太平製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

太平製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

名古屋証券取引所メイン市場、東京証券取引所スタンダード市場に上場する合板機械、木工機械、住宅建材メーカーです。主力である合板機械事業の米国向け受注などは堅調でしたが、前期の大型案件一巡や住宅着工減の影響を受け、当連結会計年度の業績は減収減益(売上高79億円、経常利益10億円)となりました。


#記事タイトル:太平製作所転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社太平製作所 の有価証券報告書(第138期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 太平製作所ってどんな会社?


合板機械、木工機械、住宅建材の製造・販売を主軸とし、木材加工技術で社会貢献を目指す機械メーカーです。

(1) 会社概要


1925年5月に創立し製材・木工機械の製造を開始、1927年には合板機械へ進出しました。1961年に名古屋証券取引所市場第二部へ上場を果たし、その後東京証券取引所へも上場しました。2004年には太平ハウジングを設立して住宅建材事業を開始し、2025年4月には米国子会社を設立するなど海外展開も進めています。

連結従業員数は164名、単体では128名体制です。筆頭株主は同社の従業員で構成される持株会で、第2位は取引先による持株会、第3位は米国系の証券会社となっており、従業員や取引先が主要な株主となっている点が特徴です。

氏名 持株比率
太平製作所自社株投資会 8.39%
太平製作所取引先持株会 6.81%
インタラクティブ・ブローカーズ証券 3.13%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は尾関修康氏です。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
尾関 修康 取締役社長(代表取締役) 1988年入社。小牧事業部開発営業部長、同開発推進部長、取締役総務部長を経て、2024年より現職。
稲山 和伸 取締役総務部長 1995年入社。小牧事業部開発部長等を経て、2024年より現職。
指吸 隆幸 取締役大阪事業部長 1980年入社。大阪事業部技術開発部長等を経て、2020年より現職。
祖父江 雅也 取締役小牧事業部長 1986年入社。小牧事業部技術統括部長等を経て、2024年より現職。
溝口 祥司 取締役新規事業推進部長兼大阪事業部技術営業部長 1991年入社。大阪事業部営業部長、同技術営業部長を経て、2024年より現職。
神谷 慎二 取締役(監査等委員) 1975年入社。小牧事業部設計・開発部長、代表取締役社長、顧問を経て、2022年より現職。


社外取締役は、内藤幸男(元名南製作所顧問)、安達和平(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「合板機械事業」「木工機械事業」「住宅建材事業」を展開しています。

(1) 合板機械事業


合板を製造するための各種機械(ナイフ研磨機、ドライヤー、ホットプレス等)を製造・販売しています。主な顧客は国内外の合板メーカー等であり、特に米国市場でのシェア拡大に取り組んでいます。

機械製品の販売代金が主な収益源です。大型機械の製造請負や据付工事なども含みます。運営は主に同社の本社工場(愛知県小牧市)が行っています。

(2) 木工機械事業


木材を加工するための機械(チッパー、フィンガージョインター、スキャナー装置等)を製造・販売しています。集成材の生産ラインや省人化に貢献する機械の需要に対応しています。

機械製品の販売代金が主な収益源です。運営は主に同社の大阪工場(大阪市住之江区)が行っています。

(3) 住宅建材事業


ツーバイフォー工法住宅用の建設資材(木質パネル)等の製造・販売を行っています。また、トレーラーハウスの販売なども手掛けています。

住宅用建材や関連製品の販売代金が主な収益源です。運営は連結子会社の太平ハウジング(岐阜県可児市)が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は2024年3月期まで右肩上がりで拡大してきましたが、当期は減収に転じました。利益面でも、売上高の減少に伴い経常利益、当期純利益ともに減少しています。利益率は依然として10%を超える水準を維持していますが、前期と比較すると低下が見られます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 35億円 49億円 64億円 88億円 79億円
経常利益 1億円 3億円 8億円 14億円 10億円
利益率(%) 2.5% 5.7% 11.9% 16.2% 12.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.4億円 2億円 7億円 12億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益、営業利益ともに減少しました。売上総利益率は28.7%と前期から微増しましたが、販管費の増加などもあり、営業利益率は11.6%へと低下しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 88億円 79億円
売上総利益 25億円 23億円
売上総利益率(%) 28.1% 28.7%
営業利益 14億円 9億円
営業利益率(%) 16.2% 11.6%


