※本記事は、東洋合成工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
東洋合成工業は、各種化学製品の製造・販売と化学品の保管を担う物流基地業務を展開しています。特に電子材料業界を主要市場とし、AI関連半導体デバイス向け材料が好調に推移しています。
単体従業員数は972名です。セグメントは感光性材料事業、化成品事業の2つです。
東洋合成工業は、各種化学製品の製造・販売と各種化学品の保管を担う物流基地業務を主な事業内容としています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
東洋合成工業は、化学メーカーとして専門性の高い事業を展開しており、従業員の安定したキャリア形成を重視する傾向が見られます。同社は人材を重要な経営資源と位置づけ、多様な働き方を支援し、個々の成長を促す環境づくりに注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も若すぎず高すぎない水準にあります。これは、従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境が整っていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,746,293円 |
| 平均勤続年数 | 10.2年 |
| 平均年齢 | 37.0歳 |
| 単体従業員数 | 972人 |
| 連結従業員数 | - |
退職給付制度として、同社は確定給付型と確定拠出型年金制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度であり、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。これらの制度は国内の従業員に適用されています。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は19.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
東洋合成工業は、経営理念に掲げる「人財・創造性・科学技術」を事業成長の源泉と捉え、組織成長を人材戦略の基本的な考え方としています。安全操業、品質・安定供給、研究開発、生産性向上を支えるため、人材の確保・育成に加え、社員一人ひとりが組織の中で力を発揮できる環境づくりを重視しています。同社では、従業員の基本給において、性別に関係なく能力と実績に応じた公正な評価と制度に基づいて賃金を決定しています。
人の心を大切にし、対話を通じた自己理解・他者理解と関係性の質の向上を重視しており、互いを理解し合う関係性が良いチームワークや創造性の発揮、新たな価値創出につながると考えています。この考え方のもと、社員一人ひとりが自らの役割や必要なスキル、キャリアの方向性を理解し、主体的に成長できる環境づくりを重視しています。
具体的には、「チャレンジ精神」「積極的な人材育成」「オープン&フェア」「安心して働ける職場環境」を人事基本方針として掲げています。安全文化の醸成に向けた関係性の質の向上と心理的安全性の確保を重視し、チームビルディングやワークショップなどを実施しています。エンゲージメント向上にも力を入れており、日常業務における参加・対話・承認の機会を重視し、OJT発表会や参加型ワークショップ、表彰制度などを通じて従業員が主体的に行動できる環境を充実させています。人材育成においては、「対話と自分ごと化」を基盤とし、新入社員から上級管理職まで長期的な視点での能力開発を支援しています。Will・Can・Mustを活用したキャリア研修や社内キャリアカウンセラーによるサポート、管理職向け現任者研修などを通じて、社員の成長とキャリア形成を支援しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性従業員の割合 | 6.0% |
| 男性従業員の育児休業取得率 | 100.0% |
| 従業員の男女の賃金の差異(全従業員) | 82.5% |
| 従業員の男女の賃金の差異(正規雇用従業員) | 87.9% |
| 従業員の男女の賃金の差異(パート・有期従業員) | 51.2% |
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 障がい者法定雇用率 | 2.7% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
東洋合成工業は、各種化学製品の製造・販売と、各種化学品の保管を担う物流基地業務を主な事業内容としています。同社は、電子材料業界の動向に強く影響を受けながら事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、主に「感光性材料事業」と「化成品事業」の二つのセグメントで収益を上げています。海外経済の動向や電子材料業界の需要が事業環境に大きな影響を与えています。特にAI関連半導体デバイス向け需要が市場成長を牽引し、先端半導体向け材料の需要が好調に推移する傾向が見られます。
感光性材料事業
半導体向け材料では、AI向け半導体デバイスの強い需要が継続し、同社の先端フォトレジスト向け材料の販売が増加しています。一方で、一般半導体向けはやや減少する傾向にあります。ディスプレイ向け感光材の販売も堅調に推移しています。
収益は、半導体やディスプレイ向けの感光材の製造・販売から得ています。
化成品事業
電子材料関連製品では、生成AIの普及拡大に伴うデータセンター投資の活発化や、半導体の高性能化・高集積化の進展により、先端プロセス向け材料の需要が増加しています。特に高純度溶剤は、先端ロジックおよびメモリ用途を中心に需要が拡大し、販売が好調に推移しています。香料材料関連製品は、サプライチェーン上の在庫調整や為替影響により、売上が減少する傾向が見られます。タンクターミナル関連は、輸入品に対する保管需要の増加や新たな無機化学品専用タンクの運用開始により、タンク契約率が高水準で推移しています。
収益は、電子材料関連製品(高純度溶剤など)、香料材料関連製品、およびタンクターミナル関連の物流基地業務から得ています。
同社の販売実績においては、信越化学工業株式会社が総販売実績の一定割合を占めており、特定の顧客への収益集中が見られます。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 感光性材料事業 | 239億円 | 264億円 |
| 化成品事業 | 148億円 | 155億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
当事業年度においては、海外経済の動向や電子材料業界の需要拡大が事業に影響を与えました。特にAI関連半導体デバイス向け需要が市場成長を牽引し、先端半導体向け材料は好調に推移しました。一方で、設備投資に伴う固定費の増加も事業に影響を与えています。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
東洋合成工業は、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた投資も行っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | - | - |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | - | - |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | - |
| 投資CF | - | - |
