※本記事は、株式会社三ッ星 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
三ッ星は、ゴム電線、プラスチック電線、合成樹脂異形押出品、電熱線・帯などの製造販売を主たる業務とする企業です。同社グループは、これら多様な製品を通じて幅広い産業に貢献しています。
単体従業員数は165名、連結従業員数は326名です。セグメントは電線事業、ポリマテック事業、電熱線事業の3つです。
主な国内グループ会社は、シルバー鋼機(電熱線)、河南伸銅所(電線)、エムシーレフィラ(ポリマテック)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
三ッ星は、持続的な成長を重視し、特に「ヒト(従業員)」に重点を置いた経営方針を掲げています。人材確保と育成に力を入れ、働きがいのある職場づくりに真摯に取り組む姿勢が見られます。このような環境が、給与水準や働き方にどのように反映されているかを見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も安定している傾向が見られます。これは、長期的なキャリア形成を支援し、従業員が安心して働き続けられる環境が整っていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,487,805円 |
| 平均勤続年数 | 13.9年 |
| 平均年齢 | 40.3歳 |
| 単体従業員数 | 165人 |
| 連結従業員数 | 326人 |
| 単体のグループ内比率 | 50.6% |
同社グループは、従業員の退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。これらの制度は、国内および海外の連結子会社を含む従業員を対象としています。
退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は42百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
三ッ星グループは、人材を価値創出の源泉と位置づけ、中期経営計画において「社員一人ひとりの成長を重視し、働きがいと生活の充実を両立すること」を経営方針の一つとしています。挑戦と学びの機会を提供し、個々の能力を最大限に引き出すことで、やりがいのある仕事と安心できる待遇・環境の両立を目指しています。
給与・報酬の決定においては、物価上昇への対応だけでなく、従業員エンゲージメントの向上、優秀な人材の確保および定着を目的としています。このため、定期昇給に加え、ベースアップも適宜実施しており、新入社員の初任給引き上げも検討するなど、人材への投資を積極的に行っています。
人材確保と育成、働きがいのある職場づくりに真摯に取り組み、多様性対応も推進しています。具体的には、女性・外国人・中途採用者を中核人材として積極的に登用する方針です。
採用面では、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との不合理な待遇差の解消に努め、非正規雇用労働者の正社員登用も行っています。中途採用は即戦力としての期待と多様性確保の観点から積極的に実施しており、リファラル採用制度も導入しています。
育成面では、営業職研修や管理職研修など階層別・職種別の研修を適宜実施し、自己啓発のための資格取得支援制度も設けています。社内環境整備としては、ノー残業デーの設定や勤怠システムによる適正な勤怠管理、計画的な年次有給休暇取得制度の導入により、長時間労働の抑制と年次有給休暇の取得促進に取り組んでいます。
また、育児・介護休業等に関する法律に基づき、男性の育児休業取得促進や育児休業の分割取得を制定し、円滑な職場復帰支援や、職場復帰後の時間外労働制限、短時間勤務制度を設けるなど、仕事と育児の両立支援にも力を入れています。女性の活躍促進に向けても、仕事と育児の両方に向けた職場環境の整備や女性のキャリア形成支援に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の額の差異は、公表義務の対象ではないため記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性・外国人・中途採用者の中核人材(管理職等)への起用(従業員比率) | 7.8% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
三ッ星は、電線、合成樹脂製品、電熱線といった幅広い製品の製造販売を手がける企業です。多様な産業分野に製品を提供し、社会インフラや産業の発展を支えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、ゴム電線、プラスチック電線、合成樹脂異形押出品、電熱線・帯、その他の製造販売を主たる業務としています。事業環境としては、設備投資の持ち直しや公共投資の底堅い動きが見られる一方で、建設工事コストの上昇や労働者不足、銅価格の急騰といった影響を受けています。このような状況下で、同社グループは販売価格への転嫁や高付加価値製品の販売強化、経費削減、生産性向上などに取り組むことで収益を上げています。
同社グループの事業は、主に以下の3つのセグメントで構成されています。
電線
電線事業では、ゴム電線やプラスチック電線を生産しています。主要な市場である建設・電販分野は、首都圏や地方都市の再開発、半導体工場建設需要などの大型案件を中心に堅調に推移しています。収益は、銅価格の変動や価格改定、高付加価値製品の販売強化などから得ています。当連結会計年度の売上高は前期に比べて増加しています。
ポリマテック
ポリマテック事業では、合成樹脂異形押出品などを生産しています。新設住宅着工戸数の減少といった厳しい状況があるものの、住宅建材以外の業界への積極的なアプローチにより新規受注が増加しています。高機能チューブの売上高も前期に比べて増加しています。一方で、LED関連商品の販売は当初計画に不十分な状況が続いています。当連結会計年度の売上高は前期に比べて増加しています。
電熱線
電熱線事業では、電熱線・帯などを生産しています。産業機器向けの需要は低迷が続いていますが、自動車用ヒーターや産業ロボット用抵抗器向けは年度後半から緩やかな回復基調が見られます。主要原材料であるニッケル価格の変動や諸資材のコスト増加、人件費・諸費用の増加といった影響を受けつつも、当連結会計年度の売上高は前期に比べて増加しています。
