※本記事は、株式会社コンセック の有価証券報告書(第58期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. コンセックってどんな会社?
コンクリート構造物の穿孔・切断機器の製造販売と、それらを用いた特殊工事を主要事業として展開しています。
■(1) 会社概要
1967年に建設サービスとして設立され、アンカー工事と建設資材販売を開始しました。その後、建設機械の製造販売を行う発研を吸収合併し、1990年に現社名へ変更しました。2004年に日本証券業協会への店頭登録を取り消し、JASDAQ市場へ上場しました。2013年には東証JASDAQ(スタンダード)へ上場し、2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証スタンダード市場に上場しています。
同グループは連結子会社9社、関連会社1社で構成されており、連結従業員数は330名、単体従業員数は202名です。筆頭株主は創業者の佐々木秀隆氏で、第2位は同氏が代表を務める日本鉱泉です。第3位は株式会社ライフステージやまととなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 佐々木 秀隆 | 13.88% |
| 日本鉱泉 | 9.66% |
| ライフステージやまと | 7.39% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は福田多喜二氏です。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 福田 多喜二 | 代表取締役社長 | 北斗電気工業に入社後、同社社長を経てコンセック取締役に就任。事業本部統括部長等を歴任し、2024年6月より現職。 |
| 佐々木 秀隆 | 取締役会長 | 日本鉱泉を設立し社長に就任。コンセック代表取締役社長、会長兼社長などを経て、2024年6月より現職。 |
| 三中 達雄 | 専務取締役第二事業本部長 | 発研(現コンセック)に入社。技術部長、技術製造部長を経て取締役に就任。2019年6月より現職。 |
| 岡本 浩一 | 取締役管理本部長 | 広島西税務署長を経て税理士登録。2021年6月より現職。 |
| 野田 隆 | 取締役工事事業本部長 | コンセックに入社。執行役員工事事業本部副本部長、本部長を経て2023年6月より現職。丸金建設社長も兼務。 |
社外取締役は、藤原光広(藤原光広税理士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「切削機具事業」「特殊工事事業」「建設・生活関連品事業」「工場設備関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 切削機具事業
鉄筋コンクリートの穴あけや切断に使用する機器および消耗品を提供しています。主な製品はコアドリル、ワイヤーソーなどの穿孔・切断機器や、ダイヤモンドコアビットなどの消耗品です。国内外の建設業者等が主な顧客です。
収益は、これらの製品の販売代金から得ています。運営は主に同社が行っているほか、台湾や中国の連結子会社(祥建企業股份有限公司、南通康賽克工程工具有限公司など)が製造・販売を担っています。
■(2) 特殊工事事業
建設現場における専門的な工事サービスを提供しています。アンカー工事、ダイヤモンド穿孔・切断工事、ワイヤーソー工事などの特殊技術を要する工事を、ゼネコンなどの建設業者から請け負っています。
収益は、請負工事の対価として顧客から受け取ります。運営は同社のほか、山陰建設サービス、建設サービス島根、丸金建設といった国内子会社が行っています。
■(3) 建設・生活関連品事業
建設現場で使用される機械・工具や資材、および生活関連機器の販売を行っています。取扱品目はコンプレッサー、グラインダー等の機械類から、ボルト・ナット等の資材、さらにはパソコンや家電製品まで多岐にわたります。
収益は、商品の販売代金や不動産の賃貸料から得ています。運営は同社および一部の在外子会社が行っています。
■(4) 工場設備関連事業
工場などの設備に関連する製品の製造販売や加工を行っています。主な製品は自動制御盤、配電盤であり、製缶や精密板金加工、塗装なども手掛けています。
収益は、製品の販売代金や加工請負代金から得ています。運営は国内子会社の北斗電気工業、木戸ボルト、ダーリン産業が行っています。
■(5) その他(介護事業)
高齢者向けの介護サービスを提供していました。デイサービス、ケアプランサービス、有料老人ホームの運営などを行っていましたが、当連結会計年度において当該事業を行う子会社の全株式を売却しました。
収益は、介護サービスの利用料や介護保険給付費から得ていました。運営は国内子会社のサンライフが行っていましたが、現在は連結の範囲から除外されています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は100億円前後で推移していましたが、直近では減収傾向にあります。利益面では、原材料価格の高騰や競争激化の影響を受け、経常利益が大幅に減少しました。当期は減損損失の計上等もあり、最終損益が赤字となっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 98億円 | 101億円 | 97億円 | 104億円 | 103億円 |
| 経常利益 | 1.7億円 | 3.7億円 | 1.0億円 | 1.2億円 | 0.4億円 |
| 利益率(%) | 1.8% | 3.7% | 1.0% | 1.1% | 0.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.7億円 | 0.6億円 | -0.0億円 | 2.1億円 | -2.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は微減となりましたが、売上総利益率はほぼ横ばいを維持しています。一方で、販売費及び一般管理費の負担増により営業損益は赤字に転落しました。経常利益は確保したものの、特別損失の計上により最終赤字となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 104億円 | 103億円 |
