アルメタックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アルメタックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場し、住宅用サッシやドアなどの建材製品の製造販売を主力とする企業です。当期は、新設住宅着工戸数の伸び悩みや主力製品の受注減などが響き、減収となりました。利益面でも、生産性改善に努めましたが減収影響や原材料高騰を補えず、経常損失を計上するなど減益となりました。


※本記事は、アルメタックス株式会社 の有価証券報告書(第61期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アルメタックスってどんな会社?

大手住宅メーカー向けを中心とした住宅建材メーカーです。サッシ、ドア、エクステリア製品などを製造しています。

(1) 会社概要

1969年に設立され、アルミビレットの製造販売を開始しました。その後、住宅用アルミ建材の製造へシフトし、生産拠点を拡大しています。1991年に大阪証券取引所市場第二部および京都証券取引所に上場しました。2013年には東京証券取引所市場第二部へ上場し、市場区分の見直しに伴い2022年4月にスタンダード市場へ移行しました。

2025年3月31日時点の単体従業員数は340名です。大株主については、筆頭株主は主要取引先でもある大手住宅メーカーで、第2位は大手化学メーカー、第3位は従業員持株会となっており、事業上の関係が深い企業が上位を占めています。

氏名 持株比率
積水ハウス 35.81%
積水化学工業 6.74%
アルメタックス従業員持株会 4.46%

(2) 経営陣

同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼社長執行役員は村治俊哉氏です。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
村治 俊哉 代表取締役社長兼社長執行役員 1994年同社入社。建材第一営業部長などを経て、2014年執行役員、2017年取締役兼常務執行役員。2019年4月より現職。
矢田 肇 取締役兼副社長執行役員 積水ハウスを経て2013年同社顧問。常務取締役、専務執行役員などを歴任。現在は生産・施工部門を担当。2019年4月より現職。
綱島 甲二 取締役兼常務執行役員 1995年同社入社。建材第一営業部長、営業本部長などを歴任。2023年6月より現職。
山元 秀和 取締役常勤監査等委員 1980年同社入社。滋賀工場長、常務執行役員生産本部長などを経て、2023年常勤監査役。2024年6月より現職。


社外取締役は、濵岡峰也(弁護士)、渡部健(公認会計士)、佐野俊之(元アシックス取締役)です。

2. 事業内容

同社グループは、「住宅建材部門」の単一セグメントで事業を展開しています。

住宅建材事業

主にサッシ、ドア、エクステリア・インテリア製品などの住宅用建材を製造・販売しています。主要な顧客は、積水ハウスをはじめとする特定の大手プレハブ住宅メーカーです。顧客のニーズに合わせた多品種少量生産や特注対応力を強みとしています。

収益は、これらの住宅建材製品を大手住宅メーカー等へ販売することで得ています。運営は主にアルメタックスが行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上高は90億円台で推移してきましたが、当期は83億円へと減少しました。利益面では、2022年3月期以降黒字を維持しているものの、経常利益は減少傾向にあり、当期はマイナスに転じました。当期純利益は投資有価証券売却益の計上などにより黒字を確保しましたが、前期比で減少しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 90億円 95億円 97億円 94億円 83億円
経常利益 0.8億円 4.0億円 3.4億円 1.0億円 -0.7億円
利益率(%) 0.8% 4.2% 3.5% 1.1% -0.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -7.3億円 3.5億円 2.7億円 0.8億円 0.3億円

(2) 損益計算書

直近2期間を比較すると、売上高の減少に伴い売上総利益が縮小しています。販売費及び一般管理費は微減しましたが、売上総利益の減少をカバーできず、営業損失が拡大しました。結果として、本業の収益性が低下している状況がうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 94億円 83億円
売上総利益 15億円 13億円
売上総利益率(%) 16.3% 15.7%
営業利益 -0.3億円 -2.1億円
営業利益率(%) -0.3% -2.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4.8億円(構成比32%)、運搬費が3.2億円(同21%)を占めています。売上原価においては、原材料費が41億円(構成比69%)、労務費が14億円(同23%)となっています。

(3) セグメント収益

同社は住宅建材部門の単一セグメントであるため、セグメントごとの詳細な分析は省略します。全社的な傾向として、新設住宅着工戸数の伸び悩みや主力製品の受注減により減収となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
住宅建材 94億円 83億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスで、営業活動で得た資金を投資や借入返済等に充てる健全型のキャッシュ・フローです。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 3.0億円 0.5億円
投資CF -0.8億円 -1.6億円
財務CF -0.8億円 -0.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は81.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

「いいものを創ることが人びとの幸せを実現させる」という経営理念のもと、すべてのステークホルダーの幸せを第一に考えた経営に取り組んでいます。また、「アルミをコアに世界の未来をデザインする」というビジョンを掲げ、独自の技術と希望を持って新たな事業領域の拡大に挑戦しています。

(2) 企業文化

「健康」「快適」「環境共生」をキーワードに、質の高い住生活文化の創造を目指す姿勢を重視しています。業界随一のものづくり企業を目指し、多品種少量・短納期かつ高い特注対応力で顧客要望に応えるとともに、サステナビリティ基本方針に基づき、社会課題の解決と持続的な社会の発展への貢献を掲げています。

(3) 経営計画・目標

具体的な数値目標としての経営計画は記載がありませんが、顧客満足を通じた事業成長と企業価値最大化を目指しています。また、サステナビリティに関する目標として、2030年のCO2排出量を2018年比で30%以上削減することや、廃棄物削減とリサイクル率100%などを掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策

既存の住宅建材事業では、高性能・高付加価値サッシや新デザイン商品の開発、リフォーム分野での大手メーカー向け拡販に注力しています。また、新規事業分野への参入や、次世代高性能モデルの開発に向けた解析技術の活用なども進めています。製造面では、業務集約による効率化や品質向上を図り、収益構造の改革に取り組んでいます。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

社員の意識改革とモチベーション向上を図る人事制度や、計画的な人材育成のための教育制度を整備する方針です。また、子育てや介護が必要な世代に優しい会社づくりを目指し、テレワークや在宅勤務などを通じた働きやすい環境の整備、ダイバーシティの推進による多様な人材の活躍推進に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 46.7歳 19.6年 4,605,855円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 73.2%
男女賃金差異(正規) 74.8%
男女賃金差異(非正規) 49.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、総合職の女性比率(16.9%)、中途採用者の管理職比率(37.3%)、平均残業時間(16.9時間)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定需要家への依存

同社の主要な販売先は大手プレハブ住宅会社を中心とする特定の需要家(積水ハウス等)であり、売上高の過半数を占めています。そのため、これら特定需要家の住宅販売動向や生産計画の変動が、同社の財政状態や経営成績に直接的かつ重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料価格の高騰

使用するアルミ地金などの原材料価格は国際情勢や市場動向により変動します。価格転嫁を進めていますが、急激な高騰が続いた場合や価格転嫁が十分に追いつかない場合は、製造コストの上昇を招き、利益を圧迫する可能性があります。

(3) 住宅市場の縮小と競争激化

国内の新設住宅着工戸数は減少傾向にあり、市場全体の縮小が懸念されています。また、社会構造の変化に伴い競争環境が激化しており、これに対応するための新製品開発やコスト構造改革が進まない場合、業績に悪影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。