※本記事は、ピーエス・コンストラクション株式会社 の有価証券報告書(第77期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ピーエス・コンストラクションってどんな会社?
独自のPC技術を強みとする建設会社。橋梁等の土木工事や建築工事のほか、コンクリート製品の製造も手掛けます。
■(1) 会社概要
1952年にピー・エス・コンクリートとして設立され、PC製品の製造を開始しました。1996年に東証一部へ上場。2002年に三菱建設と合併しピーエス三菱へ商号変更しました。2023年には大成建設が株式公開買付けにより親会社となり、2024年7月に現在のピーエス・コンストラクションへ商号変更しています。
2025年3月31日現在、連結従業員数は1,615名、単体では1,155名です。筆頭株主は親会社である大成建設で、第2位は同社の関連会社等とも取引関係のある事業会社のUBE三菱セメントです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大成建設 | 50.19% |
| UBE三菱セメント | 9.29% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.72% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表者は代表取締役社長執行役員の森拓也氏です。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 森 拓也 | 代表取締役社長執行役員全般統理 | 1979年同社入社。技術本部長、海外事業担当などを経て、2020年4月より代表取締役社長社長執行役員。2022年6月より現職。 |
| 櫻林 美津雄 | 代表取締役副社長執行役員社長補佐・土木本部長・安全品質環境担当 | 1982年同社入社。九州支店長、菱建基礎代表取締役社長、土木本部長などを経て、2025年6月より現職。 |
| 岩﨑 信樹 | 取締役常務執行役員管理本部長・サステナビリティ推進担当 | 1985年大成建設入社。同社管理本部財務部長、大成有楽不動産取締役常務執行役員等を経て、2025年4月より現職。 |
| 佐々木 晋 | 取締役常務執行役員経営企画担当 兼 関連事業担当 | 1985年三菱金属(現三菱マテリアル)入社。同社執行役常務、米国三菱セメント取締役CEO等を経て、2025年4月より現職。 |
| 寒川 勝彦 | 取締役常務執行役員建築本部長 | 1985年同社入社。建築本部副本部長、東京建築支店長、常務執行役員建築本部長を経て、2025年6月より現職。 |
| 大山 博明 | 取締役執行役員技術本部長 兼 DX推進室長 | 1986年同社入社。技術本部副本部長、東北支店長、執行役員技術本部長を経て、2025年6月より現職。 |
| 羽場 幸男 | 取締役 | 1986年大成建設入社。同社常務執行役員社長室長兼新事業企画部長(現任)。2024年6月より現職。 |
社外取締役は、加藤秀樹(UBE三菱セメント常務執行役員)、保坂美江子(PeA法律事務所代表)、吉良尚之(太平洋セメント専務執行役員)、雑賀和彦(住友電気工業常務執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「土木事業」「建築事業」「製造事業」「その他兼業事業」の4つの報告セグメントを展開しています。
■土木事業
プレストレスト・コンクリート(PC)工事やその他一般土木工事の請負、PC製品等の製造販売を行っています。また、親会社である大成建設から土木工事等の発注を受け、施工協力を行っています。
収益は、主に発注者からの工事請負代金や製品販売代金により得ています。運営は同社のほか、株式会社ニューテック康和(補修・舗装工事)、株式会社ピーエスケー(工事用機器管理運用)、菱建基礎株式会社(基礎工事)、株式会社亀田組(PC・土木工事)等が担っています。
■建築事業
プレストレスト・コンクリート工事やその他一般建築工事の請負、およびPC製品等の製造販売を行っています。土木事業と同様に、親会社である大成建設から建築工事等の発注を受け、施工協力を行っています。
収益は、建築工事の請負代金やPC製品の販売代金から得ています。運営は主に同社が担っています。
■製造事業
コンクリート製品の製造販売を行っています。インドネシアやベトナムなどの海外拠点でも事業を展開しています。
収益は、コンクリート製品の販売により得ています。運営は、連結子会社であるピー・エス・コンクリート株式会社、PT.Komponindo Betonjayaなどが担っています。
■その他兼業事業
不動産の販売・賃貸・仲介や、損害保険代理業などを展開しています。
収益は、不動産の販売代金や賃貸料、保険代理店手数料などから得ています。運営は同社のほか、連結子会社である菱建商事株式会社が担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年3月期から2025年3月期までの5期間において、売上高は増加傾向にあり、特に直近2期で大きく伸長しています。経常利益も売上高の増加に伴い回復基調にあり、直近の2025年3月期には大幅な増益を達成し、利益率も向上しました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,172億円 | 1,096億円 | 1,093億円 | 1,293億円 | 1,356億円 |
| 経常利益 | 84億円 | 66億円 | 56億円 | 77億円 | 123億円 |
| 利益率(%) | 7.2% | 6.1% | 5.1% | 6.0% | 9.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 50億円 | 41億円 | 31億円 | 43億円 | 73億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の増加に加え、売上総利益率が改善したことで、各段階利益が大きく伸長しました。特に営業利益率は大幅に向上しており、収益性が高まっていることがわかります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,293億円 | 1,356億円 |
