※本記事は、株式会社アイビー化粧品の有価証券報告書(第51期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アイビー化粧品ってどんな会社?
アイビー化粧品は、全国の販売会社を通じた訪問販売により、化粧品や医薬部外品を提供する総合化粧品メーカーです。
■(1) 会社概要
同社は1975年12月に設立されました。1977年10月に現在のアイビー化粧品へ商号を変更し、化粧品の製造販売を開始しています。1996年4月に日本証券業協会に株式を公開しました。その後も独自の特許技術を活かした製品開発を推進し、2015年4月には老化防止用皮膚外用剤の特許を取得しています。
現在の従業員数は単体で100名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は創業家に関連する事業会社の白銀社で、第2位はブリーズ、第3位にはアイビー化粧品取引先持株会が名を連ねており、取引先との強固な関係性が伺えます。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 白銀社 | 16.92% |
| ブリーズ | 3.34% |
| アイビー化粧品取引先持株会 | 2.42% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。取締役社長(代表取締役)は白銀浩二氏が務めており、取締役における社外取締役の比率は33.3%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 白銀浩二 | 取締役社長(代表取締役) | 1985年2月同社入社。1986年11月取締役就任。常務、専務、副社長を経て、2001年1月より現職。 |
| 白銀恵美子 | 取締役会長 | 1980年11月同社取締役就任。1991年2月代表取締役社長、1992年7月代表取締役会長を経て、1996年2月より現職。 |
| 中山聖仁 | 常務取締役経営管理部 部長 | 2002年4月同社入社。財務本部長や経営管理部長等を歴任し、2016年6月取締役就任。2017年5月より現職。 |
| 江川和憲 | 常務取締役経営企画室 室長 | 1989年4月同社入社。営業本部長等を歴任し、2019年6月取締役就任。2022年4月より現職。 |
| 白銀佳寿子 | 常務取締役 | 2006年10月アイプラティナ代表取締役社長。2021年6月同社取締役就任を経て、2025年6月より現職。 |
| 野本優 | 取締役 | 1982年9月同社入社。常務、専務、常勤監査役等を歴任し、2023年6月取締役就任。2026年4月より現職。 |
社外取締役は、緒方孝則(リバティ法律事務所所長)、中山圭史(ケイハイブ代表取締役社長)、和田司(清友監査法人代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「訪問販売化粧品事業」の単一セグメントで展開しています。
■(1) スキンケア
主力製品カテゴリーであるスキンケアは、主に基幹スキンケアシリーズと、美容液を主とするスペシャルケアにより構成されています。顧客である全国の販売組織や愛用者に向け、高品質な化粧水、乳液、クリームなどのスキンケア製品を開発、製造し、提供しています。
収益源は、製品を全国の販売会社に対して卸売りすることによる販売代金です。同社から直接の出荷先は原則として販売会社となっており、販売会社を通じて美容販売員や顧客へと販売されます。事業の運営はアイビー化粧品が単独で行っています。
■(2) メークアップ・美容補助商品等
スキンケアに加えて、ファンデーションやリップカラーなどを展開するメークアップ製品や、シャンプーなどのヘアケア製品を提供しています。さらに、家庭用複合美容器や栄養機能食品などの美容補助商品、化粧用具といった幅広いラインナップを取り揃えています。
これらの製品もスキンケアと同様に、全国に展開する販売会社に対する卸売りを主な収益源としています。同社は製品の開発と製造を行うとともに、訪問販売を行う販売組織に対する各種支援活動も実施し、事業運営全般をアイビー化粧品が担っています。
3. 業績・財務状況
同社の単体業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績推移を見ると、売上高は増減を繰り返しながら推移しています。利益面では、一時期赤字となったものの、その後は経費コントロールの徹底などにより黒字基調へと回復しています。直近の期では売上高は減少しましたが、安定した利益率を維持し、当期利益は増加に転じています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 35億円 | 29億円 | 27億円 | 29億円 | 26億円 |
| 経常利益 | 0.8億円 | -0.2億円 | 1.9億円 | 4.2億円 | 1.9億円 |
| 利益率(%) | 2.3% | -0.7% | 6.9% | 14.4% | 7.3% |
| 当期利益 | 0.4億円 | -3.8億円 | 1.6億円 | 0.4億円 | 1.6億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較すると、売上高の減少に伴い売上総利益も減少しています。売上総利益率は約70%と高い水準を維持していますが、販売費及び一般管理費の負担増により、営業利益率は低下傾向にあります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 29億円 | 26億円 |
