ソフト99コーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ソフト99コーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場に上場。自動車用ケミカル品等の「ファインケミカル」や産業用資材の「ポーラスマテリアル」事業等を展開しています。2025年3月期は、海外販売の減少等により減収となりましたが、利益率の高い産業資材製品の好調などにより経常利益は増益となりました。


※本記事は、株式会社ソフト99コーポレーション の有価証券報告書(第71期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ソフト99コーポレーションってどんな会社?


「ガラコ」等の自動車用ケミカル用品で高いシェアを誇る一方、半導体製造用資材などの産業用製品も展開する化学メーカーです。

(1) 会社概要


1954年に日東化学として設立し、1962年に「ソフト99」ブランドによる自動車用ワックス等の製造販売を開始しました。1993年に現社名へ変更し、2001年に東京証券取引所市場第二部に上場しています。また、1999年にはアイオンを設立し化成品事業を譲受するなど、多角化を進めてきました。

連結従業員数は827名、単体では204名です。筆頭株主はサントレードで、第2位は同社と資本業務提携契約を締結しているKeePer技研、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
サントレード 15.00%
KeePer技研 12.42%
MIKIKO SUZUKI 6.90%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は田中秀明氏です。社外取締役比率は16.7%です。

氏名 役職 主な経歴
田中 秀明 代表取締役社長 1996年同社入社。商品開発室長、経営企画室長、取締役経営企画室長を経て、2013年4月より現職。
小西 紀行 常務取締役ポーラスマテリアル事業担当 1983年同社入社。リテイルソリューションズ本部長、アイオン代表取締役社長等を経て、2024年6月より現職。
上尾 茂 取締役管理本部長 1986年三和銀行入行。2016年同社入社。管理本部副本部長等を経て、2018年6月より現職。
石居 誠 取締役企画開発本部長 1984年同社入社。研究開発部長、企画開発本部副本部長等を経て、2023年4月より現職。
宮園 哲哉 取締役生産統括本部長 1985年同社入社。三田工場製造部長、生産統括本部副本部長等を経て、2022年6月より現職。
田中 一成 取締役営業統括本部長 1984年同社入社。リテイルソリューションズ東日本統括部長等を経て、2022年6月より現職。
生駒 英昭 取締役営業統括本部副本部長 1984年同社入社。西日本開発営業部長、開発営業本部副本部長等を経て、2020年6月より現職。


社外取締役は、井原慶子(慶應義塾大学大学院特任教授)、藤井美保代(株式会社ビジネスプラスサポート代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ファインケミカル」「ポーラスマテリアル」「サービス」「不動産関連」事業を展開しています。

ファインケミカル


一般消費者向け及び自動車コーティング施工業者向けに、洗車用品、補修用品等の自動車用ケミカル品のほか、タイヤ空気圧監視装置(TPMS)、電子機器・ソフトウェアなどを提供しています。主な顧客は一般消費者や自動車関連事業者です。

製品の販売による代金を収益源としています。運営は主にソフト99コーポレーションが行うほか、アスモが容器の企画販売、オレンジ・ジャパンがTPMSの企画販売、ハネロンが電子機器の開発販売を行っています。海外では上海速特99化工有限公司などが事業を展開しています。

ポーラスマテリアル


半導体やHDD等の産業資材向けや生活用品向けに、PVA(ポリビニルアルコール)やウレタンなどの多孔質体を素材とする化成品を製造・販売しています。また、病院施設向けの医療・衛生管理用品も手掛けています。

製品の販売による代金を収益源としています。運営は主に連結子会社のアイオンが行っており、医療・衛生管理用品についてはアズテックが企画・開発・販売を行っています。

サービス


自動車整備・鈑金、自動車のリース・レンタル、自動車教習、および生活協同組合向けの家庭用品企画販売を行っています。顧客は自動車所有者や免許取得希望者、生協会員などです。

サービスの提供対価や商品の販売代金を収益源としています。運営は、ソフト99オートサービスが自動車整備・鈑金事業を、アスモが自動車教習事業を、くらし企画が生活用品企画販売事業を行っています。

不動産関連


同社グループが保有する不動産の賃貸事業を行うほか、不動産の有効活用として温浴施設等のSI事業や介護予防支援事業を行っています。

不動産の賃貸料や施設利用料、介護サービス対価などを収益源としています。運営は主にソフト99コーポレーションが行うほか、アスモが介護予防支援事業を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は300億円前後で安定的に推移していますが、直近2期は横ばいから微減傾向にあります。一方で、利益面では経常利益が40億円台に回復し、当期純利益も増加傾向にあるなど、収益性は向上しています。特に当期は利益率が14%を超え、高い収益力を示しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 268億円 284億円 302億円 299億円 297億円
経常利益 34億円 40億円 34億円 38億円 42億円
利益率(%) 12.7% 13.9% 11.4% 12.7% 14.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 20億円 12億円 19億円 18億円

