※本記事は、株式会社大紀アルミニウム工業所 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、アルミニウム二次合金地金(塊)の製造・販売を主な事業内容とし、溶解炉の新築補修なども手掛けています。主要顧客である自動車・輸送機器関連向けを中心に、堅調な需要に支えられています。
単体従業員数は326名、連結従業員数は1,275名です。同社グループの事業セグメントは、アルミニウム二次合金、その他の2つです。
主な国内グループ会社は、ダイキマテリアル(アルミニウム二次合金)、聖心製作所(その他)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
大紀アルミニウム工業所は、アルミニウムのリサイクル事業を通じて社会貢献と地球環境保全を推進する企業です。従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていると考えられます。また、多様な人材が活躍できる職場づくりにも注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、長期的にキャリアを築いている社員が多い傾向にあることがうかがえます。安定した環境で経験を積み重ねていくことが期待できるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,487,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.8年 |
| 平均年齢 | 42.8歳 |
| 単体従業員数 | 326人 |
| 連結従業員数 | 1,275人 |
| 単体のグループ内比率 | 25.6% |
同社及び連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、積立型、非積立型の確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を採用しています。確定給付型は、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度です。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は30.0億円、年金資産は40.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、経営コンセプト「G&G」のもと、「お客様第一主義」「現場主義」「当事者意識の徹底」を行動指針として掲げ、これを体現できる人材育成を基本コンセプトとしています。持続的な企業価値向上には人的資本の強化が不可欠と認識し、「挑戦」「活躍」「成長」の3つを人材戦略の柱に定めています。
給与・報酬は、従業員の役割発揮や挑戦を促し、エンゲージメント向上と組織全体の生産性向上に繋がる重要な要素と位置付けています。報酬体系は基本給、賞与、各種手当で構成され、社内規程に基づき、評価結果を踏まえた適切な決定プロセスを経て決定されます。
現在改定を進めている新評価制度では、貢献度評価(成果に対する定量×定性評価)、行動評価(行動・姿勢に対する評価)、成長評価(成長・挑戦に対する評価)を総合的に勘案し、昇給及び賞与に反映することで、個々の貢献度に応じた処遇を実現する方針です。
人材育成においては、中期経営計画の柱の一つである「人材の育成と活用」に基づき、「~100年企業 その先へ~」をコンセプトに、階層別研修プログラムを2022年度からスタートさせました。異なる拠点社員との交流を図り、対面での研修受講をメインに、中堅層の主任研修では社内の上下階層を超えた働きかけを強めることで社内活性化に繋げると考えています。
社内環境整備では、ダイバーシティ&インクルージョン推進を宣言し、性別や年齢などに関係なく様々な人材が活躍できる環境や仕組みを整備しています。女性社員の仕事と育児の両立支援として、2026年3月末時点の女性の育児休業後復職率は100%です。また、男性従業員の育児休業取得を積極的に推進しており、2025年度の取得率は90.9%まで向上しました。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 90.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 64.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 73.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 61.3% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 株式会社聖心製作所
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 72.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 77.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 96.4% |
人材の育成と活用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得率(管理職含む) | 78.5% |
| 離職率(定年退職除く) | 3.4% |
| 一人当たり年間教育研修コスト | 7.5万円 |
ダイバーシティの推進
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性社員比率 | 13.9% |
| 女性管理職数 | 2人 |
| 女性取締役数 | 2人 |
| 海外子会社におけるグローカル人材管理職比率 | 64.6% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
大紀アルミニウム工業所は、アルミニウム二次合金の製造・販売を主軸に事業を展開しています。長年培ってきた溶解技術を活かし、関連事業も手掛けている点が特徴です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、アルミニウム二次合金地金の製造・販売を主要な事業としています。この事業では、製品や商品の製造販売に加え、アルミニウム屑の仕入れ・販売も行っています。また、溶解技術と経験を活かして溶解炉の新築補修などの事業活動も展開しています。
