レオン自動機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レオン自動機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場。レオロジー(流動学)を応用した食品加工機械(包あん機等)の開発・製造・販売及び食品の製造販売を行う。直近の連結業績は、円安の影響や海外での大型ライン販売が寄与し、売上高392億円(前期比4.0%増)、経常利益54億円(同8.6%増)と増収増益。


※本記事は、レオン自動機株式会社 の有価証券報告書(第63期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. レオン自動機ってどんな会社?


食品加工機械のパイオニア。「火星人」等の包あん機で世界的なシェアを持ち、レオロジー技術で食文化に貢献する研究開発型企業です。

(1) 会社概要


1963年、林虎彦氏が発明した包あん機の実用化を目的に設立され、1974年に米国・欧州に現地法人を設立しました。1985年に店頭登録、1989年に東証一部(現プライム)へ上場。2006年に有限会社ホシノ天然酵母パン種を子会社化し、2020年には新社屋「レオン・ソリューションセンター」を完成させました。

同グループは連結従業員1,075名、単体675名の体制です。筆頭株主は創業者ゆかりの公益財団法人林レオロジー記念財団、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は資産管理会社と思われる有限会社です。

氏名 持株比率
公益財団法人林レオロジー記念財団 11.30%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.80%
ラム商事有限会社 6.30%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名(22.2%)の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は小林 幹央氏です。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
小林 幹央 代表取締役社長 1977年入社。技術サービス部長、オレンジベーカリー社長・会長、ホシノ天然酵母パン種社長等を歴任。2021年4月より現職。
大貫 和茂 取締役常務執行役員営業本部長 1987年入社。レオンUSA社長・会長、海外営業統括部長、海外販売促進部長等を歴任。2021年6月より現職。
細谷 昌樹 取締役常務執行役員開発設計 兼品質管理 兼特許担当 1988年入社。開発設計部長、オレンジベーカリー取締役を経て、2023年6月より現職。
菊地 芳幸 取締役常務執行役員技術サービス部長食品製造販売事業担当 1990年入社。レオンヨーロッパ社長、技術サービス部長を経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、平原 興(弁護士)、赤塚 孝江(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「食品加工機械製造販売事業」および「食品製造販売事業」を展開しています。

(1) 食品加工機械製造販売事業


日本、北米・南米、ヨーロッパ、アジアの各地域で、万能自動包あん機「火星人」や製パンライン(ストレスフリーシステム等)の開発、製造、販売、メンテナンスを行っています。主な顧客は製パン・製菓メーカーや食品工場です。運営はレオン自動機、株式会社レオンアルミ、レオンUSA、レオンヨーロッパ等が行っています。

収益は、顧客への機械製品の販売代金、部品代、修理工賃、技術指導料等から得ています。製品の販売においては、国内では搬入据付時、海外では出荷・船積時等に収益を認識しています。運営は、日本・アジア地域をレオン自動機、北米・南米をレオンUSA、欧州をレオンヨーロッパが担当しています。

(2) 食品製造販売事業


北米・南米および日本において、クロワッサンやパイ等の冷凍生地、天然酵母パン種の製造販売を行っています。特に米国では同社の機械を使用したモデル工場としての役割も担い、スーパーマーケットやファストフードチェーン等に商品を供給しています。

収益は、顧客への食品(パン、菓子、パン種等)の販売代金から得ており、製品出荷時等に収益を認識しています。運営は、北米・南米地域ではオレンジベーカリー(ORANGE BAKERY, INC.)、日本国内では有限会社ホシノ天然酵母パン種が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に右肩上がりで推移しており、成長傾向にあります。利益面でも、経常利益率は10%を超える高水準を維持しており、収益性は高いと言えます。特に直近では円安の影響もあり、海外売上が伸長しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 223億円 266億円 353億円 377億円 392億円
経常利益 16億円 15億円 32億円 50億円 54億円
利益率(%) 7.3% 5.5% 9.1% 13.2% 13.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 17億円 19億円 24億円 25億円 23億円

