(第108期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. マンダムってどんな会社?


男性用化粧品「ギャツビー」などのブランドを展開し、アジアを中心に事業を行う化粧品メーカーです。

(1) 会社概要


1927年12月に金鶴香水として設立され、1978年7月に主力ブランドとなる「ギャツビー」を発売しました。1988年11月に株式を公開し、2003年3月には東京証券取引所市場第一部へ指定替えとなりました。海外展開も積極的に進めており、2019年1月にはマレーシアのACG INTERNATIONAL全株式を取得し連結子会社化しています。

連結従業員数は2,587名、単体では613名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位は公益財団法人西村奨学財団、第3位は日本カストディ銀行です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 14.42%
公益財団法人西村奨学財団 7.98%
日本カストディ銀行(信託口) 5.12%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長執行役員兼CEOは西村健氏が務めています。取締役7名のうち3名が社外取締役であり、社外取締役比率は約42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
西村 健 代表取締役社長執行役員兼Chief Executive Officer (CEO)、日本事業 Chief OperatingOfficer (COO)、Chief MarketingOfficer (CMO) 2008年4月入社。シンガポール法人、経営戦略部長、マーケティング統括、代表取締役社長執行役員等を経て、2024年4月より現職。
西村 元延 代表取締役会長 1977年4月入社。取締役社長、社長執行役員等を歴任。2021年4月より現職。
小芝 信一郎 取締役専務執行役員兼Chief Risk Officer(CRO) 1987年4月入社。マーケティング統括、海外事業統括等を歴任し、2025年4月より現職。
渡辺 浩一 取締役常務執行役員兼インドネシア事業 Chief Operating Officer (COO) 1988年4月入社。生産統括、PT MANDOM INDONESIA Tbk代表取締役社長執行役員等を経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、谷井等(ハッピーPR代表取締役)、伊藤麻美(日本電鍍工業代表取締役)、原田哲郎(ドリームインキュベータ取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」「インドネシア」「海外その他」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 日本


主に国内において、自社取扱化粧品および連結子会社向けの化粧品を製造・販売しています。男性用化粧品「ギャツビー」「ルシード」、女性用化粧品「ビフェスタ」「ルシードエル」などのブランドを展開し、生活者へ製品を提供しています。

収益は、卸売業者や小売店への製品販売による対価が主な源泉です。運営は主に同社(マンダム)が行い、連結子会社のピアセラボも同社から仕入れた化粧品の販売を行っています。

(2) インドネシア


インドネシアにおいて、自社取扱化粧品を製造・販売しています。また、同社および海外連結子会社向けの化粧品製造も行っています。現地市場に根差した「ギャツビー」「ピクシー」「ピュセル」などのブランドを展開しています。

収益は、現地の流通業者や小売店への製品販売による対価が源泉です。運営は連結子会社のPT MANDOM INDONESIA Tbkが行っており、販売子会社のPT ALLIANCE COSMETICSも事業に関与しています。

(3) 海外その他


中国、フィリピン、シンガポール、台湾、韓国、マレーシア、タイ、ベトナム等のアジア各国において化粧品の販売を行っており、中国では製造も行っています。各国の市場特性に合わせたマーケティング活動を展開しています。

収益は、各国の販売代理店や小売店への製品販売による対価が源泉です。運営は、MANDOM CHINA CORPORATION、MANDOM CORPORATION (SINGAPORE) PTE. LTD.などの各国の連結子会社や関連会社が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの推移を見ると、売上高はコロナ禍の影響を受けた2022年3月期を底に回復傾向にあり、直近では760億円規模まで伸長しています。利益面では、2022年3月期に経常損失を計上しましたが、その後黒字回復しました。2025年3月期は増収となりましたが、経常利益は前期比で減少しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 633億円 574億円 670億円 732億円 762億円
経常利益 -3億円 -19億円 22億円 30億円 22億円
利益率(%) -0.4% -3.2% 3.3% 4.1% 2.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 18億円 13億円 6億円 18億円 26億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は約4%増加し、売上総利益も増加しました。一方で、販売費及び一般管理費の増加により営業利益は減少し、営業利益率は低下しました。売上原価率は微増していますが、売上総利益率は概ね横ばいで推移しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 732億円 762億円
売上総利益 315億円 329億円
売上総利益率(%) 43.1% 43.2%
営業利益 20億円 10億円
営業利益率(%) 2.8% 1.3%


