【平均年収702万円】東邦チタニウム 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2025年3月期)

【平均年収702万円】東邦チタニウム 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2025年3月期)

東邦チタニウムは、金属チタン事業を主軸に、触媒製品や電子部品材料の製造・販売を手掛けています。連結従業員数は千名を超え、幅広い事業を展開しています。直近期の業績は増収減益となりました。


目次

※本記事は、東邦チタニウム株式会社 の有価証券報告書(2025年3月期、2024年4月1日 ~ 2025年3月31日、2025年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


東邦チタニウムは、金属チタン事業を主軸に、プロピレン重合用触媒などの触媒製品、超微粉ニッケルなどの電子部品材料の製造・販売を手掛けています。子会社2社と関連会社3社で構成され、幅広い事業を展開しています。

単体従業員数は1,256名、連結従業員数は1,260名です。セグメントは金属チタン事業、触媒事業、化学品事業の3つです。

主な国内グループ会社は、東邦マテリアル(化学品事業)などです。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


東邦チタニウムは、従業員の成長と働きがいを重視し、多様な人材が活躍できる環境づくりに注力しています。安全を最優先に、従業員の健康維持やワークライフバランスを支援する制度も整備されています。挑戦し続ける風土を醸成し、持続的な企業価値向上を目指す姿勢がうかがえます。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社は、従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っている傾向にあります。平均勤続年数と平均年齢から、安定して長く働く従業員が多いことが示されています。

項目 数値
平均年間給与 7,020,000円
平均勤続年数 14.2年
平均年齢 41.9歳
単体従業員数 1,256人
連結従業員数 1,260人
単体のグループ内比率 99.7%


同社および連結子会社は、従業員の退職給付として、積立型・非積立型の確定給付制度と確定拠出制度を採用しています。確定給付企業年金制度では、給与と勤務期間に基づいたポイント制に応じた一時金または年金を支給しています。

退職給付債務は20.99億円、年金資産は29.2億円となっています。なお、退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


同社グループは、人材こそが事業の成長と競争力を支える源泉であるとの認識のもと、人的資本の強化・拡充を図っています。2023年10月には、全社的な観点から人材領域を議論する「人材会議」を設置し、人材育成・マネジメントを経営の重要テーマとしています。

具体的には、「職場の労働安全衛生改善」、「多様性と包摂性」、「働きやすい職場環境の整備」、「人材育成」、「人材採用」を重点テーマとしています。従業員一人ひとりの能力向上を目的とした各種プログラムを運用しており、技術者発表会や現場力向上教育、資格別研修、通信教育の受講料全額会社負担などがあります。

また、安全最優先の基本方針のもと、快適な職場環境の確保と労働災害ゼロを目指し、従業員の健康維持・増進のための各種サポートや定期的な体力測定も実施しています。多様性と包摂性においては、女性活躍推進、定年年齢の65歳への延長、障がい者雇用に取り組んでいます。育児・介護休業制度、フレックスタイム制度、積立年休制度など、ライフイベントに応じた柔軟な働き方を支援する制度も整備されています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異(パート・有期労働者)については、嘱託社員(定年退職後に再雇用された元社員)の構成が影響しています。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 2.8%
男性の育児休業等取得率 46.7%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 71.1%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 75.5%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 33.1%

人的資本に関する目標と指標


同社グループが設定する人的資本に関する目標と当連結会計年度の実績を示します。

指標 数値
従業員満足度調査における総合満足度(5段階評価の平均値) 3.61
男性社員の育児休業取得率 46.7%
社員採用(新卒・キャリア採用)における女性の割合 26.1%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


東邦チタニウムは、金属チタン事業を主軸に、触媒事業、化学品事業を展開する素材メーカーです。航空機や半導体といった先端分野から、自動車、産業機器まで幅広い産業に製品を提供しています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、金属チタン、触媒、化学品の3つの事業セグメントで収益を上げています。特に金属チタン事業が最大の売上を占め、触媒事業と化学品事業がこれに続いています。海外売上高の比率が高く、為替変動や世界経済の動向が業績に影響を与える傾向があります。

金属チタン事業

スポンジチタン、チタンインゴット、高純度チタンなどを生産しています。航空機向け需要の回復やサプライチェーンの変化により、輸出スポンジチタンの販売が堅調に推移しています。半導体用途向け高純度チタンも需要が回復傾向にあり、収益は為替の円安や販売価格是正を主因に増加しています。

