※本記事は、株式会社アドバネクス の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アドバネクスグループは、日本、米州、欧州、アジアの各地域で精密ばねの製造販売を主軸に事業を展開しています。金属プレス・インサート成形部品の製造販売も手掛けており、グローバルに事業を拡大しています。
単体従業員数は363名、連結従業員数は1,913名です。セグメントは日本、米州、欧州、アジアの4つです。
国内においてはアドバネクスが精密ばねの製造販売を一手に担い、海外14社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
なお、非連結子会社であるAdvanex Deutschland GmbHは、2023年5月29日に清算決議が行われ、現在清算手続きが進められています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アドバネクスは精密ばね・金属加工分野でグローバルに事業を展開する製造業です。同社グループは、人的資本の価値最大化を持続的成長の基盤と位置付け、人材育成や働きがいの向上に積極的に取り組んでいます。専門性の高い技術力を支える人材の確保と育成に注力し、社員一人ひとりの成長と挑戦を促す環境が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
アドバネクスでは、平均年齢が43.0歳、平均勤続年数が14.5年となっており、比較的長く勤める社員が多い傾向が見られます。これは、社員が長期的なキャリアを築きやすい環境であることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,189,761円 |
| 平均勤続年数 | 14.5年 |
| 平均年齢 | 43.0歳 |
| 単体従業員数 | 363人 |
| 連結従業員数 | 1,913人 |
| 単体のグループ内比率 | 19.0% |
同社グループは、確定給付型、確定拠出型、および退職一時金制度を設けています。これらの制度は、当社および連結子会社に適用されます。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付制度における退職給付債務は12.7億円、年金資産は3.6億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
アドバネクスグループは、少子高齢化や働き方の多様化といった環境変化を踏まえ、人的資本の価値最大化を持続的成長の基盤と位置付けています。精密加工技術の継承と高度化、グローバル供給力を支える人材の確保・育成に重点を置いています。
給与等の決定にあたっては、法令を遵守し、社員とその家族の安定した生活の確保を基本としています。その上で、社員の役割・能力および成果を踏まえた公正・公平な評価に基づき処遇を決定し、価値創出に貢献する人材に適切に報いる方針です。
具体的には、人材ポートフォリオの最適化、技術・技能の強化、グローバル人材の活用、多様性と働きがいの向上、生産性向上を重点テーマとしています。社員のリスキリングを推奨・支援する制度や、資格取得報奨金制度を策定しています。
また、実践的な英語力を身に付けるための選抜型英語研修や、次世代経営幹部の育成と管理職のマネージメント力強化のための社外研修も導入しています。2023年度からは、次期幹部候補を選抜し経営会議への出席や改革・改善の提案をさせる「エグゼクティブベンチ制度」を運用しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータであり、属性が同じ男女労働者間での賃金の差異はありません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 62.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 71.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 37.5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アドバネクスは、精密ばねの製造販売を主軸に、グローバルに事業を展開する企業グループです。日本、米州、欧州、アジアの4つの地域セグメントを通じて、多様な産業に製品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、精密金属加工製品の製造・販売を主な事業としています。主力製品は精密ばね製品であり、インサート成形品やその他の製品も手掛けています。顧客との契約に基づく製品の引き渡し時に収益を認識するモデルを採用しています。
同社グループは、グローバルな生産・販売体制を構築しており、特に医療向け事業が拡大傾向にあります。米国政府による相互関税や世界経済、為替の影響など不透明な要素がある中で、事業活動を展開しています。
日本
日本セグメントでは、自動車向け製品が順調に推移しているほか、医療・精密機器・情報機器向けも好調に推移しています。一方で、OA機器向けは減少しました。収益は、精密ばね製品、インサート成形品、その他の製品の販売から得ています。
米州
米州セグメントでは、医療向け事業が引き続き拡大しており、メキシコ工場の改善も進んでいます。収益は、主に精密ばね製品とインサート成形品の販売から得ています。
欧州
欧州セグメントでは、医療向け新規事業の量産開始が遅れたものの、航空機向けが回復しました。チェコ工場での医療事業に関わる先行投資により、セグメント利益は減少しています。収益は、精密ばね製品の販売から得ています。
アジア
アジアセグメントでは、引き続き自動車・精密機器向けが好調に推移しています。収益は、精密ばね製品とインサート成形品の販売から得ています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| アジア | 106億円 | 109億円 |
