※本記事は、株式会社精工技研 の有価証券報告書(第53期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 精工技研ってどんな会社?
精密金型技術と光学技術をコアに、自動車・通信・医療分野へ製品を展開する研究開発型企業です。
■(1) 会社概要
1972年に設立し、精密金型の生産を開始しました。1987年に世界初の光コネクタ研磨機を販売し、光通信分野へ進出しています。2000年に株式を店頭登録し、2004年に上場しました。その後、海外拠点の設立やM&Aを推進し、2024年には株式会社エムジーを子会社化するなど事業領域を拡大しています。
連結従業員数は936名、単体では167名体制です。筆頭株主は創業者の上野昌利氏で、第2位は松戸市に所在する有限会社高志、第3位は有限会社光研です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 上野 昌利 | 9.74% |
| 有限会社 高志 | 7.28% |
| 有限会社 光研 | 6.49% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は上野淳氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 上野 淳 | 代表取締役社長 | 2002年入社。米国・欧州現地法人代表、経営企画室長、常務取締役等を経て、2024年6月より現職。 |
| 來 関明 | 専務取締役 | 1990年新技術開発事業団研究員、静岡大学助教授を経て、中国現地法人総経理等を歴任。2024年6月より現職。 |
| 斎藤 祐司 | 取締役 | 2000年入社。経営企画室経営企画チームリーダー、管理部長、執行役員等を経て、2024年6月より現職。 |
| 角野 清行 | 取締役 | 2002年入社。事業本部営業統括部長、機器事業部長、執行役員等を経て、2024年6月より現職。 |
| 森 保彦 | 取締役(監査等委員) | 1974年不動建設入社。2002年同社入社。管理グループリーダー、監査役を経て、2016年6月より現職。 |
社外取締役は、谷田貝豊彦(宇都宮大学特任教授)、森川有理(CRR Global Japan合同会社共同代表)、相場俊夫(相場公認会計士事務所代表)、三好慶(三好総合法律事務所副所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「精機関連」「光製品関連」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 精機関連
各種精密金型、精密金属部品、および自動車用部品や電子部品、事務用部品等の精密成形品を製造・販売しています。主な顧客は自動車部品メーカーや電子機器メーカーです。
収益は製品の販売代金です。運営は主に精工技研が行い、製造・販売子会社として不二電子工業株式会社や株式会社エムジーなどが事業を担っています。
■(2) 光製品関連
光通信用設備に用いる光コネクタ、光コネクタ研磨機、光部品形状測定装置、光電界センサー等の製造・販売を行っています。主な顧客は通信インフラ事業者やデータセンター関連企業です。
収益は製品の販売代金です。運営は主に精工技研が行い、中国の杭州精工技研有限公司や大連精工技研有限公司などが製造・販売を担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高・利益ともに増加傾向にあります。特に直近の2025年3月期は、売上高が約200億円に達し、経常利益も約30億円と大きく伸長しました。利益率も高い水準で推移しており、成長性と収益性を兼ね備えた業績推移となっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 148億円 | 162億円 | 163億円 | 158億円 | 200億円 |
| 経常利益 | 14億円 | 16億円 | 16億円 | 13億円 | 30億円 |
| 利益率(%) | 9.7% | 10.1% | 9.9% | 8.0% | 14.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 10億円 | 12億円 | 11億円 | 8億円 | 22億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益が拡大しています。売上総利益率は約29%から約36%へ向上しており、収益性が高まっています。営業利益も前年比で大幅に増加し、本業の儲けを示す営業利益率は2倍近くに上昇しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 158億円 | 200億円 |
| 売上総利益 | 46億円 | 73億円 |
| 売上総利益率(%) | 29.0% | 36.5% |
| 営業利益 | 11億円 | 28億円 |
| 営業利益率(%) | 6.7% | 14.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が12億円(構成比26%)、荷造運賃が5億円(同12%)を占めています。売上原価については、商品及び製品の仕入や製造コストが占めています。
■(3) セグメント収益
精機関連はM&A効果等により増収を確保しました。光製品関連は、生成AI普及によるデータセンター需要の急増や合弁会社設立等の効果により、売上高・利益ともに大幅に増加し、全体の業績を牽引しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 精機関連 | 87億円 | 92億円 | 7億円 | 6億円 | 6.4% |
| 光製品関連 | 71億円 | 108億円 | 4億円 | 22億円 | 20.7% |
| 連結(合計) | 158億円 | 200億円 | 11億円 | 28億円 | 14.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 18億円 | 31億円 |
| 投資CF | -15億円 | 10億円 |
| 財務CF | -5億円 | -20億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.1%で市場平均(7.2%)を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は81.4%で市場平均(57.5%)を大きく上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
長期的に目指す企業像として「社会に必要とされる企業」を掲げ、社会の維持継続・進歩発展に貢献することを通じて、「経済価値の最大化」と「社会価値の最適化」を図ることを経営の指針としています。
■(2) 企業文化
「精密加工」「精密成形」「光学技術」を技術的な基盤とし、顧客との濃密で質の高いコミュニケーションを通じて「ベストパートナー」となることを重視しています。また、変化を成長の機会と捉え、サステナビリティ活動を通じて経営基盤を強化する姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画「マスタープラン2022」を遂行中です。最終年度となる2027年3月期に向けた数値目標として以下を掲げています。
* 連結売上高に占める新製品比率:30%以上
* 営業利益目標額:25億円(※2025年3月期に前倒し達成済み)
■(4) 成長戦略と重点施策
「顧客接点の活性化」「新製品・新技術開発の加速」「ものづくり力の強化」「経営基盤の強化」の4点を重要課題としています。具体的には、展示会やメディアを通じた広報強化、AIやIoTを活用した生産工程の自動化、M&Aや提携による技術獲得、および環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組みを推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
長期的な企業価値向上のため、人材の確保と育成を重要課題としています。ダイバーシティとグローバル化を推進し、多様な人材が活き活きと働ける環境整備を行う方針です。具体的には、女性総合職の採用強化、グローバル人材の採用育成、健康経営の推進、人事制度の見直し等に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均598万円をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 44.5歳 | 18.8年 | 6,517,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済状態の変化
主要市場である日本、アジア、欧米の経済状況の変動が業績に影響を与える可能性があります。また、為替レートの変動や、中国拠点における通貨(元)の価値上昇による生産コスト増加のリスクがあります。
■(2) 新製品開発と技術革新
市場ニーズを先取りした革新的な製品開発が不可欠ですが、市場変化への対応遅れや他社の技術革新により製品が陳腐化した場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。また、競合メーカーとの価格競争激化による収益性の低下リスクもあります。
■(3) 特定の取引先への依存
車載用インサート成形品を主に販売している株式会社デンソーへの売上依存度が高く、同社の経営状況や方針変更が業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 調達活動と生産体制
一部の原材料を特定のサプライヤーに依存しており、災害や需要急増による供給寸断のリスクがあります。また、国内外の生産拠点における自然災害、感染症拡大、地政学的リスク等が生産活動に影響を与える可能性があります。



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