| 売上総利益 | 188億円 | 230億円 |
| 売上総利益率(%) | 14.5% | 17.0% |
| 営業利益 | 78億円 | 123億円 |
| 営業利益率(%) | 6.1% | 9.1% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が38億円(構成比35%)、賞与引当金繰入額が3億円(同2%)を占めています。売上原価については、完成工事原価が売上原価合計のほぼ100%を占めています。
■(3) セグメント収益
土木事業は大規模更新工事や新設橋梁工事の進捗により増収増益となり、利益率も向上しました。建築事業も豊富な繰越工事の進捗により増収増益を達成。製造事業は増収増益、その他兼業事業も堅調に推移しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 土木事業 | 785億円 | 787億円 | 130億円 | 168億円 | 21.3% |
| 建築事業 | 484億円 | 532億円 | 49億円 | 52億円 | 9.7% |
| 製造事業 | 17億円 | 29億円 | 6億円 | 8億円 | 25.9% |
| その他兼業事業 | 7億円 | 8億円 | 4億円 | 4億円 | 53.0% |
| 調整額 | -69億円 | -61億円 | -0億円 | -1億円 | - |
| 連結(合計) | 1,293億円 | 1,356億円 | 188億円 | 230億円 | 17.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.2%で市場平均を上回っています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 159億円 | 160億円 |
| 投資CF | -19億円 | -8億円 |
| 財務CF | -122億円 | -42億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「人と自然が調和する豊かな環境づくりに貢献する」ことを基本理念としています。地球環境保全のため自然資本保護を重視し、常に新しい技術開発にチャレンジし、安全で高品質な建設生産物を供給することで持続可能な社会を実現し、ステークホルダーの信頼と期待に応えることを経営の基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社は、「人権と多様性の尊重」「安全最優先」「コンプライアンスの徹底」および「サステナビリティの貢献」を行動指針として掲げています。また、サステナビリティ基本方針を制定し、安全・安心で高品質な社会資本の提供、多様な人財が活躍できる職場環境の構築、公正な企業活動の推進などを重視する文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、2030年をゴールとした長期ビジョンの実現に向け、「中期経営計画2025(2025年度~2027年度)」を策定しました。長期経営ビジョンとして「プレストレストコンクリート(PC)技術を中核とした高度な技術力により、地球にやさしく安全で快適な社会の実現に貢献する」ことを掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
新中期経営計画の下、PC技術を核とした高度な技術力で社会貢献を目指しています。建設業界における就労人口減少等の課題に対し、技術革新や施工・設計プロセスのデジタル化(DX)をスピード感を持って推進します。また、環境負荷低減への取り組みや、社員一人ひとりが能力を最大限発揮できる環境整備に注力し、長期経営ビジョンの実現を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人財の確保・育成」を重要事項と位置づけ、事業環境の変化に対応できる人財や新技術開発に取り組む人財を育成します。階層別研修やOJTの拡充、目標管理制度やキャリアマップの活用により個人のキャリア形成を支援し、多様な人財が活躍できる組織基盤の確立を目指します。また、働きがいのある就労環境の構築にも取り組みます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 44.6歳 | 18.7年 | 9,117,887円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.9% |
| 男性育児休業取得率 | 395.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 57.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 57.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 58.6% |
※男性育児休業取得率は、配偶者が出産した社員数を分母としているため、前年度に出産した社員が当年度に取得した場合などで100%を超えることがあります。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 海外展開に伴うカントリーリスク
同社グループはアジア・アフリカを中心に海外事業を展開しています。これらの国々における政治・経済情勢の急激な変化や、大幅な法規制の予期せぬ変更等が発生した場合、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 気候変動等環境課題リスク
企業活動における環境負荷の低減に取り組んでいますが、気候変動等の環境課題への対応が不十分と判断された場合、同社グループの業績や企業評価に悪影響を及ぼす可能性があります。脱炭素社会への移行に伴うコスト増や規制強化もリスク要因となり得ます。
■(3) 人権に関するリスク
人権に関する社会的要請が高まる中、人権方針に基づき取り組みを進めていますが、人権を侵害する事象が発生した場合、社会的信用の失墜につながり、業績に影響を及ぼす可能性があります。サプライチェーンを含めた人権デュー・ディリジェンスの重要性が増しています。



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