※本記事は、株式会社ハーバー研究所 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは化粧品の製造販売と健康食品等の製造販売を主な事業としています。研究開発から商品開発、生産、販売までを一貫して行い、通信販売を主力としつつ、小売・卸売業者や百貨店、直営店舗での販売も展開しています。
単体従業員数は370名、連結従業員数は523名です。セグメントは化粧品事業の単一です。
主な国内グループ会社は、ハーバー、ハーバーコスメティクスなどです。
なお、2026年4月1日付でハーバーコスメティクスはハーバー研究所に吸収合併されています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ハーバー研究所は、化粧品事業を主軸とする企業として、従業員の働きがいと成長を重視する姿勢が見られます。特に女性の活躍推進や多様な働き方の支援に力を入れており、安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって、注目すべき点があるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も高めであることから、長期的なキャリア形成が可能な環境であることがうかがえます。従業員が定着し、経験を積んでいく傾向があると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,214,454円 |
| 平均勤続年数 | 11.7年 |
| 平均年齢 | 44.8歳 |
| 単体従業員数 | 370人 |
| 連結従業員数 | 523人 |
| 単体のグループ内比率 | 70.7% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材を最も重要な経営資本と位置付け、「人的資本の強化」を第2次中期経営計画の重点戦略の一つとしています。創業以来、「女性が活躍する社会の実現」を目指し、化粧品事業の特性を活かした女性活躍推進、多様な働き方支援、仕事と育児・介護の両立支援に取り組んでいます。
人事制度においては、総合職では職能資格制度を基軸としつつ、役割及び成果を重視した制度を整備しています。マネージャー以上の役職者に対しては、部門業績だけでなく、全社課題への貢献や他部門連携も重視した評価を行い、全社最適視点を持つ人材育成を推進しています。販売職では、お客さま満足度向上とブランド価値向上を重視し、商品知識・接客力・カウンセリング力向上のための教育を推進しています。
2026年4月からは執行役員制度を導入し、意思決定の迅速化、業務執行機能の強化、次世代経営人材育成を推進しています。また、新人事制度の導入や等級別研修教育制度を新たに導入し、階層ごとの能力開発やリーダー育成を強化しています。幹部候補者研修、幹部社員研修、役員向け研修を充実させ、経営視座を持つ人材の強化も図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。管理職はシニアマネージャー、マネージャー、チーフ、スーパーバイザー、サブチーフを指します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 65.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 70.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 65.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 69.9% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ハーバー㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 68.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 58.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 67.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 69.6% |
▼ ハーバーコスメティクス㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 76.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 81.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 84.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 72.2% |
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 社員男女比率(男性) | 14.3% |
| 社員男女比率(女性) | 85.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ハーバー研究所は、化粧品と健康食品の製造販売を主軸とする企業です。無添加主義を掲げ、肌への優しさを追求した製品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、化粧品の製造販売と健康食品等の製造販売を主な事業としています。研究開発は同社が行い、生産はハーバー株式会社、ハーバーコスメティクス株式会社、および外部委託会社が担っています。販売は通信販売、小売・卸売業者への卸売、百貨店での販売、直営店舗での販売など多岐にわたります。
収益は、主に化粧品と健康食品・雑貨等の販売から得ています。販売ルート別では、通信販売事業が売上高の過半を占める主力であり、百貨店向卸売やその他卸売事業、直営店販売も展開しています。品目別では基礎化粧品が最も大きく、メイクアップ化粧品、トイレタリー、その他化粧品が続きます。健康食品・雑貨等も売上高の約2割を占めています。
当連結会計年度の販売ルート別売上では、通信販売事業はプレミアム層の売上が増加したものの、新規顧客獲得数の減少によりベーシック層の売上が減少しました。店舗販売事業では、百貨店向卸売がインバウンド需要の回復を背景に堅調に推移した一方、直営店は不採算店舗の整理・閉鎖により減少しています。その他卸売事業では、国内卸売事業で減少があったものの、海外卸売事業における中国代理店の集約による販売効率向上により出荷量が増加しました。