販売費及び一般管理費のうち、荷造運搬費が3.3億円(構成比24%)、役員報酬が1.8億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の合板機械事業は、前期の大型案件一巡等の影響で減収減益となりました。木工機械事業は集成材関連の受注が好調で増収増益となり、利益率は15%を超えました。住宅建材事業は増収により赤字幅が縮小しましたが、営業損失が続いています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
合板機械事業 66億円 50億円 16億円 8億円 15.5%
木工機械事業 14億円 17億円 0.4億円 3億円 15.3%
住宅建材事業 8億円 11億円 -0.6億円 -0.1億円 -0.7%
連結(合計) 88億円 79億円 14億円 9億円 11.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

太平製作所は、事業運営に必要な流動性と資金源泉の安定確保を基本方針としています。営業活動による資金は、製造費や販売費等の営業費用に充当され、自己資金と短期借入で調達しています。投資活動では、開発中の機械の商品化や工場建替・移転に備え、安全性の高い金融商品で余裕資金を運用しています。財務活動では、経済環境の変動に柔軟に対応するため、新型コロナウイルス感染症特別貸付制度による資金調達も実施しています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「英知を結集して、独自の商品を創造し社会に貢献することにより、心の豊かさと、物の豊かさを達成しよう」という経営理念を掲げています。また、「木材を活かす」という経営方針のもと、木材、地球、人を大切にし、独自の技術を提供することで社会・環境課題へ貢献し、社会から必要とされる企業であり続けることを目指しています。

(2) 企業文化


「風通しが良く、すぐに行動を起こせる体制を創る」「常に進歩を目指し、迅速に決断する」という組織風土を目指しています。また、「自分でエンジンを持つ人材」「相手の要望を的確に把握し発信できる人材」の育成を掲げ、役割と責任の明確化や、人と人との関わりを大切にし、周りの人を笑顔にすることをスローガンとしています。

(3) 経営計画・目標


経営状態を図る重要指標として、主力事業における収益性を示す「営業利益」を定めています。具体的には、以下の数値を目標として掲げ、安定的に達成できるよう事業活動に取り組んでいます。

* 営業利益率:10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「木材を活かす」ことでサステナブルな社会に貢献することをテーマに、独自の技術開発と普及を戦略の主軸としています。合板機械では新建材(CLP、LVL)の効率生産技術や米国市場でのシェア拡大、木工機械では省人化に貢献するスキャナー等の拡販、住宅建材では原価低減やトレーラーハウスの拡販に注力する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


従業員を価値創造の源泉と捉え、育成や成長に資する支援や制度策定を通じて、働きやすい職場環境づくりに取り組んでいます。具体的には、公平性を重視したMBO(目標管理制度)による人事考課の導入や、在宅勤務制度・育児介護休業規程の見直し、年間休日数の増加(115日から123日へ)などを実施しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.8歳 15.6年 7,043,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 機械製品の欠陥や不具合


機械の設計・製造・設置において、予期しない欠陥や不良が生じ、改修費用や損害賠償が発生する可能性があります。これらは多額の費用負担や信用の低下を招き、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料・部品供給の寸断や高騰


製品製造に必要な部品や資材を特定の仕入先に依存している場合があり、供給状況が悪化した際に納期遅延などを招くリスクがあります。また、原材料価格やエネルギー価格の高騰は製造コストを押し上げ、利益を圧迫する要因となります。

(3) 海外事業における為替変動


北米や東南アジア等への海外展開を行っており、為替相場の変動が業績に影響を与える可能性があります。円建て契約を基本としていますが、一部で為替リスクが存在し、急激な変動は顧客の設備投資計画にも影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。