※本記事は、アルメタックス株式会社の有価証券報告書(第62期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アルメタックスってどんな会社?
同社は住宅建材製品の製造および販売を主力事業とし、サッシやドアなどを提供するメーカーです。
■(1) 会社概要
1969年に関西軽金属として設立され、本格的なアルミビレットの溶解鋳造生産および販売を開始しました。1978年にニッサアルミ販売と合併して住宅用アルミ建材の販売を開始し、1986年に現在のアルメタックスに商号変更しました。1991年に上場を果たし、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。
従業員数は単体で331名です。筆頭株主は事業会社の積水ハウスで、第2位は積水化学工業です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 積水ハウス | 35.70% |
| 積水化学工業 | 6.72% |
| アルメタックス従業員持株会 | 4.27% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼社長執行役員は村治俊哉氏です。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 村治俊哉 | 代表取締役社長兼社長執行役員 | 1994年同社入社。建材第一営業部長、執行役員、取締役兼常務執行役員などを経て、2019年より現職。 |
| 綱島甲二 | 取締役兼専務執行役員技術開発管掌兼営業部門担当 | 1995年同社入社。建材第一営業部長、執行役員、営業本部長などを経て、2026年より現職。 |
| 神徳英機 | 取締役兼常務執行役員生産部門担当兼滋賀工場長 | 1989年同社入社。山口センター長、執行役員、生産本部長などを経て、2026年より現職。 |
| 山元秀和 | 取締役常勤監査等委員 | 1980年同社入社。滋賀工場長、執行役員、生産本部長などを経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、濵岡峰也(清和法律事務所所属弁護士)、渡部健(渡部健公認会計士事務所所属公認会計士)、佐野俊之(元アシックス取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「住宅建材部門」の単一セグメントで事業を展開しています。
■住宅建材製品の製造および販売
同社は、サッシ、ドア、エクステリア・インテリア製品などの住宅建材製品の製造および販売を行っています。主な顧客は、積水ハウスをはじめとする大手プレハブ住宅会社を中心とした特定需要家であり、新設住宅用建材およびリフォーム用住宅建材を提供しています。高性能で付加価値の高い斬新なデザインのオリジナル商品を開発しています。
収益は、これらの住宅建材製品の販売対価として住宅メーカー等の顧客から受け取る代金から成り立っています。開発から製造、販売までの一連の事業活動はアルメタックス単体で運営しており、多品種少量・短納期かつ圧倒的な特注対応力によって顧客の要望に応えるビジネスモデルを構築しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、売上高が90億円台で推移したのち、近年は新設住宅市場の縮小などの影響を受けて減少傾向にあります。一方で利益面は、原材料価格高騰等の影響で一時落ち込みましたが、直近では生産性の改善や価格転嫁等の収益構造改革が成果を上げ、利益率の回復と黒字転換を果たしています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 95億円 | 97億円 | 94億円 | 83億円 | 79億円 |
| 経常利益 | 4億円 | 3億円 | 1億円 | -0.7億円 | 1.6億円 |
| 利益率(%) | 4.2% | 3.5% | 1.1% | -0.8% | 2.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 3億円 | 0.8億円 | 0.3億円 | 1.6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が減少した一方で、売上総利益は改善し、利益率も上昇しています。これは業務の合理化や製品価格の見直しによる原価低減が寄与した結果です。これにより営業利益もマイナスからプラスに転換しました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 83億円 | 79億円 |
| 売上総利益 | 13億円 | 15億円 |
| 売上総利益率(%) | 15.7% | 19.5% |
| 営業利益 | -2億円 | 0.1億円 |
| 営業利益率(%) | -2.6% | 0.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5億円(構成比34%)、運搬費が3億円(同19%)を占めています。また、売上原価の主な構成要素である当期総製造費用においては、原材料費が39億円(同69%)、労務費が13億円(同23%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は住宅建材部門の単一セグメントであるため、事業全体の売上高を記載しています。直近ではリフォーム分野の受注拡大に注力したものの、新設住宅向け需要の低迷を補いきれず減収となりました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 住宅建材部門 | 83億円 | 79億円 |
| 連結(合計) | 83億円 | 79億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動で得た資金で借入金の返済等を行いながら、手元資金の範囲内で設備投資等を賄っている健全型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.5億円 | 2.8億円 |
| 投資CF | -1.6億円 | -3.4億円 |
| 財務CF | -0.8億円 | -0.8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は82.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「健康」「快適」「環境共生」をキーワードに、より質の高い健康で快適な環境にやさしい住生活文化の創造を目指し、常に新たなモノを提案することを基本方針としています。また、「いいものを創ることが人びとの幸せを実現させる」という経営理念のもと、すべてのステークホルダーの幸せを第一に考えた経営に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
同社は、ビジョン「アルミをコアに世界の未来をデザインする」を掲げ、積み重ねてきた技術力と創造性豊かな建材の提供を通じて、お客様満足度の高い住まいづくりに貢献する文化を持っています。健全な事業活動を通じて社会課題の解決と持続的な社会の発展に寄与することを目指し、多様性社会に適応した組織づくりを推進しています。
■(3) 経営計画・目標
具体的な目標として「2030年のCO2排出量を2018年比で30%以上削減する(SBT認定取得)」、「廃棄物削減とリサイクル率100%」などの環境目標を掲げています。また、持続的成長を支える強固な財務基盤を確立し、配当については将来の事業展開にも留意しながら、業績等を勘案して継続的かつ安定的な利益還元に努める方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
主力事業における新設住宅用建材の受注堅持とともに、リフォーム分野での大手住宅メーカー向け販売拡大に注力します。さらに、新規取引先の開拓やEC販売の強化、リフォーム工事の自社施工能力の向上を図り、収益性の改善に取り組みます。技術面では次世代高性能モデルの開発や、他社と差別化できる付加価値の高い新商品の開発を進めていきます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を最重要の経営資源と位置付け、専門性の高い人材の育成を通じて企業価値の向上に取り組んでいます。研修やOJTによる次世代リーダーの育成に加え、業績評価重視型の人事評価制度を導入して従業員のモチベーション向上を図っています。柔軟な働き方や女性活躍の促進など、多様な人材が活躍できる職場環境の整備にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 47.1歳 | 19.6年 | 4,683,444円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.8% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 73.3% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 59.1% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、総合職の女性比率(15.2%)、中途採用者の管理職比率(40.0%)、障害者雇用率(2.62%)、平均残業時間(22.8時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定顧客への売上依存
同社の主要な販売先は大手プレハブ住宅会社をはじめとする特定需要家であり、売上の多くを依存しています。そのため、当該顧客の販売動向や新設住宅市場の縮小などの影響を直接的に受ける可能性があり、売上高や利益が変動するリスクがあります。
■(2) 原材料価格の変動
アルミニウム等の製品製造に必要な原材料の一部について、国際情勢や外国為替相場の変動、エネルギーコストの高止まりなどにより価格が大きく変動するリスクがあります。仕入価格の高騰分を製品価格に適切に転嫁できない場合、収益性が圧迫される可能性があります。
■(3) 投資有価証券の市場変動
同社は、取引先企業との関係強化などを目的として投資有価証券を保有しています。株式市場の動向や政府の金融政策、国際情勢の変化などにより保有資産の市場価格が下落した場合、財務状況に悪影響を及ぼすリスクや、リスク管理の観点から売却損が発生する可能性があります。



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