トクヤマの転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

トクヤマの転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

トクヤマの2026年3月期2Q決算は、営業利益37.2%増と大幅増益。JSRからの診断薬事業買収を完了し、成長事業の柱が明確になりました。半導体材料の急成長とヘルスケア分野への大胆なシフトが進む中、専門人材がどの事業でどんな役割を担えるのか、最新資料から紐解きます。


0 編集部が注目した重点ポイント

ライフサイエンス事業の買収を完了し新体制へ移行する

2025年10月1日付でJSR株式会社の体外診断用医薬品(IVD)および材料事業(IVDM)の買収を完了しました。新社名は「株式会社トクヤマライフサイエンス」となり、2025年度下期より連結開始となります。ヘルスケア分野でのキャリア機会が飛躍的に拡大する構造的変化と言えます。

電子先端材料の営業利益が前年比140.5%増と急成長する

半導体市場の回復を受け、多結晶シリコンの操業度改善や放熱材の販売増により、セグメント営業利益が69億円(前年同期比約2.4倍)へ到達しました。成長事業として位置づける「電子」分野が、全社の利益成長を強力に牽引するフェーズに入っています。

製造コスト改善により売上減を跳ね返し大幅増益を達成する

塩ビ関連の海外市況下落等により売上高は1.1%減となりましたが、石炭・ナフサ価格の下落や製造コストの低減により、営業利益は37.2%増の191億円を記録しました。価格改定と徹底したコスト管理が利益体質の強化に直結しており、事業効率の改善が鮮明です。

1 連結業績ハイライト

半導体関連の堅調な伸びと構造的な製造コスト改善により、売上高が微減ながらも利益面で大幅な成長を遂げた決算です。
2026年3月期 第2四半期 決算概要

出典:2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会 P.5

売上高 1,637億円 -1.1%
営業利益 191億円 +37.2%
経常利益 189億円 +39.2%
親会社株主利益 121億円 +4.3%

当第2四半期(累計)は、売上高が1,637億円と前年をわずかに下回ったものの、中身は非常にポジティブです。半導体市場の持ち直しにより電子先端材料が牽引し、コスト面では原燃料単価の低下が+69億円、半導体関連の数量増が+33億円の利益押し上げ要因となりました。営業利益率は前年同期の8.4%から11.7%へと大幅に改善しています。

通期業績予想に対する営業利益の進捗率は46.1%となっており、下期から新規買収したライフサイエンス事業が連結されることを考慮すると、業績は概ね順調に推移していると評価できます。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

報告セグメント全6分野を解説。成長事業である「電子」と、M&Aで変革が進む「ライフサイエンス」がキャリア形成の鍵となります。
セグメント別売上高・営業利益

出典:2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会 P.7

化成品

事業内容:苛性ソーダ、塩化ビニル樹脂、ソーダ灰など、産業の基盤となる基礎化学品を提供。

業績推移:売上高523億円(前年同期比8.6%減)、営業利益56億円(同6.8%増)。

注目ポイント:海外市況の下落による減収となりましたが、国内での価格改定や製造コスト削減が奏功し増益を確保。伝統的な事業ながら、物流費の最適化や生産プロセスの合理化を推進する生産技術・SCM人材の貢献が利益維持の生命線となっています。

注目職種:プロセスエンジニア、SCM、貿易実務

セメント

事業内容:普通ポルトランドセメントの製造・販売および廃棄物受入による資源リサイクル事業。

業績推移:売上高324億円(前年同期比0.5%増)、営業利益48億円(同31.2%増)。

注目ポイント:国内出荷量は減少したものの、販売価格の是正とコスト改善により大幅増益。廃棄物を燃料として活用するリサイクル技術の高度化が進んでおり、環境負荷低減と収益性を両立させる技術開発力が求められています。

注目職種:環境技術開発、法人営業、プラント保守

電子先端材料

事業内容:半導体用多結晶シリコン、高純度化学品、放熱材(窒化アルミニウム等)。

業績推移:売上高425億円(前年同期比7.1%増)、営業利益69億円(同140.5%増)。

注目ポイント:最注力の成長事業です。半導体製造装置向けの放熱材販売が好調で、多結晶シリコンの稼働率向上と相まって利益が爆発的に伸びています。技術的な優位性が高く、次世代デバイス向けの先端材料開発において高い専門性を発揮できる環境です。

