東京自働機械製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 東京自働機械製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京自働機械製作所はスタンダード市場に上場し、包装機械や生産機械の製造販売を展開する企業です。直近の業績は、生産機械事業における大型プロジェクトの売上減少が影響し、減収減益となっています。一方で包装機械事業は菓子・食品業界向けの自動化需要を取り込み増収を達成しており、今後の回復と成長が期待されます。


※本記事は、株式会社東京自働機械製作所の有価証券報告書(第77期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 東京自働機械製作所ってどんな会社?


包装機械および生産機械の製造販売を展開し、自動化や省力化ニーズに応える機械メーカーです。

(1) 会社概要


1908年に個人創業し、1944年に島根工業として改組後、1949年に現在の東京自働機械製作所に改称しました。1961年にたばこ包装機械の開発に成功し、1963年に東京証券取引所に上場しています。その後、1973年に廃棄物処理システム分野へ進出、2007年には生産機械の製造受託を包装機械と並ぶ事業領域として位置づけました。

従業員数は278名です。筆頭株主は外国法人のINTERACTIVE BROKERS LLCで、第2位と第3位にはそれぞれ明治安田生命保険とみずほ信託銀行といった金融機関が名を連ねています。

氏名 持株比率
INTERACTIVE BROKERS LLC 7.35%
明治安田生命保険 5.40%
みずほ信託銀行 4.84%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は佐藤康公氏が務めており、取締役における社外取締役の比率は33.3%となっています。

氏名 役職 主な経歴
佐藤康公 代表取締役社長 1986年同社入社、千住金属工業の取締役を経て、2010年同社監査役。取締役執行役員等を経て、2022年より現職。
山本治男 取締役会長 1973年同社入社。総務部長、取締役管理部長、取締役営業部長等を経て、2009年代表取締役社長。2024年より現職。
渡邉義達 取締役営業統括兼国際部長 1988年同社入社。柏工場長、執行役員等を経て、2022年取締役執行役員、2024年取締役上席執行役員営業本部長等を経て、2026年より現職。
吉田英司 取締役設計・製造統括兼CS部長 1987年同社入社。MG営業部長、執行役員等を経て、2022年取締役執行役員、2024年取締役上席執行役員等を経て、2026年より現職。


社外取締役は、長友康夫(元三菱化学エンジニアリング常務取締役)、武田康孝(元テレビ東京常務取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「包装機械」および「生産機械」の事業を展開しています。

(1) 包装機械


菓子・食品業界を中心に、各種上包機、製袋充填機、箱詰機、各種ラインシステム、圧縮梱包機、たばこ関連機械などの製造販売を行っています。人手不足や自動化需要に応える設備を提供し、環境に配慮した技術開発も進めています。

顧客への製品販売および関連サービスから収益を得るモデルです。運営は主に東京自働機械製作所が行うほか、関連会社の東京施設工業が製造の一部を担う体制で展開しています。

(2) 生産機械


特定の海外顧客をはじめとする製造業向けに、各種生産ライン、組立機械、各種検査装置などの生産設備の製造販売を行っています。顧客の設備投資計画に合わせた大型プロジェクトの受託製造を手掛けていることが特徴です。

顧客が検収した時点での製品販売、または履行義務の充足(工事進行基準など)に基づき収益を得ています。本事業の運営は東京自働機械製作所が単独で担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は大型プロジェクトの進捗により大きく変動しています。2024年3月期までは大幅な増収増益が続きましたが、直近の2026年3月期は生産機械事業における特定顧客向けの大型需要が一服した影響により、減収減益に転じています。ただし、利益水準は依然として底堅く推移しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 88.2億円 133.1億円 134.6億円 128.9億円 96.9億円
経常利益 5.3億円 11.4億円 15.5億円 17.2億円 8.7億円
利益率(%) 6.0% 8.6% 11.5% 13.4% 8.9%
当期利益 3.7億円 8.0億円 11.2億円 12.2億円 8.1億円

