※本記事は、昭和ホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第124期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 昭和ホールディングスってどんな会社?
ゴム事業を祖業とし、M&Aを通じて食品、スポーツ、コンテンツ等へ多角化した持株会社です。
■(1) 会社概要
1937年にゴム製品の製造販売を行う昭和護謨として設立されました。2009年に昭和ホールディングスへ商号変更し、持株会社体制へ移行しています。主力事業となるスポーツ事業のルーセント、食品事業の明日香食品、コンテンツ事業のウェッジホールディングスなどを順次連結子会社化し、事業ポートフォリオを拡大してきました。
連結従業員数は333名、単体従業員数は1名です。筆頭株主は常任代理人である銀行、第2位は事業会社の明日香野ホールディングス、第3位は株式会社ニューエラストマーです。なお、有価証券報告書にはA.P.F. Group Co., Ltd.が親会社として記載されています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| SIX SIS LTD.(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行) | 58.44% |
| 明日香野ホールディングス | 5.06% |
| ニューエラストマー | 2.31% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼最高経営責任者は此下竜矢氏です。社外取締役比率は55.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 此 下 竜 矢 | 代表取締役社長兼最高経営責任者 | 2006年United Securities PCL CEO。2008年より同社代表取締役CEO。ウェッジホールディングス代表取締役社長兼CEO等を兼務。 |
| 庄 司 友 彦 | 代表取締役最高執行責任者兼最高財務責任者 | ノジマ取締役兼執行役等を経て、2009年同社取締役兼執行役。2018年より現職。ウェッジホールディングス代表取締役等を兼務。 |
| 渡 邉 正 | 取締役会長 | 1973年同社入社。生産部担当部長、事業部部長、専務取締役、昭和ゴム代表取締役社長等を経て、2018年より現職。 |
| ニコラス・ジェームズ・グロノウ | 取締役 | フェリエ・ホジソン・リミテッド等を経て、2010年FTIコンサルティングシニアマネージングディレクター。2019年より現職。 |
社外取締役は、戸谷雅美(弁護士)、細野敦(弁護士)、増田辰弘(元産能大学経営学部教授)、西村克己(元芝浦工業大学教授・監査等委員長)、久間章生(元防衛大臣)です。
2. 事業内容
同社グループは、「食品事業」「スポーツ事業」「ゴム事業」「コンテンツ事業」および「その他」事業を展開しています。
■食品事業
大福もち等の餅類、団子類などの和菓子の製造販売を行っています。「ちょっと食べる喜びを毎日お届けする」をミッションに掲げ、スーパーマーケット等の食品卸業及び小売業向けに商品を展開しています。
主な収益は、取引先への製品販売による代金です。運営は主に明日香食品株式会社、株式会社明日香、株式会社日本橋本町菓子処が行っています。
■スポーツ事業
ソフトテニスボール「アカエム」の製造販売、スポーツウェアの販売、スポーツ施設工事、テニスクラブの運営を行っています。また、新規事業としてスポーツツーリズム(旅行事業)も展開しています。
主な収益は、製品の販売代金、テニスクラブの会員費やレッスン料、施設工事代金などです。運営は主に株式会社ルーセントが行っています。
■ゴム事業
ゴムライニング、工業用ゴム製品(型物)、洗浄装置、食品パッキン等の製造販売を行っています。特にゴムライニング防食施工においては、東日本における大手施工会社としての地位を確立しています。
主な収益は、顧客である民間企業等への製品販売代金や施工代金です。運営は主に昭和ゴム株式会社、Showa Rubber(Malaysia)Sdn.Bhd.、株式会社橋本ゴムが行っています。
■コンテンツ事業
トレーディングカードゲーム(TCG)、書籍、雑誌、音楽、ウェブ等のコンテンツの企画・制作・編集・デザイン・卸売・小売・配信および関連するライツ事業を展開しています。
主な収益は、商品の販売代金、制作・編集業務の受託料、ライセンス許諾によるロイヤリティ収入などです。運営は主に株式会社ウェッジホールディングスが行っています。
■その他
上記報告セグメントに含まれない事業として、親会社によるグループ統括事業を行っています。
主な収益源はグループ会社からの経営指導料や配当金などです。運営は昭和ホールディングス株式会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は80億円から130億円の範囲で推移していますが、利益面では経常損失および最終損失が継続しています。ただし、直近の2025年3月期は、前期と比較して損失幅が縮小傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 137億円 | 98億円 | 76億円 | 89億円 | 86億円 |
| 税引前利益 / 経常利益 / 営業利益 | -2億円 | -5億円 | 0.6億円 | -8億円 | -3億円 |
| 利益率(%) | -1.4% | -5.0% | 0.8% | -8.8% | -3.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -20億円 | -7億円 | -4億円 | -1億円 | -2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少しましたが、売上原価の抑制により売上総利益はほぼ横ばいを維持しました。販売費及び一般管理費の減少により営業利益は黒字転換を果たしましたが、持分法による投資損失などの営業外費用が重く、経常段階では損失となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 89億円 | 86億円 |
