※本記事は、株式会社リーガルコーポレーションの有価証券報告書(第194期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. リーガルコーポレーションってどんな会社?
靴の企画・製造から小売、卸売まで一貫して手がけ、市場ニーズに即応するビジネスモデルを展開する企業です。
■(1) 会社概要
1902年1月に日本製靴として設立され、1961年11月に「リーガル」ブランドの紳士靴の生産・販売を開始しました。1990年10月に現在のリーガルコーポレーションに商号変更し、2004年12月にジャスダック証券取引所へ上場しました。その後、2022年4月に東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。
同社グループは、連結で790名、単体で170名の従業員を擁しています。筆頭株主は事業会社のニッピで、第2位は平和、第3位は中央建物です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ニッピ | 13.49% |
| 平和 | 5.33% |
| 中央建物 | 3.62% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長兼 商品戦略本部長は青野元一氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 青野元一 | 代表取締役社長兼 商品戦略本部長 | 1984年4月同社入社。紳士営業部長、営業統括本部長を経て、2024年4月代表取締役社長。2026年4月より現職。 |
| 白崎裕公 | 常務取締役コーポレート戦略本部管掌 | 1982年4月同社入社。人事総務部長、監査役、管理本部長を経て、2026年4月より現職。 |
| 横尾厚史 | 取締役事業戦略本部管掌 | 1984年4月同社入社。業務統括部長、営業統括本部長を経て、2026年4月より現職。 |
| 小林真一郎 | 取締役商品戦略本部管掌 | 1987年4月同社入社。調達部長、調達本部長を経て、2026年4月より現職。 |
社外取締役は、山本真(元あいおいニッセイ同和損害保険常勤監査役)、上田美帆(サンライズ法律事務所弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「靴小売事業」「靴卸売事業」および「その他」事業を展開しています。
■靴小売事業
主に直営店やオンラインショップにおいて、各種靴関連商品の小売販売を行っています。顧客は一般消費者であり、多様なライフスタイルに合わせた商品を展開しています。
一般消費者からの商品代金が主な収益源です。運営は同社のほか、リーガルリテールや上海麗格鞋業有限公司などの子会社が行っています。
■靴卸売事業
各種靴の専門店や百貨店等に向けて、靴関連商品の卸売販売を行っています。顧客は法人であり、幅広い販売網を通じて商品を提供しています。
取引先企業からの商品卸売代金が主な収益源です。運営は同社および子会社のリーガル販売が行っています。
■その他
報告セグメントに含まれない事業として、不動産賃貸や障害者雇用サポートなどの事業を展開しています。
不動産の賃貸料などが主な収益源となります。運営は同社やリーガルビジネスサポートが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は2024年3月期まで増加傾向にありましたが、その後は緩やかな減少に転じています。利益面についても、直近の2026年3月期には原材料価格の高騰や主力商品の需要減少などが影響し、経常損失を計上する結果となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 208億円 | 226億円 | 237億円 | 236億円 | 228億円 |
| 経常利益 | 3億円 | 4億円 | 5億円 | 5億円 | -2億円 |
| 利益率(%) | 1.4% | 1.8% | 2.3% | 2.1% | -0.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.8億円 | 5億円 | 8億円 | 7億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が減少したことに伴い、売上総利益も縮小しています。また、滞留在庫品の処分値引きやポイント還元施策の強化により売上総利益率が低下し、営業損失を計上する結果となりました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 236億円 | 228億円 |
| 売上総利益 | 114億円 | 107億円 |
| 売上総利益率(%) | 48.6% | 46.9% |
| 営業利益 | 4億円 | -4億円 |
| 営業利益率(%) | 1.7% | -1.7% |
販売費及び一般管理費のうち、販売手数料が35億円(構成比32%)、給料及び手当が10億円(同9%)を占めています。また、売上原価は121億円で、売上高に対する構成比は53%となっています。
■(3) セグメント収益
靴小売事業はオンラインショップ等が好調だったものの、主力のビジネスシューズ需要の低迷により減収となりました。靴卸売事業も外部ECモールは好調に推移しましたが、百貨店等での展開スペース縮小により減収となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 靴小売事業 | 146億円 | 144億円 |
| 靴卸売事業 | 90億円 | 84億円 |
| その他 | 0.2億円 | 0.1億円 |
| 連結(合計) | 236億円 | 228億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業が低迷し、事業の見直しが迫られる状況となっています。
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2億円 | -9億円 |
| 投資CF | 2億円 | 9億円 |
| 財務CF | -17億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.9%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も49.5%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「『ずっといい』を創造する」をミッションに掲げています。時間が経つほど大事にされ、価値が生まれるような「ずっといい」暮らしや生き方を皆とともに創造することを目指しています。また「人生に物語を、社会に豊かさを。」というビジョンを掲げています。
■(2) 企業文化
バリューとして、「一人ひとりを想像する」「共に歩み、共に創る」「長く愛される品質を」「枠を超え、創造的に」「挑戦をやり遂げる」という5つを制定しています。将来にわたって変化に対応し、企業構造の変革と従業員一人ひとりの自己変革を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
中長期的な企業価値の向上に向け、資本コストを意識した資本効率の最適化を推進しています。本業の稼ぐ力を高めることで、持続的な企業価値および株主価値の拡大に努めています。
- 売上高対営業利益率 0.3%
- ROE 6.3%
- ROIC -0.8%
■(4) 成長戦略と重点施策
市場ニーズの激しい変化に即応し、抜本的な構造改革による収益性の改善とデジタルデータの利活用によるビジネスモデルの構築に取り組みます。
- ブランド価値の向上と次世代顧客の獲得
- デジタルデータ利活用によるLTV(顧客生涯価値)の向上
- 構造改革による国内生産拠点の集約と在庫効率の改善
- サステナビリティの推進と循環型社会の実現
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人的資本経営において「創造・挑戦・多様性」を重視した人事制度への転換と、組織の持続的成長を担う人材の育成を進めています。次世代のビジネスモデルを担う専門人材の育成と適正配置に注力するとともに、多様な働き方を支援する環境整備を行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 44.8歳 | 20.7年 | 5,675,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.9% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 80.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 77.5% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 35.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 国際情勢の影響と調達リスク
物流の混乱やエネルギー価格の高騰に起因し、資材や革靴等の調達遅れや価格高騰が生じるリスクがあります。これに対し、調達ルートの分散化やデジタル活用による生産効率向上に努め、外部環境の変化に強い収益構造を目指しています。
■(2) 為替相場変動の影響
商品および原材料の一定割合を輸入調達しており、為替相場変動による価格変動リスクを有しています。為替予約の適切な運用や高付加価値商品の開発により、為替変動に対する耐性の高い経営基盤の構築を図っています。
■(3) 天候や自然災害による影響
取扱商品は気候変動の影響を受けやすく、猛暑や暖冬の常態化による需要予測の困難化がリスクとなります。デジタルデータを活用して需給予測の精度を高めるとともに、気候変動に強い通年商品の拡充を進めています。
■(4) 資金調達・金利変動のリスク
金融機関からのコミットメントライン契約に付されている財務制限条項に抵触した場合、期限の利益を失う可能性があります。十分な手元流動性の確保に努め、市場環境等を踏まえた資金調達と取引先金融機関との良好な関係維持を図っています。



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