ピーエス・コンストラクション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ピーエス・コンストラクション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ピーエス・コンストラクションは東証プライム市場に上場し、プレストレスト・コンクリート技術を中核とした土木工事、建築工事および製品製造を展開する大成建設グループの企業です。当期は高速道路の大規模更新事業や大型生産施設等の受注が堅調に進捗したことにより、増収増益を達成し、安定した業績成長を継続しています。


※本記事は、ピーエス・コンストラクション株式会社の有価証券報告書(第78期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ピーエス・コンストラクションってどんな会社?


同社はプレストレスト・コンクリート技術に強みを持ち、インフラ整備と建築を担う建設会社です。

(1) 会社概要


1952年3月、プレストレスト・コンクリート製品の製造を目的としてピー・エス・コンクリートが設立されました。1996年9月には東証一部に上場を果たし、2002年10月に三菱建設と合併してピーエス三菱へ社名を変更しました。その後、2023年12月に大成建設が同社株式の過半数を取得して親会社となり、2024年7月に現在のピーエス・コンストラクションへと社名を変更しています。

同社グループは、連結従業員数1,624名、単体従業員数1,156名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は事業会社の親会社である大成建設で、第2位は資本業務提携の関連が深いUBE三菱セメントです。第3位には資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
大成建設 50.19%
UBE三菱セメント 9.29%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 4.46%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役社長執行役員は櫻林美津雄氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
櫻林美津雄 代表取締役社長執行役員 1982年4月同社入社。広島支店長、九州支店長、執行役員土木本部副本部長、常務執行役員土木本部長などを歴任し、2026年4月より現職。
森拓也 取締役会長 1979年4月同社入社。名古屋支店長、技術本部長、代表取締役副社長、代表取締役社長などを歴任し、2026年4月より現職。
岩﨑信樹 取締役常務執行役員 1985年4月大成建設入社。同社四国支店管理部長、財務部長、大成有楽不動産取締役常務執行役員等を経て、2025年4月より現職。
佐々木晋 取締役常務執行役員 1985年4月三菱マテリアル入社。米国三菱セメント取締役CEO等を歴任し、2022年4月同社常務執行役員に就任。2025年4月より現職。
寒川勝彦 取締役常務執行役員 1985年4月同社入社。建築本部副本部長、東京建築支店長、建築本部長等を歴任し、2025年6月より現職。
大山博明 取締役常務執行役員 1986年4月同社入社。技術本部技術部長、東北支店長、技術本部長兼DX推進室長等を歴任し、2026年4月より現職。
羽場幸男 取締役 1986年4月大成建設入社。同社社長室経営企画部長等を経て2024年6月同社取締役に就任。2025年4月より大成建設常務執行役員社長室長兼新事業企画部長として現任。


社外取締役は、加藤秀樹(UBE三菱セメント常務執行役員)、保坂美江子(PeA法律事務所代表)、吉良尚之(太平洋セメント取締役専務執行役員)、雑賀和彦(住友電気工業常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「土木事業」「建築事業」「関係会社事業」および「その他事業」を展開しています。

(1) 土木事業


同社はプレストレスト・コンクリート工事やその他一般土木工事の請負、および関連する製品の製造販売を提供しています。主な顧客は、高速道路会社などの社会インフラを整備する発注者や、親会社である大成建設です。

収益源は、発注者や大成建設からの工事請負代金および製品販売代金です。運営は主にピーエス・コンストラクションが行っており、大成建設から土木工事の発注を受けて施工協力を実施する体制で事業を展開しています。

(2) 建築事業


プレストレスト・コンクリート工事およびその他一般建築工事の請負、製品の製造販売を展開しています。主な顧客は、生産施設や防衛施設などの大型建築物を必要とする民間企業や官公庁、および親会社の大成建設です。

収益源は、発注者や大成建設からの建築工事の請負代金や製品の販売代金です。事業の運営はピーエス・コンストラクションが担っており、大成建設から建築工事などの発注を受けて施工協力を行っています。

(3) 関係会社事業


同社の子会社を通じて、コンクリート製品の製造販売や土木建築用機材の賃貸、損害保険代理業など、建設事業を多角的に支援する事業を展開しています。顧客は建設会社や資材を必要とする関連企業などです。

収益は、製品販売代金、機材の賃貸料、補修工事の請負代金などから構成されます。運営は、ピー・エス・コンクリート(2026年4月にピーエス・コンストラクションへ吸収合併)やニューテック康和、ピーエスケーなどの連結子会社がそれぞれ担っています。