| 財務CF | - | - |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | - |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
東洋合成工業の主力事業である感光性材料事業は、半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)の需要に大きく依存しています。世界的な経済事情やエレクトロニクス製品の需要変動、業界再編が業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、海外直接売上高の割合が30.4%であり、為替レートの急激な変動も業績に重要な影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社では、製造業という業種の特性上、深夜勤務や交代勤務を伴う製造職において男性従業員の比率が高い状況です。将来の管理職の母集団となる女性従業員を増やすため、ライフイベントに応じた働き方の制度拡充を進め、女性の定着率向上と格差是正に取り組む方針です。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
東洋合成工業は、電子材料分野における高純度合成・精製技術を強みとし、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。社員一人ひとりの成長と、対話を通じた組織づくりを重視する企業風土があります。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、5ヵ年の中期経営計画「Beyond500」を策定し、2023年3月期からスタートさせています。この計画では、電子材料分野における高純度合成・精製技術をさらに強化し、顧客品質を満たす安定供給体制を築くことをコンセプトとしています。人・組織・事業の成長を通じて「世界No.1ダントツ企業」となり、持続可能な脱炭素社会の実現に貢献することを目指しています。ビジョンとして「顧客課題、技術課題一つ一つを真摯に捉え、独創的な視点で解決し、世界No.1ダントツの超高品質と生産性向上の両立により、未来を創る」ことを掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は経営理念・行動指針として「常に安全を最優先します」を掲げています。人事基本方針では「チャレンジ精神」「積極的な人材育成」「オープン&フェア」「安心して働ける職場環境」の4つを定めています。安全文化の醸成のため、社員同士の対話と心理的安全性の確保を重視する企業風土があります。従業員一人ひとりが自らの役割や仕事の意義を実感し、主体的に力を発揮できるエンゲージメント向上を目指しています。人材育成においては「対話と自分ごと化」を重要視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、不安定な国際情勢や原燃料価格の高騰など、先行き不透明な事業環境が続くことを課題として認識しています。安定供給を第一に、原材料の複数購買や在庫確保に努め、販売価格の見直しを検討しています。既存事業の競争力強化のため、人材の成長を重視し、仕事環境と人材育成環境の充実、組織機能の整備、次世代リーダーの育成を進めています。研究開発と製造技術開発の強化・連携、品質管理の高度化、高純度製造技術や工程管理へのDX活用による生産性の向上にも取り組んでいます。半導体市場の中長期的な需要拡大に対応するため、新規材料や要素技術の研究開発、製造技術開発、品質管理の高度化、生産性の向上、高品質な製品の安定供給に努めています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査役会設置会社であり、取締役会が経営上の意思決定と業務執行を監督し、監査役が監査機能を担う体制です。執行役員制度を導入し、意思決定の迅速化と業務執行体制の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、代表取締役社長である木村有仁氏が筆頭株主となっています。また、創業家と見られる個人株主や関連する法人、公益財団が上位に複数名を占めています。これにより、特定の株主グループが同社の経営に一定の影響力を持っていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 木村 有仁 | 13.79% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 10.91% |
| 木村 愛理 | 7.35% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 3.95% |
| 千葉銀行 | 3.76% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は木村有仁氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 木村 有仁 | 代表取締役社長 | 2001年4月日本電気入社、2003年4月同社入社、2007年6月同社取締役、2012年6月同社代表取締役社長より現職。2018年1月公益財団法人東洋合成記念財団理事長より現職。 |
| 出来 彰 | 常務取締役化成品事業部長 | 1976年4月プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン入社、2008年7月同社入社、2010年6月同社取締役、2016年6月同社常務取締役化成品事業部長より現職。 |
| 平澤 聡美 | 取締役感光材事業部長 | 1988年4月日本電気入社、2001年9月イーケーシー・テクノロジー入社、2013年10月同社入社、2017年6月同社取締役感光材事業部長より現職。 |
| 渡瀬 夏生 | 取締役経営企画部長 | 1985年4月ヘキストジャパン入社、2004年10月AZ Electronic Materials Vice President、2012年6月カルゴンカーボンジャパン代表取締役社長、2016年12月同社入社、2018年7月同社取締役経営企画部長より現職。 |
社外取締役は、鳥井宗朝氏(パナソニック ホールディングス専務取締役)、松尾時雄氏(日本カーバイド工業代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会による意思決定・監督と監査役による監査が経営機能を分担しています。経営管理機能の強化と業務執行の監督強化のため、社外取締役2名、社外監査役3名の体制をとっています。また、取締役会の任意の諮問機関として指名・報酬諮問委員会を設置し、公正性・透明性・客観性の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の持続的な向上を促すインセンティブとして機能するよう設計されています。取締役(社外取締役を除く)には月額の固定報酬に加え、年1回の業績連動報酬と退職慰労金が支給される制度です。監査役の報酬は月額の固定報酬で構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 1.3億円 | 32.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 3百万円 | 3.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 50百万円 | 10.0百万円 |
役員報酬の総額は1億81百万円であり、支給対象となった役員は合計10名です。
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