石塚硝子 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

石塚硝子 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード・名証プレミア上場。ガラスびん、食器、紙容器、プラスチック容器等を製造販売する総合容器メーカーです。当連結会計年度の業績は、売上高560億円(前期比3.3%減)、経常利益37億円(同30.8%減)と減収減益となりました。


※本記事は、石塚硝子株式会社 の有価証券報告書(第90期、自 2024年3月21日 至 2025年3月20日、2025年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 石塚硝子ってどんな会社?


創業200年を超える歴史を持ち、ガラスびんや食器「アデリア」等の製造販売を行う総合容器メーカーです。

(1) 会社概要


同社は1819年に創業し、1961年に名古屋証券取引所、1962年に東京証券取引所へ上場しました。ガラス製造から始まり、1976年には紙容器事業へ進出、2015年には鳴海製陶を完全子会社化するなど事業領域を拡大しています。2019年に創業200年を迎え、2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証スタンダード市場に上場しています。

同グループは連結従業員数1,816名、単体403名の体制で事業を展開しています。主要株主には、明治安田生命保険相互会社や株式会社みずほ銀行といった金融機関のほか、BBH CO FOR ARCUS JAPAN VALUE FUNDなどの機関投資家が名を連ねています。

氏名 持株比率
明治安田生命保険相互会社 5.24%
株式会社みずほ銀行 4.15%
BBH CO FOR ARCUS JAPAN VALUE FUND(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行) 3.78%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長執行役員は石塚久継氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
石塚 久継 代表取締役社長執行役員 1990年富士銀行入行。1997年同社入社。ガラスびんカンパニー社長、取締役副社長等を経て2013年代表取締役社長に就任。2018年より現職。
畔柳 博史 取締役常務執行役員経営企画部長内部統制担当グループ連携担当未来挑戦部管掌 1984年富士銀行入行。2012年同社入社。経営企画部長、管理本部長、財務部長等を歴任。2024年3月より現職。
稲本 弘希 取締役上席執行役員プラスチックカンパニー社長兼日本パリソン株式会社代表取締役社長 1990年同社入社。ガラスびんカンパニー岩倉工場長、人事・総務部長等を経て、2020年執行役員プラスチックカンパニー社長。2024年6月より現職。
杉浦  修 取締役執行役員ウイストン株式会社社長 1985年同社入社。アドバンストガラスカンパニー社長、研究開発センター所長、ハウスウェアカンパニー社長等を歴任。2024年6月より現職。


社外取締役は、小栗悟(税理士法人STR代表社員)、安北千差(0.I.L.design代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ガラスびん関連」「ハウスウェア関連」「紙容器関連」「プラスチック容器関連」「産業器材関連」および「その他」事業を展開しています。

ガラスびん関連事業


ガラス製容器等の製造および販売を行っています。主な顧客は飲料メーカーや食品メーカー等であり、各種飲料や調味料などの容器として供給されています。

収益は、製品の販売代金として顧客から受け取ります。運営は主に同社が行っており、製造販売活動を展開しています。

ハウスウェア関連事業


ガラス製および陶磁器製の食器等を製造・販売しています。「アデリア」「津軽びいどろ」などのブランドを展開し、一般消費者やホテル・レストラン向けに製品を提供しています。

収益は、食器類の販売により顧客から得ています。運営は、同社のほか、子会社のアデリア株式会社、北洋硝子株式会社、鳴海製陶株式会社などが行っています。

紙容器関連事業


紙容器および紙容器に係る充填機械の販売・メンテナンスを行っています。飲料メーカー等が主な顧客であり、液体用紙容器や充填システムを提供しています。

収益は、紙容器の販売および充填機械の販売・メンテナンス料から得ています。運営は、同社のほか、石塚王子ペーパーパッケージング株式会社が行っています。

プラスチック容器関連事業


PETボトル用プリフォーム等を製造・販売しています。飲料メーカー等を主な顧客とし、清涼飲料水等の容器素材を供給しています。

収益は、プリフォーム等の製品販売により顧客から受け取ります。運営は、同社のほか、連結子会社のウイストン株式会社や日本パリソン株式会社などが行っています。

産業器材関連事業


加熱調理用器具のトッププレート等を製造・販売しています。家電メーカー等が主な顧客であり、IHクッキングヒーターなどの部品として使用されています。

収益は、製品の販売代金として顧客から得ています。運営は主に同社および鳴海製陶株式会社が行っています。

その他


セラミックス製品や抗菌剤等の製造・販売、および物流・運送サービス等を行っています。

収益は、製品販売や物流サービスの提供により得ています。運営は、同社のほか、石塚物流サービス株式会社や石硝運輸株式会社などの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は600億円前後で推移していましたが、直近では減少傾向にあります。利益面では、第89期に利益率が大きく向上しましたが、第90期は減益となりました。全体として、利益水準の変動が見られるものの、黒字基調を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 649億円 694億円 567億円 579億円 560億円
経常利益 12億円 28億円 23億円 54億円 37億円
利益率(%) 1.8% 4.0% 4.1% 9.3% 6.6%
当期利益 -35億円 17億円 16億円 34億円 34億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高は3.3%減少し、売上総利益も減少しました。これに伴い、営業利益は29.5%減と大幅な減益となっています。売上総利益率は28.1%から26.5%へ低下し、営業利益率も9.4%から6.9%へと低下しており、収益性が圧迫されている状況がうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 579億円 560億円
売上総利益 162億円 148億円
売上総利益率(%) 28.1% 26.5%
営業利益 55億円 38億円
営業利益率(%) 9.4% 6.9%


