※本記事は、綜研化学株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
綜研化学は、ケミカルズ製品の製造・販売、および装置・システムの販売、生産システムのエンジニアリングを主な事業内容としています。同社グループは、粘着剤、微粉体、特殊機能材、加工製品といった幅広いケミカルズ製品を提供し、装置・システムの販売やプラントメンテナンスも手掛けています。
単体従業員数は348名、連結従業員数は1,097名です。同社グループの事業セグメントは、ケミカルズと装置システムの2つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)(装置システム)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、化学メーカーとして研究開発力と生産技術力を重視し、グローバル展開を進めています。このような事業特性から、専門性を活かせる働き方や、長期的なキャリア形成を支援する環境が期待できるでしょう。給与水準や働き方の具体的な指標については、以下で詳しく見ていきます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が40.1歳、平均勤続年数が14.5年となっており、比較的落ち着いた年齢構成で、長期的に勤務する従業員が多い傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,829,000円 |
| 平均勤続年数 | 14.5年 |
| 平均年齢 | 40.1歳 |
| 単体従業員数 | 348人 |
| 連結従業員数 | 1,097人 |
| 単体のグループ内比率 | 31.7% |
同社および連結子会社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方の退職給付制度を設けています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は28.4億円、年金資産は20.3億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「すべての価値創造の根源は人である」との認識に基づき、従業員一人ひとりの個性や価値観を尊重し、多様な人材の育成・確保、自律的に挑戦する組織風土の醸成を基本方針としています。長期ビジョン「独自の技術・製品開発力を磨き、環境・社会課題の解決を志向した事業領域の創出と事業構造の変革により、新たな成長軌道を築き、社会の発展とともに成長し続ける企業集団」の実現を目指し、人的資本の拡充を最優先課題としています。
中期経営計画「Advance2028」では、成長戦略の実現に向けた人材ポートフォリオの構築、適材適所の人材配置、外国籍従業員や高度専門人材の積極採用、海外グループ各社との人的交流に取り組んでいます。また、組織のフラット化を進め、従業員や組織の主体性を尊重しつつ、共創を促し、自律的成長に繋げる方針です。
具体的には、ミドルマネジメント層の教育・育成に注力し、全従業員のエンゲージメント向上のための人事制度改定、次世代経営人材育成のためのサクセッションプランの策定・運用を進めています。報酬については、同社が求める優秀な人材を確保できる水準の賃金体系を、グループ各社ごとに地域性なども考慮して設定し、各人の役割や成果を公正に評価して毎年決定しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。連結子会社は公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。男女賃金差異は、賃金規程上の男女差はないものの、管理職に占める女性労働者の割合が男性と比較して低いことが主な要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 80.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 82.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | 75.8% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
綜研化学は、ケミカルズ製品の製造・販売、および装置・システムの販売と生産システムのエンジニアリングを主な事業として展開しています。幅広い産業分野に貢献する製品とサービスを提供し、事業活動を行っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループの事業は「ケミカルズ」と「装置システム」の二つのセグメントで構成されており、特にケミカルズ事業が収益の大部分を占めています。中国市場での売上高が大きく、海外事業展開も積極的に行っています。
ケミカルズ
粘着剤、微粉体、特殊機能材、加工製品の製造・販売を行っています。収益は、これらの製品の製造・販売から得ています。運営は、綜研化学(蘇州)有限公司、寧波綜研化学有限公司、Soken Chemical Asia Co., Ltd.、綜研高新材料(南京)有限公司が行っています。このセグメントでは、液晶ディスプレイ関連用途の需要が緩やかに推移する中で、原材料価格の変動や人件費・経費の増加が影響しています。
装置システム
装置・システムの販売、生産システムのエンジニアリング、プラントのメンテナンス、熱媒体油の輸入販売を行っています。収益は、装置・システムの販売やエンジニアリングサービス、メンテナンス、熱媒体油の販売から得ています。運営は、綜研テクニックス株式会社が行っています。このセグメントでは、設備関連の工事完成高が大きく増加しています。
同社グループは、中国市場での売上高が全体の過半数を占めており、海外での事業展開が収益に大きく寄与しています。また、特定の顧客への売上高が全体の一定割合を占める傾向が見られます。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ケミカルズ | 449億円 | 438億円 |
