ヨシタケ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヨシタケ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場するヨシタケは、自動調整弁の製造販売を主力事業とするメーカーです。工場設備市場における省エネルギー製品や医療機関向け製品の好調に加え、アセアン地域向けの海外販売が伸長した結果、直近の業績は売上高および各利益段階において増収増益を達成し、堅調な成長を続けています。


※本記事は、ヨシタケの有価証券報告書(第83期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヨシタケってどんな会社?


自動調整弁の製造販売を主力事業とし、流体制御機器を通じて産業設備の省エネルギー化などに貢献するメーカーです。

(1) 会社概要


1944年にフシマン製作所名古屋工場として設立され、1948年にヨシタケ製作所へ社名を変更しました。1990年に現社名のヨシタケに変更するとともに株式を店頭公開しました。1996年のタイにおける製造子会社設立をはじめとして海外展開を推進しており、直近では2024年にヨシタケバイオマスエンジニアリングを子会社化しています。

従業員数は連結で550名、単体で180名体制です。筆頭株主はプラスファイブで、第2位はDAIWA CM SINGAPORE LTD-NOMINEE PLUS SEVEN PTE. LTD.(常任代理人 大和証券)、第3位は事業会社の昭和螺旋管製作所となっています。

氏名 持株比率
プラスファイブ 36.63%
DAIWA CM SINGAPORE LTD-NOMINEE PLUS SEVEN PTE. LTD. 10.97%
昭和螺旋管製作所 1.94%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山田哲氏が務めており、社外取締役の比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
山田哲 代表取締役社長 1996年同社入社。アームストロング・ヨシタケ代表取締役等を経て2004年同社代表取締役副社長に就任。2006年より同社代表取締役社長。海外子会社やヨシタケバイオマスエンジニアリングの代表取締役社長も兼務。
吉野幸司 取締役カワキ計測工業担当 1985年同社入社。技術部長等を経て2014年取締役エンジニアリング事業本部長兼品質保証部担当に就任。2024年より同社取締役カワキ計測工業担当および同社専務取締役。
早川健二 取締役生産本部長 1984年同社入社。執行役製造部長等を経て2012年ヨシタケ・ワークス・タイランド代表取締役に就任。2015年同社執行役生産本部長を経て、2018年より同社取締役生産本部長。
浅田幸男 取締役エンジニアリング事業本部営業本部長 1991年同社入社。執行役エンジニアリング事業本部部長等を経て、2018年同社取締役エンジニアリング事業本部営業本部長に就任。2024年よりヨシタケバイオマスエンジニアリング代表取締役。
橋本育夫 取締役エンジニアリング事業本部部長(海外販売担当) 1995年同社入社。海外販売事業部長等を経て、2022年同社取締役エンジニアリング事業本部部長(海外販売担当)に就任。アームストロング・ヨシタケ代表取締役などを兼務。


社外取締役は、水谷博之氏(名古屋家庭裁判所調停委員)、林宏忠氏(メイネツ代表取締役社長)、加藤敦氏(セーシン代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、日本およびアジア事業を展開しています。

日本


主に国内向けの自動調整弁の製造販売および輸入製品等の販売を行っています。建築設備物件や工場設備市場、医療機関・医薬品工場向けに、省エネルギー効果やCO2削減効果に寄与するバルブやミキサーなどの流体制御機器を提供しています。

製品の販売による収益が主な収益源です。製造については同社およびカワキ計測工業が行い、販売は同社とヨシタケ・アームストロング、ヨシタケバイオマスエンジニアリングが担当しています。また米国関連会社も販売を担っています。

アジア


タイの製造工場をグループの中心的生産拠点とし、鋳造から加工、組立までの一貫生産体制による製品供給と、アセアン地域および中国の顧客に対する自動調整弁等の直接販売を行っています。

