トーモク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

トーモク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

トーモクは東京証券取引所プライム市場および札幌証券取引所に上場し、段ボール、住宅、運輸倉庫を主要事業として展開しています。直近の業績では、製品価格の改定効果などにより増収増益を達成しました。環境対応型の事業展開を推進し、物流と人々の豊かな暮らしを支えるビジネスで社会に貢献しています。


※本記事は、株式会社トーモクの有価証券報告書(第87期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. トーモクってどんな会社?


同社は段ボール、住宅、運輸倉庫を主要事業とし、物流と人々の豊かな暮らしを支える企業です。

(1) 会社概要


同社は1940年に北海製函乾燥として創業し、1949年に東洋木材企業へと商号を改称しました。1956年に段ボール箱製造販売を開始し、1971年にトーモクに商号を変更しています。1974年に株式上場を果たし、1984年にはスウェーデンハウスを設立して住宅事業に本格参入しました。

現在の同社グループは、連結で3,965名、単体で1,157名の従業員を抱える体制となっています。大株主の状況を見ると、筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行であり、第2位には事業会社である丸紅が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.79%
丸紅 5.59%
日本カストディ銀行(信託口) 5.24%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性3名の計13名で構成され、女性役員比率は23.1%です。代表取締役社長執行役員は中橋光男氏が務めています。取締役13名のうち、社外取締役が3名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
中橋光男 代表取締役社長執行役員 1975年4月同社入社。仙台工場長、南関東営業部長、営業本部長などを経て、2018年6月より代表取締役社長。2022年6月より現職。
廣瀬正二 代表取締役副社長執行役員 1975年3月同社入社。館林工場長、生産本部長、営業本部長などを経て、2024年6月より現職。2025年6月よりトーウン代表取締役社長執行役員。
有賀毅 取締役専務執行役員安全推進・品質保証本部長 1981年4月同社入社。山形工場長、厚木工場長、生産本部長などを経て、2024年11月より現職。2025年6月よりホクヨー代表取締役社長。
深澤輝隆 取締役専務執行役員営業本部長兼東京営業部兼開発営業部統括 1987年4月同社入社。営業第二部長、営業副本部長などを経て、2024年6月より現職。
山口禎人 取締役専務執行役員管理本部長 1985年3月東洋運輸倉庫(現トーウン)入社。同社出向後に経理部長や住宅資材部長などを経て、2024年6月より現職。
藤山一穂 取締役常務執行役員管理副本部長兼社長室長 1989年4月日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。2020年5月同社入社。社長室長などを経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、下中美都(元平凡社代表取締役社長)、小林哲也(元帝国ホテル代表取締役社長)、小柳恒志(元三井住友信託銀行執行役員等)です。

2. 事業内容


同社グループは、「段ボール」「住宅」「運輸倉庫」の3つの報告セグメントを展開しています。

段ボール

段ボールシート、段ボールケースおよび印刷紙器の製造・販売を行っています。顧客に合わせた包装設計やデジタル印刷を活用したオリジナル商品の開発を強化し、高品質な製品の安定供給に努めています。

製品を販売することで収益を得ています。運営は同社ならびにトーシンパッケージ、大一コンテナーなどの子会社が行っているほか、米国やベトナムの海外拠点においても事業を展開しています。

住宅

スウェーデンから輸入した住宅部材を用い、高気密・高断熱でエネルギー効率の高い戸建て住宅の設計、施工、監理および販売を行っています。また、リフォーム需要への対応も進めています。

顧客から戸建て住宅の建築や販売、リフォーム工事の代金を受け取ることで収益を得ています。運営は主にスウェーデンハウスや玉善、プライムトラスなどの子会社が行っています。

運輸倉庫

飲料・食料品輸送に強みを持つ物流事業者として、貨物運送事業および倉庫事業を展開しています。車両や物流ネットワークへの投資に加え、AI活用による省人化・自動化を進めています。