同社グループの売上高は本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内市場が中心となっています。また、泉州電業株式会社が主要な顧客の一つとなっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 電線 | 77.0億円 | 83.5億円 |
| ポリマテック | 23.3億円 | 24.9億円 |
| 電熱線 | 8.4億円 | 8.9億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は継続して増加傾向にあります。経常利益は変動が見られたものの、直近の期では大きく増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益も同様に変動しつつ、直近の期で増加しています。当連結会計年度における連結売上高経常利益率は3.3%となり、中長期的な経営目標である3.0%以上を達成しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 91.9億円 | 99.5億円 | 103億円 | 109億円 | 117億円 |
| 経常利益 | 3.0億円 | 2.0億円 | 1.1億円 | 1.5億円 | 3.9億円 |
| 経常利益率 | 3.3% | 2.1% | 1.1% | 1.4% | 3.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.8億円 | △68百万円 | 1.2億円 | 2.2億円 | 2.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 81.82 | △19.85 | 35.92 | 62.61 | 70.62 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から増加傾向にあります。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から大きく増加しています。これらの指標の改善は、同社グループの収益体質の強化や組織の効率化が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 34.6百万円 | 36.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.4百万円 | 1.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動で得た資金を投資に回しつつも、手元に資金を残している状態を示しています。これは、安定した事業運営と将来への投資を両立している傾向にあることを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
三ッ星の財務基盤は、自己資本比率が52.0%と、プライム市場の製造業平均と比較しても高い水準を維持しています。これは、外部からの借入に過度に依存せず、安定した経営基盤を築いていることを示しています。ROE(自己資本利益率)は3.5%であり、プライム市場平均を下回る水準となっています。手元資金である現金及び預金は26.3億円に増加しており、不測の事態への耐性も備えている状況です。これらの財務状況は、同社グループが安定した事業運営を継続していく上での基盤となっていると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 66.6億円 | 72.5億円 |
| 自己資本比率 | 52.4% | 52.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.3% | 3.5% |
| 現金及び預金 | 20.4億円 | 26.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは6.3億円の獲得となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少、仕入債務の増加などによるものです。投資活動によるキャッシュフローは2.9億円の使用となっており、有形固定資産の取得による支出が主な要因となっています。本業で得た資金を将来の事業基盤強化のための投資に充てている状況です。その結果、フリーキャッシュフローは3.4億円のプラスとなり、事業活動で得た資金が投資を上回っていることを示しています。財務活動によるキャッシュフローは2.4億円の獲得となっており、株式の発行による収入や長期借入れによる収入があった一方で、長期借入金の返済や配当金の支払いも行われています。これらのキャッシュフローの状況から、同社グループは本業で安定的に資金を生み出し、成長投資を行いながらも、手元資金を確保している堅実な経営状況にあることがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.5億円 | 6.3億円 |
| 投資CF | △0.6億円 | △2.9億円 |
| 財務CF | 2.8億円 | 2.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1.0億円 | 3.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、銅やニッケル、塩化ビニル樹脂などの主要原材料の価格変動リスクを抱えています。国際的な市況や原油価格の変動が購入価格に影響を及ぼし、製品価格へのタイムリーな転嫁ができない場合に経営成績に影響を与える可能性があります。また、海外事業においては、現地経済動向や政治・社会情勢の変化、為替レートの変動が経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあることを示しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、コンプライアンス規程やマニュアルの制定、社員教育、社内管理体制の強化を通じて内部統制の充実に努めています。しかし、万一不祥事が発生した場合には、顧客や取引先の信頼を失墜させ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があることをリスクとして認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
