コロナ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 コロナ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コロナは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、暖房機器、空調・家電機器、住宅設備機器の製造販売を主力事業とする企業です。直近の業績は、主力の住宅設備機器が堅調に推移し増収となった一方、販売費や一般管理費などの増加により経常利益は減益となりました。持続的な成長に向けた事業領域の拡大に注力しています。


※本記事は、株式会社コロナの有価証券報告書(第78期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コロナってどんな会社?


暖房機器や空調・家電機器、住宅設備機器の製造販売を展開し、快適で環境にやさしい生活の実現に貢献する企業です。

(1) 会社概要


1937年に創業者が個人で石油コンロの製造を開始したのが始まりです。1950年に内田製作所を設立し、わが国初の加圧式石油ストーブの生産を開始しました。1992年に現在の社名であるコロナに変更しています。1996年には新潟証券取引所に上場し、2006年に東京証券取引所市場第一部へ指定されました。

現在の従業員数は、連結で2,083名、単体で1,548名です。筆頭株主はコロナ興産で、第2位は公益財団法人内田エネルギー科学振興財団です。第3位には主要取引金融機関である第四北越銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
コロナ興産 37.81%
公益財団法人内田エネルギー科学振興財団 8.07%
第四北越銀行 4.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は大桃満氏が務めており、社外取締役の比率は18.2%です。

氏名 役職 主な経歴
大桃満 代表取締役社長 1990年同社入社。執行役員経理部長、常務取締役、取締役副社長などを経て、2022年4月より現職。
杵渕学 代表取締役専務上席執行役員製造本部統括 1989年同社入社。三条工場長、常務取締役上席執行役員などを経て、2024年6月より現職。
西山昭彦 常務取締役上席執行役員技術本部統括 オリンパス光学工業を経て、1995年同社入社。執行役員技術本部長などを歴任し、2026年3月より現職。
稲田昭弘 常務取締役上席執行役員総合企画部担当 1984年同社入社。執行役員総合企画室部長、取締役を経て、2023年6月より現職。
内田高志 常務取締役上席執行役員総合企画部長 2011年同社入社。取締役上席執行役員総合企画部統括部長などを経て、2025年3月より現職。
髙木修哉 取締役上席執行役員総務部統括 河合楽器製作所を経て、1991年同社入社。執行役員総務部長などを歴任し、2026年3月より現職。
西村常男 取締役上席執行役員技術本部担当・住設商品開発グループ部長 研精舎を経て、1997年同社入社。取締役上席執行役員などを歴任し、2026年3月より現職。
坂上芳仁 取締役上席執行役員購買部長 1992年同社入社。執行役員購買部長、取締役を経て、2023年6月より現職。
本間貴昭 取締役(常勤監査等委員) 北越銀行(現第四北越銀行)を経て、2023年同社入社。広報室長などを経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、小出忠由氏(公認会計士・税理士)、平石広佳氏(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「暖房機器」「空調・家電機器」「住宅設備機器」および「その他」事業を展開しています。

(1) 暖房機器


石油ファンヒーターなどの暖房機器を製造・販売しています。消火時のにおいを抑える機能や低消費電力を実現した製品のほか、アウトドア向けの「OUTFIELD」ブランドなど、多様なニーズに応える製品を展開しています。

製品の販売による収益を主な収益源としています。事業の運営は主に同社が担い、製造は新井コロナや今町コロナなどの子会社も行っています。販売は大和興業などの子会社を通じても展開されています。

(2) 空調・家電機器


ルームエアコンや衣類乾燥除湿機、加湿器などの空調・家電機器を製造・販売しています。高い省エネ基準を達成したエアコンや、コンパクトで静音性に優れた加湿器など、清潔性と快適性を追求した製品を提供しています。

製品の販売を通じて顧客から対価を受け取っています。事業の運営は同社を中心に行われており、新井コロナや今町コロナなどの子会社が製造を担うとともに、大和興業などの販売子会社を通じて市場へ提供されています。

(3) 住宅設備機器


エコキュートや電気温水器、ヒートポンプ式温水暖房機などの住宅設備機器を製造・販売しています。環境に配慮した自然冷媒の採用や、停電・断水時にも使用できるレジリエンス性の高い製品を展開しています。

製品の販売を主な収益源とし、一部は管工事やシステム設計、施工などのサービスを通じても収益を得ています。事業の運営は同社を中心に行われ、製造は栃尾コロナなどの子会社が、施工やメンテナンスはサンライフエンジニアリングが行っています。

(4) その他


主力製品群に含まれない事業として、物流やサービス、不動産賃貸などの事業活動を行っています。製品のアフターサービスや、住宅のハウスクリーニング、リフォーム、損害保険代理業などを展開しています。

サービスの提供や不動産賃貸料、運送取扱などによる収益を得ています。倉庫管理や物流業務はコロナ物流が、アフターサービスはコロナサービスが担い、不動産賃貸等はコロナリビングサービスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は800億円台で安定して推移しており、堅調な事業基盤を維持しています。一方、経常利益および当期利益については、原材料価格の高騰やコスト増加の影響を受け、直近にかけて減少傾向が続いています。収益性の改善が今後の課題と言えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 786億円 853億円 820億円 852億円 853億円
経常利益 12億円 23億円 18億円 17億円 13億円
利益率(%) 1.5% 2.7% 2.2% 2.0% 1.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 8億円 12億円 10億円 8億円 7億円