| 装置システム | 27.2億円 | 41.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期の業績は、売上高が継続的に増加傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、直近の期を除いて増加傾向を示しています。当連結会計年度においては、売上高は微増となりましたが、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は減少しました。これは、原材料価格の低下に伴う製品価格の値下げや人件費・経費の増加、投資有価証券評価損の計上などが影響しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 386億円 | 381億円 | 413億円 | 476億円 | 480億円 |
| 経常利益 | 27.4億円 | 21.7億円 | 39.1億円 | 63.4億円 | 62.4億円 |
| 経常利益率 | 7.1% | 5.7% | 9.5% | 13.3% | 13.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 20.4億円 | 14.4億円 | 26.3億円 | 43.8億円 | 40.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 123.74 | 86.96 | 158.84 | 264.18 | 243.93 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、生産性の向上が見られます。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から減少しています。これは、売上高の増加に対して、人件費や物流経費などの増加が影響していると考えられます。これらの指標は、同社グループの収益体質や組織の効率化傾向を測る上で重要な要素となります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 42.8百万円 | 43.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 5.7百万円 | 5.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、自己資本比率やROEの水準から、安定した基盤を持っていることがうかがえます。また、本業で生み出す資金が投資を上回るキャッシュフローを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
綜研化学は、高い自己資本比率とROEを維持しており、強固な財務基盤を築いていることが示されています。手元資金も十分に確保されており、事業運営における安定性が期待できる状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 380億円 | 415億円 |
| 自己資本比率 | 70.2% | 70.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.4% | 10.2% |
| 現金及び預金 | 84.1億円 | 68.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費の増加を主な要因として、資金が増加しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得に伴い資金が減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の借入れによる増加があったものの、配当金の支払額や長期借入金の返済により資金が減少しています。
本業で安定的に資金を稼ぎ出し、その資金を投資に充てた上で、なお余剰資金を生み出している状況です。このキャッシュフローの状況は、事業の持続的な成長と安定した経営基盤を示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 59.3億円 | 56.6億円 |
| 投資CF | △19.5億円 | △32.7億円 |
| 財務CF | △13.5億円 | △8.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 39.8億円 | 23.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの経営成績は、景気動向及び設備投資動向全般の影響を受けています。特に、液晶ディスプレイ関連分野における需要動向・競合状況・価格情勢により、業績は大きな影響を受ける可能性があります。また、アジア地域、特に中国における海外事業展開において、現地における法令の改変や政治・経済情勢の混乱等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの持続的な成長には、グローバル市場で活躍できる人材や新たな事業を創出する人材の確保が必要です。人材を十分に確保・育成できない場合や、現在在籍している人材が流出した場合には、事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
綜研化学は、独自の技術と製品開発力を基盤に、環境・社会課題の解決を目指す企業グループです。社会の発展とともに持続的に成長し続けることを重視し、事業構造の変革を通じて新たな価値創造に取り組んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、2032年のありたい姿として長期ビジョンを掲げています。これは「独自の技術・製品開発力を磨き、環境・社会課題の解決を志向した事業領域の創出と事業構造の変革による新たな成長軌道を築き、社会の発展とともに成長し続ける企業集団」というものです。
