※本記事は、株式会社トクヤマ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
トクヤマは、化成品、セメント、電子先端材料、ライフサイエンス、環境事業といった多岐にわたる分野で事業を展開しています。同社グループ各社とともに、社会インフラから先端技術まで幅広い製品・サービスを提供しています。
単体従業員数は2,652名、連結従業員数は6,390名です。同社グループの報告セグメントは、化成品、セメント、電子先端材料、ライフサイエンス、環境事業の5つです。
主な国内グループ会社は、トクヤマソーダ販売、サン・アロー化成、広島トクヤマ生コン(生コンクリートの製造・販売)、東京トクヤマコンクリート、トクヤマエムテックなどです。
同社グループは、当連結会計期間において、ライフサイエンスセグメントで株式会社トクヤマライフサイエンス、株式会社MBLマテリアルズ、株式会社医学生物学研究所ほか3社の株式取得による子会社化を実施しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
トクヤマは、化学を基盤に環境と調和した未来を創造するという存在意義を掲げ、持続的な成長を目指しています。そのため、人材を最重要の経営資本と位置付け、多様な人材が活躍できる環境づくりに注力しています。給与水準や働き方に関する具体的なデータから、同社の特徴を見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境にあると考えられます。安定した人材基盤の上で事業を推進している傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,940,277円 |
| 平均勤続年数 | 16.82年 |
| 平均年齢 | 41.45歳 |
| 単体従業員数 | 2,652人 |
| 連結従業員数 | 6,390人 |
| 単体のグループ内比率 | 41.5% |
同社および国内連結子会社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付制度における退職給付債務は146億円、年金資産は240億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材を企業の持続的成長を支える重要な経営基盤と位置付け、経営戦略と一体となった人材戦略を推進しています。人材の能力・意欲の向上に加え、仕事の進め方や業務構造の変革を通じて価値創出を図ることを基本方針としています。
2024年度には基幹職ジョブ型人事制度を導入し、2025年度には組合員層の人事制度を改定しました。仕事への貢献度を重視する「Pay for job」を念頭に置いた設計となっており、各職務の役割・責任および成果に応じて給与や賞与を決定しています。
「Pay for job」「事業競争力強化」「クリエイティブ人材育成」「継続的な人材確保」を基本コンセプトに、成長分野への人材供給、グループ人事体制構築、業務生産性向上、多様性確保などを戦略として推進しています。次世代経営層候補を選抜するネクストビジネスリーダー研修(NBL研修)やグローバル人材育成研修、DX教育などを実施し、幹部・高度人材の育成に力を入れています。
また、フレックスタイム勤務や在宅勤務、育児・介護両立支援制度、退職者復職登録制度、がん治療支援など、従業員の多様な働き方を支援する制度を整備しています。2023年度からはエンゲージメント調査も継続的に実施し、課題解決に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。賃金体系や制度上に男女間の差異はありませんが、管理職比率や一部手当の支給実績に偏りがあるため賃金差が生じています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 62.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全従業員) | 75.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規従業員) | 77.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(有期雇用従業員) | 52.9% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。賃金体系や制度上に男女間の差異はありませんが、管理職比率や年代別人員構成割合、一部手当の支給実績に偏りがあるため賃金差が生じています。
▼ ㈱エイアンドティー
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 80.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全従業員) | 48.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規従業員) | 57.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(有期雇用従業員) | 61.7% |
▼ トクヤマ海陸運送㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 8.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全従業員) | 67.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規従業員) | 71.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(有期雇用従業員) | 42.9% |
▼ 周南システム産業㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | - |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 80.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全従業員) | 64.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規従業員) | 78.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(有期雇用従業員) | 69.7% |
グループ全体(連結)
