石塚硝子 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

石塚硝子 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダードおよび名証プレミアに上場する石塚硝子は、ガラスびんや紙容器、プラスチック容器、ハウスウェア、産業マテリアルを展開する総合容器メーカーです。直近の業績は、プラスチック容器の出荷増やパウチ飲料充填事業の寄与により増収を達成し、営業利益も増益となっています。


※本記事は、石塚硝子株式会社の有価証券報告書(第91期、自 2025年3月21日 至 2026年3月20日、2026年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 石塚硝子ってどんな会社?


創業200年を超える歴史を持ち、多彩な素材の容器を製造・販売する総合容器メーカーです。

(1) 会社概要


1819年に創業者がガラス製造技術を習得し、事業を開始したことが同社の始まりです。1946年に石塚硝子へ改組し、1961年に名証、1962年に東証へ上場しました。その後、1976年に紙容器事業、1997年にPETボトルプリフォーム事業へ進出するなど、長年にわたり多素材化と事業領域の拡大を続けています。

同社グループは、連結で1,880名、単体で401名の従業員を抱える体制で事業を推進しています。筆頭株主は事業会社の明治安田生命保険相互会社で、第2位は海外ファンド、第3位はみずほ銀行となっています。

氏名 持株比率
明治安田生命保険相互会社 5.26%
BBH CO FOR ARCUS JAPAN VALUE FUND 4.40%
みずほ銀行 4.16%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長執行役員を石塚久継氏が務めており、社外取締役の比率は22.2%となっています。

氏名 役職 主な経歴
石塚久継 代表取締役社長執行役員 富士銀行入行。1997年同社入社。取締役副社長などを経て、2018年6月より現職。
畔柳博史 取締役常務執行役員 富士銀行入行。2012年同社入社。執行役員経営企画部長などを経て、2024年3月より現職。
稲本弘希 取締役上席執行役員 1990年同社入社。執行役員プラスチックカンパニー社長などを経て、2024年6月より現職。
杉浦修 取締役執行役員 1985年同社入社。執行役員ハウスウェアカンパニー社長などを経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、小栗悟(STR代表社員)、安北千差(O.I.L.design代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「包装容器関連」「ハウスウェア関連」「産業マテリアル関連」および「その他」事業を展開しています。

包装容器関連


清涼飲料、アルコール、乳製品等の容器としてガラスびん、紙容器、PETボトル用プリフォームなどを製造・販売しています。多様な素材の容器ジャンルを横断して、グループ一体で共同提案を行える強みを持っています。

製品の製造・販売を通じて、顧客企業から代金を受け取っています。事業の運営は、石塚硝子のほか、子会社の日本パリソンや石塚王子ペーパーパッケージングなどが共同で担当しています。

ハウスウェア関連


「アデリアグラス」や「津軽びいどろ」ブランドのガラス食器を一般消費者や業務用向けに展開するほか、「NARUMI」ブランドの高級洋食器(陶磁器)を国内外のホテルやレストラン向けに製造・販売しています。

食器や陶磁器などの製品を顧客に引き渡すことで収益を得ています。運営は、石塚硝子および子会社である鳴海製陶やアデリアなどが担当しています。

産業マテリアル関連


ガラス研究から誕生した抗菌剤、有機材料と無機材料の長所を併せ持つ特殊ガラス、キッチンコンロ向けガラストッププレートなどを製造・販売しています。抗菌剤は海外でも高い評価を得てグローバルに展開しています。

機能材料や産業器材などの製品販売を通じて収益を得ています。この事業の運営は、主に石塚硝子と鳴海製陶がそれぞれ専門領域ごとに担っています。

その他


パウチ飲料受託充填事業などを新たに展開しており、飲料メーカー等のニーズに対応して飲料の充填作業を行っています。

顧客からの受託充填手数料やその他の付帯サービスなどから収益を得ています。関連する事業は、石塚硝子グループの各社が連携しながら運営を推進しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2022年3月期から2026年3月期にかけての売上高は500億円台後半から600億円近くで推移しています。経常利益は2024年3月期に大きく伸びた後も堅調な水準を維持しており、外部環境の変化に対応しながら安定した収益基盤を確保しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 694億円 567億円 579億円 560億円 595億円
経常利益 28億円 23億円 54億円 37億円 39億円
利益率(%) 4.0% 4.1% 9.3% 6.6% 6.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 23億円 3億円 47億円 31億円 26億円

