※本記事は、株式会社精工技研 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
精工技研グループは、精密成形品や精密金型、精密金属部品の製造・販売を行う精機関連事業と、光通信用部品やその製造機器、光部品形状測定装置などの光製品関連事業を展開しています。自動車部品から光通信設備まで、幅広い分野で技術を提供しています。
単体従業員数は164名、連結従業員数は1,231名です。セグメントは精機関連、光製品関連の2つです。
主な国内グループ会社は、不二電子工業などです。
2024年10月には株式会社エムジーを連結子会社化し、車載用コネクタや事務用部品の量産成形を強化しました。また、2025年1月には中国に精工訊捷光電(鶴壁)有限公司を設立し、次世代光通信デバイスの生産能力を増強しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
精工技研は、精密技術を核に情報通信や医療分野など多岐にわたる成長市場で事業を展開しています。同社グループは、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境づくりを重視し、働き方改革や健康経営にも積極的に取り組んでいます。ここでは、同社グループの給与水準や人材育成、働き方に関する具体的なデータと方針を見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
精工技研では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、従業員が長期的にキャリアを築いている傾向が見られます。これは、安定した環境で専門性を深めたいと考える方にとって、魅力的な要素となるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,778,000円 |
| 平均勤続年数 | 19.3年 |
| 平均年齢 | 44.7歳 |
| 単体従業員数 | 164人 |
| 連結従業員数 | 1,231人 |
| 単体のグループ内比率 | 13.3% |
同社グループは、退職給付制度として確定給付型と確定拠出型の両方を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。これらの制度は国内および海外のグループ会社に適用されています。退職一時金制度も設けられていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、確定給付制度における退職給付債務は4.9億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
精工技研は、中長期的な企業価値向上において「人材」を最も重要な経営資本と位置付けています。多様なバックグラウンドを持つ人材が能力を最大限に発揮し、新たな価値創造やイノベーションを実現できるよう、風通しの良い組織風土の醸成と相互に学び合える環境づくりを推進しています。
従業員一人ひとりが高い専門性と主体性を備えた「プロフェッショナル人材」として成長することを重視し、教育研修の充実、次世代リーダー育成、専門スキル向上支援、適材適所の配置、キャリア形成支援に継続的に取り組んでいます。
報酬については、各国や各地域の市場データや業界水準を踏まえ、公正性及び競争力を確保する方針です。企業価値向上への貢献を反映するため、半期ごとの拠点業績に連動する「拠点インセンティブ賞与制度」を導入しています。
また、従業員が心身ともに健康で安心して働ける職場環境の整備も重視しており、働き方改革「メリハリワーク」を推進し、月2日の「ノー残業デー」や計画的有給休暇の取得促進に取り組んでいます。健康経営の観点からは、ウォーキングイベントの開催やがん検査費用の補助制度、従業員同士の感謝を伝え合う「サンクスポイント制度」などを導入し、経済産業省および日本健康会議から「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」に認定されています。子育て支援制度の拡充や、定年・再雇用制度の見直し、女性総合職の採用強化、グローバル人材の採用育成など、ダイバーシティとグローバル化を推進する施策も展開しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年次有給休暇の取得率 | 73.2% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
精工技研グループは、精密金型や精密成形品を扱う「精機関連」と、光通信用部品やその製造機器を扱う「光製品関連」の二つの事業セグメントを展開しています。精密加工技術と光技術を核に、幅広い産業分野に製品とサービスを提供することで収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、自動車や電子機器、情報通信といった多様な産業分野に貢献する製品を提供しています。特に、光製品関連事業はデータセンター需要の拡大を背景に大きく成長し、同社グループ全体の収益を牽引しています。
精機関連
精機関連事業では、自動車用部品や電子部品、事務用部品などに使われる精密成形品、およびそれらを製造するための高品質な精密金型、精密金属部品の製造・販売を行っています。収益は、これらの精密部品や金型の提供から得ています。運営は、不二電子工業、株式会社エムジーなどが行っています。
光製品関連
光製品関連事業は、光コネクタをはじめとする光通信用部品、光部品製造機器、光部品形状測定装置、無給電光伝送装置、光電界センサー、高耐熱レンズ、製造自動化装置などの製造・販売を手掛けています。収益は、データセンターなどで需要が急増している光通信用部品や、その製造・検査装置の提供から得ています。運営は、SEIKOH GIKEN USA,INC.、SEIKOH GIKEN EUROPE GmbH、杭州精工技研、大連精工技研、DATA PIXEL SAS、SEIKOH GIKEN (THAILAND) Co., Ltd.、精工訊捷光電(杭州)、精工訊捷光電(鶴壁)などが行っています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 光製品関連 | 108億円 | 201億円 |
| 精機関連 | 92.0億円 | 99.6億円 |
