UACJ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

UACJ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のUACJは、アルミニウムの圧延製品や鋳物・鍛造製品等の製造販売を行う企業グループです。第12期の連結業績は、売上収益が前期比11.9%増、税引前利益が同95.9%増、親会社の所有者に帰属する当期利益が同101.9%増となり、大幅な増収増益を達成しました。


了解しました。提供されたデータのみを使用し、指定された構成とルールを厳守して記事を執筆します。

記事タイトル:UACJ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態


※本記事は、株式会社UACJ の有価証券報告書(第12期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. UACJってどんな会社?


UACJは、古河スカイと住友軽金属工業の経営統合により発足した、アルミニウム圧延品や加工品の世界的メーカーです。

(1) 会社概要


2013年10月に古河スカイと住友軽金属工業が経営統合し、UACJが発足しました。2014年1月にはタイのラヨン製造所が第1期操業を開始し、グローバル展開を加速させました。2016年4月には米国の自動車部品製造会社の持分を取得し、自動車分野を強化しています。2019年9月に伸銅品事業を譲渡し、2024年10月にはグループ内組織再編を実施しています。

同社の連結従業員数は10,203名、単体では3,894名です。筆頭株主は米国の金融機関であるゴールドマン・サックス・インターナショナルで、第2位は古河スカイの母体であり現在も主要な取引先である古河電気工業です。第3位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行です。

氏名 持株比率
GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL 14.93%
古河電気工業 14.22%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 10.66%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性2名の計15名で構成され、女性役員比率は13.3%です。代表取締役社長執行役員は田中 信二氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
石原 美幸 取締役会長 1981年4月住友軽金属工業入社。2018年6月同社代表取締役社長 社長執行役員を経て、2024年4月より現職。
田中 信二 代表取締役社長執行役員 1987年4月住友軽金属工業入社。2021年6月同社取締役 執行役員、2022年4月取締役 常務執行役員を経て、2024年4月より現職。
川島 輝夫 取締役 1982年4月住友軽金属工業入社。2019年6月同社取締役 常務執行役員、2022年4月取締役 副社長執行役員を経て、2024年4月より現職。
隈元 穣治 取締役専務執行役員 1985年4月住友商事入社。2017年4月同社入社。2023年6月取締役 執行役員、2024年4月取締役 常務執行役員を経て、2025年4月より現職。
慈道 文治 取締役常務執行役員 1988年4月古河電気工業入社。2022年4月同社執行役員、同年6月取締役 執行役員を経て、2024年4月より現職。


社外取締役は、池田 隆洋(元三菱レイヨン取締役兼常務執行役員)、作宮 明夫(元オムロン取締役副社長)、光田 好孝(元東京大学生産技術研究所副所長)、永田 亮子(元日本たばこ産業常勤監査役)、赤羽 真紀子(CSRアジア代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「板製品関連」「押出・加工品関連」「航空宇宙・防衛材関連」「自動車部品関連」および「その他」事業を展開しています。

**板製品関連**
アルミニウムおよびその合金の板圧延製品、箔製品の製造および販売を行っています。主な顧客は缶メーカー、自動車メーカー、電気機器メーカーなどです。
製品販売による対価を収益としています。運営は主にUACJ、UACJ (Thailand) Co., Ltd.、Tri-Arrows Aluminum Inc.、UACJ製箔などが行っています。

**押出・加工品関連**
アルミニウム等の押出製品、加工製品の製造・販売、それらに関連する土木工事の請負等を行っています。
製品販売および工事請負による対価を収益としています。運営は主にUACJ、UACJ押出加工安城、UACJ押出加工群馬、UACJ金属加工などが行っています。

**航空宇宙・防衛材関連**
アルミニウム等の鋳物製品、鍛造製品の製造および販売を行っています。航空機やロケット向けの部材などを提供しています。
製品販売による対価を収益としています。運営は主にUACJ、UACJ Foundry & Forging (Vietnam) Co., Ltd.が行っています。

**自動車部品関連**
アルミニウム等の自動車部品の製造・販売を行っています。自動車の軽量化に寄与するバンパーや骨格部品などを提供しています。
製品販売による対価を収益としています。運営は主にUACJ、UACJ Automotive Whitehall Industries, Inc.などが行っています。

**その他**
グループの事業に関連する貨物運送・荷扱、製品等の卸売等を行っています。
サービスの提供および商品販売による対価を収益としています。運営は主にUACJ Australia Pty. Ltd.などのグループ会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2023年3月期から2025年3月期までの推移を見ると、売上収益は9,557億円から一時減少したものの、直近では9,988億円まで回復・成長しています。税引前利益は17億円から430億円へと大幅に拡大しており、当期利益も赤字から黒字転換し、直近では280億円と高い伸びを示しています。利益率も改善傾向にあります。