| 日本 | 91.0億円 | 92.0億円 |
| 米州 | 54.1億円 | 60.1億円 |
| 欧州 | 34.0億円 | 35.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5連結会計年度の業績は、売上高が継続的に増加傾向にあり、当連結会計年度には過去最高を更新しました。経常利益も当連結会計年度に大きく改善し、親会社株主に帰属する当期純利益は前期の損失から黒字転換を果たしています。これは、新設工場への先行投資負担が収益構造の改善により軽減されたことなどが要因として挙げられます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 217億円 | 246億円 | 265億円 | 285億円 | 297億円 |
| 経常利益 | 3.5億円 | 5.9億円 | 8.3億円 | 1.7億円 | 13.4億円 |
| 経常利益率 | 1.6% | 2.4% | 3.1% | 0.6% | 4.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △82百万円 | 60百万円 | 2.7億円 | △6.3億円 | 10.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △20.01 | 14.64 | 65.46 | △153.13 | 250.40 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高(連結)は前期から増加しており、生産性の向上が見られます。また、従業員1人あたりの営業利益(連結)も前期から増加しており、収益性の改善が進んでいることを示しています。これらの指標は、同社グループの事業活動が効率化され、従業員一人ひとりの貢献が収益に結びついている状況を反映しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 15.3百万円 | 15.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.6百万円 | 0.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている段階を示しています。これにより、事業の成長基盤を強化している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は31.1%となっており、前期から増加しています。これはプライム市場の製造業平均と比較すると低い水準ですが、非製造業平均よりは高い水準です。ROE(自己資本利益率)は11.3%と、プライム市場平均を上回る水準を示しています。手元資金である現金及び預金は56.4億円と、前期から増加しており、事業運営に必要な資金を確保している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 80.9億円 | 102億円 |
| 自己資本比率 | 28.4% | 31.1% |
| ROE(自己資本利益率) | -7.7% | 11.3% |
| 現金及び預金 | 46.2億円 | 56.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが22.0億円の増加となりました。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費の資金留保が主な要因です。一方で、投資活動によるキャッシュフローは有形固定資産の取得による支出が大きく、28.7億円の減少となっています。
その結果、フリーキャッシュフローは6.6億円のマイナスとなりました。これは本業で生み出した資金を上回る規模で、将来に向けた積極的な設備投資を行っている状況を示しています。財務活動によるキャッシュフローは借入金の増加により12.9億円の増加となっており、投資資金の一部を外部からの資金調達で賄っていることがうかがえます。このような資金の流れは、事業の成長を重視し、将来の収益拡大に向けた基盤を構築している段階にあることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.1億円 | 22.0億円 |
| 投資CF | △13.0億円 | △28.7億円 |
| 財務CF | 9.1億円 | 12.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △7.9億円 | △6.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、自動車、OA機器、医療、精密機器などの民生製品向けに精密金属加工製品をグローバルに供給しており、世界経済の変動が経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。特に主要市場での景気後退や需要の縮小はリスク要因となっています。また、グローバル展開が進む中で、資産等における為替レートの変動リスクを抱えており、円安からの揺り戻しによる為替差損が発生するリスクを懸念しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの従業員退職給付費用及び退職給付引当金は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上の前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件と実際の結果が異なる場合や、前提条件が変更された場合は、将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アドバネクスグループは、精密金属加工の総合メーカーとして、グローバルな視点と変化への対応、そしてイノベーションを重視する経営理念を掲げています。地球の未来と社会の発展に貢献することを目指し、持続的な成長を追求する企業文化が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
