太平製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

太平製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

太平製作所は、名証メインおよび東証スタンダード市場に上場する機械メーカーです。合板機械、木工機械、住宅用建材の3事業を柱とし、木材を有効活用する製品を提供しています。直近の業績は売上高64億円、営業利益6億円と、前期にあった大型受注などの反動減により減収減益のトレンドとなっています。


※本記事は、株式会社太平製作所の有価証券報告書(第139期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 太平製作所ってどんな会社?


同社は合板機械や木工機械、住宅用建材の製造・販売を手掛ける老舗機械メーカーです。

(1) 会社概要


1925年5月に太平製作所を創立し、製材・木工機械の製造販売を開始しました。1927年には合板機械の製造に着手し、1961年に名証、1962年に大証へ上場を果たしました。2004年に住宅建材事業を担う太平ハウジングを設立し、2025年には北米展開の拠点として米国に子会社を設立しています。

現在の従業員数は連結で158名、単体で123名です。筆頭株主は太平製作所自社株投資会で、第2位は事業会社の光通信、第3位は太平製作所取引先持株会となっています。

氏名 持株比率
太平製作所自社株投資会 8.03%
光通信KK投資事業有限責任組合無限責任組合員光通信 7.33%
太平製作所取引先持株会 7.19%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は尾関修康氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
尾関修康 取締役社長(代表取締役) 1988年同社入社。小牧事業部開発営業チーフリーダー、執行役員小牧事業部開発営業部長、取締役総務部長などを経て、2024年6月より現職。
稲山和伸 取締役総務部長 1995年同社入社。小牧事業部技術開発チーフリーダー、執行役員小牧事業部開発部長などを経て、2024年6月より現職。
指吸隆幸 取締役大阪事業部長 1980年同社入社。大阪事業部開発チーフリーダー、執行役員大阪事業部技術開発部長を経て、2020年6月より現職。
祖父江雅也 取締役小牧事業部長 1986年同社入社。小牧事業部技術開発チーフリーダー、執行役員小牧事業部技術部長、取締役小牧事業部技術統括部長などを経て、2024年6月より現職。
溝口祥司 取締役新規事業推進部長兼大阪事業部技術営業部長 1991年同社入社。大阪事業部開発チーフリーダー、執行役員大阪事業部営業部長、取締役大阪事業部技術営業部長などを経て、2024年6月より現職。
神谷慎二 取締役(監査等委員) 1975年同社入社。小牧事業部設計・開発部長などを経て2012年代表取締役社長に就任。2017年顧問を経て、2022年6月より現職。


社外取締役は、安達和平(安達公認会計事務所開設)、加藤志乃(弁護士法人大樹法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「合板機械事業」「木工機械事業」「住宅建材事業」を展開しています。

合板機械事業


ナイフ研磨機、ドライヤー、ホットプレスなどの合板機械を製造し、主に合板メーカーなどに提供しています。近年は国際的な展示会への出展などを通じて、北米圏を中心とした販路拡大にも注力しています。

機械の製造請負や据付工事、標準仕様に基づく製品や部品の販売から収益を得ています。本事業の運営は、同社および米国子会社のTAIHEI MACHINERY US Inc.が行っています。

木工機械事業


チッパー、フィンガージョインター、スキャナー装置などの木工機械を製造・販売しています。木材資源の有効活用や生産性向上を目指し、集成材の生産ラインなどに向けたシステム提案を行っています。

機械製造の請負および据付工事、機械の改造や修理などの請負契約、製品・部品販売から収益を得ています。本事業の運営は、同社が行っています。

住宅建材事業


ツーバイフォー工法住宅用の建設資材(木質パネル)などの製造販売を行っています。また、構造図設計から建て方施工、現場指導、構造躯体の検査までの一貫したシステムを提供しています。

顧客への製品(構造躯体や建材製品など)の引き渡しに伴う販売代金から収益を得ています。本事業の運営は、子会社の太平ハウジングが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は2024年3月期の88億円をピークに、直近は64億円へと減少傾向にあります。利益面でも同様にピーク時から減少しており、直近の経常利益は6億円、利益率は9.5%となっています。企業の設備投資意欲は底堅いものの、大型案件の一巡などが影響しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 49億円 64億円 88億円 79億円 64億円
経常利益 3億円 8億円 14億円 10億円 6億円
利益率(%) 5.7% 11.9% 16.2% 12.2% 9.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 7億円 12億円 6億円 4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の79億円から当期は64億円へと減少しました。これに伴い、売上総利益も23億円から16億円へと縮小し、売上総利益率は24.9%に低下しています。営業利益も減少傾向にあり、収益性の確保が課題となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 79億円 64億円
売上総利益 23億円 16億円
売上総利益率(%) 28.7% 24.9%
営業利益 9億円 6億円
営業利益率(%) 11.6% 8.9%


