ハーバー研究所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハーバー研究所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハーバー研究所は、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、無添加主義に基づく化粧品や健康食品の製造販売を主力事業とする企業です。通信販売や卸売、直営店舗での販売を幅広く展開しています。直近の業績は、売上高が概ね横ばいで推移する中、収益構造改革の推進により大幅な営業増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ハーバー研究所の有価証券報告書(第43期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハーバー研究所ってどんな会社?


同社は、無添加主義に基づいた化粧品と健康食品の製造・販売事業を幅広く展開している企業です。

(1) 会社概要


1983年5月に栄養補助食品の販売を目的にハーバーを設立し、同年8月に通信販売を開始しました。1987年2月に社名をハーバー研究所へ変更しています。2003年6月にジャスダック市場へ株式を上場しました。その後、2021年3月にHプラスBライフサイエンスを吸収合併するなど、継続的に事業基盤の強化を図っています。

従業員数は連結で523名、単体で370名です。筆頭株主は小柳財団で、第2位は創業家とみられる小柳東子氏、第3位も同じく小柳かず江氏となっています。

氏名 持株比率
小柳財団 35.28%
小柳 東子 2.88%
小柳 かず江 1.66%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長執行役員は西幹男氏が務めています。社外取締役の比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
西 幹男 代表取締役社長執行役員経営企画部、化粧品開発部、食品開発部、品質保証部、デザイン部担当 1978年ワールド入社。同社マーケティング総括部長等を経て2006年ハーバー研究所入社。ウィズウィット代表取締役社長等を経て、2025年6月より現職。
小柳 典子 取締役会長 1987年ハーバー入社。代表取締役社長等を経て2017年ハーバー研究所代表取締役社長に就任。2024年4月に代表取締役会長兼社長を経て、2025年6月より現職。
西村 良徳 取締役執行役員メディカルフーズ事業部担当 1997年HプラスBライフサイエンス入社、同社代表取締役を経て2020年ハーバー研究所取締役就任。研究開発部等を経て、2026年4月より現職。
松井 朋隆 取締役執行役員通信販売部、店舗販売部、国内販売部、海外販売部、美容部、お客さまセンター販売部担当 1991年三越入社。2020年ハーバー研究所入社。通信販売部や店舗販売部担当等を経て、2026年4月より現職。
高﨑 明彦 取締役執行役員総務・人事部、財務・経理部担当 2002年ハーバー研究所入社。社長室長や信用組合等の監査部長を経て、2023年取締役に就任し、2026年4月より現職。
山岡 照明 取締役業務部担当 2012年ハーバー入社。2019年同社代表取締役社長を経て、2023年にハーバー研究所取締役に就任し、2026年4月より現職。


社外取締役は、加藤信子(元ブリヂストン首席フェロー)、植田史恵(アクト有限責任監査法人社員)、樫野平(新宿法律事務所所属弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、化粧品および健康食品等の製造・販売事業を展開しています。

(1) 化粧品・健康食品事業


無添加主義を貫く基礎化粧品、メイクアップ化粧品、トイレタリー製品、および機能性表示食品などの健康食品を提供しています。主力商品の美容オイルや美容液などを中心に、幅広い世代の一般消費者を対象に事業を展開しています。

主に通信販売、百貨店向けの卸売、直営店舗での販売を通じて一般消費者や小売業者から代金を受け取っています。製品の研究開発および商品開発はハーバー研究所が行い、生産は主に子会社のハーバーが担っています。物流機能等についてもグループ内で完結する体制を構築しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は120億円から129億円の範囲で推移しています。経常利益は一時赤字を計上していましたが、直近2期間は黒字に転換し、収益性の改善が進んでいます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 129億円 120億円 123億円 121億円 121億円
経常利益 -3億円 -6億円 -2億円 6億円 7億円
利益率(%) -2.3% -4.8% -1.6% 5.0% 5.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -3億円 -9億円 -12億円 5億円 5億円

(2) 損益計算書


売上高は横ばいながら、不採算店舗の整理や広告宣伝費の見直し等の収益構造改革により、営業利益が前期間から増加し、利益率も改善しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 121億円 121億円
売上総利益 81億円 81億円
売上総利益率(%) 67.1% 66.6%
営業利益 6億円 7億円
営業利益率(%) 4.9% 6.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が18億円(構成比25%)、販売促進費が13億円(同18%)、広告宣伝費が12億円(同16%)を占めています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローがプラス、財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスの「改善型」の傾向を示しています。営業利益と資産売却によって得た資金で借入の返済を進める改善局面にあることが読み取れます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 16億円 12億円
投資CF -1億円 5億円
財務CF -7億円 -8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.2%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.2%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「美と健康を助ける(Health Aid Beauty Aid)」を実現するために、経営理念(創業の精神)である「われらの誓い」を掲げています。従業員とその家族の幸せを最優先とし、顧客からの信頼を獲得すること、企業・人間としての進化を続けること、そして無添加主義を守り社会へ貢献することを存在意義として定めています。

(2) 企業文化


同社は創業以来、肌に必要なものだけを補うという無添加主義の理念をすべての化粧品に反映させたものづくりを貫いています。また、組織の行動指針として、他者の意見を尊重する「謙虚な姿勢」、感謝を忘れない「ありがとうを声に出す」、理想を追い求める「前進・学び・進化」、および対等に意見を言い合う「コミュニケーション」の4つを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、中長期的な企業価値向上を図るため、第2次中期経営計画を推進しています。過度な売上成長の追求から収益性や効率性を重視した安定成長モデルへの転換を図っており、最終年度の目標数値を掲げて経営の進捗を管理しています。

* 売上高:137億円
* 営業利益:9.5億円
* 営業利益率:6.9%

(4) 成長戦略と重点施策


収益性の高い事業構造への転換を目指し、人的資本の強化、収益構造の改善、製品開発の強化、顧客接点の拡大を重点戦略としています。主力スキンケア商品の刷新や機能性表示食品の開発を通じた高付加価値商品の展開に加え、広告手法の多様化による新規顧客獲得と既存顧客の育成を進め、持続的な成長を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「従業員とその家族の幸せが全てに優先されなければならない」という理念のもと、人的資本の強化を最重要課題と位置付けています。職能資格制度に基づく評価制度の高度化や新卒採用の拡充、次世代経営人材の育成を推進し、多様な人材が能力を最大限発揮できる組織づくりと長期的なキャリア形成支援に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.8歳 11.7年 4,214,454円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 65.1%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 70.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 65.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 69.9%


※同社の男性労働者の育児休業取得率については、有価証券報告書において「-」と記載されているため、上記の通り表示しています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原料供給に関するリスク

美容オイルなどに使用されるスクワランや天然由来のチシマザサ水などの原材料について、資源保護の観点からの漁獲制限や自然環境の変化等により調達が制約された場合、製品仕様の見直し等が必要となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 法的規制に関するリスク

医薬品医療機器等法や食品衛生法など各種法令の規制を受けており、違反や法令改正による規制強化があった場合、行政処分や商品の回収、ブランド価値の低下により、事業展開や財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) 個人情報の管理に関するリスク

通信販売を主要チャネルとしているため多数の顧客情報を保有しており、人的ミスやサイバー攻撃等により情報漏洩が発生した場合、損害賠償や信用低下を通じた顧客離れが生じ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 市場環境および顧客獲得に関するリスク

EC市場の競争激化や広告媒体の多様化により顧客獲得コストが上昇しており、新規顧客の獲得効率や既存顧客の継続率が低下した場合、売上成長が制約され、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。