提出会社および国内連結子会社を対象とした集計値です。海外連結子会社の男性育児休業取得率および男女の賃金差異は集計されていません。賃金体系や制度上に男女間の差異はありませんが、管理職比率、年代別男女構成比、一部手当の支給実績に偏りがあるため賃金差が生じています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 64.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全従業員) | 59.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規従業員) | 72.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(有期雇用従業員) | 36.2% |
業務の生産性向上
(注)単体
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 生産性向上を支援するインセンティブ該当件数 | 13名 |
成長分野、新規PJへの人材供給
(注)単体
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 人材計画に対する人員補充の充足率 | 80% |
| 管理職重要ポスト後継者候補充足率 | 123% |
会社の成長を推進する人材の採用と創出
(注)単体
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| NBL研修受講者人数 | 累積87名 |
| グローバル人材育成研修 | 19名 |
知恵と経験の多様性確保
(注)学卒以上の女性採用比率、管理職以上の女性比率は単体および国内連結子会社。障がい者雇用は単体。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 学卒以上の女性採用比率 | 27.8% |
| 管理職以上の女性比率 | 10.6% |
| 障がい者雇用の推進 | 2.49% |
エンゲージメントの向上
(注)従業員エンゲージメントは単体。男性育児休業取得率、年次有給休暇取得率は単体および国内連結子会社。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員エンゲージメント | エンゲージメント不芳部署を対象とした向上施策の実施 |
| 男性育児休業取得率 | 64.8% |
| 年次有給休暇取得率 | 79.4% |
健康優良法人認定
(注)単体
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 健康優良法人認定 | 取得 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社トクヤマは、化成品、セメント、電子先端材料、ライフサイエンス、環境事業の5つの報告セグメントを中心に、幅広い事業を展開する化学メーカーです。同社グループは、多様な製品とサービスを通じて社会の基盤を支える事業構造を持っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、化学製品を基盤としながら、セメントや電子先端材料、医療・歯科材料、環境関連事業など、多岐にわたる分野で事業を展開しています。各セグメントがそれぞれの専門性を活かし、多様な顧客ニーズに応える製品やサービスを提供することで収益を上げています。
化成品
苛性ソーダ、ソーダ灰、塩化カルシウム、重炭酸ナトリウム、珪酸ソーダ、水素、塩化ビニルモノマー、塩化ビニル樹脂、酸化プロピレン、塩素系溶剤などを製造・販売しています。収益は、これらの基礎化学品や樹脂製品の製造・販売から得ています。運営は、サン・アロー化成、トクヤマソーダ販売などが行っています。
セメント
セメント、生コンクリート、セメント系固化材などの製造・販売および資源リサイクルを行っています。収益は、建設資材の提供と資源リサイクル事業から得ています。運営は、広島トクヤマ生コン、Tokuyama Nouvelle Calédonie S.A.、東京トクヤマコンクリート、西部徳山生コンクリート、川崎徳山生コンクリート、九州徳山生コンクリート、中国生コンクリート、しろかわ、トクヤマエムテック、山陽徳山生コンクリート、山口エコテック、トクヤマ通商などが行っています。
電子先端材料
多結晶シリコン、乾式シリカ、四塩化珪素、窒化アルミニウム、電子工業用高純度イソプロピルアルコール、フォトレジスト用現像液、工業用イソプロピルアルコールなどを製造・販売しています。収益は、半導体や電子部品向けの高性能材料の提供から得ています。運営は、TOKUYAMA VIETNAM CO., LTD.、徳山化工(浙江)有限公司、台湾徳亞瑪股份有限公司、Tokuyama Singapore Pte. Ltd.、台塑德山精密化學股份有限公司、STAC Co., Ltd.、TDパワーマテリアル、韓徳化学、トクヤマソーダ販売などが行っています。
ライフサイエンス
医療診断システム、体外診断用医薬品、体外診断用医薬品材料、歯科器材、医薬品原薬・中間体、プラスチックレンズ関連材料、微多孔質フィルムなどを製造・販売しています。収益は、医療・ヘルスケア分野の製品提供から得ています。運営は、エイアンドティー、MBLマテリアルズ、医学生物学研究所、MBL Shenzhen Biotech Co., Ltd.、トクヤマデンタル、愛研徳医療器械貿易(上海)有限公司、MBL Beijing Biotech Co., Ltd.、Tokuyama Dental Italy S.r.l.、Tokuyama Dental Deutschland GmbH、Tokuyama Dental America Inc.などが行っています。
環境事業
イオン交換膜などを製造・販売し、廃石膏ボードリサイクルを行っています。収益は、環境負荷低減に貢献する製品の提供とリサイクルサービスから得ています。運営は、トクヤマ・チヨダジプサム、アストム、エクセルシャノンなどが行っています。
同社グループの事業は、化成品、電子先端材料、セメントの順に売上高が大きく、これらのセグメントが主要な収益源となっています。当期はライフサイエンスと環境事業が売上を伸ばし、電子先端材料とセメントも増収となりました。一方で化成品は減収となりました。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 化成品 | 1,149億円 | 1,061億円 |
| 電子先端材料 | 862億円 | 909億円 |
| セメント | 643億円 | 661億円 |
| ライフサイエンス | 419億円 | 494億円 |
| その他の事業セグメント | 307億円 | 310億円 |