販売費及び一般管理費のうち、運賃が29億円(構成比27%)、従業員給与及び賞与が26億円(同24%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況を見ると、主力のガラスびん関連、ハウスウェア関連、プラスチック容器関連で減収減益または利益率の低下が見られます。特にガラスびん関連は売上・利益ともに大きく減少しました。一方、紙容器関連や産業器材関連は増収増益を確保しており、事業ポートフォリオ内での業績のばらつきが見られます。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ガラスびん関連 124億円 115億円 11億円 2億円 1.9%
ハウスウェア関連 138億円 133億円 9億円 7億円 5.4%
紙容器関連 85億円 86億円 3億円 3億円 3.2%
プラスチック容器関連 153億円 146億円 26億円 16億円 11.1%
産業器材関連 27億円 28億円 4億円 4億円 14.3%
その他 52億円 53億円 1億円 6億円 11.5%
調整額 -49億円 -51億円 -0億円 0億円 -
連結(合計) 579億円 560億円 55億円 38億円 6.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、突発的な資金手当てに短期資金調達枠を活用し、流動性リスクに備えています。
営業活動では、税金等調整前当期純利益や減価償却費が資金増加に寄与した一方、法人税等の支払いや未収入金の増加が資金を減少させました。
投資活動では、有形固定資産の取得による支出が主な資金減少要因となりました。
財務活動では、セール・アンド・割賦バックによる収入や長期借入による収入が資金増加に貢献しましたが、長期借入金や長期未払金の返済が資金を減少させました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 57億円 72億円
投資CF -85億円 -86億円
財務CF 5億円 24億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「くらしに彩り、豊かさと安心をお届けします。」を使命として掲げています。モノづくりを通じて社会に貢献することを存在意義とし、より良く、より便利で価値のある暮らしをつくり出すことを目指しています。また、ビジョンとして「価値あるモノづくりとともに、社会で輝くヒトを育て、未来へ向かうユメを築きます。」を掲げています。

(2) 企業文化


同社は「誠実」「挑戦」「成長」を約束として掲げています。「誠実」は創業以来のDNAとしてステークホルダーに向き合う姿勢、「挑戦」は改善や新たな物事へ積極的に取り組み失敗を恐れない風土、「成長」は公私ともに豊かな人生を送るための個人の成長を重視する姿勢を表しています。

(3) 経営計画・目標


同社は「2027年度中期経営計画」において、2027年度までに連結営業利益50億円の達成を掲げています。また、中長期的な目標として「ISHIZUKA GROUP 2030」を策定し、2030年度に連結営業利益を継続的に50億円以上あげることを目指しています。

* 2027年度までに連結営業利益50億円の達成
* 2027年度CO2排出量 Scope1+2 30%削減(2020年度対比)

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「新たな領域への挑戦」をコンセプトに、既存事業の強化と新規事業の創出に取り組んでいます。既存事業では周辺関連事業の取り込みや採算性重視の運営を推進し、新規事業へは積極的に経営資源を投入します。また、中堅・若手人材の育成、CO2排出量削減、ペーパーレス化やDX推進による業務効率化を重点施策として掲げています。

* 2027年度CO2排出量Scope1+2 30%削減(2020年度対比)へ挑戦

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「ISHIZUKA GROUPを支えるヒトづくり」を掲げ、従業員一人ひとりが能力を発揮し、やりがいを持って働ける環境づくりを進めています。階層別・職位別の教育訓練体系を整備し、特に若手・中堅社員には経営的視点を養う研修を実施しています。また、女性活躍推進や人権尊重の方針も策定し、多様な人材が活躍できる組織を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.8歳 19.2年 5,894,000円


※平均年間給与は税込額であり、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.9%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 72.2%
男女賃金差異(正規雇用) 73.3%
男女賃金差異(非正規) 98.8%


※男性労働者の育児休業取得率について、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ガラスびんの需要について


ガラスびん事業は、消費者ニーズの変化や他素材容器との競合により、業界全体として需要が減少傾向にあります。2024年の出荷重量も前年を下回りました。今後、想定を大幅に上回る需要の減少が発生した場合には、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料価格及びエネルギー価格の変動


製造工程で使用するLNGや電力などのエネルギー、PETボトル用プリフォーム等の主要原料の価格は、原油価格や為替相場の変動の影響を受けます。為替予約等でリスクヘッジを行っていますが、想定を超える価格変動が生じた場合、コスト増により業績に影響が出る可能性があります。

(3) 製品の品質について


同社グループは厳格な品質管理を行っていますが、万一、賠償問題につながるクレームが発生した場合、PL保険でカバーしきれない損害や信用の低下を招く可能性があります。これにより、同社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 取引先の信用リスクについて


多数の取引先と掛売り取引を行っており、信用情報の収集や与信限度額の見直し等でリスク回避に努めています。しかし、取引先の経営環境悪化や倒産など予期せぬ事態により債権回収が困難になった場合、貸倒損失の発生等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。