※本記事は、TOWA株式会社 の有価証券報告書(第47期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. TOWAってどんな会社?
TOWAは、半導体製造用精密金型やモールディング装置等の半導体製造装置を主力とするメーカーです。
■(1) 会社概要
1979年に東和精密工業として設立され、1988年にTOWAへ商号変更しました。1996年に株式を上場し、2000年には東京証券取引所および大阪証券取引所の市場第一部へ上場しました。近年では2018年にオムロンレーザーフロント(現TOWAレーザーフロント)を、2022年にFine International(現TOWAファイン)を子会社化するなど、M&Aを通じた事業拡大も進めています。
同グループの従業員数は連結で2,099名、単体で681名です。大株主については、筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、次いで法人株主が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 7.66% |
| ケイビー恒産 | 7.59% |
| エヌレガロ | 5.03% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は三浦 宗男氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 三浦 宗男 | 取締役社長執行役員営業本部長 | 1990年入社。シンガポール子会社出向、営業技術部長、グローバル営業部長、営業本部長、取締役執行役員等を経て、2025年4月より現職。 |
| 岡田 博和 | 代表取締役会長 | 1979年入社。営業部長、常務取締役、開発本部長、専務取締役、代表取締役社長等を経て、2025年4月より現職。 |
| 石田 耕一 | 取締役常務執行役員コア技術事業本部長 | 1985年入社。モールド事業部長、営業本部長、新事業推進本部長等を経て、2025年4月より現職。 |
| 柴原 信隆 | 取締役上席執行役員管理本部長 | 1987年入社。生産管理室長、企画部長、蘇州子会社総経理、経営企画本部長等を経て、2025年4月より現職。 |
| 西村 一洋 | 取締役執行役員生産本部長 | 1984年入社。蘇州子会社総経理、システム製造部長、モールド事業部長等を経て、2025年4月より現職。 |
| 服部 広志 | 取締役(常勤監査等委員) | 1988年京都銀行入行。同行宇治支店長を経て2021年同社入社。経営企画本部経理部長を経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、和氣 大輔(和氣公認会計士事務所所長)、後藤 美穂(後藤総合法律事務所弁護士)、田中 素子(田中公認会計士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「半導体製造装置事業」「メディカルデバイス事業」「レーザ加工装置事業」を展開しています。
■半導体製造装置事業
半導体製造用精密金型、モールディング装置、シンギュレーション装置等の製造販売およびアフターサービスを行っています。主な顧客は半導体メーカー等です。
収益は、顧客への製品販売や保守サービス等の対価として得ています。運営は主にTOWA、TOWAM Sdn.Bhd.などの連結子会社が行っています。
■メディカルデバイス事業
医療機器等の製造販売を行っています。高度な成形技術を活用し、医療分野向けの製品を提供しています。
収益は、医療機器等の製品販売による対価です。運営は主にTOWAおよび株式会社バンディックが行っています。
■レーザ加工装置事業
レーザ加工装置の製造販売および製品のアフターサービス等を行っています。精密加工技術を活かした装置を提供しています。
収益は、レーザ加工装置の販売やサービス提供による対価です。運営は主にTOWAレーザーフロントが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は増収増益基調にあります。特に2022年3月期以降は売上高500億円規模を維持しており、当期(2025年3月期)は売上高535億円、経常利益94億円、当期純利益81億円といずれも高水準を記録しました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 297億円 | 507億円 | 538億円 | 505億円 | 535億円 |
| 経常利益 | 38億円 | 117億円 | 102億円 | 91億円 | 94億円 |
| 利益率(%) | 12.9% | 23.1% | 19.0% | 18.0% | 17.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 11億円 | 49億円 | 34億円 | 37億円 | 37億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は37%前後で安定しており、営業利益率も17%前後の高い水準を維持しています。増収効果により各利益段階で前年を上回る結果となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 505億円 | 535億円 |
| 売上総利益 | 182億円 | 199億円 |
| 売上総利益率(%) | 36.1% | 37.2% |
| 営業利益 | 87億円 | 89億円 |
| 営業利益率(%) | 17.2% | 16.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が27億円(構成比24%)、支払手数料が12億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