触媒事業

プロピレン重合用触媒を生産・販売しています。中国国内でのポリオレフィン生産能力過剰の影響で、中国周辺諸国での生産回復が遅れているものの、その他の地域では触媒使用量に回復の兆しが見られます。当期は売上高、営業利益ともに増加となりました。

化学品事業

超微粉ニッケルや高純度酸化チタンなどを製造しています。主要製品である超微粉ニッケルは、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の需要が回復し、販売は増加しました。しかし、ニッケルの国際価格下落や生産調整により販売価格が低下し、当期は営業損失となりました。

同社グループの売上高は、特定の顧客に集中する傾向があります。当連結会計年度では、Titanium Metals Corporationと日本製鉄㈱が主要な顧客となっています。

セグメント 売上高(2024年3月期) 売上高(2025年3月期)
金属チタン事業 594億円 656億円
化学品事業 117億円 127億円
触媒事業 73.3億円 107億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの売上高は、過去5年間で増加傾向にあります。特に直近の連結会計年度では、前年同期比で売上高が大きく伸びました。一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期と比較して減少しています。自己資本利益率(ROE)は目標の10%を下回る結果となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 362億円 555億円 804億円 784億円 890億円
経常利益 △4.2億円 51.8億円 105億円 62.7億円 55.1億円
経常利益率 △1.2% 9.3% 13.1% 8.0% 6.2%
親会社株主に帰属する当期純利益 △31.6億円 37.0億円 75.0億円 49.5億円 37.3億円
1株当たり当期純利益(円) △44.35 51.93 105.44 69.57 52.36

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から当期にかけて増加しています。これは、事業規模の拡大や効率化の進展を示唆しています。一方、従業員1人あたり営業利益は前期から横ばいとなっており、売上高の増加が必ずしも1人あたりの利益向上に直結しているわけではない状況がうかがえます。

指標 2024年3月期(前期) 2025年3月期(当期)
従業員1人あたり売上高(連結) 65.6百万円 70.6百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 4.7百万円 4.7百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


東邦チタニウムの財務状況は、当期において本業で得た資金が投資を上回り、資金の余力がある状態を示しています。前期と比較すると、キャッシュフローの状況が改善しています。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


東邦チタニウムの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均と同水準にあり、安定した状態を示しています。ROE(自己資本利益率)は平均を下回る水準となっていますが、前期からは改善傾向にあります。手元資金である現金及び預金は増加しており、事業運営の安定性につながる要素です。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性を考える上で重要な指標となります。

指標 2024年3月期(前期) 2025年3月期(当期)
純資産 565億円 583億円
自己資本比率 44.9% 46.7%
ROE(自己資本利益率) 9.0% 6.5%
現金及び預金 18.8億円 46.0億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


東邦チタニウムの当連結会計年度におけるキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが192.8億円の収入となりました。これは売上債権や棚卸資産の減少、税金等調整前当期純利益の計上などによるものです。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出などにより116.3億円の支出となりました。その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは76.5億円の収入となり、前期のマイナスから大きく改善しています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入れによる収入があったものの、短期借入金の純減や長期借入金の返済、配当金の支払いなどにより49.4億円の支出となりました。
これらの資金の流れは、同社グループが本業で安定的に資金を生み出し、投資を賄いつつも手元に余剰資金を確保できている状態を示しています。これは、入社後の雇用や給与の安定性、そして将来的な成長への期待につながる要素と言えます。

項目 2024年3月期(前期) 2025年3月期(当期)
営業CF △31.4億円 192.8億円
投資CF △80.1億円 △116.3億円
財務CF 96.1億円 △49.4億円
フリーCF(営業CF+投資CF) △111.5億円 76.5億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループの事業は、金属チタン事業の航空機向け、触媒事業のポリプロピレン向け、化学品事業の電子部品向けなど、特定用途向けの需要が大きな割合を占めています。そのため、当該用途先業界の好不調により販売量が大きく変動する傾向があります。
また、同社グループ全体の売上高に占める輸出の割合は60.6%であり、輸出の多くがUSドル建てであるため、為替変動の影響を受けるリスクがあります。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは、持続的な成長のために人材確保を非常に重要な要素と認識しています。人材の確保が十分にできない場合、生産や販売、サービス等のレベル低下により、財政状態や経営成績に影響をもたらす可能性があります。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


東邦チタニウムは、チタンと関連技術の可能性を追求し、持続可能な社会の発展に貢献することを目指しています。同社グループは、安全とコンプライアンスを最優先し、変革と創造を通じて持続的成長を果たすことを重視しています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