同社グループの収益は、国内外の幅広い顧客から得られており、特に精機関連では株式会社デンソー、光製品関連ではCorning Optical Communications, S.de R.L.de C.V.が主要な顧客となっています。海外に複数の子会社を展開しており、グローバルな事業活動を通じて収益を確保しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも大きく成長する傾向を示しています。特に当連結会計年度においては、売上高が前連結会計年度から大幅に増加しました。
損益面でも、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべてが前連結会計年度から大きく伸びています。これにより、売上高と各段階利益は過去最高を更新し、中期経営計画で定めた目標を1年前倒しで達成しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 162億円 | 163億円 | 158億円 | 200億円 | 301億円 |
| 経常利益 | 16.4億円 | 16.1億円 | 12.7億円 | 29.8億円 | 81.4億円 |
| 経常利益率 | 10.1% | 9.9% | 8.0% | 14.9% | 27.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 11.5億円 | 10.8億円 | 7.6億円 | 22.3億円 | 62.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 126.05 | 118.64 | 83.42 | 245.34 | 695.65 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、当連結会計年度において前期から増加しています。これは、事業規模の拡大とともに、従業員一人ひとりの貢献度が高まっていることを示唆しています。
また、従業員1人あたりの営業利益も前期から大きく向上しており、同社グループ全体の収益性が改善している傾向が見られます。比較的付加価値の高い製品の売上増加や、連結子会社化による損益寄与、生産体制の強化などが、これらの生産性向上に寄与していると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 21.3百万円 | 24.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.0百万円 | 6.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
精工技研グループは、強固な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しています。本業で着実に利益を生み出し、将来に向けた投資も継続的に行っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
精工技研グループの自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較して高い水準にあり、財務の安定性を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を大きく上回っており、効率的な経営で利益を生み出していることがうかがえます。手元資金も潤沢に確保されており、事業運営における安定性が高い状態です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 281億円 | 340億円 |
| 自己資本比率 | 81.4% | 81.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 8.1% | 20.1% |
| 現金及び預金 | 141億円 | 180億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローは、当連結会計年度において54.8億円の増加となりました。これは税金等調整前当期純利益の増加や減価償却費の計上などが主な要因となっています。本業で安定的に資金を生み出している状況です。
投資活動によるキャッシュフローは、当連結会計年度において△8.8億円の減少となりました。有形固定資産の取得による支出が主な要因となっています。前期は増加でしたが、当期は将来に向けた設備投資を積極的に行っていることが示されています。
財務活動によるキャッシュフローは、当連結会計年度において△7.1億円の減少となりました。配当金の支払いが主な要因であり、前期と比較して減少幅が縮小しています。
これらの結果、フリーキャッシュフローは当連結会計年度で46.1億円のプラスとなっており、本業で得た資金が投資を上回っています。同社グループは本業で安定した資金を創出し、事業成長のための投資も行いつつ、資金の余力を確保している状態です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 30.7億円 | 54.8億円 |
| 投資CF | 10.5億円 | △8.8億円 |
| 財務CF | △20.1億円 | △7.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 41.2億円 | 46.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、特定の取引先である株式会社デンソーへの売上依存度が高いことをリスクとして挙げています。当連結会計年度の連結売上高に占める同社向けの売上高比率は17.7%となっています。同社の経営状況の変化や事業方針の変更は、同社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、同社グループが提供する商品やサービスは、競合メーカーの参入による価格競争が厳しい業界に属しています。価格の引き下げ圧力が存在し、価格優位性を保てなくなった場合、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、継続的な企業価値向上のため、技術力やマネジメント能力に優れた人材の確保・育成が不可欠であると認識しています。優秀な人材を獲得するための競争は厳しく、必要な人材を継続的に確保できない可能性があります。また、雇用環境の変化に伴う人材の流動化により、鍵となる人材が社外に流出するリスクも存在します。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
精工技研は、「精密加工」「精密成形」「光学技術」を基盤とし、社会の維持継続と進歩発展に貢献する商品を供給している企業です。環境変化を成長の機会と捉え、強固な経営基盤の確立を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
