※本記事は、株式会社和井田製作所 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
和井田製作所グループは、主に金型関連業界および切削工具関連業界向けのCNC研削盤の開発、製造、販売、修理を手掛ける工作機械メーカーです。精密工作機械技術、研削加工技術、制御技術をコアとし、電子部品、自動車部品など幅広い分野の顧客に製品を提供しています。
単体従業員数は172名、連結従業員数は198名です。同社グループの事業セグメントは単一です。
国内においては和井田製作所が生産・販売を一手に担い、海外4社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
和井田製作所は、従業員の定着性が高く、経験豊富な人材が活躍している企業です。多様な人材が能力を最大限に発揮できる職場環境づくりに力を入れており、仕事と家庭の両立支援にも積極的な取り組みが見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、従業員が長期にわたって安定して働き続ける傾向があると考えられます。経験を積んだベテラン社員が多数在籍し、組織を支えている様子がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,046,000円 |
| 平均勤続年数 | 16.0年 |
| 平均年齢 | 42.7歳 |
| 単体従業員数 | 172人 |
| 連結従業員数 | 198人 |
| 単体のグループ内比率 | 86.9% |
同社は退職一時金制度と確定拠出年金制度を併用しています。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、当連結会計年度末における退職給付に係る負債は2.7億円、確定拠出制度への要拠出額は22百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
和井田製作所グループは、従業員一人ひとりを成長を支える重要な存在と位置づけ、多様な人材が仕事と家庭を両立しながら最大限の能力を発揮できる職場環境と企業風土の醸成を基本方針としています。年齢、国籍、性別等による区別なく、意欲と能力のある従業員が平等に管理職登用の機会を得られるよう、人事評価制度とキャリアプランを整備し、人材の成長と活躍を継続的に支援しています。
給与やその他の給付は、職務内容と職務成果を総合的に勘案した公正かつ透明性の高い人事評価に基づいて決定されます。物価動向や労働市場の変化を踏まえ、適切な賃金水準の確保に努める方針です。
具体的には、女性従業員が活躍できる職場環境づくりやワーク・ライフ・バランス実現に向けた支援を積極的に推進しています。育児休業制度、介護休業制度、小学校就学までの短時間勤務制度に加え、時間単位で取得可能な子の看護休暇・介護休暇などを導入し、ハラスメント禁止条項を規程に定めることで制度を利用しやすい企業風土の醸成を図っています。また、休業者が希望する場合には職場復帰プログラムを実施し、女性従業員をはじめ多様な人材が活躍できる意識醸成と職場環境の構築に努めています。人材育成においては、目標管理による評価制度や階層別研修、定期的な上司と部下の個別面談を通じて、従業員のキャリア形成を支援しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
指標及び目標
当社では、男女が公平に採用・登用される雇用環境を整備することを目的として、採用者に占める女性比率を20%以上とする目標を掲げています。この目標は2026年3月31日まで、および2026年4月1日から2030年3月31日までの新たな行動計画においても継続されます。
また、育児休業制度については、男性の育児休業取得を推進した結果、2026年3月期における男性従業員の育児休業取得率は100.0%となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 採用者に占める女性比率(目標) | 20.0%以上 |
| 男性従業員の育児休業取得率(2026年3月期) | 100.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
和井田製作所グループは、主に金型関連業界と切削工具関連業界向けに、CNC研削盤の開発、製造、販売、修理を手掛けています。長年培ってきた精密工作機械技術、研削加工技術、制御技術をコアとして、顧客の要望に応じた製品とサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、精密工作機械技術、研削加工技術、制御技術を活かし、精密工作機械を製造しています。主な製品は金型関連研削盤と切削工具関連研削盤であり、顧客のニーズを的確に把握した独創的な製品開発を最優先しています。少ロット生産方式を採用し、1台生産から対応することで、顧客に求められる機械づくりを継続しています。
収益は、金型関連研削盤、切削工具関連研削盤、その他の機械の販売、およびアフターサービス(有償修理)やメンテナンス部品の提供から得ています。当連結会計年度の売上高は66.59億円で、そのうち金型関連研削盤が48.0%、切削工具関連研削盤が35.5%、アフターサービスが16.0%を占めています。
海外展開にも注力しており、中国、北米、ヨーロッパに連結子会社を設置し、営業活動を行っています。当連結会計年度では、中国向けの販売は増加しましたが、国内およびその他の海外地域向けの販売は減少しました。海外売上高は全体の約56.5%を占めています。特定の外部顧客への売上高が連結売上高の10%以上を占める相手先はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で一度増加した後、横ばいを経て当連結会計年度に減少しました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、一度増加した後、継続して減少傾向にあります。
