※本記事は、油研工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、油圧製品、システム製品、環境機械の製造・販売を主な事業としています。油圧ポンプやモータ、各種油圧制御機器の製造・販売から、産業機械油圧システム、油圧シリンダの製造・販売と保守・サービスまで幅広く展開しています。
油研工業の単体従業員数は368名、連結従業員数は1,401名です。セグメントは日本、アジア、ヨーロッパの3つです。
主な国内グループ会社は、ユケンサービス、JPN(システム製品の・製造・販売)、韓国油研工業(油圧製品、システム・製品の販売)などです。
当連結会計年度において、油研工業はJPN株式会社の株式100%を取得し、同社を新たに連結子会社としました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
油研工業は、油圧機器の専門メーカーとして長年の歴史を持つ企業です。安定した事業基盤のもと、従業員の長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていると考えられます。グローバル展開も進めており、多様な働き方を推進する方針も示されています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い傾向にあります。これは、従業員が長期にわたって安定して働き続けることができる環境が整備されていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,043,000円 |
| 平均勤続年数 | 18.6年 |
| 平均年齢 | 42.3歳 |
| 単体従業員数 | 368人 |
| 連結従業員数 | 1,401人 |
| 単体のグループ内比率 | 26.3% |
当社及び連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)及び確定拠出制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。退職一時金制度があり、給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
なお、退職給付債務は37.4億円、年金資産は5.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
油研工業グループは、「長期ビジョン~YUKEN GROUP VISION2030~」において、「これから100年、油圧専業メーカとして品質と信頼で社会に貢献する真のグローバル企業」を目指しています。このビジョン実現のため、中期経営計画Step2では「成長戦略の実践」を掲げ、人材戦略を推進しています。
具体的には、「顧客に“寄り添った”製品開発、個性的な製品開発で、同社グループの優位性を奪還する」ため、製品開発の強化と優秀な技術者の育成に注力しています。技術系スペシャリストを処遇する人事制度を準備し、開発職務に専念できる環境を構築するとともに、グループ会社間で開発業務を連携し、技術者のレベルアップを図っています。また、「成長ドライバーとしてユケン・インディア LTD.とのシナジー最大化」を目指し、製造部門の若手社員を積極的にインドグループ会社へ出向・出張させ、グローバルで活躍できる人材の育成を進めています。海外トレーニー制度も検討中です。多様性の確保も重要視しており、外国出身人材の採用や、女性社員がライフイベントに関わらず活躍できる働きやすい職場の整備にも取り組んでいます。
昇給は、資格・給与水準に基づき人事考課を加味したポイントに、毎年労使交渉で決定するポイント単価を乗じて決定されます。賞与は人事考課による評価格差を拡大し、一般職は半期ごと、課長以上の役職者は1年ごとの評価を反映して支給されており、成果を反映した仕組みとなっています。評価にあたっては、資格別に評価項目を細かく設定し、半期ごとの上司との面談で成果の確認やフィードバックを実施することで、結果の納得性を確保しています。昇給、賞与の水準は、会社業績や他社状況、物価水準などを加味しながら、賃金競争力を確保できる水準を目指し、毎年労使交渉により決定されています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。管理職に占める女性労働者の割合は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 42.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 78.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 86.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 57.5% |
人的資本に関する指標と目標
当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定により、2024年4月1日から2026年3月31日の2か年を計画期間と定めた行動計画及び数値目標を定め、取り組んできました。2026年4月1日から2028年3月31日の2か年計画においても、同様の数値目標を掲げています。加えて「次世代育成支援対策推進法」に基づき、労働者1名当たりの月間所定時間外労働時間(平均)を15時間未満にする目標を掲げています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性採用比率(目標) | 20.0%以上 |
| 女性採用比率(実績) | 19.6% |
| 男性育児休業取得率(目標) | 50.0%以上 |
| 男性育児休業取得率(実績) | 57.1% |
| 労働者1名当たりの月間所定時間外労働時間(平均)(目標) | 15時間未満 |
| 労働者1名当たりの月間所定時間外労働時間(平均)(現状) | 目標未満 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
油研工業は、油圧製品、システム製品、環境機械の製造・販売をグローバルに展開している企業です。同社グループは、油圧機器の専業メーカーとして、国内外の幅広い産業の発展に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
油研工業グループは、油圧機器(油圧製品、システム製品、環境機械)の製造販売を主な事業としています。収益は、これらの油圧機器の製造販売から得ており、国内顧客への販売では検収時点または出荷時に、海外顧客への販売では船積み時点に収益を認識しています。
