コロナ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 コロナ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場し、暖房機器や空調・家電機器、住宅設備機器の製造・販売を行う企業です。当連結会計年度は、住宅設備機器や空調・家電機器の販売が好調に推移し増収となった一方、原材料価格の上昇等により経常利益は微減、当期純利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社コロナ の有価証券報告書(第77期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コロナってどんな会社?


石油暖房機器やヒートポンプ給湯機「エコキュート」などを主力とする、新潟県三条市発祥の住宅関連機器総合メーカーです。

(1) 会社概要

1937年に創業者が石油コンロの製造を開始し、1950年に株式会社内田製作所を設立しました。1955年に国内初の加圧式石油ストーブ生産を開始し、2001年には世界初の自然冷媒ヒートポンプ給湯機「エコキュート」を販売開始しました。2006年に東京証券取引所市場第一部へ指定され、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。

連結従業員数は2,110名、単体では1,558名が在籍しています。筆頭株主は資産管理会社の株式会社コロナ興産で、第2位は公益財団法人、第3位は地方銀行の株式会社第四北越銀行です。創業家に関連する資産管理会社や財団法人が大株主として名を連ねており、安定した株主構成となっています。

氏名 持株比率
コロナ興産 37.86%
公益財団法人内田エネルギー科学振興財団 8.08%
第四北越銀行 4.51%

(2) 経営陣

同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は大桃満氏です。社外取締役比率は16.7%です。

氏名 役職 主な経歴
大桃 満 代表取締役社長 1990年同社入社。執行役員経理部長、IT企画室担当などを経て、2021年代表取締役副社長、2022年4月より現職。
杵渕 学 代表取締役専務上席執行役員製造本部統括 1989年同社入社。製造本部柏崎工場長、三条工場長、常務取締役製造本部長などを経て、2024年6月より現職。
西山 昭彦 常務取締役上席執行役員技術本部長・研究開発センター部長 1982年オリンパス光学工業(現オリンパス)入社。1995年同社入社。技術本部副本部長、空調商品開発グループ部長などを経て、2021年常務取締役就任。
塩田 清貴 常務取締役上席執行役員営業本部担当 1982年同社入社。金沢支店長、名古屋支店長、首都圏支店長、営業本部長などを経て、2023年常務取締役就任。
稲田 昭弘 常務取締役上席執行役員総合企画部担当 1984年同社入社。執行役員総合企画室部長、取締役執行役員総合企画部長を経て、2023年常務取締役就任。
内田 高志 常務取締役上席執行役員総合企画部長 2011年同社入社。経理部特任部長、執行役員総合企画室統括を経て、2025年3月より現職。
髙木 修哉 取締役上席執行役員総務部長 1985年河合楽器製作所入社。1991年同社入社。執行役員総務部長を経て、2020年取締役就任。
西村 常男 取締役上席執行役員技術本部副本部長・住設商品開発グループ部長兼渉外部担当 1985年研精社入社。1997年同社入社。技術本部副本部長などを経て、2021年取締役就任。
坂上 芳仁 取締役上席執行役員購買部長 1992年同社入社。執行役員購買部長を経て、2022年取締役就任。
竹内 明 取締役(常勤監査等委員) 1984年同社入社。営業本部新潟支店長、同執行役員などを経て、2023年6月より現職。


社外取締役は、小出忠由(公認会計士・税理士)、平石広佳(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「住宅関連機器」事業および「その他」事業を展開しています。

(1) 暖房機器

石油ファンヒーター、石油ストーブ、寒冷地向け石油暖房機、電気暖房機などを一般消費者向けに提供しています。主力製品は冬場の需要が高く、家庭の快適な暮らしを支える製品群です。

製品の販売を通じて、卸売業者や販売店、エンドユーザーから対価を得ています。運営は主に同社が中心となり、製造子会社の株式会社新井コロナ、株式会社今町コロナなどが製造を担当し、販売子会社を通じて全国に展開しています。

(2) 空調・家電機器

ルームエアコン、除湿機、加湿器、美容健康機器などを提供しています。「ReLaLa」ブランドのエアコンや、衣類乾燥除湿機などが主力製品であり、季節に応じた快適な室内環境を提供しています。

製品販売による対価が主な収益源です。製造は同社および株式会社新井コロナ、株式会社栃尾コロナなどが担い、販売は同社および大和興業株式会社などの販売子会社が行っています。

(3) 住宅設備機器

エコキュート(自然冷媒ヒートポンプ給湯機)、石油給湯機、温水暖房システム、ヒートポンプ式温水床暖房などを提供しています。省エネ性能の高い製品を通じて、環境配慮型の住宅設備ニーズに応えています。

製品の販売および施工サービスの対価を収益としています。同社が中心となって製造・販売を行い、株式会社サンライフエンジニアリングがシステム設計・施工・メンテナンスサービスを提供しています。

(4) その他

不動産賃貸、倉庫管理、アフターサービス、ハウスクリーニング・リフォーム、損害保険代理店業務などを行っています。これらは住宅関連機器事業を補完し、顧客の住生活をトータルでサポートする役割を担っています。

不動産賃料、倉庫保管料、サービス料、保険手数料などを収益源としています。不動産賃貸は主に同社、倉庫管理はコロナ物流株式会社、アフターサービスはコロナサービス株式会社、リフォーム等はコロナリビングサービス株式会社が運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 816億円 786億円 853億円 820億円 852億円
経常利益 13億円 12億円 23億円 18億円 17億円
利益率(%) 1.6% 1.5% 2.7% 2.2% 2.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 8億円 12億円 10億円 8億円