販売費及び一般管理費のうち、荷造運搬費が2億円(構成比18%)、給料手当が2億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力である合板機械事業は、前期にあった国外の大型受注などの反動減により、売上・利益ともに大きく減少しました。一方、木工機械事業は集成材関連の受注環境が好調で増収増益となっています。住宅建材事業は原価低減施策が奏功し、営業黒字に転換しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
合板機械事業 50億円 32億円 8億円 4億円 11.5%
木工機械事業 17億円 22億円 3億円 3億円 13.1%
住宅建材事業 11億円 9億円 -0.1億円 0.3億円 3.5%
連結(合計) 79億円 64億円 9億円 6億円 9.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


当期のキャッシュ・フローは、営業CFがマイナス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的な状況を示す末期型となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 0.6億円 -9億円
投資CF 3億円 -9億円
財務CF -6億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「英知を結集して、独自の商品を創造し社会に貢献することにより、心の豊かさと、物の豊かさを達成しよう」という経営理念を掲げています。また、「木材を活かす」という経営方針のもと、サステナブルな資源である木材、地球環境、そしてステークホルダーである人を大切にし、社会から必要とされる企業であり続けることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、多様な人材の個々を尊重し、それぞれが活躍できる組織風土を重視しています。「風通しが良く、すぐに行動を起こせる体制」や「常に進歩を目指し、迅速に決断する」文化の実現を目指しています。また、自分でエンジンを持つ人材の育成を掲げ、「人と人との関わりを大切に」「周りの人を笑顔に」というスローガンに沿った行動を推奨しています。

(3) 経営計画・目標


同社では、経営状態を測る重要指標として、主力事業における収益性を示す「営業利益」を定めています。具体的には、安定的な事業成長を図るため、以下の数値目標を掲げて経営に取り組んでいます。

・営業利益率 10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、世界的な気候変動や労働人口の不足といった社会・環境課題の解決に資する独自の技術開発を戦略の主軸に据えています。既存主力機の北米圏での販路拡大を進めるとともに、鉄やコンクリートに代替する新たな木質建材(CLPやLVLなど)の効率的な生産技術の開発に注力しています。また、植樹・植林活動を通じたサステナビリティへの貢献にも取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、持続的な成長の実現において従業員が持つ「力」を重要視しており、創業から受け継がれてきた技術を次世代へ継承するための採用・育成・配置を行っています。各部門でのOJTを基本としつつ、社内勉強会や外部機関を活用した学習機会を提供しています。また、MBO制度を用いた公平な評価と報酬によって、従業員の自発的な挑戦と成長を後押しする方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.4歳 13.8年 5,645,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育児介護休業規程等の啓蒙活動(年間2回)、社内勉強会の実施(年間4回)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 製造物の責任に伴うリスク


同社の主力である機械の設計や製造において、予期しない欠陥や不良が生じ、改修や損害賠償等が発生する可能性があります。これにより多額の処理費用が生じたり、同社グループの信用が低下したりすることで、経営成績や財務状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 特定仕入先への依存と資材価格高騰


部品や資材の供給を一部の仕入先に依存しているため、仕入先の状況が機械の納期に悪影響を及ぼす可能性があります。また、原油や原材料の高騰、労働力不足によるサービス単価の上昇は製造コストの増加につながり、利益を圧迫するリスクがあります。

(3) 為替相場の変動リスク


同社グループは北米圏や東南アジア圏へ事業を展開しているため、急激な為替変動は顧客の設備投資計画に直接的な影響を及ぼす可能性があります。また、事業年度末の為替や金利の情勢によっては、為替予約取引等に伴う評価損益が発生し、業績に影響を与えるリスクがあります。

(4) 人材の確保と流出に関するリスク


同社は、木材加工機械の技術を継承する従業員を価値創造の源泉と位置づけています。しかし、昨今の労働人口の減少により人材確保が難航することや、社外への人材流出が発生した場合、同社の事業活動や将来の業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。