注目職種:半導体材料開発、品質管理、アプリケーションエンジニア

ライフサイエンス

事業内容:歯科器材、医薬品原薬、メガネレンズ材料および体外診断システム。

業績推移:売上高192億円(前年同期比3.6%減)、営業利益40億円(同3.7%増)。

注目ポイント:(注:JSRから取得したIVD事業は10月より連結のため本実績には未含)。歯科器材の海外展開を強化中。新会社トクヤマライフサイエンスの合流により、体外診断薬・試薬原料のポートフォリオが劇的に強化されます。事業拡大に伴い、医療分野の規制対応や専門営業の需要が急増しています。

注目職種:薬事、診断薬開発、メディカル営業

環境事業

事業内容:イオン交換膜および装置、廃石膏ボードリサイクル。

業績推移:売上高26億円(前年同期比37.8%増)、営業利益2億円(前年は赤字)。

注目ポイント:黒字転換を達成。イオン交換膜の出荷増や廃石膏ボードの収集が堅調です。水処理やエネルギー分野での膜技術応用が進んでおり、社会課題解決に直結するやりがいのあるフィールドです。

注目職種:膜分離技術者、環境コンサルタント、リサイクル営業

その他

事業内容:海外販売会社、運送業、不動産業などグループ内支援事業。

業績推移:売上高201億円(前年同期比4.4%増)、営業利益13億円(同25.8%減)。

注目ポイント:グループ全体のロジスティクスや販売機能を支える重要拠点。利益面ではコスト増の影響を受けたものの、グローバルな供給網の安定化に欠かせない役割を担っています。

注目職種:海外営業、物流企画、管理部門

3 今後の見通しと採用の注目点

下期から本格稼働する「トクヤマライフサイエンス」のシナジーと、半導体関連の投資加速が次なる成長局面を作ります。
IVD/IVDM事業買収とシナジー

出典:2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会 P.20

トクヤマは2025年度下期、大きな変革期を迎えます。JSRから取得した診断薬・試薬原料事業と、トクヤマの保有する有機合成・粒子制御技術を融合させることで、「高収益の試薬ビジネス」の早期構築を目指しています。これにより、2030年度の成長事業売上比率60%以上という目標達成に向けた「健康」分野の核が定まりました。

設備投資計画も356億円と高い水準を維持しており、特に半導体材料の増産やライフサイエンス分野の強化に重点配分されています。伝統的な化学メーカーから、先端・健康分野のスペシャリスト集団へと進化する過程で、異業界からの専門人材採用は今後さらに活発化する見通しです。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

「伝統的な基礎化学事業を基盤にしつつ、半導体・ライフサイエンスという成長分野へ経営資源を大胆にシフトしている点」に注目してください。特に、今回の診断薬事業の大型買収により、化学の知見を医療に活かすクロスセルの戦略やインド市場への進出など、新規開拓のチャンスが豊富にあることを動機に結びつけるのが有効です。

Q&A

面接での逆質問例

「新たに発足したトクヤマライフサイエンス社と既存の診断事業(エイアンドティー社等)との連携において、現在どのような開発体制の融合が進んでいるのでしょうか?」や、「半導体市場の変動が激しい中で、放熱材やICケミカルの差別化要因を今後どう強化していく方針ですか?」といった、事業の核心に触れる質問が評価されます。

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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やりがいなどは見つけやすい環境

自分に適した仕事をさせてもらえると思える。ただ、そこで合わなくても、異動により対応してもらえる、または上司の判断により部署は変わらず仕事内容を変えてもらえるので、やりがいなどは見つけやすい環境だと思う。

(30代前半・電気設計・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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仕事はできる人に集まる傾向がある

上司の考え方にもよるが、仕事はできる人に集まる傾向がある。よって、能力があって仕事が早くても仕事量が多くなり、残業をしなければならない状況になることもある。

(30代前半・電気設計・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 株式会社トクヤマ 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会資料(2025年10月29日発表)
  • 株式会社トクヤマ 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)(2025年10月29日発表)

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。

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