当連結会計年度の売上高は前年同期比で11.8%減少し、営業利益は64.1%減、経常利益は51.6%減、親会社株主に帰属する当期純利益は36.6%減となりました。この減少は、米国の関税措置への懸念による設備投資への慎重姿勢、イラン情勢悪化に起因する海上輸送の混乱、海外展開に係る経費の増加、将来に向けた設備投資に伴う償却負担増、研究開発費率の増加などが要因となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 64.9億円 | 75.8億円 | 75.4億円 | 75.5億円 | 66.6億円 |
| 経常利益 | 10.4億円 | 12.1億円 | 10.9億円 | 7.3億円 | 3.6億円 |
| 経常利益率 | 16.1% | 16.0% | 14.5% | 9.7% | 5.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 6.9億円 | 8.7億円 | 7.3億円 | 4.4億円 | 2.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 107.62 | 134.30 | 112.24 | 66.95 | 42.34 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から当期にかけて減少しています。同様に、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から当期にかけて減少しました。これらの指標の減少は、当連結会計年度における売上高と営業利益の減少傾向を反映しており、会社の生産性や収益体質に影響を与えている状況です。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 38.5百万円 | 33.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.6百万円 | 1.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務基盤と資金の流れから、経営の安定性について確認します。本業で得た資金を元手に、将来に向けた投資も行いながら事業を展開している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は高い水準にあり、前期からさらに向上しています。これは、製造業のプライム市場平均と比較しても高い水準を示しています。
一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準となっています。
手元資金である現金及び預金は、前期から増加しており、潤沢な資金を保有している状況です。
これらの財務状況は、同社グループが安定した経営基盤を維持し、事業活動を継続していく上での強みであると言えます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 104億円 | 106億円 |
| 自己資本比率 | 81.5% | 84.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.3% | 2.6% |
| 現金及び預金 | 48.1億円 | 48.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローは、前期に比べて減少したものの、引き続きプラスを維持しています。これは、本業で安定的に資金を生み出していることを示しています。
投資活動によるキャッシュフローは、前期に比べて支出が増加しています。有形固定資産や無形固定資産の取得、定期預金の預け入れなど、将来に向けた投資を継続している状況です。
財務活動によるキャッシュフローは、前期に比べて支出が大幅に増加しています。これは、長期借入金の返済や配当金の支払いによるものです。
営業活動で得た資金が投資活動による支出を上回るフリーキャッシュフローはプラスとなっており、本業で稼いだ資金を元手に、事業の成長に向けた投資を行いながらも、資金の余剰を生み出している状況です。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた基盤を築いていることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる要素であると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.2億円 | 7.4億円 |
| 投資CF | △4.0億円 | △4.4億円 |
| 財務CF | △12百万円 | △4.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 5.2億円 | 3.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの所属する工作機械業界は売上の変動が極めて大きい業界であり、景気循環サイクルの影響による売上高の増減が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
主力製品である金型関連研削盤と切削工具関連研削盤の売上高に占める割合が高く、これらの業界の設備投資動向に業績が連動する側面があります。
また、海外売上高の割合も高く、各海外地域の景気変動や政情変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの製品製造には高い技術が求められるため、専門技術を持つ人材の確保と育成が事業継続において重要です。スキル保有者の退職や人材不足により、次世代への技術継承が滞る場合、将来の事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