半導体製造装置事業は、中国やその他アジア地域での堅調な投資需要やTSS(トータル・ソリューション・サービス)の売上増により増収増益となりました。メディカルデバイス事業も需要が堅調で増収となりましたが、レーザ加工装置事業は顧客稼働率の低迷や人件費増により減収減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 半導体製造装置事業 | 459億円 | 490億円 | 81億円 | 84億円 | 17.1% |
| メディカルデバイス事業 | 22億円 | 23億円 | 5億円 | 5億円 | 20.0% |
| レーザ加工装置事業 | 24億円 | 23億円 | 1億円 | 1億円 | 3.3% |
| 連結(合計) | 505億円 | 535億円 | 87億円 | 89億円 | 16.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、運転資金及び設備資金について内部資金または借入により調達する財務政策をとっています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少等により増加しましたが、仕入債務の減少や法人税等の支払により減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、生産設備の導入や子会社の工場建設等による支出が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や配当金の支払により減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 97億円 | 104億円 |
| 投資CF | -28億円 | -48億円 |
| 財務CF | -35億円 | -51億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「技術水準向上へのあくなき追求」を永遠のテーマとし、産業社会が求める技術開発を根幹に、新製品・新商品の創成に向けて全力を傾注して成果を生み出し、産業の発展に貢献することを経営理念として掲げています。この理念に基づき、市場ニーズを先取りする世界最先端ソリューションの創造と企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業文化
創業以来、「クォーター・リード」の精神(市場の半歩先を行く姿勢)を重視しています。また、社訓として「五つの力(創造、技術、実践、信念、総和)」を掲げ、これらを胸に刻みながら、全社一丸となってステークホルダーの信頼に応える企業文化を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は長期ビジョン「TOWAビジョン2032」において、「変革で世界の頂へ」をテーマに掲げ、パッケージングプロセス提案により顧客価値を創出し続ける世界のリーディングカンパニーとなることを目指しています。また、第二次中期経営計画では2028年3月期の目標数値を設定しています。
* 売上高:710億円
* 営業利益:156億円
* 営業利益率:22.0%
* ROE:13%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「TOWAイズムで次世代をリードする人財を創出」をテーマに、パラダイムシフトによる高付加価値化、DX・AI活用による競争力強化、コアコンピタンスを活用した新市場創出に取り組んでいます。事業別では、半導体製造装置事業におけるプロセスイノベーションや、新事業での工具ブランド化、サブスクビジネスの構築などを重点施策としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「TOWAイズムで次世代をリードする人財を創出」をテーマに、企業理念と技術の伝承を担う「TOWAアカデミー」の活用や、未来を担うリーダーの創出に取り組んでいます。また、DX・AIによる人的資本の強化や、多様な人財が能力を発揮できる活躍環境の構築を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 39.5歳 | 11.3年 | 7,260,031円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.4% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 72.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 77.4% |
| 男女賃金差異(非正規) | 28.7% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用者管理職比率(36.0%)、外国人管理職比率(4.5%)、健康診断受診率(100.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 半導体市場の動向と価格競争
主力事業である半導体製造装置事業は、スマートフォンや自動車等の最終製品需要や半導体メーカーの設備投資動向に大きく影響を受けます。世界的な景気後退等により設備投資が急減した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、厳しい競合状態による製品価格の低下が進んだ場合、収益性が低下するリスクがあります。
■(2) 海外展開と地政学的リスク
韓国、中国、マレーシア等に生産拠点を持ち、グローバルに事業を展開しているため、各国の政治・経済の混乱、法規制の変更、労務問題等の影響を受ける可能性があります。また、特定の地域(台湾、中国等)への売上比率が高くなる傾向があり、当該地域の経済状況等の変化が業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 自然災害とサプライチェーン
地震や感染症等により主要な生産拠点が損害を受けた場合、生産活動に支障が出る可能性があります。また、原材料等の供給者が被災し供給が中断した場合や、市場の需給バランス悪化により部材価格が高騰した場合、生産能力の低下やコスト増加につながるリスクがあります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。