| 売上総利益 | 24億円 | 23億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.9% | 22.8% |
| 営業利益 | 0.5億円 | -0.0億円 |
| 営業利益率(%) | 0.4% | -0.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が9億円(構成比39%)、賞与引当金繰入額が0.8億円(同3%)を占めています。人件費が販管費の大きな割合を占める構造です。
■(3) セグメント収益
切削機具事業は競争激化により減収減益、特殊工事事業は受注案件の減少で減益となりました。建設・生活関連品事業と工場設備関連事業は増収増益となり、特に工場設備関連事業は大幅な増益を達成しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 切削機具事業 | 39億円 | 36億円 | 3.0億円 | 2.1億円 | 5.8% |
| 特殊工事事業 | 17億円 | 16億円 | 1.1億円 | 0.4億円 | 2.6% |
| 建設・生活関連品事業 | 35億円 | 38億円 | 1.2億円 | 1.4億円 | 3.6% |
| 工場設備関連事業 | 9億円 | 11億円 | 0.1億円 | 0.9億円 | 8.2% |
| 介護事業 | 4億円 | 2億円 | -0.2億円 | -0.1億円 | -8.5% |
| 調整額 | -1億円 | -1億円 | -4.4億円 | -4.6億円 | - |
| 連結(合計) | 104億円 | 103億円 | 0.5億円 | -0.0億円 | -0.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.6億円 | -5.4億円 |
| 投資CF | 0.1億円 | -2.0億円 |
| 財務CF | -0.6億円 | 3.3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-2.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.3%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「最高の信用」「最高の技術」「最高の品格」を企業理念として掲げています。各グループ会社の事業分野において、安全性と生活環境等に配慮した新製品や新技術の開発・サービスを「最適提案」することを目指しています。また、法令遵守に努め、安定的な適正利益を生み出し続けることで、社会の繁栄に貢献することを基本方針としています。
■(2) 企業文化
培ってきた技術力と提案力を活かし、市場ニーズに合わせた体制の見直しや新たな事業領域への挑戦を行う文化があります。「チャレンジ2029~新たな価値の創造」をスローガンに掲げ、100年企業に向けて経営基盤の強化を図っています。また、サステナビリティ経営を推進し、持続可能な社会への貢献を目指す姿勢も重視されています。
■(3) 経営計画・目標
2029年度に向けた「中期経営計画2029」を策定し、以下の目標経営指標の達成を目指しています。
* 売上高:116億円
* 営業利益率:4.2%
* ROE:4.5%
■(4) 成長戦略と重点施策
「事業領域の拡大」と「選択と集中の推進」に取り組みます。公共工事を中心とした修繕維持工事市場を成長市場と捉え、特殊工事事業における受注領域の拡大や、顧客ニーズの高い新製品・エリアへの経営資源集中により競争力を強化します。また、サステナビリティ経営の推進や人的資本投資、研究開発への投資を通じて経営基盤を強化します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「最高の信用」「最高の技術」「最高の品格」の実践には社員の人材力が不可欠と考え、個性を尊重し計画的な人材育成に注力しています。階層別研修や資格取得支援によるキャリアアップのサポート、有給休暇取得促進やフレックス制度活用による働きやすい環境づくりを推進しています。また、シニア層の活躍推進やジョブローテーションも行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 45.2歳 | 17.6年 | 4,919,951円 |
※平均年間給与は、税込支払給与額であり、基準外賃金及び賞与を含めております。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※労働者の男女の賃金の差異につきましては、公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(19.3%)、女性採用比率(50.0%)、経験者採用(中途採用)率(80.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特殊工事の安全対策及び人手不足
特殊工事は重量物の搬送等を伴うため、安全対策を実施していますが、予期せぬ事故による損害が発生した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、建設業界の施工管理者不足による人件費高騰や工事進捗の遅れもリスク要因です。これに対し、安全教育の徹底や人材の採用・育成に努めています。
■(2) 製品・部品の海外生産
中国の子会社等で製品の製造を行っており、現地調達部品の品質問題や政治的変動、法令規制等により製造遅延が発生した場合、業績に影響する可能性があります。また、海外での工業所有権登録が円滑に進まないリスクもあります。対策として、部品調達先の変更や国内生産への切り替えが可能な体制づくりを進めています。
■(3) 顧客情報管理
製品販売や工事において顧客情報を保有しており、情報漏洩が発生した場合は信用低下により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。万一の事態に備え、原因究明や再発防止、防御体制の最適化に取り組むとしています。



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