※本記事は、株式会社タクミナの有価証券報告書(第50期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. タクミナってどんな会社?
タクミナは、産業用の高性能ポンプや流体機器を製造・販売し、多様な業界の液体移送課題を解決する企業です。
■(1) 会社概要
1956年に山彦産業として創業し、1977年に日本フィーダー工業を設立して定量ポンプの製造販売を開始しました。1993年に社名をタクミナに変更し、1997年に大阪証券取引所市場第二部へ上場を果たしました。2006年には無脈動ポンプの新ブランドを立ち上げ、製品力を強化しています。
従業員数は連結324名、単体314名です。筆頭株主は従業員の持株組織であるタクミナ共栄持株会で、第2位は資産管理会社等の合同会社N.K.Freudel、第3位は創業家等の個人株主である山田義彦氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| タクミナ共栄持株会 | 13.73% |
| 合同会社N.K.Freudel | 7.82% |
| 山田 義彦 | 7.55% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は山田信彦氏、代表取締役社長は山田圭祐氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山田 信彦 | 代表取締役会長 | 1975年6月同社入社。1993年6月代表取締役社長などを経て、2023年6月より現職。 |
| 山田 圭祐 | 代表取締役社長 | 2011年10月同社入社。2019年4月取締役常務執行役員社長室長兼管理本部長などを経て、2023年6月より現職。 |
| 白岩 源史 | 取締役執行役員営業統括本部長 | 2016年4月同社入社。2020年6月取締役執行役員営業戦略本部長などを経て、2021年4月より現職。 |
| 井上 博公 | 取締役執行役員生産本部長兼製造管理部長 | 1984年4月同社入社。2019年4月執行役員技術本部長兼技術部長などを経て、2023年6月より現職。 |
| 田路 富美男 | 取締役(常勤監査等委員) | 1988年10月同社入社。2016年4月総務部長、2021年4月内部統制室長などを経て、2026年6月より現職。 |
社外取締役は、酒井修一(元ネステック取締役)、桂雄一郎(KMTパートナーズ代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、ポンプ関連製品の単一事業を展開しています。
■(1) 高性能ソリューションポンプ・汎用型薬液注入ポンプ
顧客の仕様にカスタマイズされたスムーズフローポンプなどの高性能ソリューションポンプや、汎用型薬液注入ポンプの製造販売を行っています。無脈動、定量、高精度な送液を実現し、ケミカルや電子材料分野の顧客に提供しています。
製品の販売や保守サービスにより、顧客から販売代金やサービス料を受け取る収益モデルです。運営は主にタクミナが担い、海外市場では韓国や米国の現地法人が販売を支援しています。
■(2) ケミカル移送ポンプ・周辺機器・その他
薬品や原料を大量に移送するケミカル移送ポンプをはじめ、計測機器、流体機器、ケミカルタンクなどの製造販売を行っています。水処理や環境保全、滅菌、食品など多様な産業分野の顧客へ導入されています。
各種ポンプおよび周辺装置の販売、ならびに据付・保守メンテナンスにより収益を獲得しています。運営はタクミナが主体となり、関連会社のタクミナエンジニアリングがメンテナンスおよび販売事業を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績推移を見ると、売上高は87億円から112億円へと一貫して増加傾向にあります。経常利益も13億円から17億円へと順調に拡大しており、利益率も15%前後と高い水準で安定して推移しています。堅調な需要を背景に、持続的な成長を実現していることがうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 87億円 | 97億円 | 110億円 | 111億円 | 112億円 |
| 経常利益 | 13億円 | 15億円 | 16億円 | 16億円 | 17億円 |
| 利益率(%) | 14.6% | 15.1% | 14.6% | 14.8% | 15.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7億円 | 11億円 | 11億円 | 11億円 | 11億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績を比較すると、売上高は微増の112億円となり、売上総利益は52億円と同水準を維持しています。また、営業利益も16億円で安定しており、営業利益率は約14.6%と引き続き高水準を保っています。全体として収益性の高い事業構造が定着していることがわかります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 111億円 | 112億円 |
| 売上総利益 | 52億円 | 52億円 |
| 売上総利益率(%) | 46.7% | 46.3% |
| 営業利益 | 16億円 | 16億円 |
| 営業利益率(%) | 14.4% | 14.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が11億円(構成比30%)、研究開発費が4億円(同12%)を占めています。売上原価の内訳については具体的なデータが記載されていません。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動で生み出した資金を借入の返済や事業投資に充てる「健全型」のパターンを示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10億円 | 11億円 |
| 投資CF | -8億円 | -9億円 |
| 財務CF | -10億円 | -4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.4%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は78.3%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「常にお客様の立場で物事を考え、個性豊かな人間と、独創的な技術で世界に役立つ」という企業理念を掲げています。また、使命として、流体を高精度・高効率に送るポンプを核とした課題解決の提案や、安全と安心を提供することを打ち出しており、サステナブルな社会にとって不可欠な流体ソリューションメーカーを目指しています。
■(2) 企業文化
「次世代に残そう、自然と資源」という環境スローガンを掲げ、省資源・省エネルギーなどの環境保全を重視しています。安全で安心な製品の提供や地域社会への貢献活動、従業員の働きやすい環境整備を通じ、持続可能な社会の発展を支える企業文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
長期ビジョンの達成に向けて、常に最新の市場ニーズを反映させながら中期経営計画をローリング方式にて策定しています。経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標としてROE(自己資本利益率)を重要視しており、収益構造の改革やコストダウン、資産の効率的運用による企業価値の一層の向上を目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
主柱事業である「スムーズフローポンプ」を活用した提案営業の強化と、海外市場での人員増強および代理店拡大による販売強化を進めています。また、流体ソリューションセンターを活用して顧客との共同課題解決によるマーケティング機能を充実させるほか、予防保全体制などのアフターサービスやサブスクリプションサービスの浸透にも注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人」こそが財産であると考え、性別や国籍、新卒・中途を問わず、本人の経験や能力に基づいた処遇を基本方針としています。従業員が安心して働ける環境づくりのため、男性の育児休業取得の促進や健康経営の推進、柔軟な働き方の実現を目指すとともに、階層別研修や資格取得支援を通じて従業員の成長機会の創出に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 39.9歳 | 14.1年 | 6,942,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.8% |
| 男性育児休業取得率 | 70.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 76.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 53.1% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用応募者に占める女性割合(17.6%)、男性の平均勤続年数に対する女性の平均勤続年数比率(80.5%)、一般職一人当たりの各月平均残業時間(12.4時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 部品等の調達遅延・供給停止
多種多様な素材や部品を外部サプライヤーから調達しているため、予期せぬ操業停止や物流の混乱などにより供給が絶たれた場合、生産活動に影響を及ぼす可能性があります。同社は適正在庫の確保や代替調達先への切り替えにより影響の最小化に努めています。
■(2) 情報システム・サイバーセキュリティリスク
事業活動において各種情報システムを活用しているため、外部からのハッキングやサイバー攻撃によるシステム停止、あるいは顧客情報・機密情報の漏洩が発生した場合、対応費用や社会的信用の低下により、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 海外事業展開におけるカントリーリスク
韓国および米国に現地子会社を有しており、海外市場特有の予期しない法令・税制の変更、政治変動やテロ等のリスクを内在しています。現地法人との密な連携や外部専門家の活用により対策を講じていますが、将来の事業遂行に影響を与える可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。