項目 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 9,557億円 8,928億円 9,988億円
税引前利益 17億円 220億円 430億円
利益率(%) 0.2% 2.5% 4.3%
当期利益(親会社所有者帰属) -13億円 139億円 280億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益を見ると、売上収益は前期比で約1,060億円増加し、売上総利益も300億円以上増加しています。売上総利益率は11.4%から13.3%へ改善しました。営業利益は314億円から574億円へと大幅に伸長し、営業利益率も3.5%から5.7%へ上昇しており、収益性が高まっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 8,928億円 9,988億円
売上総利益 1,021億円 1,325億円
売上総利益率(%) 11.4% 13.3%
営業利益 314億円 574億円
営業利益率(%) 3.5% 5.7%


販売費及び一般管理費のうち、荷造費及び運送費が303億円(構成比39%)、給与諸手当福利費が229億円(同29%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は「アルミ製品事業」の単一セグメントですが、製品区分別の売上収益を見ると、主力の板製品関連が北米の缶材需要回復や販売価格是正等により増収となりました。自動車部品関連は微減となりましたが、航空宇宙・防衛材関連や押出・加工品関連は増収となっており、全体として売上収益は増加しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
Total 8,928億円 9,988億円
連結(合計) 8,928億円 9,988億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、多様な資金調達手段と手元流動性の確保により、財務基盤の維持・強化を図っています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加により前期比で大幅な減少となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得支出が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加により収入に転じました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 949億円 91億円
投資CF -362億円 -369億円
財務CF -440億円 125億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する。」という企業理念を掲げています。また、「アルミニウムを究めて環境負荷を減らし、軽やかな世界へ。」を目指す姿として定義しています。

(2) 企業文化


同社グループは、社員が物事を判断する際の拠りどころとなる価値観として、「相互の理解と尊重」「誠実さと未来志向」「好奇心と挑戦心」を掲げています。これらをグループ理念体系として再定義し、国境や世代を超えて永続的に社会・生活を支える企業グループになることを目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は「UACJ VISION 2030」の実現に向け、第4次中期経営計画を策定しています。2027年度および2030年度の財務目標として以下の数値を掲げています。

* 2027年度目標:ROIC 9%以上、ROE 9%以上
* 2030年度目標:売上高 1兆1,000億円以上、ROIC 10%以上、ROE 10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


第4次中期経営計画では、「稼ぐ、繋ぐ、軽やかに」をテーマに、素材提供企業から「素材+α」の付加価値提供企業への変革を目指しています。「リサイクル推進」「素材+加工ビジネスの拡大」「先端分野のサプライチェーン安定化への貢献」「新領域の拡大」の4つを戦略として定めています。

* リサイクル推進:飲料缶の水平リサイクル(CAN to CAN)など循環型社会構築を牽引。
* 素材+加工ビジネス:自動車部品等の軽量化や環境価値付与によるビジネス拡大。
* 先端分野:航空宇宙・防衛、電池分野等での高付加価値製品の安定供給。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「多様な人材の獲得・育成とエンゲージメント向上」を掲げ、成長を牽引する人材ポートフォリオの構築を推進しています。一人ひとりの成長と多様な人材の掛け合わせにより戦略実行力を高めるとともに、個人および組織の成長を後押しする人材マネジメントシステムの構築を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.4歳 15.7年 7,118,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.0%
男性育児休業取得率 70.5%
男女賃金差異(全労働者) 76.4%
男女賃金差異(正規雇用) 77.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 57.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用確保率(75.5%)、障がい者雇用率(2.57%)、再雇用継続率(73%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 気候変動等地球環境の変化


地球温暖化対策としてのGHG排出削減の取組みが不十分な場合、素材間競争での劣後や事業機会の喪失につながる可能性があります。一方で、アルミニウムの環境特性を活かした製品提供は事業機会となります。同社はカーボンニュートラルへの挑戦を宣言し、リサイクル推進や省エネ等の対策を進めています。

(2) 政治環境・経済動向の変化(地政学的リスク)


顧客や仕入先、生産拠点のある国での政治・経済状況の変化、急な規制導入、治安悪化等は、販売・物流・調達コストの上昇や操業への影響を及ぼす可能性があります。同社は原材料の分散調達や在庫確保、国内外の動向モニタリング強化により対応しています。

(3) 社会的基盤となる技術や需要構造の変化


デジタル技術の進展や環境意識の高まり、代替素材との競争激化により、アルミニウム製品の需要構造が変化するリスクがあります。同社はDX推進や新ブランドによる新領域への拡販、市場動向の分析を通じて、変化に対応した新たな事業創出に取り組んでいます。

(4) 市況の激変


アルミ地金価格やスクラップ価格、エネルギー価格、為替・金利等の変動は、同社の業績や財務状況に影響を与える可能性があります。特に地金価格の変動は棚卸資産評価に影響します。同社は販売価格への転嫁スキームの整備や在庫コントロール、資金調達の多様化等で対応しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。