| 売上総利益 | 24億円 | 24億円 |
| 売上総利益率(%) | 27.1% | 27.8% |
| 営業利益 | 0.0億円 | 0.3億円 |
| 営業利益率(%) | 0.0% | 0.3% |
販売費及び一般管理費のうち、運送費が6億円(構成比24%)、給料が5億円(同20%)を占めています。
■(3) セグメント収益
食品事業とコンテンツ事業が増収増益となり全社の利益を下支えしました。一方、スポーツ事業は減収により赤字転落し、ゴム事業も需要低迷により減収減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 食品事業 | 44億円 | 44億円 | 2億円 | 2億円 | 5.4% |
| スポーツ事業 | 12億円 | 12億円 | 0.3億円 | -0.3億円 | -2.6% |
| ゴム事業 | 25億円 | 22億円 | 2億円 | 1億円 | 6.6% |
| コンテンツ事業 | 7億円 | 8億円 | 2億円 | 2億円 | 32.0% |
| その他 | 0.2億円 | 0.2億円 | -1億円 | -1億円 | -500.4% |
| 調整額 | -4億円 | -4億円 | -5億円 | -5億円 | - |
| 連結(合計) | 89億円 | 86億円 | 0.0億円 | 0.3億円 | 0.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
昭和ホールディングスは、事業運営に必要な流動性と資金源泉の安定確保を基本方針としています。営業活動によるキャッシュ・フローは、事業運営の基盤となります。投資活動によるキャッシュ・フローは、将来の成長に向けた設備投資や研究開発に充てられています。財務活動によるキャッシュ・フローは、資金調達や返済を通じて、財務基盤の安定化に貢献しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.8億円 | -3億円 |
| 投資CF | -2億円 | -0.6億円 |
| 財務CF | 8億円 | -0.3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、中期経営計画において事業を通じた社会的課題の解決(主に環境への負荷低減や人々の心身の健康増進等)を基本方針としています。各事業において独自性を発揮し、長期的な視点でアジア地域を中心としたグローバル展開を進めることで、持続的な成長を目指しています。
■(2) 企業文化
多様な視点や価値観を尊重する文化を持っています。持分法適用関連会社を含めると役職員の過半数が外国人で構成されており、多様性を確保しつつ、グローバルなビジネス環境に適応できる組織づくりを推進しています。また、コンプライアンスを企業行動の根幹と位置づけ、社会倫理や道徳を尊ぶ姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は中期経営計画「再成長」(2024~2028)を掲げています。具体的な数値目標についての記載はありませんが、食品事業においては「深耕と進化」をテーマにブランディングの確立等を掲げ、各事業において独自性の強化と収益性の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
各事業において選択と集中を進めつつ、海外展開や新規事業への投資を行っています。食品事業ではSNSを活用したブランディング強化と戦略商品の拡販、スポーツ事業ではマルチスポーツ化の拡大や旅行事業の強化を進めています。ゴム事業では国内生産の強化とアジア事業との連携、コンテンツ事業ではベトナム・インドネシア等での海外展開を加速させています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的な成長のために多様な視点や価値観を尊重し、新卒・中途の区別なくスキルや経験を重視した採用と登用を行っています。特に女性・外国人・中途採用者の管理職登用を積極的に推進しており、海外子会社の社長や国内主要事業の営業部長職への登用実績があります。また、食品事業においては外国人やスポーツ人材の採用など新しい形の採用活動を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 56.0歳 | 8.0年 | 1,400,000円 |
※平均年間給与は賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料の調達リスク
主要製品の原材料である合成ゴム、天然ゴム、配合薬品、食品原料(米、野菜、砂糖など)等の市況高騰や、急激な円安による調達コストの上昇がリスク要因です。これらが生じた場合、製造コストが増加し、業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) JTRUST ASIA PTE. LTD.等との係争
持分法適用関連会社であるGroup Lease PCL.に関連して、JTRUST ASIA PTE. LTD.からタイ王国、シンガポール共和国、日本において複数の損害賠償請求訴訟等が提起されています。一部の訴訟では連結子会社等に対して資産凍結命令や支払いを命じる判決が出ており、今後の動向次第では経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) Digital Finance事業の信用・カントリーリスク
タイ王国やカンボジア等で展開するDigital Finance事業において、貸付先の経済状況悪化による貸倒れリスクがあります。また、カンボジア国立銀行による子会社のライセンス取消と清算手続きなど、進出国の政治・経済情勢や規制変更が事業継続や投資回収に重大な影響を与える可能性があります。



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