(2) 損益計算書


売上高は前期から約35億円増加し、売上総利益も拡大しています。売上総利益率は26.0%、営業利益率は7.0%と、原価高騰の影響を受けつつも底堅い利益率を維持し、着実な本業の成長を実現しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 560億円 595億円
売上総利益 148億円 155億円
売上総利益率(%) 26.5% 26.0%
営業利益 38億円 42億円
営業利益率(%) 6.9% 7.0%


販売費及び一般管理費のうち、運賃が29億円(構成比26%)、従業員給与及び賞与が26億円(同23%)を占めています。また、売上原価は440億円となっており、売上高に対する構成比は74%です。

(3) セグメント収益


ガラスびん関連事業やハウスウェア関連事業が横ばいから微減で推移する中、プラスチック容器関連事業は新工場の稼働が寄与し売上が伸びました。また、その他事業に新たにパウチ飲料充填事業が加わったことが全体の増収を牽引しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ガラスびん関連 115億円 113億円
紙容器関連 86億円 92億円
プラスチック容器関連 146億円 159億円
包装容器関連合計 347億円 363億円
ハウスウェア関連 133億円 132億円
産業マテリアル関連 51億円 47億円
その他 30億円 53億円
連結(合計) 560億円 595億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フローのパターンとなっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 72億円 83億円
投資CF -86億円 -44億円
財務CF 24億円 -58億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は37.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「くらしに彩り、豊かさと安心をお届けします。」を使命(ミッション)とし、モノづくりを通じて社会に貢献することを存在意義としています。「誠実」「挑戦」「成長」を約束(バリュー)に掲げ、価値あるモノづくりとともに、社会で輝く人を育て、未来へ向かう夢を築くことをビジョンとして事業活動を展開しています。

(2) 企業文化


創業200年の歴史で培ったDNAである「誠実」をすべてのステークホルダーに向き合う基本姿勢としています。また、常に改善や新たな物事への「挑戦」を積極的に行い、失敗を恐れない風土を大切にしています。公私ともに豊かな人生を過ごすための「成長」を促し、誰もが挑戦できる文化の醸成を目指しています。

(3) 経営計画・目標


「ISHIZUKA GROUP 2030」に基づき、2027年度を最終年度とする中期経営計画「新たな領域への挑戦」を策定しています。中短期的な数値目標として以下を掲げています。

* 2027年度までに連結営業利益50億円の達成
* 2030年度連結営業利益を継続的に50億円以上あげる
* 2027年度CO2排出量 Scope1+2 30%削減(2020年度対比)

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業の深化を図るとともに周辺関連事業を取り込み、グループ全体で採算性を重視した経営を推進します。新規事業へも積極的に経営資源を投入し、将来の柱となる事業を創出します。また、ペーパーレス化やデジタル化の推進による「ラクの追求」を通じて業務の効率化を図り、新たな価値創造に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「ISHIZUKA GROUPを支えるヒトづくり」を重点ポイントに掲げています。従業員一人ひとりが能力を発揮し、やりがいを持てるよう階層別の教育訓練体系を整備するほか、若手・中堅社員には経営的視点を養う実践的な研修を実施しています。また、女性の活躍を推進するための行動計画を策定し、多様な人材の活躍を後押ししています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.6歳 19.7年 6,020,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.8%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 73.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 73.9%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 105.5%


※男性育児休業取得率は有報の該当欄に「-」と記載されています。

また、同社は有価証券報告書において、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、鳴海製陶の女性管理職比率(20.7%)、鳴海製陶の男女賃金差異(78.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 顧客企業の倒産等による信用リスク


同社グループは多数の取引先と掛売り取引を行っています。与信限度額の定期的な見直し等で信用リスクの回避に努めていますが、経営環境の著しい悪化や予期せぬ倒産などにより債権回収に問題が生じた場合、グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料及びエネルギー価格の高騰


製造工程で使用するLNGや電力などのエネルギーコスト、PETボトル用プリフォーム等の主要原料は、原油価格や為替相場の変動による影響を受けます。為替予約等で相場変動によるリスクヘッジを行っていますが、想定を超える価格変動が生じた場合、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 製品の品質問題や大規模クレーム


厳格な品質管理のもとで製品を出荷し、取引先との規格に従い全数検査を実施しています。しかし、万一賠償問題につながるクレームが発生した場合、加入しているPL保険でカバーしきれない損害を被る恐れがあります。また、社会的な信用問題へと発展し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(4) 大規模災害による生産拠点への影響


生産活動が中断しないようすべての生産設備に定期的な防災点検を行っていますが、国内の主要工場で大規模な地震等の災害が発生し、設備に大きな損害が出て操業が停止した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、調達先企業が被災して調達が不可能となった場合にも、同様のリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。