和井田製作所は、精密工作機械製造技術を核に、お客様との対話を通じて独創的な機械を提供し続けることを重視しています。技術の継続的な進化と顧客満足の追求を通じて、特殊研削盤分野でのトップメーカーを目指す企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、精密工作機械製造技術、制御技術、研削加工技術を基盤としています。お客様との直接対話から生まれた独創的な工作機械を、最良の品質と最善のコストで提供することを経営の基本方針としています。
コア技術と製品を継続的に進化させ、お客様のさらなる満足に応えることを目指しています。特殊研削盤分野におけるトップメーカーとなることをビジョンに掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、従業員を成長を支える重要な存在と認識し、多様な人材が仕事と家庭を両立し、最大限の能力を発揮できる職場環境と企業風土の醸成に取り組んでいます。特に女性従業員が活躍できる職場環境づくりやワーク・ライフ・バランスの実現を積極的に推進しています。
育児休業制度や介護休業制度、短時間勤務制度、時間単位の子の看護休暇・介護休暇などを導入し、ハラスメント禁止条項を規程に定めることで、制度を利用しやすい企業風土の向上を図っています。また、年齢、国籍、性別等に関わらず、意欲と能力のある従業員が平等に管理職登用への機会を得られるような人事評価とキャリアプランを整備しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、ニッチ市場に特有の課題として、市場規模の限定性や販売先の特定の業種への集中による景気変動の影響を受けやすさを認識しています。また、少子高齢化による人手不足、サプライチェーンの混乱、原材料費の高騰といった外部環境のリスクにも直面しています。
これらの課題に対し、経営基盤の強化を図るため、熟練技術者の雇用継続と次世代への技術継承を促進しています。定年延長制度の導入や、雇用条件の改善、地域連携型のインターンシップを通じて積極的な人材確保に取り組んでいます。製品品質の向上やアフターサービス、各種ソリューションサービスの拡充により、お客様の信頼を獲得し、営業基盤を強化することで安定的な収益確保に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が取締役会の監督機能を強化する体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は和井田光生氏であり、上位株主には和井田俶生氏など創業家関係者が複数名を占めています。また、従業員持株会も上位に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 和井田 光生 | 6.68% |
| 和井田 俶生 | 4.99% |
| 十六銀行 | 4.92% |
| 三菱UFJ銀行 | 3.92% |
| 合同会社センス | 3.30% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は和井田光生氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 和井田 光生 | 代表取締役会長兼社長 | 1971年6月同社入社、2006年9月代表取締役社長、2014年4月代表取締役会長兼社長、2025年6月代表取締役会長兼社長より現職。 |
| 久保 朝義 | 取締役副会長 | 1976年11月同社入社、2000年9月取締役営業部長、2010年9月専務取締役、2018年6月代表取締役副社長、2024年6月取締役副会長より現職。 |
| 比良 謙吾 | 常務取締役営業本部長 兼 海外営業部長 兼 販売企画部長 | 1998年1月同社入社、2014年6月営業部長、2021年6月取締役営業部長、2024年6月常務取締役営業本部長より現職。 |
| 疋田 寿久 | 常務取締役技術本部長 | 1988年10月同社入社、2020年5月技術部長、2022年6月取締役技術部長、2024年6月常務取締役技術本部長より現職。 |
| 上小家 崇 | 取締役 管理本部長 兼 経営企画部長 兼 法務部長 | 1991年4月十六銀行入行、2022年1月同社内部監査室長、2025年6月取締役管理本部長より現職。 |
社外取締役は、山下英一氏(山下英一税理士事務所開設・監査等委員)、中屋利洋氏(中屋利洋法律事務所開設・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役3名のうち2名が社外取締役です。これにより、取締役の業務執行に対する客観的な監査・監督体制を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の継続的な向上を目指し、業績との連動性を重視した制度設計となっています。報酬は、固定報酬である役員報酬、業績連動報酬である役員賞与、そして非金銭報酬である譲渡制限付株式報酬の3つの要素で構成されています。これらの報酬は、役位や業績などを総合的に考慮し、バランスの取れた支給割合が設定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 1.3億円 | 21.1百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 12百万円 | 11.9百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 18百万円 | 5.9百万円 |
当事業年度における役員報酬等の総額は155百万円で、支給対象となった役員の総数は10名です。
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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