同社グループの事業は、所在地別に「日本」「アジア」「ヨーロッパ」の3つの報告セグメントで構成されています。各セグメントでは、油圧機器の製造・販売を行っています。
日本
日本セグメントでは、油圧機器全般の製造・販売を手掛けています。当連結会計年度の売上高は前期から増加し、セグメント利益も増加しました。
アジア
アジアセグメントは、同社グループの売上高において最大の規模を占めています。油圧機器の製造・販売を展開しており、中国やインドが主要な市場となっています。当連結会計年度の売上高は前期から減少しましたが、セグメント利益も減少しました。
ヨーロッパ
ヨーロッパセグメントにおいても、油圧機器の製造・販売を行っています。当連結会計年度の売上高は前期から増加しましたが、セグメント利益は減少しました。
同社グループは、アジア地域が売上高の大部分を占め、ヨーロッパ地域でも事業を展開していることから、グローバルに事業を展開していることがわかります。特定の主要な顧客への売上高集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| アジア | 189億円 | 174億円 |
| 日本 | 141億円 | 149億円 |
| ヨーロッパ | 5.7億円 | 6.2億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
油研工業グループの直近5期の業績を見ると、売上高は変動しながらも推移しています。当連結会計年度は、売上高が前期から減少しました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、前期に比べて減少する結果となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 292億円 | 287億円 | 295億円 | 335億円 | 329億円 |
| 経常利益 | 18.1億円 | 12.7億円 | 16.0億円 | 19.2億円 | 17.0億円 |
| 経常利益率 | 6.2% | 4.4% | 5.4% | 5.7% | 5.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 13.2億円 | 13.7億円 | 7.9億円 | 12.5億円 | 10.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 322.94 | 337.22 | 199.68 | 325.87 | 284.38 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
油研工業グループの従業員1人あたり売上高は、当連結会計年度において前期から減少しました。また、従業員1人あたり営業利益も前期に比べて減少しています。これらの指標は、同社グループの生産性や収益体質が前期から変化していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 24.0百万円 | 23.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.4百万円 | 1.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
油研工業グループは、本業で安定した資金を生み出している一方で、将来に向けた投資を積極的に行っている状況です。これにより、事業の成長を重視するフェーズにあることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を上回る水準にあり、安定性を示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準となっています。手元資金は増加傾向にあり、一定の耐性があることがうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 275億円 | 277億円 |
| 自己資本比率 | 51.5% | 48.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.4% | 4.4% |
| 現金及び預金 | 65.1億円 | 79.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローは収入となっています。これは、税金等調整前当期純利益や売上債権の減少があった一方で、仕入債務の減少や法人税等の支払額があったためです。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出が増加したことにより、支出が増加しています。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の純増額や長期借入れによる収入があった一方で、長期借入金の返済や自己株式の取得、配当金の支払額があったため、収入が増加しています。
これらの資金の流れから、同社グループは本業で得た資金を将来の成長に向けた投資に充てている状況がうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 20.8億円 | 20.4億円 |
| 投資CF | △14.0億円 | △25.8億円 |
| 財務CF | △5.8億円 | 19.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 6.8億円 | △5.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの製品は国内外で厳しい競争下にあり、価格競争力や製品の優位性が維持できない場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外向け売上高比率が61.3%と高く、急激な為替変動が経営成績に影響を与える可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
国内の少子高齢化の進展により、優秀な人材の確保が困難になるリスクがあります。また、国内外において人材育成が進まず、社員が必要な技能や経験を保有できない場合、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
油研工業は、油圧機器事業を核に、顧客ニーズに応えるシステム製品や環境機械の開発・販売を推進する油圧専業総合メーカーです。創業以来培ってきた自主技術と海外展開力を強みとし、「油圧と共に生きる」という基本理念のもと、グローバルな貢献と持続的な成長を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