アドバネクスグループは、「三つのコアを追求し、同社グループの企業活動を永続させることで、地球の未来、社会の発展、全てのステークホルダーの幸福実現に貢献する」ことを経営理念としています。この三つのコアとは、「Global(新しい発想でグローバルに展開する)」、「Change(社会や市場の変化を見据えて自ら変化する)」、「Innovation(常にイノベーションを起こし、新しい価値や技術を発信する)」です。これらの理念に基づき、持続的な成長と連結企業価値向上を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
アドバネクスグループは、事業の発展・永続を通じて地球や社会のサステナビリティに貢献することを経営理念としています。サステナビリティを重要な経営課題と捉え、SDGsの枠組みで事業を設定し、「すべての人に健康と福祉を」「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「住み続けられるまちづくりを」「気候変動に具体的な対策を」の実現を目指しています。
また、グローバル展開する製造業として、持続的に機能する人材育成の体系作りを重視しています。社員のリスキリングを推奨・支援する制度を策定し、柔軟な人材活用制度導入や次世代へ繋がる普遍的体系へのシフトを図ることで、サステナビリティに応じた人材育成を実現していく方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
アドバネクスグループは、持続的な成長と連結企業価値向上を図るため、企業統治の強化とグループ最適経営を重点テーマとしています。中期経営計画では、「グローバル連携・団結の強化」と「構造改革の実行」を基本方針に掲げています。
同社グループは、グローバル体制の強みを発揮できる分野において、グループ間の連携を一層強化する方針です。また、不採算拠点の構造改革を着実に進め、収益基盤の改善を図るとともに、グループ全体の最適化を目指した経営を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アドバネクスは監査役会設置会社であり、株主総会、取締役会、監査役会を設置しています。迅速な意思決定と業務運営、そして客観的かつ中立的な監視体制を重視した企業統治体制を採用しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ナラティブの「大株主の状況」を見ると、筆頭株主はAAA株式会社であり、スマート有限会社、ASADA株式会社がそれに続いています。上位株主には複数の事業会社が名を連ねており、特定の株主グループが上位に集中している傾向が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| AAA | 10.86% |
| スマート有限会社 | 10.46% |
| ASADA | 8.09% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役会長兼社長は朝田英太郎氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 朝田英太郎 | 代表取締役会長兼社長 | 1969年トピー工業株式会社入社、1974年株式会社アサダ取締役、1988年同社代表取締役。2020年同社取締役最高顧問、2023年より同社代表取締役会長兼社長現職。 |
| 吉原哲也 | 常務取締役CFO | 1990年株式会社三菱銀行(現 株式会社三菱UFJ銀行)入行。2020年同社出向、2021年同社入社、執行役員、最高財務責任者。2023年より同社常務取締役CFO現職。 |
| 加藤精也 | 常務取締役 | 1981年同社入社。2006年執行役員自動車事業部長、2009年取締役営業統括本部長、2014年常務取締役。2020年アポロ株式会社専務取締役、2025年より同社常務取締役現職。 |
社外取締役は、杉井孝氏(弁護士法人杉井法律事務所社員弁護士)、新田都志子氏(文京学院大学名誉教授)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役2名と社外監査役3名が独立役員として選任されています。社外取締役は経営の監視機能を強化し、社外監査役は客観的かつ中立的な立場で経営を監視・監督する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アドバネクスでは、取締役の報酬は固定報酬である基本報酬の割合を100%としており、業績連動報酬は設定されていません。インセンティブとしての株式報酬型ストックオプションは、株主総会で承認を得た範囲内で付与する場合があるものの、現状は付与されていない状況です。監査役の報酬は、株主総会の決議による報酬総額の範囲内で、監査役会の協議により決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 社外取締役 | 2名 | 11百万円 | 5.3百万円 |
| 監査役 | 3名 | 24百万円 | 8.2百万円 |
| うち社外監査役 | 3名 | 24百万円 | 8.2百万円 |
役員報酬等の総額は34,979千円であり、対象となる役員の合計人数は5名です。なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
個人別報酬が開示されている役員は存在しません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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