売上高は800億円前後で推移しており、2023年3月期以降は850億円規模まで回復傾向にあります。利益面では、2023年3月期に経常利益23億円と高い水準を記録しましたが、その後は原材料価格の高騰等の影響を受け、利益率は2%台前半で推移しています。当期は増収ながらも経常利益は微減となりました。

(2) 損益計算書

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 820億円 852億円
売上総利益 180億円 184億円
売上総利益率(%) 22.0% 21.6%
営業利益 14億円 13億円
営業利益率(%) 1.7% 1.6%


売上高は増加しましたが、売上原価率の上昇により売上総利益率は若干低下しました。販売費及び一般管理費も増加したため、営業利益は前期比で微減となり、営業利益率は1.6%で横ばいに近い推移となりました。コスト増を増収効果で吸収しきれなかった形です。

販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が52億円(構成比30%)、運賃荷造費が33億円(同19%)を占めています。売上原価においては、材料費や外注加工費などが主な構成要素となります。

(3) セグメント収益


当期は暖房機器が暖冬の影響などで減収となりましたが、空調・家電機器は猛暑や製品力強化により増収、住宅設備機器もエコキュートの販売好調により増収となり、全体では増収を達成しました。単一セグメントのため、製品種類別の売上高を記載します。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
暖房機器 264億円 238億円
空調・家電機器 132億円 151億円
住宅設備機器 359億円 401億円
その他 65億円 62億円
連結(合計) 820億円 852億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、自己資金で運転資金及び設備投資等を賄うことを基本としており、借入残高もなく十分な流動性を確保しています。

営業活動では、利益や棚卸資産の減少等により資金が増加した一方、売上債権の増加や仕入債務の減少、税金の支払い等により資金が減少しました。投資活動では、有価証券の売却等で資金が増加したものの、定期預金や固定資産、投資有価証券の取得等により資金が減少しました。財務活動では、配当金の支払により資金が減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -2億円 -4億円
投資CF -3億円 -27億円
財務CF -9億円 -8億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は、企業理念として「あなたと共に夢・・・新たなライフシーン・・・を実現し、お客様に喜んでいただけるコロナ」を掲げ、快適・健康で環境にやさしい心豊かな生活に不可欠な存在となることを目指しています。また、企業ミッションとして「快適で心はずむ毎日」「環境にやさしい暮らし」「だれでもいつでも安心な社会」の3つを定め、事業を通じて価値創造の実現を目指しています。

(2) 企業文化

同社は、広く社会や環境に貢献する存在であることを重視し、商品・サービスなどの事業活動を通じて安心でレジリエンスな社会の実現に貢献する姿勢を持っています。持続可能な社会の実現に向け、環境問題解決や健康的な生活の継続に寄与することを重要視しており、誠実なものづくりと社会貢献を大切にする文化があります。

(3) 経営計画・目標

2027年に創業90周年を迎えることを見据えた「2026ビジョン」に基づき、第10次中期経営計画(2025年度~2027年度)を推進しています。最終年度となる2027年度の数値目標として、以下を掲げています。

* 連結売上高:878億円
* 連結経常利益:20億円
* 連結経常利益率:2.3%

(4) 成長戦略と重点施策

同社は「2026ビジョン」において、「脱炭素社会への貢献 レジリエンスな社会」「快適の進化 暮らしの質向上」「利益体質への転換」を掲げています。第10次中期経営計画では、脱炭素社会に向けた事業ポートフォリオの再構築としてCO2排出量削減に寄与する機器の拡大を進めるとともに、「楽」から「楽しい」への事業領域拡大として、家事負担軽減やアウトドア関連の商品・サービスを展開します。また、経営基盤の再構築として、社内制度や業務プロセスの見直しを行い、従業員の働きがい向上にも取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社は人材を「かけがえのない財産」と捉え、「人財活力の向上」を重点施策としています。人材育成方針として、多様な個性の尊重とOJT・Off-JTによる教育機会の提供を通じて従業員の成長を促します。また、社内環境整備方針に基づき、安全衛生活動の充実やワーク・ライフ・バランスを重視した制度を整備し、男女ともに働きやすい環境づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.3歳 19.8年 5,536,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.5%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 71.7%
男女賃金差異(正規) 72.6%
男女賃金差異(非正規) 68.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒採用に占める女性労働者の比率(32.7%)、年次有給休暇取得率(70.7%)、女性正規雇用労働者に占める役職者比率(16.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業績の季節変動

同社グループの製品構成において、暖房機器は秋から冬にかけての第3四半期に売上が集中する傾向があります。また、暖房機器および空調・家電機器の売上は気候や気温の影響を受けやすく、暖冬や冷夏などの気候変動が業績に影響を与える可能性があります。

(2) 灯油価格の変動

主力製品である石油暖房機や石油給湯機の燃料は灯油であり、原油価格や為替相場の影響を受けて灯油価格が高騰した場合、買い控えや他熱源への転換が進む可能性があります。これにより、同社グループの事業や業績に影響が及ぶリスクがあります。

(3) 気候変動に関する規制

脱炭素社会の実現に向けた政府の規制強化により、将来的には化石燃料を使用する製品の製造・販売が規制される可能性があります。石油燃焼機器を主力事業の一つとする同社グループにとって、こうした規制の動向は事業や業績に影響を与える可能性があります。

(4) 原材料等の価格変動及び調達

原材料や部品の価格は市況や為替の影響を受けて変動するため、これらの価格高騰は業績に影響を及ぼす可能性があります。また、サプライチェーンにおける自然災害や地政学的リスク等により調達遅延が発生した場合、製品供給に支障をきたすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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