油研工業は、油圧専業総合メーカーとして、油圧機器事業を核に、システム製品や環境機械の開発・生産・販売を積極的に推進しています。自主技術による油圧機器開発を基本姿勢とし、1969年の台湾進出を皮切りに海外展開をいち早く進め、「YUKEN」ブランドをアジアを中心に浸透させてきました。
同社グループは、この海外展開力を活かし、「YUKEN」ブランドを世界に広め、日本、アジア、世界に貢献することを目指しています。環境変化の中でも利益成長できる高収益体質の独立系総合油圧メーカーグループとなることをビジョンとして掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
油研工業グループは、「油圧と共に生きる」という基本的な考え方と「経営の信条」を実践することで、企業価値・商品価値と社会的価値の向上を目指しています。同社は、経営理念である「経営の信条」を礎に、常に最良のコーポレート・ガバナンスを追求し、その充実に継続的に取り組む企業風土です。
持続的な成長と長期的な企業価値向上に向け、意思決定の透明性・公平性を確保し、迅速かつ果敢な意思決定で経営活力を増大させることを重視しています。また、株主をはじめとするステークホルダーとの協働や適切な情報開示による透明性の確保を図りながら、社員が働きやすい環境構築にも努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
油研工業グループは、グループ展開において、サプライチェーンを最大限活用し、本社機能による統率でコスト適正化と情報集約を進め、グループシナジーの最大化を追求することを経営課題としています。技術面では、グループ会社と連携した開発・品質管理体制の構築・強化に取り組み、環境に配慮した次世代製品の開発を通じてブランド力強化を図っています。
また、ESG経営の実践により、事業を通じた社会的課題の解決を重視しており、脱炭素社会への対応強化や環境投資の増加、社員が働きやすい環境構築に努めることを重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
油研工業は、経営理念である「経営の信条」を礎に、常に最良のコーポレート・ガバナンスを追求し、その充実に継続的に取り組んでいます。意思決定の透明性・公平性を確保し、経営資源を十分に活用することで、迅速かつ果敢な意思決定による経営の活力増大を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、複数の持株会や金融機関が上位株主として名を連ねる資本構成となっています。筆頭株主は油研協力会持株会であり、従業員や販売店といった関係者が同社の経営を支える基盤の一つとなっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 油研協力会持株会 | 5.94% |
| みずほ銀行 | 4.27% |
| 油研販売店持株会 | 3.99% |
| 第一生命保険 | 3.83% |
| DEUTSCHE BANK AG FRANKFURT CC CLT OMNI 5000000 | 3.80% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は宮坂篤氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮坂 篤 | 代表取締役社長 | 1987年4月同社入社。2019年6月同社取締役グローバル事業本部長兼事業推進部長。2023年4月同社常務取締役グローバル事業本部長。2025年6月同社代表取締役社長より現職。 |
| 小田島 晴夫 | 常務取締役グローバル事業本部長 | 1981年4月株式会社日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。2021年6月同社監査役。2025年6月同社常務取締役グローバル事業本部長より現職。 |
| 岡田 忠則 | 取締役生産本部長 | 1992年4月同社入社。2023年6月同社取締役生産本部長兼生産部長。2024年10月同社取締役生産本部長より現職。 |
| 滝口 英克 | 取締役技術本部長兼品質保証室長 | 1986年4月同社入社。2025年4月同社技術本部長兼品質保証室長。2025年6月同社取締役技術本部長兼品質保証室長より現職。 |
| 手塚 隆広 | 取締役国内事業本部長 | 1985年3月株式会社ユケンハイメックス入社。1997年4月同社転籍。2025年4月同社国内事業本部長兼東日本営業部長。2026年4月同社取締役国内事業本部長より現職。 |
| 水野 浩司 | 取締役管理本部長 | 1993年4月株式会社第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。2025年4月同社執行役員管理本部長。2025年6月同社取締役管理本部長より現職。 |
社外取締役は、田岡良夫氏(元住友精密工業代表取締役社長)、小林宮子氏(コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティング執行役員)です。
同社は、監査役会設置会社です。社外取締役および社外監査役は、独立性・中立性をもって経営全般に助言を行い、取締役会の透明性の向上と監督機能の強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役の報酬は、固定性の強い月例報酬と、会社業績に連動した決算賞与により構成されています。経常利益を業績連動報酬の指標とすることで、企業価値の成長を促すインセンティブ設計となっています。また、役位に応じた報酬額の一部は役員持株会に拠出されており、社外取締役の報酬は業績連動要素を含まない定額報酬です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 10名 | 1.1億円 | 11.3百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 16百万円 | 15.8百万円 |
| 社外取締役 | 3名 | 16百万円 | 5.4百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 24百万円 | 7.9百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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