(2) 損益計算書


売上高は前年と同水準を維持していますが、営業利益は減少しています。原価低減や生産性向上の取り組みを進めたものの、原材料価格の上昇などが影響し、売上総利益は横ばいとなりました。また、人件費や研究開発費の増加により販売費及び一般管理費が上昇し、営業利益を押し下げる要因となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 852億円 853億円
売上総利益 184億円 184億円
売上総利益率(%) 21.6% 21.5%
営業利益 13億円 9億円
営業利益率(%) 1.6% 1.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が53億円(構成比30%)、運賃荷造費が33億円(同19%)を占めています。売上原価については、材料費が417億円(構成比69%)、外注加工費が108億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の住宅設備機器は、政府の補助金制度を活用した販売促進や価格転嫁が進んだことで増収を牽引しました。一方、暖房機器は気温が高く推移した影響で販売が伸び悩み、空調・家電機器も競争激化や天候不順により売上が減少しました。全体としては住宅設備機器の伸びが減少分を補う形となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
暖房機器 238億円 233億円
空調・家電機器 151億円 138億円
住宅設備機器 401億円 424億円
その他 62億円 59億円
連結(合計) 852億円 853億円


営業CF、投資CF、財務CFのすべてがマイナスとなっており、本業での資金流出に加え、投資や財務活動でも資金が減少している状況です。資金繰りに注意が必要な局面と言えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -4億円 -7億円
投資CF -27億円 -18億円
財務CF -8億円 -8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「あなたと共に夢・・・新たなライフシーン・・・を実現し、お客様に喜んでいただけるコロナ」を企業理念に掲げています。快適・健康で環境にやさしい心豊かな生活になくてはならない存在を目指し、商品・サービスを通じた価値創造を追求しています。また、「快適で心はずむ毎日」「環境にやさしい暮らし」「だれでもいつでも安心な社会」を企業ミッションとし、持続可能な社会への貢献に注力しています。

(2) 企業文化


同社は、創業精神である「誠実と努力」を重んじ、社員一人ひとりの「貢献とチャレンジ」を評価する組織文化を育んでいます。多様な個性を尊重し、従業員を企業価値創造の源泉である「かけがえのない財産」と捉え、安全・安心な職場づくりや柔軟な働き方を推進しています。各部門の自律的な取り組みを促しつつ、組織全体で品質向上や環境配慮に向けた意識を高める風土が根付いています。

(3) 経営計画・目標


創業90周年を見据えた「2026ビジョン」と「第10次中期経営計画(2025年度~2027年度)」を策定し、利益ある成長と新規領域への挑戦を進めています。持続可能な社会への貢献と高コスト体質の改善を経営の最重要課題と位置づけ、収益力の向上を目指しています。

* 2027年度 連結売上高:874億円
* 2027年度 連結経常利益:15億円
* 2027年度 連結経常利益率:1.7%

(4) 成長戦略と重点施策


脱炭素社会に向けた事業ポートフォリオの再構築として、CO2排出量削減に寄与する機器や高いレジリエンス性を持つ製品の拡販に注力しています。また、家庭内の不安軽減からアウトドアでの快適・楽しさを生み出す領域への事業拡大を進めています。さらに、社内制度や開発プロセスの見直しによる経営基盤の再構築を図り、従業員の働きがいの向上を通じた利益体質への転換を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財活力の向上」を中期経営計画の機能戦略と位置づけ、従業員の能力と貢献意欲が最大限に引き出される状態を目指しています。女性の活躍促進をはじめとした多様な個性の尊重や、継続的な教育機会の提供を通じた成長支援を行う「人材育成方針」を策定しています。また、安全・安心な職場環境の構築や、柔軟な働き方を支援する「社内環境整備方針」により、ワーク・ライフ・バランスの推進を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.4歳 19.6年 5,479,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.5%
男性育児休業取得率 105.0%
男女賃金差異(全労働者) 72.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 73.4%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 69.0%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、労働災害発生件数(9件)、年次有給休暇取得率(72.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営環境の変動と業績の季節性


暖房機器は秋から冬にかけて売上が集中する傾向があり、気候や気温の変動が業績に影響を与える可能性があります。また、主力の石油暖房機や給湯機は灯油を熱源とするため、原油価格高騰による灯油価格の上昇が消費者の買い控えや他熱源への転換を招くリスクがあります。

(2) 脱炭素化に向けた環境規制の強化


地球温暖化に対する関心の高まりや脱炭素社会の実現に向けた政府の規制強化が進む中で、化石燃料を使用する製品の製造・販売が将来的に制限されるリスクがあります。同社は再生可能エネルギーを利用する製品や環境負荷の低い製品の開発を急ぎ、このリスクに対応しています。

(3) 原材料・部品の価格変動と調達難


原材料や部品の多くを外部から調達しており、国際的な政治経済の動向、商品相場、為替変動による価格上昇が収益を圧迫するリスクがあります。また、購入先が限定されている特殊な部品もあり、サプライチェーンの寸断や納入遅延が発生した場合、製品供給に支障をきたす恐れがあります。

(4) 自然災害・感染症による事業停止


生産拠点が新潟県内に集中しているため、大規模な地震や雪害などの自然災害が発生した場合、生産能力が著しく低下するリスクがあります。さらに、未知の感染症の世界的な流行が生じた際には、物流網の寸断や人的資源への影響により、事業活動に深刻な損害が生じる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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