※本記事は、株式会社リーガルコーポレーション の有価証券報告書(第193期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. リーガルコーポレーションってどんな会社?
1902年創業の老舗靴メーカーです。「リーガル」ブランドを中心に、紳士・婦人靴の企画から製造、販売までを一貫して行っています。
■(1) 会社概要
1902年に日本製靴として設立され、1903年に軍靴の生産を開始しました。1961年に米ブラウン社と技術導入契約を締結し「リーガル」ブランドの生産・販売を開始、1990年に現社名へ変更しました。2004年にジャスダック証券取引所に上場し、2022年の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行しました。
2025年3月31日現在の連結従業員数は834名(単体158名)です。筆頭株主は皮革関連事業を行う株式会社ニッピで、重要な取引先でもあります。第2位の平和はアミューズメント関連企業、第3位のみずほ信託銀行は信託業務を行う金融機関です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ニッピ | 14.85% |
| 平和 | 5.07% |
| みずほ信託銀行 | 4.38% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は青野元一氏です。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 青野 元一 | 代表取締役社長 | 1984年同社入社。紳士営業部長、営業統括本部長などを歴任し、2020年取締役に就任。2024年4月より現職。 |
| 白崎 裕公 | 常務取締役管理本部管掌 | 1982年同社入社。人事総務部長、監査役、管理本部長などを経て、2025年4月より現職。 |
| 横尾 厚史 | 取締役営業統括本部管掌 | 1984年同社入社。経営企画室長、営業統括本部長などを歴任し、2025年4月より現職。 |
| 小 林 真 一 郎 | 取締役調達本部管掌 | 1987年同社入社。調達本部長などを歴任し、2022年取締役に就任。2025年4月より現職。 |
社外取締役は、山本真(元あいおいニッセイ同和損害保険常勤監査役)、上田美帆(サンライズ法律事務所弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「靴小売事業」「靴卸売事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 靴小売事業
主に直営店やECサイトにおける靴関連の小売販売を行っています。「リーガルシューズ」などの店舗や「リーガルオンラインショップ」を通じ、一般消費者に商品を販売しています。
収益は、一般消費者への商品販売代金やフランチャイズ店からのロイヤリティ収入です。運営は、主にリーガルコーポレーション、リーガルリテール、上海麗格鞋業有限公司が行っています。
■(2) 靴卸売事業
各種靴の専門店や百貨店、量販店などへの靴関連の卸売販売を行っています。全国の販売網を通じて、自社ブランド製品等を市場に供給しています。
収益は、専門店や百貨店などの取引先に対する商品販売代金です。運営は、主にリーガルコーポレーション、リーガル販売が行っています。
■(3) その他
上記セグメントに含まれない事業として、不動産賃貸、各種靴の調査・研究開発、障害者雇用サポートなどを行っています。
収益は、不動産賃貸料や業務受託料などです。運営は、主にリーガルコーポレーション、日本靴科学研究所、リーガルビジネスサポートが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は200億円台前半で推移しており、直近では微減となっています。利益面では、過去には赤字の期もありましたが、直近数期は黒字を維持しています。経常利益率は低い水準で推移していますが、当期純利益は投資有価証券売却益などの影響により増加傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 192億円 | 208億円 | 226億円 | 237億円 | 236億円 |
| 経常利益 | -21億円 | 3億円 | 4億円 | 5億円 | 5億円 |
| 利益率(%) | -10.9% | 1.4% | 1.8% | 2.3% | 2.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -44億円 | 1億円 | 5億円 | 4億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の比較では、売上高はわずかに減少しましたが、売上総利益および売上総利益率は改善しています。一方、販管費の増加により営業利益は減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 237億円 | 236億円 |
| 売上総利益 | 113億円 | 114億円 |
| 売上総利益率(%) | 47.4% | 48.6% |
| 営業利益 | 5億円 | 4億円 |
| 営業利益率(%) | 2.2% | 1.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が42億円(構成比38.3%)、販売手数料が39億円(同35.7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
靴小売事業は売上高が微増しましたが、人件費等の増加により減益となりました。靴卸売事業は売上高が減少したものの、在庫効率改善等により増益となり、利益率が向上しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 靴小売事業 | 145億円 | 146億円 | 4億円 | 1億円 | 1.0% |
| 靴卸売事業 | 93億円 | 90億円 | 1億円 | 3億円 | 2.8% |
| その他 | 0.1億円 | 0.2億円 | 0.0億円 | 0.1億円 | 75.0% |
| 調整額 | 0.1億円 | 0.2億円 | 0.1億円 | 0.1億円 | 75.0% |
| 連結(合計) | 237億円 | 236億円 | 5億円 | 4億円 | 1.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
改善型:本業で得た現金と資産売却等による収入を、借入金の返済に充てている状態です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -10億円 | 2億円 |
| 投資CF | -3億円 | 2億円 |
| 財務CF | -2億円 | -18億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.5%で市場平均とほぼ同じ水準です。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「『ずっといい』を創造する」をミッションとして掲げています。時間が経つほど価値が生まれるような暮らしや生き方を顧客と共に創造することを目指しています。また、ビジョンとして「人生に物語を、社会に豊かさを。」を掲げ、一人ひとりの良質な毎日を積み重ねることで社会に豊かさを創出する企業を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「一人ひとりを想像する」「共に歩み、共に創る」「長く愛される品質を」「枠を超え、創造的に」「挑戦をやり遂げる」という5つのバリューを制定しています。顧客の支持を得られる商品開発や店舗づくりに総力を結集し、新たな成長基盤を創造することを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は中期経営計画(2023年度から2025年度)の一部を見直し、2025年度の目標値を以下のように設定しています。
* 売上高:243億円
* 営業利益率:2.0%
* ROIC(投下資本利益率):1.9%
■(4) 成長戦略と重点施策
今後は、主力ブランド「リーガル」の価値向上、デジタルデータを活用したビジネスモデルの構築、在庫効率改善による収益性向上に取り組む方針です。具体的には、新タグラインの設定によるブランド再構築、調達販売連携システムの活用による迅速な商品提供、実店舗とECのシームレスな連携、国内自社生産を活かした生産体制の確立などを重点施策として掲げています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「創造・挑戦・多様性」を重視した人事制度への転換と、組織の持続的成長を担う人材の育成を人事戦略としています。多様な人材が活躍できる自律的な組織を目指し、採用活動の強化や通年化、テレワークや副業制度などの柔軟な働き方の整備、キャリア研修や資格取得奨励による自律的なキャリア形成支援に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 46.3歳 | 22.2年 | 6,155,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.3% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 81.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 79.0% |
| 男女賃金差異(非正規) | 61.0% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 為替相場変動の影響
商品や原材料の一定割合を輸入しているため、為替相場の変動による価格変動リスクがあります。為替予約取引などでリスク軽減を図っていますが、著しい変動があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料価格等の高騰
皮革などの原材料価格が変動するリスクがあります。これらが高騰した場合、調達コストや製造コストが上昇し、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
■(3) 人材の確保
企画から販売まで一貫して行うため、専門スキルを持つ人材の確保が重要です。人材不足が生じた場合、技術継承の困難や販売機会の喪失などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 需要動向の変化
取扱商品はファッショントレンドや消費者の嗜好の影響を受けやすいため、需要が低下した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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