| 売上総利益 | 21億円 | 18億円 |
| 売上総利益率(%) | 70.5% | 69.7% |
| 営業利益 | 4.2億円 | 2.0億円 |
| 営業利益率(%) | 14.4% | 7.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が5.1億円(構成比31%)、賃借料が3.1億円(同19%)、役員報酬が1.9億円(同11%)を占めています。
■(3) キャッシュ・フローと財務指標
直近のキャッシュ・フローは、営業活動で生み出した資金を将来の成長投資に振り向けつつ、借入等による資金調達も行う「積極型」の傾向を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.5億円 | 4.5億円 |
| 投資CF | -0.2億円 | -0.6億円 |
| 財務CF | -0.6億円 | 0.7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「愛と美と豊かさの実践と追求」を企業理念に掲げています。また、「日本の肌はアイビーがつくる」というビジョンを設定し、品質と機能性を追求した製品や顧客視点に立ったサービスの提供を通じて、すべての人々に幸せと豊かさの輪を広げていくことを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、企業活動の原点として「アイビーの誓い」という行動指針を定めています。これには、美の限りなき追求、自信と誇りを持った製品の提供、心を豊かにし幸福の輪を広げること、そして地域社会への奉仕と還元に尽くすことが含まれており、ステークホルダーからの信頼と満足を得る文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、売上に対する利益のレバレッジが高い収益構造を持つことから、目標売上高の達成を最重要視しています。同時に、バランスの取れた経営を目指すため、以下のKPI(経営重要指標)を設定し、定期的に進捗を確認しています。
* 棚卸資産回転期間:6.0ヶ月
* 自己資本比率:60.0%
* 売上高経常利益率:15.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、訪問販売市場のデジタル化や顧客層の若返りに対応するため、ビジネスモデルのDX化を進めています。直近では、安定的な配当の実施と販売組織の再構築を最優先課題とし、営業サポート体制の強化や棚卸資産の適正化に取り組んでいます。今後は「販売システム」「美容教育体系」「製品体系」の抜本的改定を進めるほか、特許技術を活かした医薬品分野への展開も視野に入れています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、「マネジメント力強化」と「少数精鋭」の組織体制構築を人材戦略の基本方針としています。社員教育制度を拡充して個人の専門スキルとマネジメント力の向上を図るとともに、高い成果を出した社員が報われる「業績連動報酬」を導入しています。また、多様性の確保にも努め、柔軟な働き方の環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 48.8歳 | 20.7年 | 5,485,950円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 28.6% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 75.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 72.0% |
※男性労働者の育児休業取得率については、該当者がいなかったため0.0%となっています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原料・資材等の供給・価格高騰
同社の製品に使用される原料や資材は世界各地から供給を受けています。供給停止や価格の想定以上の高騰、薬機法改正による特定原料の使用制限などが発生した場合、主要製品の製造・販売に影響を与え、同社の業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 販売会社の流通在庫の変動
同社は販売会社への卸売りを基本としているため、販売会社の仕入政策により売上が大きく左右されます。特に強化製品に関して販売会社の在庫消化見込みを誤り、過剰在庫が生じた場合、その後の在庫調整によって同社の売上が低迷するリスクがあります。
■(3) 新製品・強化製品への売上依存
同社の売上高に占める新製品や強化製品の比率は高く、季節変動性が高い特徴があります。特定の販売促進時期に売上が集中する傾向があるため、キャンペーン等による新製品・強化製品の販売状況が想定を下回った場合、同社の業績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。



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