(2) 損益計算書


直近2期間を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上原価率の上昇は見られず、安定した利益構造を維持しています。営業利益率も13%台と高い水準を確保しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 377億円 392億円
売上総利益 168億円 178億円
売上総利益率(%) 44.5% 45.4%
営業利益 49億円 53億円
営業利益率(%) 13.0% 13.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が37億円(構成比29%)、その他が32億円(同25%)を占めています。売上原価の内訳データはありません。

(3) セグメント収益


北米・南米における食品加工機械の販売が好調で大幅な増収となっています。一方、アジアでは売上が減少しました。食品製造販売事業(米国オレンジベーカリー等)も安定して収益を上げています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
食品加工機械製造販売(日本) 118億円 115億円
食品加工機械製造販売(北米・南米) 42億円 48億円
食品加工機械製造販売(ヨーロッパ) 44億円 46億円
食品加工機械製造販売(アジア) 22億円 21億円
食品製造販売(北米・南米) 146億円 157億円
食品製造販売(日本) 5億円 5億円
調整額 -億円 -億円
連結(合計) 377億円 392億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

レオン自動機グループは、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

本業で生み出されたキャッシュ・フローは、設備投資や研究開発活動に充てられています。将来の成長に向けた設備投資や、市場ニーズに対応するための研究開発活動が行われています。資金調達は、金融機関からの借入も活用し、安定的な財務基盤の維持に努めています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 46億円 58億円
投資CF -15億円 -20億円
財務CF -14億円 -14億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、レオロジー(流動学)の応用工学に基づく独自の開発技術により、常に進歩的な新技術の開発を行い、食文化の継承と発展を通じて、「存在理由のある企業たらん」を目指し、人類繁栄に貢献することを経営の基本理念としています。

(2) 企業文化


同社は、社会とすべてのステークホルダーの信頼と期待に応え、食品機械工業界におけるパイオニア的役割を果たすとともに、研究開発メーカーとしての使命を遂行することを重視しています。また、「働きに喜びを感じる社会・会社」を目指し、多様性のある人・組織の育成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画(2023年度~2027年度)において、「改革と企業基盤の強化」を掲げています。最終年度である2027年度の数値目標として、以下を設定しています。
* 売上高:444億円
* 営業利益率:12.0%
* ROE:9.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


海外市場の拡大を成長の柱とし、特に欧米での大型自動化ラインの拡販や、中東・インド等の新規市場開拓を進めています。また、中長期的戦略として「スマートファクトリー」の実現を掲げ、IoT活用や自動化・省人化技術の開発を推進しています。子会社のオレンジベーカリーを実験工場として新工場建設も計画しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


グローバル人材の育成や女性活躍を推進するため、「評価と報酬」「採用」「活用(育成、教育)」「組織管理」の改革に取り組んでいます。多様な視点や価値観を尊重し、女性・外国人・中途採用者に限らず、多様な個性を持つ中核人材の比率を高める方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 45.6歳 21.8年 7,055,604円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.1%
男性育児休業取得率 40.0%
男女賃金差異(全労働者) 76.1%
男女賃金差異(正規) 74.3%
男女賃金差異(非正規) 82.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新入社員に占める女性の割合(21.4%)、全正社員に占める女性の割合(18.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 販売活動に関するリスク


売上高の多くが外貨建てであるため、為替変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、食品産業の消費動向や顧客の設備投資計画の変更、短納期注文やキャンセル等が四半期ごとの業績変動要因となるほか、海外市場における地政学的リスクや規制変更の影響を受ける可能性があります。

(2) コンプライアンスに関するリスク


商品の品質、取引、環境、労務など様々な法規制の適用を受けており、法令違反等の問題が生じた場合、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。全役職員への意識徹底や推進体制の強化を図っていますが、リスクを完全に排除できる保証はありません。

(3) 情報セキュリティに関するリスク


事業上の機密情報や顧客情報を保有しており、サイバー攻撃等によるデータ流出やシステム停止のリスクがあります。対策を強化していますが、障害が発生した場合には業績等に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。