| 環境事業 | 49.4億円 | 59.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は概ね横ばいから微増の傾向にあります。経常利益は変動が見られますが、当期は大きく増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期から減少しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,938億円 | 3,518億円 | 3,420億円 | 3,431億円 | 3,495億円 |
| 経常利益 | 259億円 | 148億円 | 263億円 | 296億円 | 382億円 |
| 経常利益率 | 8.8% | 4.2% | 7.7% | 8.6% | 10.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 280億円 | 93.6億円 | 178億円 | 234億円 | 222億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 389.09 | 130.15 | 246.72 | 325.08 | 308.64 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から減少しています。一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期から増加しており、組織全体の収益性が向上していることが示されています。これらの指標は、同社グループの事業効率や従業員一人ひとりの貢献度を測る上で重要な情報となります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 59.3百万円 | 54.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 5.2百万円 | 5.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した収益を上げつつ、将来に向けた積極的な投資を進めている成長フェーズにあります。財務基盤の安定性と資金の流れから、現在の経営状況を把握できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を上回る水準にあります。これは安定した経営基盤を示しており、入社後の雇用安定性につながる要素です。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場の製造業平均を下回っています。手元資金である現金及び預金は前期から減少しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2,739億円 | 2,978億円 |
| 自己資本比率 | 54.9% | 50.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.2% | 8.2% |
| 現金及び預金 | 755億円 | 472億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが前期から減少したものの、510億円のプラスとなっています。これは、税金等調整前当期純利益や減価償却費が資金増加要因となった一方で、法人税等の支払額が資金減少要因となったためです。投資活動によるキャッシュフローは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得や投資有価証券の取得による支出が増加したことにより、前期から大幅に減少し、1,230億円のマイナスとなりました。
その結果、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローは720億円のマイナスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入れによる収入やコマーシャル・ペーパーの増加により、前期のマイナスから418億円のプラスに転じています。これは、事業拡大のための積極的な投資を借入金等で賄っている成長投資フェーズにあることを示しており、将来的な成長への期待が持てる一方で、現時点では資金流出が続いている状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 524億円 | 510億円 |
| 投資CF | △235億円 | △1,230億円 |
| 財務CF | △11億円 | 418億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 289億円 | △720億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、生産に必要な原燃料の市況高騰や供給逼迫、競合他社との価格競争により、生産活動や収益性に大きな影響を受ける可能性があります。また、脱炭素社会への移行が進む中で、カーボンプライシングの導入やエネルギー調達コストの増加、非化石エネルギーへの転換に伴うコスト増加が業績に影響を与えるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
日本国内の少子高齢化による労働力人口の減少に伴い、将来的に生産活動に必要な人材の確保が困難になる可能性が指摘されています。特に、先端材料の研究開発やDX、サイバーセキュリティ対策を推進する人材の確保が困難になった場合、同社グループの成長戦略達成に大きな影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
トクヤマは「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」という存在意義を掲げ、持続可能な社会への貢献を目指しています。この理念に基づき、顧客と共に未来を創造する企業でありたいという思いが込められています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、社会全体の変革に対応し、「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」ことを存在意義(Mission)としています。この存在意義に基づき、以下の「ありたい姿(Vision)」を策定しています。
具体的には、「顧客起点のマーケティングから始める価値創造型企業」を目指し、独自の強みを磨き、新領域に挑戦し続ける企業であるとしています。また、社員と家族が健康で仕事に誇りを持てる企業、そして世界中の地域・社会の人々との繋がりを大切にする企業でありたいと考えています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「存在意義(Mission)」、「Vision(ありたい姿)」、そして4つの「Values」から成る理念体系を構築しています。この理念体系と、2023年4月に制定された8項目の「サステナビリティ基本原則」に則り、事業活動を進めています。