(2) 損益計算書


売上高は微減となりましたが、売上原価の減少により売上総利益は増加し、売上総利益率は改善しています。営業利益も増加し、営業利益率は12.0%から13.6%へと上昇しました。コストコントロールや高付加価値製品へのシフトが進んでいることが伺えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 299億円 297億円
売上総利益 107億円 113億円
売上総利益率(%) 35.7% 38.1%
営業利益 36億円 40億円
営業利益率(%) 12.0% 13.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が13億円(構成比18%)、運賃及び荷造費が6億円(同9%)、研究開発費が3億円(同4%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のファインケミカル事業は海外販売の減少等で減収減益となりました。一方、ポーラスマテリアル事業は半導体市場の回復等により増収となり、利益も大幅に伸長しました。サービス事業は増収増益、不動産関連事業は減収減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ファインケミカル 145億円 137億円 19億円 18億円 13.5%
ポーラスマテリアル 83億円 91億円 11億円 17億円 18.4%
サービス 55億円 57億円 2億円 3億円 4.8%
不動産関連 15億円 13億円 4億円 2億円 18.3%
調整額 -3億円 -3億円 0億円 0億円 -
連結(合計) 299億円 297億円 36億円 40億円 13.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業で稼いだ資金(営業CFプラス)の範囲内で投資(投資CFマイナス)を行い、借入返済や配当支払い(財務CFマイナス)も実施している「健全型」です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 38億円 42億円
投資CF -11億円 -23億円
財務CF -12億円 -12億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は87.5%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


創業以来掲げてきた「生活文化創造企業」をグループ共通の経営理念としています。全ての事業において「生活文化創造=未来の『あたりまえ』を発見する」という共通理念の下、事業運営に取り組んでいます。

(2) 企業文化


デジタルを活用して作業の効率化や付加価値を高めつつ、心を揺さぶるような人間にしか創り出せない「アナログ的価値」の提供を重視しています。デジタルの活用とアナログ的価値の融合により、利益成長と経営効率の改善を目指す文化があります。

(3) 経営計画・目標


2023年4月に第7次中期経営計画「Evolve!!」を策定し、「進化することで社会課題の解決に資する存在であり続けること」を目指しています。事業運営上の効率性指標としてROIC(投下資本利益率)を採用し、資本コストを上回ることを目標としています。

* 2026年3月期 連結営業利益:37.8億円
* 2026年3月期 連結経常利益:39.6億円
* 2026年3月期 親会社株主に帰属する当期純利益:27.7億円
* 2026年3月期 ROIC:8.1%

(4) 成長戦略と重点施策


ファインケミカルでは、国内での新市場開拓や業務用製品の強化、海外での現地生産も視野に入れた販路拡大を進めます。ポーラスマテリアルでは、半導体向け等の高機能製品のシェア拡大や医療分野への展開を強化します。サービス・不動産関連では、デジタル活用による新サービスの創出や保有不動産の有効活用を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「アナログ的価値」を創出できる人材の育成を重視しています。多様な価値観を持つ人材間でのシナジー効果を創出するため、性別や国籍などに関わらず公平・公正な採用と評価を行い、外部研修などのスキル向上機会の提供や、グループ内連携の強化により、持続的な事業運営を実現する体制を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.8歳 17.3年 7,241,080円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.8%
男性育児休業取得率 40.0%
男女賃金差異(全労働者) 64.4%
男女賃金差異(正規雇用) 75.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 82.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人従業員(35人)、中途採用従業員(295人)、障碍者従業員(14人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定の市場への依存度


売上構成比の高い「自動車」関連産業の市況や制度変更の影響を受ける可能性があります。また、ポーラスマテリアル事業は半導体業界向けの依存度が高く、同業界の景気動向や技術革新、業界再編の影響により、売上高や利益が変動する可能性があります。

(2) 石油加工品の原材料への依存度


製品の原材料や容器に合成樹脂や溶剤等の石油加工品を多く使用しているため、原油価格の上昇や国際情勢の悪化等により調達コストの上昇や調達困難が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。これに対し、省パッケージ製品の開発等でコスト低減に取り組んでいます。

(3) 海外事業について


ファインケミカル事業やポーラスマテリアル事業において海外展開を進めているため、各国の政治・経済情勢、法規制の変更、為替変動等の影響を受ける可能性があります。特にポーラスマテリアル事業の海外向け製品は、米国・欧州・中国等の状況の影響を受けやすくなっています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。