三ッ星は、ESGを経営の中核に据え、持続的な成長を目指す企業です。環境・社会の変化に迅速に対応し、技術開発を通じて社会貢献を果たすことをミッションとしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
三ッ星の経営理念は、「環境・社会の変化を迅速かつ的確に捉え、その変化に伴うニーズに即応する技術開発を通じて、環境・社会に貢献するということをミッションとする。その基本に、コンプライアンスの徹底と、品質向上・品質管理に尽力する」と掲げています。
経営方針としては、「ESGを中核に据え、持続的な成長を実現するため、経営資源(ヒト・モノ・カネ)の充実・強化を図る」ことを重視しています。特に「ヒト(従業員)」に重点を置き、人材確保と人材育成に努めると共に、働き甲斐のある職場づくりに真摯に取り組むことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、サステナビリティを重視した経営を目指しており、中期経営計画でもESGを中核に据えた戦略に取り組んでいます。経営基本方針に則り、人材確保と人材育成に努めると共に、働き甲斐のある職場づくりに真摯に取り組むことを大切にしています。
多様性への対応も進めており、女性、外国人、中途採用者を中核人材として積極的に起用しています。また、「働きやすい職場」「やり甲斐の持てる職場」づくりを通じて、従業員のエンゲージメント向上と健康増進に尽力しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、環境・社会の変化を迅速かつ的確に捉え、ニーズに即応する技術開発を通じて社会に貢献し、安定的な収益確保と持続的成長を可能とすることを重要な課題としています。この課題解決のため、「4S(新)運動」を展開しています。
具体的には、新分野開拓、新製品創出、新顧客増強、新グローバル戦略推進に取り組んでいます。また、人的資本・多様性においては、女性・外国人・中途採用者の中核人材(管理職等)への起用を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
三ッ星は、透明性の高い経営と企業価値の向上を目指し、ステークホルダーからの信頼を得るためのガバナンス体制を経営上の最重要課題としています。取締役会の構成とガバナンス体制の特徴を理解することは、同社の経営方針や意思決定プロセスを知る上で重要です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
三ッ星の筆頭株主はスイス・プランツ有限責任事業組合であり、同社グループの資本構成を支える主要な存在です。その他、日本証券金融や有限会社杉山製作所などが上位株主として名を連ねています。特定の株主グループが経営に強い影響力を持つといった記述はありません。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| スイス・プランツ有限責任事業組合 | 6.14% |
| 日本証券金融 | 3.92% |
| 有限会社杉山製作所 | 3.52% |
| 大和証券 | 3.34% |
| FRANCIS CAPITAL INC | 2.87% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長は青木邦博氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 青木 邦博 | 代表取締役 社長 | 1971年4月大日本インキ化学工業㈱入社、2004年10月中山DIC色料有限公司董事長、2022年10月同社代表取締役社長就任より現職。 |
| 唐澤 利武 | 取締役 副社長 | 1986年4月日本航空電子工業㈱入社、2012年1月Teijin Polycarbonate Singapore Pte.Ltd.取締役社長、2024年6月同社取締役副社長就任より現職。 |
| 羽生 忍 | 取締役 | 1994年9月プラスチック工業㈱入社、2017年6月北京カナフレックス出向、2024年6月同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、上村多恵子氏(京南倉庫代表取締役)、渡邉雅之氏(弁護士法人三宅法律事務所パートナー・監査等委員)、加藤正憲氏(加藤公認会計士事務所代表・監査等委員)、吉永久三氏(元警視庁武蔵野署警部・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員全員が社外取締役で構成されています。これにより、取締役会の監督機能が強化され、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実が図られています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
三ッ星の役員報酬は、毎月支給される固定報酬としての基本報酬(金銭報酬)、毎年一定の時期に支給される業績連動報酬等(金銭報酬)、そして非金銭報酬としての株式報酬(譲渡制限付株式報酬)により構成されています。監査等委員である取締役の報酬は、業務執行から独立した立場を考慮し、業績に連動しない基本報酬のみとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 58百万円 | 19.4百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 18百万円 | 4.5百万円 |
なお、取締役(監査等委員を除く。)の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれておりません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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