製造拠点からの製品供給および現地顧客への製品販売により収益を得ています。製造はヨシタケ・ワークス・タイランドが行い、販売は同社から供給を受けた製品をマレーシア、インドネシア、シンガポール、ベトナム、中国の各販売子会社を通じて展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は右肩上がりの成長を継続しています。利益面では前期に一時的な減益となったものの、当期は工場設備市場向けの提案営業やアジア地域での販売が好調に推移し、増収増益を達成しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 71億円 75億円 90億円 98億円 103億円
経常利益 14億円 13億円 15億円 14億円 23億円
利益率(%) 19.1% 17.6% 16.6% 14.7% 22.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 9億円 10億円 6億円 19億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い売上総利益も増加しています。生産効率の向上や徹底したコスト削減の効果により、営業利益は前期比で大きく伸長し、営業利益率も10.9%から12.8%へと収益性が高まっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 98億円 103億円
売上総利益 39億円 42億円
売上総利益率(%) 39.8% 40.4%
営業利益 11億円 13億円
営業利益率(%) 10.9% 12.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料が10億円(構成比36%)、法定福利費・福利厚生費が2億円(同7%)、役員報酬が2億円(同6%)を占めています。

(3) セグメント収益


日本セグメントは工場設備市場向けの省エネルギー製品等が牽引し、前期と同水準の売上を確保しました。アジアセグメントはアセアン地域向けの製品販売が好調に推移し、増収に大きく貢献しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
日本 76億円 76億円
アジア 23億円 28億円
連結(合計) 98億円 103億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益と有価証券の償還等による収入で生み出した資金を元に、借入金の返済を進める改善局面となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 14億円 13億円
投資CF -4億円 4億円
財務CF -7億円 -14億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も86.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は経営の指針として「フェアビジネス(Y’s, a Business of Fair Endeavor)」という企業理念を掲げています。これらの指針に沿って会社を運営することが、会社の発展と株主の利益につながるものと考えて経営を行っています。

(2) 企業文化


同社は「フェアビジネス」の企業理念のもと、安易な価格競争や価格崩壊につながる営業活動は行わず、製品価値に見合った適正な販売価格を提示していくことを重視しています。多様な価値観や視点を尊重し、幅広い人材育成プランを構築する文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、収益性、効率性、成長性、安全性などの総合的なバランスを取りながら、収益の持続的な拡大を目標としています。安定的な収益力の指標として、営業利益および経常利益を重視した経営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は中長期的な視点で、国内外の建築設備物件の受注獲得や海外販路の更なる拡大を通じた「販売シェアの拡大」に取り組んでいます。また、製品ラインアップの拡大と新市場向け製品の投入による「製品開発の強化」、サプライチェーンの多様化等の「リスク管理の強化」、流体制御バルブを通じた顧客の省エネ支援など「サステナビリティ経営の推進」を重点施策として掲げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、社員一人ひとりが主体的に考え挑戦する「自律的に挑戦できる人材の育成」と、シニアや外国人材を含む「多様な人材が活躍できる組織づくり」を人材戦略の基本としています。また、長時間労働の抑制やIT活用による業務効率化を通じて「働きやすい職場環境整備」を進め、持続的成長を支える人材確保と育成を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.3歳 16.0年 6,282,549円


※平均年間給与は賞与および基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) タイ生産拠点への依存と自然災害等のリスク

同社グループは製品の一部をタイ国の生産子会社で製造しています。当該地域や輸送経路において紛争や重大な自然災害等が発生し、代替調達や生産体制の移行が困難になった場合、製品の供給に支障をきたし、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 金属・石油由来の原材料価格の高騰と調達難

鋳鉄や青銅鋳物、ステンレスなどの金属製品、および塗料や樹脂製資材などの石油由来製品を主要原材料として使用しています。これらの価格が大幅に上昇し、コスト削減や販売価格への転嫁が追いつかない場合や調達が長期的に困難になった場合、製造活動や収益に影響を与える可能性があります。

(3) 建設需要や設備投資の減退による販売価格の低下

景気の減速や企業収益の悪化等により、建設需要や設備投資への意欲が減退した場合、販売価格への低下圧力に繋がるリスクがあります。適正な販売価格を提示する方針を掲げていますが、競合他社の動向や市場情勢により一時的に市場シェアを失う可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。