顧客から貨物運送および倉庫保管サービスの提供に対する対価を受け取ることで収益を得ています。運営はトーウン、関東トーウン、宝樹運輸などの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は緩やかな増加傾向にあり、経常利益も一時的な減少を経て増加基調で推移しています。直近の期では増収増益を達成し、利益率も改善を見せています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,060億円 2,128億円 2,115億円 2,196億円 2,241億円
経常利益 90億円 80億円 86億円 94億円 114億円
利益率(%) 4.4% 3.8% 4.1% 4.3% 5.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 36億円 30億円 49億円 49億円 62億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴って売上総利益が増加し、売上総利益率も改善しています。販売費及び一般管理費は増加したものの、営業利益および営業利益率はともに向上しました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,196億円 2,241億円
売上総利益 369億円 406億円
売上総利益率(%) 16.8% 18.1%
営業利益 94億円 114億円
営業利益率(%) 4.3% 5.1%


販売費及び一般管理費のうち、輸送費が76億円(構成比26%)、給料及び手当が67億円(同23%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、段ボール事業および運輸倉庫事業は増収となりましたが、住宅事業は減収となりました。全体の過半を段ボール事業が占めています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
段ボール 1,197億円 1,246億円
住宅 578億円 552億円
運輸倉庫 421億円 443億円
連結(合計) 2,196億円 2,241億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動で生み出した資金で投資活動や借入金の返済を行う健全型のパターンを示しています。企業の収益力を測るROEは7.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も45.6%で市場平均を下回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 181億円 152億円
投資CF -83億円 -106億円
財務CF -71億円 -22億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人々にとって大切なものをやさしく包む」という事業コンセプトを掲げています。段ボールで商品の「品質」と「価値」を包み、住宅で人々の豊かな「暮らし」を包むことで、物流と暮らしを支えるビジネスを展開し、ステークホルダーに信頼される価値ある企業であり続けることを使命としています。

(2) 企業文化


同社は、高い倫理観と強い責任感を持って環境に配慮した事業活動を行うことを重視しています。独立自尊と積極進取の気概を持ち、「High Moral, High Quality, High Return」に挑戦し続けることで、自由闊達なコミュニケーションが可能な職場環境やオリジナリティを追求する風土を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、財務体質の強化と長期的収益力の向上を図るため、連結で売上高営業利益率6.0%以上、ROE8.0%以上を目標経営指標としています。また、2029年3月期を最終年度とする中期経営計画では、以下の目標を掲げています。

・売上高:2,400億円
・営業利益率:6.0%
・ROE:8.0%

(4) 成長戦略と重点施策


安定成長志向経営から「質」を重視した経営への移行を進めます。段ボール事業では生産性向上による原価低減とオリジナル商品の開発を強化します。住宅事業では多様なニーズへの対応やブランド力の向上を図り、運輸倉庫事業では物流価格改定やAI活用による自動化を推進して収益改善を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、グループ経営理念に共感し追求する人材を育成することが持続的な企業価値向上の基盤であると考えています。それぞれの事業特性に応じたスキル・能力開発を強化し、ダイバーシティ&インクルージョンや働き方改革を推進することで、従業員一人ひとりが働きがいを感じられる職場環境の整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与は東京証券取引所プライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 39.7歳 14.4年 5,794,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.6%
男性育児休業取得率 114.3%
男女賃金差異(全労働者) 71.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 72.5%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 73.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(19.4%)、有給休暇取得率(59.2%)、障がい者雇用率(3.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 需要・市況の変動に関するリスク

同社グループの事業は経済情勢や製品市場の影響を強く受けます。住宅事業は政策や金利動向、段ボール事業は海外拠点における景気動向の影響を受けるため、経済状況の悪化や市場の下落が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 調達に関するリスク

段ボール事業では原材料の逼迫、住宅事業では国内外の大規模災害や地政学リスクによる木材等資材調達の遅延リスクがあります。また、燃料価格の変動がコスト上昇要因となるため、これらを販売価格に転嫁できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 自然災害・感染症拡大等のリスク

大規模な地震や台風などの自然災害、あるいは感染症の拡大によって、同社の生産・物流・販売拠点に甚大な被害が発生したり、輸送経路が遮断されたりした場合、業務遂行に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 法規制・訴訟等に関するリスク

製造物責任法や建築基準法、運送業法など多様な法規制の適用を受けており、国内外において法令違反や訴訟を提起されるリスクがあります。新たな規制の導入や訴訟の結果によっては、社会的信用の低下や業績悪化につながる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。