販売費及び一般管理費のうち、その他が83億円(構成比26%)、給料手当及び賞与が73億円(同23%)を占めています。

(3) セグメント収益


日本セグメントは増収増益となり、利益を牽引しました。一方、インドネシアセグメントは減収となり、営業損失を計上しました。海外その他セグメントは円安効果等により増収となりましたが、経費増により減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
日本 380億円 404億円 6億円 16億円 4.0%
インドネシア 147億円 134億円 -0億円 -18億円 -13.5%
海外その他 205億円 224億円 14億円 13億円 5.9%
調整額 - - 0億円 -1億円 -
連結(合計) 732億円 762億円 20億円 10億円 1.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**健全型**:本業である営業活動でキャッシュを稼ぎ出し、それを設備投資や借入返済、株主還元に充てている健全な状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 68億円 49億円
投資CF -9億円 -21億円
財務CF -21億円 -22億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「MISSION(社会において果たすべき使命)」、「PRINCIPLES(考働原則)」、「SPIRIT(創業時から引き継がれてきた礎)」から構成される理念体系を掲げています。「人間系」という考え方を根幹に据え、人の気持ちを思いやり、人が喜ぶ姿を想像し、人に役立つ価値を創造することを重視しています。

(2) 企業文化


同社は「社会との共存・共生・共創」を企業理念に掲げ、サステナブル経営を推進しています。また、コーポレートスローガン「BE ANYTHING, BE EVERYTHING.」のもと、常識や固定観念にとらわれず、理想の自分を追求することを応援する文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


創業100周年となる2027年に向けた「VISION2027」において、「総合化粧品ではなく唯一無二の強みを持った化粧品会社」を目指しています。中期経営計画「MP-14」では「成長基盤構築」を掲げ、以下の数値目標を設定しています。

* 連結売上高:1,000億円
* 連結営業利益率:9.0%以上
* ROIC:8.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「MP-14」では、日本およびインドネシア事業の収益性改善と新たな成長エンジンの獲得、ASEANエリアを中心とした海外事業の量的成長、EC体制の確立などを基本方針としています。特にインドネシア事業では構造改革と積極的なマーケティング投資を行い、市場競争力の回復を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財主義」に基づき、社員と会社が対等なパートナーとして相互に成長することを目指しています。人的資本経営の一環として、企業理念の共有、ダイバーシティ&インクルージョン(DEIB)、健康経営、自律協働型ワークスタイル、タレントマネジメントの5つの観点から取り組みを推進し、多様な個性と強みを持つ人材の最大化を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.6歳 18.0年 7,363,978円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.8%
男性育児休業取得率 80.0%
男女賃金差異(全労働者) 65.1%
男女賃金差異(正規雇用) 77.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 79.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(14.8%)、考働原則(MANDOM PRINCIPLES)の実践率(65.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) レピュテーションリスク


ソーシャルメディア等での発信内容に対し批判的な評価が拡散され、ブランド価値や企業の信頼が低下するリスクがあります。同社はソーシャルメディアポリシーの策定・遵守やモニタリング体制の整備を行い、問題発生時には迅速な対応と情報公開に努めています。

(2) 生活者のニーズ・ウォンツの多様化への対応


化粧品市場の競争激化や購買スタイルの変化、多様化するニーズへの対応遅れが業績に影響する可能性があります。同社はコーポレートスローガンに基づき、多様性を尊重し、全ての生活者が自己実現できるような価値創造と商品提案を推進しています。

(3) 事業投資


設備投資やM&Aなどの事業投資が当初の想定通りの成果を生まない場合、減損処理等により業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は投資管理規程に基づき、投資の事前・事後評価を徹底し、新規事業に伴う固有のリスク管理にも注力しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

マンダムの転職研究 2026年3月期3Q決算に見るキャリア機会

マンダムの2026年3月期3Q決算は、インドネシア事業の劇的な黒字転換と構造改革の進捗により、営業利益が前年比116%増と大幅増益を達成。一方で日本国内の女性向け事業や中国市場に課題を残し、戦略の再構築を急いでいます。変革期にある老舗メーカーで、事業再生やブランド再興を担う専門人材の需要を探ります。