また、サステナビリティを含む経営課題への取り組みを促進するため、「コーポレートガバナンス・ポリシー」や「行動憲章」など、さまざまな方針を体系化しています。人材を最重要の「経営資本」と位置付け、トクヤマグループのビジョン実現に向けた「人事ポリシー」を明文化し、多様性と高い生産性を兼ね備えた人的資本の形成を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中長期的な経営戦略として「中期経営計画2025」を策定し、3項目の重点課題を設定しています。一つ目は「事業ポートフォリオの転換」であり、「電子」「健康」「環境」を成長事業と位置付け、重点的な投資や不採算事業の見直し、海外展開の加速を進めています。
二つ目は「地球温暖化防止への貢献」で、「2050年度カーボンニュートラル達成」を長期目標に掲げ、原燃料の脱炭素化や次世代エネルギーに関する技術開発、GHG排出量削減に取り組んでいます。三つ目は「CSR経営の推進」であり、社会に必要とされる企業であり続けるために、マテリアリティ(CSRの重要課題)として10項目を特定し、その解決に努めています。
なお、中期経営計画2030にあわせて、マテリアリティは「事業ポートフォリオの変革」「顧客との創発による事業・製品創出」「オペレーショナル・エクセレンスの追求」「地球環境問題への責任と挑戦」「ガバナンス&レジリエンスの強化」「人的資本の活用」の6項目に刷新されています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
トクヤマは監査等委員会設置会社であり、取締役会による監督機能の強化を図っています。コーポレートガバナンス・コードに基づき、株主の権利尊重やステークホルダーとの協働を重視する方針です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
トクヤマの株主構成を見ると、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、複数の信託銀行や生命保険会社といった機関投資家が上位に名を連ねています。これは、幅広い機関投資家によって同社の株式が保有されている状況を示しています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 17.05% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.73% |
| 日本生命保険相互会社(常任代理人 日本マスタートラスト信託銀行) | 3.01% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505223 | 2.63% |
| BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC) | 2.44% |
なお、三井住友DSアセットマネジメントは2026年3月31日現在で2,421千株(3.36%)を所有している旨が変更報告書に記載されていますが、議決権行使基準日現在における実質所有株式数の確認ができないため、大株主の状況には含められていません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
トクヤマの役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.0%です。代表取締役社長執行役員は井上智弘氏が務めています。社外取締役比率は45.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 井上 智弘 | 代表取締役社長執行役員 | 1989年4月同社入社。事業推進プロジェクトグループリーダー、セメント製造部長、執行役員環境事業部門長を経て、2026年4月より代表取締役社長執行役員現職。 |
| 横田 浩 | 代表取締役会長執行役員 | 1985年4月同社入社。ファインケミカル営業部長、執行役員特殊品部門長、社長執行役員を経て、2026年4月より代表取締役会長執行役員現職。 |
| 岩崎 史哲 | 取締役専務執行役員 | 1986年4月同社入社。機能材料開発グループリーダー、鹿島工場長、執行役員研究開発部門長を経て、2026年4月より取締役専務執行役員現職。 |
| 谷口 隆英 | 取締役専務執行役員 | 1986年4月同社入社。マレーシア計画企画グループリーダー、経営企画グループリーダー、執行役員セメント部門長を経て、2026年4月より取締役専務執行役員現職。 |
社外取締役は、水本伸子氏(株式会社IHI顧問・監査等委員)、石塚啓氏(三菱UFJニコス代表取締役会長・監査等委員)、近藤直生氏(弁護士法人大江橋法律事務所パートナー・監査等委員)、斉藤史郎氏(株式会社東芝特別嘱託・監査等委員)、梶原ゆみ子氏(富士通執行役員EVP CSuO・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が経営の監督と助言の役割を担い、企業価値毀損の防止やリスクマネジメントに貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
トクヤマの取締役の報酬は、基本報酬、賞与、業績連動型株式報酬で構成されています。社外取締役は基本報酬のみが支給される仕組みです。報酬構成比率は、目標達成時で基本報酬55%、賞与25%、業績連動型株式報酬20%となるよう設計されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.8億円 | 36.6百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 2名 | 49百万円 | 24.5百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 66百万円 | 11.0百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した取締役2名を含みます。また、業績連動型株式報酬は当事業年度中の費用計上額であり、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
個人別報酬が開示されている役員はいません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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