このビジョンの実現に向けて、事業ポートフォリオの変革による新たな成長軌道の構築を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、持続可能な社会の実現に貢献することを基本方針としています。地球環境問題や社会課題に向き合い、すべてのステークホルダーと信頼・協働関係を築くことを重視しています。
具体的には、環境・社会に貢献する製品の創出、カーボンニュートラル達成に向けた活動、サステナブルなサプライチェーンの構築をマテリアリティとして定めています。また、安全・快適・健康で活き活きと働ける職場づくり、次世代グループ人財の育成・確保、リスク管理強化にも取り組んでいます。
人財育成においては、従業員の人権を尊重し、国籍・性別・年齢・信仰等に拘らず多様な人財を採用・育成・登用することが重要であると考えています。ダイバーシティの推進やワークライフバランスの実現に向けた育児・介護休暇制度の充実、時間外労働の削減、快適な職場環境の形成、健康保持増進などに取り組んでいます。
教育・育成制度の拡充やジョブローテーションなど社内環境の整備も進めています。経営戦略の実現に不可欠となるグローバル人財や高度専門家人財の確保・育成、多様な人財の活躍・成長を促すための人事制度改革にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、経営戦略の実効性を高め、持続的な成長を支える強固な経営基盤を構築するために、複数の重点テーマに取り組んでいます。具体的には、「人的資本の拡充」、「外部連携の促進」、「IT基盤の整備・強化」、「知的資産の活用基盤構築」、「グループガバナンスの高度化」を推進しています。
これらの取り組みを通じて、経営資源の拡充と質的向上を果たしていく方針です。また、持続的な成長を支える経営基盤の強化にも注力し、中長期的な企業価値の向上を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
綜研化学は監査役制度を採用しており、取締役会と監査役会が取締役の職務執行を監督・監査する体制を構築しています。取締役会は社外取締役を含む構成で、経営の意思決定と業務執行の監督機能を担っています。また、執行役員制度を導入し、経営の意思決定と業務執行機能を分離することで、透明性と公正性を高め、迅速かつ効率的な業務執行を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、特定の機関投資家や投資育成会社、そして従業員持株会など、多様な株主によって支えられています。筆頭株主は海外の機関投資家であり、安定した資本構成を形成していることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| BRIDGESTREAM LIMITED,AS TRUSTEE OF AXC STRATEGIC OPPORTUNITIES(常任代理人 立花証券) | 14.93% |
| 東京中小企業投資育成 | 4.01% |
| 綜研化学従業員持株会 | 2.80% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 2.45% |
| BNYM RE BNYMLB RE GPP CLIENT MONEY AND ASSETS AC(常任代理人 三菱UFJ銀行) | 2.36% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長執行役員は冨田幸二氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 冨田 幸二 | 代表取締役社長執行役員 | 1992年4月同社入社、粘着・機能樹脂部長、執行役員粘着・機能樹脂本部長、上席執行役員新規事業企画部長、取締役上席執行役員を経て、2025年6月より現職。 |
| 岡本 秀二 | 取締役常務執行役員 | 1990年4月同社入社、機能性材料部長、研究開発センター長、執行役員研究開発本部長、取締役上席執行役員を経て、2025年6月より現職。 |
| 蓮井 崇文 | 取締役常務執行役員 | 1995年4月同社入社、加工製品部長、購買部長、樹脂生産部長、執行役員樹脂生産本部長、取締役上席執行役員を経て、2025年6月より現職。 |
| 滝澤 清隆 | 取締役 | 2001年4月同社入社、経営管理部長、執行役員経営管理部長、取締役執行役員管理本部長、常務取締役を経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、布施木孝叔氏(EY新日本有限責任監査法人代表社員)、泉弘毅氏(ANAウイングス代表取締役社長)、浅野恵子氏(ムンタース代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会及び監査役会による取締役の職務執行の監督及び監査を行っています。また、取締役会の諮問機関として、独立社外取締役が過半数を占める指名諮問委員会、報酬諮問委員会及びコンプライアンス委員会を設置し、客観的な助言と関与を求める体制を整備しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、取締役(社外取締役を除く)に対しては月例の基本報酬、当該年度の業績に連動する賞与、および譲渡制限付株式付与のための株式報酬で構成されています。社外取締役と監査役の報酬は、独立した立場からの役割を考慮し、固定報酬のみで構成されています。業績連動報酬としての賞与は、連結経常利益を評価指標としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 1.6億円 | 39.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 21百万円 | 10.5百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 33百万円 | 5.5百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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