主要な顧客は自動車・輸送機器関連であり、需要の底堅さが見られます。特定の顧客への売上高集中は見られず、地域別では日本とアジアが収益の大部分を占めています。
アルミニウム二次合金
同社グループの主要な事業であり、アルミニウム二次合金地金の製造・販売を行っています。製品販売価格の上昇や、国内における製品および商品の堅調な需要に支えられています。海外では販売価格の是正や材料転換を進め、収益の回復軌道に至りつつあります。収益は、アルミニウム二次合金地金および商品・原料他の販売から得ています。
その他の事業セグメント
このセグメントには、ダイカスト製品事業およびアルミニウム溶解炉事業が含まれています。ダイカスト製品事業が堅調に推移しており、売上高に貢献しています。収益は、ダイカスト製品やアルミニウム溶解炉の製造販売から得ています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| アルミニウム二次合金 | 2,945億円 | 3,253億円 |
| その他の事業セグメント | 53.2億円 | 58.0億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績推移を見ると、売上高は増加傾向にあります。特に当連結会計年度においては、前期から大きく伸長しました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、前期と比較して大幅な増加を示しており、収益性が改善している状況です。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,361億円 | 2,730億円 | 2,627億円 | 2,998億円 | 3,311億円 |
| 経常利益 | 207億円 | 139億円 | 41.7億円 | 37.5億円 | 56.2億円 |
| 経常利益率 | 8.8% | 5.1% | 1.6% | 1.3% | 1.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 149億円 | 97.3億円 | 32.4億円 | 7.0億円 | 36.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 367.40 | 240.09 | 80.10 | 17.48 | 93.01 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期と比較して増加しています。これは、連結売上高の増加と従業員数の変動を考慮すると、組織全体の生産性が向上している傾向を示しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しており、本業における収益創出能力が高まっていることがうかがえます。これらの指標の改善は、同社グループの収益体質の強化と効率的な事業運営の進展を示すものとなります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 232.0百万円 | 259.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.7百万円 | 5.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況です。手元資金も確保されており、事業活動を支える財務基盤が整っています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較してやや低い水準にあります。しかし、ROE(自己資本利益率)は前期から改善傾向を示しています。手元資金である現金及び預金は増加しており、不況時への耐性も確保されている状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 737億円 | 771億円 |
| 自己資本比率 | 44.7% | 42.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 1.0% | 4.9% |
| 現金及び預金 | 73.4億円 | 90.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度において、同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは増加に転じ、資金の増加となりました。これは主に税金等調整前当期純利益と減価償却費の計上、仕入債務の増加によるものです。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産や投資有価証券の取得により資金の減少が続いています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額の増加や長期借入れによる収入があったものの、前期に比べて資金の増加幅は減少しています。結果としてフリーキャッシュ・フローはマイナスとなっていますが、前期と比較するとマイナス幅は縮小しています。本業で得た資金を将来の成長に向けた投資に充てている状況であり、事業の安定性と成長性への取り組みがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △100.4億円 | 18.7億円 |
| 投資CF | △42.0億円 | △51.8億円 |
| 財務CF | 145.7億円 | 50.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △142.5億円 | △33.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの販売先は自動車業界を主体とした限られた業態が対象となっており、売上に占める比重の大きな販売先が存在します。そのため、その業態の景気動向や販売先個々の業績、社内事情の変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、アルミニウム事業における原料価格や販売価格は、国際市況を反映したLME(ロンドン金属取引所)等の市況変動の影響を受けます。原材料の調達に支障が生じた場合や市況が急激かつ大幅に変動した場合も、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