東邦チタニウムグループは、「チタンと関連技術の限りない可能性を追求し、優れた製品とサービスを提供し続けることで持続可能な社会の発展に貢献します」ことを経営理念としています。同社グループは、より長期的な視点で企業経営と社会貢献に取り組み、「100年企業」を目指しています。また、2022年には中期経営計画の基本テーマとして「ESG経営の推進」を新たに加えています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


東邦チタニウムグループは、経営理念を実現するための行動基本方針として3つの柱を掲げています。安全とコンプライアンスを最優先し、健全で公正な企業活動を行うことを重視しています。

また、変革と創造を実践し、従業員と企業の持続的成長を果たすことを目指しています。顧客、地域社会、株主をはじめとする全てのステークホルダーと対話を進め、信頼・共生関係を築くことを大切にしています。同社グループは、既成概念に捉われず「挑戦し続ける風土」の醸成を目指しています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


東邦チタニウムグループは、社会的・経済的環境の変化に対応するため、より長期的な視点で企業経営に取り組むことを共有しています。全社的な共通課題として、サステナビリティに関する取り組み(「ESG経営の推進」)を強化しています。

また、人材の育成・マネジメントを経営の重要テーマと位置づけ、2023年10月には人材会議を設置しました。人的資本の強化・拡充に向けて、「職場の労働安全衛生改善」「多様性と包摂性」「働きやすい職場環境の整備」「人材育成」「人材採用」などのテーマに取り組んでいます。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


東邦チタニウムは、取締役会の構成とガバナンス体制を通じて、透明性と公正性を確保し、持続的な成長を目指しています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


東邦チタニウムの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるJX金属です。同社グループは、親会社グループとの重要な取引について、独立性確保の観点からグループ会社間利益相反監督委員会を設置し、審議・検討を行っています。これにより、特定の株主グループが経営に与える影響を適切に管理する体制が整えられています。

株主名 持株比率
JX金属 50.38%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.02%
日本製鉄 4.92%
NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE NT MEL AUSTRALIAN TREATY LENDING CLIENTS ACCOUNT 0.90%
BOFAS INC SEGREGATION ACCOUNT 0.86%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


東邦チタニウムの役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長社長執行役員は山尾康二氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
山尾 康二 代表取締役社長社長執行役員 1981年4月 日本鉱業㈱入社。JX日鉱日石金属㈱執行役員、JX金属㈱取締役・常務執行役員などを経て、2021年6月より同社代表取締役社長・社長執行役員より現職。
結城 典夫 取締役副社長執行役員社長補佐(技術全般)環境安全部・品質保証部・設備技術部・情報システム部管掌技術戦略本部管掌 1982年4月 日本鉱業㈱入社。JX日鉱日石金属㈱技術開発センターセンター長、JX金属㈱執行役員などを経て、2023年4月より同社取締役・副社長執行役員より現職。
井ノ川 朗 取締役ESG推進部・経営企画部・総務人事部・調達部・物流部管掌 1989年4月 日本鉱業㈱入社。パンパシフィック・カッパー㈱チリ事務所法務部長、同社経営企画部長などを経て、2023年4月より同社取締役・常務執行役員より現職。
飯田 一彦 取締役 1988年4月 日本鉱業㈱入社。Nikko Metals Philippines,Inc. Plant Manager、JX金属㈱常務執行役員などを経て、2023年6月より同社取締役より現職。


社外取締役は、井窪保彦氏(弁護士)、大藏公治氏(オーニッツ代表)、千崎滋子氏(公認会計士・監査等委員)、原田直巳氏(元ゆりかもめ常務取締役・監査等委員)、小林昭夫氏(公認会計士・監査等委員)です。

東邦チタニウムは、監査等委員会設置会社として、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員を取締役会の構成員とすることで監督機能を強化しています。取締役10名のうち5名が社外取締役であり、独立した客観的な立場から経営陣に対する監督を行っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


東邦チタニウムの役員報酬は、固定報酬である基本報酬と、企業価値向上へのインセンティブとなる業績連動報酬等で構成されています。業務を執行しない取締役には基本報酬のみが支給されます。業績連動報酬の指標には連結経常利益が用いられており、また、譲渡制限付株式報酬制度の導入も決議され、株主総会に付議される予定です。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(監査等委員及び社外除く) 4名 1.2億円 29.5百万円
監査等委員(社外除く) 1名 20百万円 20.0百万円
社外役員 5名 28百万円 5.6百万円


業績連動報酬等に係る業績指標は、対象事業年度の連結経常利益5,514百万円です。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。