同社グループの売上高は本邦の外部顧客への売上が90%を超えており、国内市場が中心となっています。また、特定の外部顧客への売上高が連結売上高の10%以上を占める相手先はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は概ね横ばいで推移する傾向にあります。利益面では、過去には経常損失や親会社株主に帰属する当期純損失を計上した期もありましたが、直近の2期間では増益に転じています。特に第41期に親会社株主に帰属する当期純利益が大幅に減少したのは、固定資産の減損損失の計上などが主な要因となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 129億円 | 120億円 | 123億円 | 121億円 | 121億円 |
| 経常利益 | △2.9億円 | △5.8億円 | △1.9億円 | 6.1億円 | 7.1億円 |
| 経常利益率 | △2.3% | △4.8% | △1.6% | 5.0% | 5.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △2.7億円 | △7.1億円 | △21.2億円 | 5.8億円 | 7.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △71.14 | △187.19 | △560.26 | 152.47 | 201.07 |
当連結会計年度は、売上高が前期からわずかに増加する中で、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも前期から増加しました。これは、店舗網の最適化、在庫管理の適正化、販管費の見直しといった収益構造改革の推進が寄与した結果となっています。営業活動によるキャッシュ・フローは、過去に一時的に減少した期もありましたが、直近の2期間は安定してプラスを維持しています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、当連結会計年度において前期から増加しています。これは、売上高が微増する一方で、連結従業員数が減少したことによるものです。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しており、収益構造改革の推進による利益改善が生産性向上に繋がっていることがうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 21.2百万円 | 23.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.0百万円 | 1.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ハーバー研究所は、強固な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しており、堅実な経営状況を示しています。本業で着実に資金を生み出し、財務的な余裕を確保していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
ハーバー研究所の財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な現金及び預金によって安定していることが示されています。自己資本比率はプライム市場平均を大きく上回っており、強固な財務体質を構築しています。ROEはプライム市場平均を下回るものの、前期から改善傾向にあり、収益性の向上が見られます。手元資金も増加しており、事業運営における資金的な余裕がある状態です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 89.3億円 | 95.4億円 |
| 自己資本比率 | 72.3% | 76.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.6% | 8.2% |
| 現金及び預金 | 47.4億円 | 57.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローがプラスであり、当期は12.4億円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上、仕入債務の増加、棚卸資産の減少が要因となっています。投資活動によるキャッシュフローもプラスの4.8億円となり、主に固定資産の売却収入が影響しています。
その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは17.2億円のプラスとなり、前期から増加しています。財務活動によるキャッシュフローは7.8億円のマイナスとなり、主に借入金の純減少が要因です。これらの状況から、同社グループは本業で安定的に資金を生み出し、財務的な負担を軽減していることがうかがえます。これは、入社後の雇用や給与の安定性につながる堅実な経営状態を示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 16.2億円 | 12.4億円 |
| 投資CF | △1.5億円 | 4.8億円 |
| 財務CF | △6.9億円 | △7.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 14.7億円 | 17.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、EC市場における競争激化や広告媒体の多様化に伴う顧客獲得コストの上昇、新規顧客獲得効率の低下、既存顧客の購買頻度や継続率の低下が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、地政学的リスクの高まりやエネルギー・資源価格の変動により、容器・包装資材等の調達コスト上昇や供給制約が生じるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、新人事制度の導入や執行役員制度の導入を通じて、組織の活性化と人材の成長促進、次世代経営人材の育成に取り組んでいます。