大紀アルミニウム工業所は、「事業」と「環境」を同軸に捉え、持続可能な社会の実現に貢献しながら成長を目指す企業です。グローバルな視点と環境への配慮を経営の根幹に据えています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「G&G(Global&Green)」を経営の基本方針として掲げ、「事業」と「環境」を同軸にとらえ、地球が求める真の企業へと成長していくことを目指しています。この「G&G」は、国内にとどまらず世界を舞台とするグローバルな視点と活動、そして世界環境を見据えたグリーンの理念と実践を主旨としています。
「G&G」は、同社グループの戦略的キーワードであり、企業アイデンティティとなっています。また、2030年に目指すべき姿として『DAIKI∞NEXT∞』を描き、その実現に向けた中期経営計画を策定しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「G&G」の経営コンセプトのもと、アルミニウムのリサイクルを通じて社会の発展と地球環境保全に貢献するというサステナビリティ基本方針を定めています。人材育成においては、「お客様第一主義」「現場主義」「当事者意識の徹底」の3つの行動指針を体現できる人材の育成を基本的なコンセプトとしています。
また、「多様な個を活かす環境整備」を重要なテーマと捉え、ダイバーシティ&インクルージョン推進を宣言しています。性別、性的指向、年齢、国籍などにかかわらず、一人ひとりの個性を多様性として活かし、挑戦・革新し続ける風土の醸成や仕組みの充実を推進する方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中長期的な経営戦略として、2030年に目指すべき姿『DAIKI∞NEXT∞』の実現に向けた中期経営計画を策定しています。その中で、マテリアリティ(重要課題)を特定し、成長分野への投資、経営基盤の強化、環境保全、地域や社会への貢献と発展、人材の育成と活用を柱としています。
具体的には、高度循環型社会づくりへの挑戦や、生産や流通過程における二酸化炭素排出削減に取り組んでいます。また、グローカライゼーションの推進、安全な労働環境整備による労働災害ゼロ、ダイバーシティの推進も重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
大紀アルミニウム工業所は監査役制度を採用しており、社外取締役と社外監査役を複数選任することで、経営の公正性と透明性の向上を目指しています。また、執行役員制度を導入し、経営の意思決定と業務執行の機能を明確に分離しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
有限会社山本エステートが筆頭株主であり、個人株主である山本隆章氏も上位に名を連ねています。複数の創業家関連株主が上位に位置しており、同社の資本構成に特徴が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社山本エステート | 8.79% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 8.23% |
| 山本 隆 章 | 5.64% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役社長執行役員は林繁典氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山本 隆 章 | 代表取締役会長 | 1976年8月同社入社、1994年6月同社代表取締役社長、2023年6月同社代表取締役会長より現職。 |
| 林 繁 典 | 代表取締役社長執行役員 | 1978年4月同社入社、2021年6月同社取締役専務執行役員、2023年6月同社代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 後 藤 和 示 | 取締役専務執行役員海外事業室担当 | 1975年4月同社入社、2015年6月同社専務取締役、2024年6月同社取締役専務執行役員海外事業室担当より現職。 |
| 門 谷 正 雄 | 取締役専務執行役員海外事業室長 | 1987年4月同社入社、2013年6月同社取締役、2025年6月同社取締役専務執行役員海外事業室長より現職。 |
| 川 口 絵 里 | 取締役常務執行役員管理部担当兼企画室長兼ダイバーシティ推進室長 | 2017年4月同社入社、2022年6月同社執行役員、2025年10月同社取締役常務執行役員管理部担当兼企画室長兼ダイバーシティ推進室長より現職。 |
社外取締役は、辰野守彦氏(芝綜合法律事務所設立・指名・報酬委員会構成員)、谷謙二氏(三菱商事株式会社執行役員非鉄金属本部長・指名・報酬委員会構成員)、山本未生氏(一般社団法人World in You代表理事・指名・報酬委員会構成員)です。
同社は監査役制度を採用しており、取締役8名のうち3名が社外取締役、監査役4名のうち2名が社外監査役で構成されています。経営の公正性・透明性向上を方針とし、株主利益の立場から経営をチェックできる体制を目指しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬と業績連動報酬で構成されており、社外取締役は固定報酬のみとなっています。報酬の決定にあたっては、過半数を独立社外役員で構成する指名・報酬委員会が審議を行い、その答申を尊重して取締役会で決定する仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 2.0億円 | 33.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 19百万円 | 9.5百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 29百万円 | 4.8百万円 |
なお、報酬等の総額は247百万円であり、対象となる役員の合計は14名です。人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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