精工技研グループは、「すぐれた技術と独創性で質の高い商品を供給し、社会の進歩発展に貢献して、会社の成長と社員の幸福を追求する」ことを経営理念としています。中期経営計画『マスタープラン2022』では、長期的に目指す企業像を「社会に必要とされる企業」と定めています。社会課題解決への貢献を通して、存在感のある企業グループとなるべく努めています。
同社グループは、社会の維持継続と進歩発展に貢献することを通じて、「経済価値の最大化」と「社会価値の最適化」を図ることを目指しています。持続可能な社会の実現を目指す世界目標であるSDGsの達成に向けた事業活動を、重要な経営課題と認識しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
精工技研グループは、顧客との濃密で質の高いコミュニケーションを重視し、市場ニーズと自社の技術・製品との接点を把握することを大切にしています。顧客の経営課題や技術課題を共有し、その解決に向けてともに取り組む「ベストパートナー」となることをビジョンに掲げています。
新製品・新技術開発においては、顧客の成長を支援し、社会の維持継続や進歩発展に貢献する商品やサービスを提供することを重視しています。ものづくりにおいては、「品質(Quality)」「コスト(Cost)」「納期(Delivery)」の最適なバランスを実現し、顧客から最も頼られる存在となることを目指しています。
また、サステナビリティ活動を通じて経営基盤を強化しており、社長直轄の「サステナビリティ推進室」を設置しています。多様な人材が活き活きと働ける環境づくりを推進し、ダイバーシティとグローバル化を重視する方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
精工技研グループは、中期経営計画『マスタープラン2022』において、長期的に目指す企業像を実現するために対処すべき課題として、顧客接点の活性化、新製品・新技術開発の加速、ものづくり力の強化、経営基盤の強化の4点を認識しています。
顧客接点の活性化では、営業員への情報とスキルのインプットを通じて、個の能力と顧客に提供するサービスの質を高めていく考えです。新製品・新技術開発の加速では、開発マネジメントの強化に取り組み、社会に必要とされる最適なタイミングでの市場投入を目指しています。
ものづくり力の強化では、生産工程の機械化やAI・IoTの活用により生産効率の向上を図り、複数の生産拠点から高品質な製品を供給できる体制の構築に取り組んでいます。経営基盤の強化では、環境・社会・企業統治の各側面におけるサステナビリティ活動を推進し、温室効果ガス排出削減や多様な人材が健康に働ける環境づくり、企業統治の強化に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
精工技研は、監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能強化によるコーポレート・ガバナンスの充実を図っています。取締役会は、監査等委員である取締役を含め9名の取締役で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
精工技研の株主構成を見ると、創業家やその関連会社が上位に名を連ねていることが特徴です。筆頭株主は上野昌利氏であり、代表取締役社長の上野淳氏も上位株主の一人となっています。特定の株主グループが経営に一定の影響力を持つ資本構成であると言えます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 上野 昌利 | 9.72% |
| 有限会社 高志 | 7.26% |
| 木村 保 | 6.72% |
| 有限会社 光研 | 6.48% |
| 上野 淳 | 3.88% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は上野淳氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 上野 淳 | 代表取締役社長 | 2002年2月同社入社、経営企画室。2011年3月杭州精工技研有限公司副総経理。2015年6月取締役就任。2024年6月代表取締役社長就任より現職。 |
| 來 関明 | 専務取締役 光学製品事業管掌 | 1990年6月特殊法人新技術開発事業団研究員。2001年3月杭州精工技研有限公司董事・総経理。2013年6月取締役就任。2024年6月専務取締役就任より現職。 |
| 斎藤 祐司 | 取締役 管理部長 | 2000年9月同社入社、管理部主任。2013年6月管理部長。2018年4月執行役員就任。2024年6月取締役就任より現職。 |
| 角野 清行 | 取締役 機器事業部長 | 2002年11月同社入社、光製品グループ。2016年4月機器事業部長。2018年4月執行役員就任。2024年6月取締役就任より現職。 |
社外取締役は、谷田貝豊彦氏(筑波大学名誉教授)、森川有理氏(グローバルセンセーション代表)、相場俊夫氏(公認会計士・監査等委員)、三好慶氏(弁護士・監査等委員)です。
同社は2016年6月に監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。社外取締役は経営陣から独立した立場から、同社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に寄与する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
精工技研の業務執行取締役の報酬は、固定報酬、単年度業績連動報酬、非金銭報酬である業績連動型株式報酬の3種類で構成されています。監査等委員である取締役および社外取締役の報酬は固定報酬です。単年度業績連動報酬の総額は、連結EBITDAの前年度からの増加額に連動して算定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 2.0億円 | 39.1百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 9.6百万円 |
| 社外取締役 | 5名 | 13百万円 | 2.6百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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