(4) その他事業


同社が保有する不動産の販売、賃貸および仲介サービスを提供しています。顧客は事務所や土地などを利用する法人や個人などです。

収益は、不動産の販売代金や毎月の賃貸料、仲介手数料などとして受け取ります。運営はピーエス・コンストラクションが単独で行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は2023年3月期までは横ばいでしたが、その後は順調に拡大し、直近では1,494億円に達しています。利益面でも、2023年3月期に一時的な減益となったものの、その後は利益率が改善し、大幅な増益基調に転じています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,096億円 1,093億円 1,293億円 1,356億円 1,494億円
経常利益 66億円 56億円 77億円 123億円 127億円
利益率(%) 6.1% 5.1% 6.0% 9.0% 8.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 41億円 31億円 43億円 73億円 85億円

(2) 損益計算書


売上高は増加傾向にあり、それに伴い売上総利益も順調に拡大しています。一方で、資材価格の上昇等の影響により売上総利益率および営業利益率は前年度と比較してわずかに低下していますが、全体としては増収増益の堅調な推移を見せています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,356億円 1,494億円
売上総利益 230億円 248億円
売上総利益率(%) 17.0% 16.6%
営業利益 123億円 129億円
営業利益率(%) 9.1% 8.6%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が39億円(構成比33.1%)、賞与引当金繰入額が3億円(同2.6%)を占めています。また、完成工事原価(売上原価)のうち、外注費が669億円(構成比56.8%)、経費が225億円(同19.1%)となっています。

(3) セグメント収益


土木事業は、高速道路会社の新設橋梁工事や大規模更新工事の進捗により売上が拡大しました。建築事業も防衛施設や大型生産施設等の案件受注が進み、大幅な増収を達成しています。一方で、関係会社事業は前年度比で減収となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
土木事業 686億円 758億円
建築事業 529億円 629億円
関係会社事業 138億円 102億円
その他事業 4億円 4億円
連結(合計) 1,356億円 1,494億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続している「勝負型」の傾向を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 160億円 -175億円
投資CF -8億円 -5億円
財務CF -42億円 52億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.1%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も46.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「人と自然が調和する豊かな環境づくりに貢献する」ことを基本理念として掲げています。社会基盤や産業基盤などの社会資本の形成に貢献するとともに、地球環境保全のため自然資本保護を重視した事業活動に積極的に取り組むことで、安全で高品質な建設生産物を供給し、持続可能な社会を実現することを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は「安全最優先と人権尊重を企業活動の基盤とし、多様な人財が活躍し、活気あふれる職場環境を構築する」ことをサステナビリティ基本方針の一つとして定めています。また、「人権と多様性の尊重」「安全最優先」「コンプライアンスの徹底」を行動指針として掲げ、公正な企業活動を通じて社会に貢献し、創造的で清新な企業風土を築く文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は「中期経営計画2025」を策定し、2027年度に向けて収益力と資本効率の向上を目指しています。各種財務目標を設定し、長期的には2050年のカーボンニュートラル達成を視野に入れた取り組みを推進しています。

* 売上高:1,500億円
* 営業利益:106億円
* 当期純利益:70億円
* ROE:10.0%以上
* 自己資本比率:40~50%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「プレストレスト・コンクリート技術を中核とした高度な技術力により、地球にやさしく安全で快適な社会の実現」を長期的なありたい姿として掲げています。事業環境の変化に対応するため、業務プロセスの最適化や省力化、デジタル技術やAIを活用した計画的な人財育成と技術継承を推進し、組織体制や業務運営の継続的な見直しにより生産性の向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、事業環境の変化に即応できる人財や新技術開発に積極的に取り組む人財の育成を重要課題としています。階層別研修および部門別OJTの拡充によるスキルアップ支援や、目標管理制度・キャリアマップを活用したキャリア形成のサポートを実施しています。また、多様な人財が活躍できる人事制度や福利厚生の整備、エンゲージメントサーベイによる職場環境の改善に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.5歳 19.8年 9,816,216円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.9%
男性育児休業取得率 52.4%
男女賃金差異(全労働者) 56.3%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 56.6%
男女賃金差異(非正規雇用労働者) 46.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 海外展開に伴うカントリーリスク


同社グループは、主にアジアやアフリカを中心に事業を展開しています。そのため、これらの進出先の国における政治・経済情勢の急激な変化や、大幅な法規制の予期せぬ変更等が発生した場合、事業運営に支障をきたし、同社グループの業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 気候変動等の環境課題への対応遅れ


同社グループは、企業活動における環境負荷の低減に向けた取り組みを推進しています。しかし、気候変動をはじめとする環境課題への対応が不十分であると判断された場合には、同社グループの業績だけでなく、企業評価や社会的信用にも悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人権問題に起因する信用の失墜


企業における人権に関する社会的要請が高まる中、同社グループは人権方針に基づき人権尊重に取り組んでいます。万が一、事業活動の中で人権を侵害するような事象が発生した場合には、同社グループの社会的信用の失墜につながり、結果として業績に重大な影響を及ぼすリスクが想定されます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。