これらの施策が適切に進まない場合、組織の競争力に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ハーバー研究所は、「美と健康を助ける(Health Aid Beauty Aid)」を企業理念に掲げ、無添加主義®を貫く化粧品・健康食品メーカーです。顧客と社会への貢献、そして従業員の幸せを追求する企業文化を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ハーバー研究所は、「美と健康を助ける(Health Aid Beauty Aid)」を企業理念とし、1983年の創業以来「無添加主義®」を貫いています。同社グループは、製品の安全性や機能性だけでなく、企業の持続可能性や社会的責任への関心が高まる中で、サステナビリティへの取り組みを経営の重要課題と位置付けています。事業活動と社会的価値創出の両立を図り、永続的に社会に貢献する企業を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ハーバー研究所は、経営理念(創業の精神)である「われらの誓い」を企業風土の基盤としています。この誓いには「従業員と家族の幸せ」「顧客からの信頼」「企業、人間としての進化」「社会への貢献」という4つの柱があります。また、行動指針として「“謙虚な姿勢”を持つ」「“ありがとう”を声に出す」「“前進・学び・進化”する」「“コミュニケーション”を持つ」を掲げています。同社グループは、多様な人材が安心して能力を発揮できる職場環境の整備や女性活躍推進、仕事と育児・介護の両立支援にも注力しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、第2次中期経営計画において基盤強化と事業拡大に取り組んでいます。2027年3月期には、人的資本の強化を重点戦略の一つとして推進しており、人材育成・評価制度の高度化や新卒採用の拡充により、持続的成長を支える組織基盤の強化を図っています。
また、2026年4月より執行役員制度を導入し、意思決定の迅速化と業務執行機能の強化、次世代経営人材の育成を進めています。ITインフラ整備とデータ活用基盤の強化を通じて、業務効率化と迅速な経営判断につながる体制整備も図っています。
さらに、ガバナンス強化として、取締役会実効性評価に基づく内部統制の充実やコンプライアンス体制の強化にも努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ハーバー研究所は監査等委員会設置会社制度を採用しており、取締役会の諮問委員会として指名委員会と報酬委員会を設けています。取締役会は代表取締役社長を議長とし、社外取締役監査等委員も参加して経営の意思決定と監督を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
公益財団法人小柳財団が筆頭株主であり、創業家とみられる個人株主が上位に名を連ねています。特定の株主グループが同社グループの経営に影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 公益財団法人小柳財団 | 35.28% |
| 小柳 東子 | 2.88% |
| 小柳 かず江 | 1.66% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性6名・女性3名)で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長執行役員は西幹男氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 西 幹男 | 代表取締役社長執行役員 | 1978年㈱ワールド入社、2006年同社入社、常務取締役、2025年6月同社代表取締役社長就任、2026年4月同社代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 小柳 典子 | 取締役会長 | 1987年ハーバー㈱入社、2002年ハーバー㈱代表取締役社長、2015年同社取締役、2017年同社代表取締役社長、2025年6月同社取締役会長より現職。 |
| 西村 良徳 | 取締役執行役員 | 1997年㈱エイチプラスビイ・ライフサイエンス入社、2016年同社代表取締役、2020年同社取締役、2026年4月同社取締役執行役員より現職。 |
| 松井 朋隆 | 取締役執行役員 | 1991年㈱三越入社、2020年同社入社、2021年同社取締役、2026年4月同社取締役執行役員より現職。 |
| 山岡 照明 | 取締役 | 2012年ハーバー㈱入社、2019年同社代表取締役社長、2023年同社取締役、2026年4月同社取締役より現職。 |
| 高﨑 明彦 | 取締役執行役員 | 2002年同社入社、2006年同社社長室長、2023年同社入社、2023年同社取締役、2026年4月同社取締役執行役員より現職。 |
社外取締役は、加藤信子氏(元㈱ブリヂストン首席フェロー・監査等委員)、植田史恵氏(アクト有限責任監査法人社員・監査等委員)、樫野平氏(新宿法律事務所弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社制度を採用しています。監査等委員である取締役が取締役会において議決権を持ち、経営の監督機能を強化しています。社外取締役監査等委員は、客観的な立場から意思決定プロセスと業務執行状況を監督しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、役員の報酬体系について、取締役(監査等委員である取締役を除く。)および監査等委員である取締役ともに固定報酬のみとしています。役位や職責、経営内容などを考慮して決定されており、業務執行から独立した立場で経営の監督・助言を行うことを重視しています。今後は業績や中長期的な企業価値向上に連動した業績連動報酬も検討する方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 1.3億円 | 21.2百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 14百万円 | 2.4百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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