(2) 損益計算書


減収に伴い売上総利益と営業利益も減少していますが、包装機械事業における効率化や価格転嫁により、一定の収益性を確保しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 128.9億円 96.9億円
売上総利益 37.3億円 27.2億円
売上総利益率(%) 28.9% 28.1%
営業利益 15.6億円 6.7億円
営業利益率(%) 12.1% 6.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料が7.0億円(構成比34.0%)、納入試験費が2.3億円(同11.3%)を占めています。また、売上原価については、当期製品製造原価が60億円(構成比85.5%)、当期商品仕入高が11億円(同16.1%)となっています。

(3) セグメント収益


包装機械事業は、菓子・食品業界を中心に自動化需要を取り込み増収となりました。一方で生産機械事業は、海外特定顧客向けの大型プロジェクト需要が一服したため、大幅な減収となっています。全体としては生産機械事業の落ち込みが大きく影響しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
包装機械 57.9億円 65.4億円
生産機械 71.1億円 31.5億円
連結(合計) 128.9億円 96.9億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型の優良企業です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 10.1億円 22.8億円
投資CF -1.1億円 -0.4億円
財務CF -1.9億円 -4.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.3%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も58.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「われわれは、「ぜったい成しとげる」という強い意志を持ち、お客様の期待の一歩先を行く自働化機械とサービスを提供し続けます。」という行動指針を定めています。お客様の問題解決やトータルコスト低減に貢献するとともに、社会の一員として環境保全にも寄与する企業を目指しています。

(2) 企業文化


「企業は生活協同体である」という社是のもと、社員ひとり一人がプロ意識を持ち、チームワークで目標を達成する風土があります。個性と挑戦意欲が尊重され、能力や成果が公正に評価されるとともに、社会や環境に対する責任を果たす誠実な姿勢が組織に根付いています。

(3) 経営計画・目標


2024年度を初年度とする「第7次中期経営計画」をスタートさせ、以下の基本方針を掲げています。社会情勢や景気動向を注視しながら、社会に新たな価値を提供する価値創造企業となることを目指しています。
・包装機械事業の売上高拡大と海外比率アップ
・生産機械事業量の安定的確保と利益確保
・持続可能な社会実現に向けたサステナビリティ経営の実践

(4) 成長戦略と重点施策


人手不足を起因とした自動化需要や、時流である「環境」「自動化」「IoT」などのニーズを的確に捉えた商品開発を進めます。包装機械事業の拡大に加え、生産性の向上と適正な価格転嫁により収益力強化を図る方針です。また、生産機械事業においては顧客との協業関係を一層深め、安定的な受注確保に努めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「『動』ではなく、『働』となる人材」を育成するため、成長段階に合わせた教育や自己啓発支援を行っています。性別や年齢に関わらず能力を発揮できる職場づくりを進め、定年年齢の段階的延長や柔軟な働き方を取り入れ、熟練技術の継承や多様性の推進を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.3歳 19.2年 7,104,411円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 74.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 84.3%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 63.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(自発的)(2.1%)、有給休暇平均取得日数(13.0日)、障害者雇用率(2.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 包装機械事業の主要取引先について


包装機械事業の主要な取引先は菓子・食品業界であり、観光需要や景気動向の変化などが顧客の設備投資に与える影響が、同社の業績および財政状態に直接的な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定取引先への依存について


生産機械事業は特定顧客(ジョンソン・エンド・ジョンソンなど)向け設備の製造比率が高く、同顧客の設備投資動向や世界経済の減速懸念による設備計画の流動的な変更が、事業全体に大きな影響を与える可能性があります。

(3) 検収のタイミングによる期間損益への影響


包装機械は検収基準、生産機械は工事進行基準や検収基準により売上計上を行いますが、案件の進行状況や顧客の事情によって売上計上の時期が当初の予定とずれることがあり、四半期や年度の期間損益に予期せぬ変動をもたらす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。