※本記事は、株式会社オーイズミ の有価証券報告書(第57期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. オーイズミってどんな会社?
パチンコ・パチスロ関連機器の製造販売を祖業としつつ、食品・ECや不動産へ事業を多角化している企業です。
■(1) 会社概要
1974年に貨幣処理機の製造販売を目的として設立され、2004年に東証一部へ指定替えとなりました。主力のアミューズメント事業に加え、2020年にこんにゃく製品製造の下仁田物産(現オーイズミ下仁田)、2022年に健康食品・化粧品の武内製薬、2023年に遊技機メーカーの高尾を相次いで子会社化し、事業領域を拡大しています。
同社グループは連結419名、単体169名の従業員体制で運営されています。筆頭株主は資産管理会社とみられるオーイズミホールディングスで、第2位は同社社長の大泉秀治氏、第3位は大泉充輝氏となっており、創業家およびその関連会社が株式の過半数を保有する安定した株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| オーイズミホールディングス | 47.25% |
| 大泉秀治 | 13.96% |
| 大泉充輝 | 4.41% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は大泉秀治氏です。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大泉秀治 | 代表取締役社長 | 1998年同社入社。特販部長、購買部長、営業本部長などを歴任。2008年代表取締役副社長を経て、2015年4月より現職。レッド・エンタテインメント代表取締役社長などを兼任。 |
| 大泉政治 | 代表取締役会長 | 1968年有限会社大泉製作所(現オーイズミ)を設立し代表取締役。1974年同社設立に伴い代表取締役社長に就任。2015年4月より現職。 |
| 柿澤孝勇 | 専務取締役 | 1987年同社入社。技術部長、購買部長を経て、2015年常務執行役員(技術・購買管掌)。2022年6月より現職。オーイズミ下仁田代表取締役社長を兼任。 |
| 北村稔 | 取締役 | 1984年同社入社。管理部部長代理を経て、2020年6月より取締役管理部長として現職。 |
社外取締役は、鹿野美紀(鹿野法律事務所パートナー)、山﨑泰男(元神奈川県警察大和警察署長)、甲原丈英(サポートインフィニティ代表取締役)、中込淳之介(ありがとう代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「アミューズメント事業」、「不動産事業」、「電気事業」、「食品・EC事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) アミューズメント事業
パチンコホール向けの玉・メダル貸機や補給回収システムなどの周辺機器、およびパチスロ機・パチンコ機の製造・販売を行っています。また、ゲームソフトやアニメ等のコンテンツ制作も手掛けています。主要顧客はパチンコホールや遊技機販売会社です。
収益は、製品の販売代金や保守メンテナンス料、コンテンツ配信料などから得ています。運営は、機器製造を同社およびオーイズミラボ、パチンコ機製造を高尾、コンテンツ事業をレッド・エンタテインメントやオーイズミ・アミュージオ等が担っています。
■(2) 不動産事業
神奈川県厚木市や東京都内などに保有するオフィスビル、店舗、マンション等の賃貸を行っています。顧客は飲食店、一般企業、個人入居者などです。
収益は、テナントや入居者からの賃貸料収入です。運営は、同社およびオーイズミラボ、神奈川電力、オーイズミ・アミュージオが行っています。
■(3) 電気事業
神奈川県および栃木県に太陽光発電所を保有し、電力の供給を行っています。
収益は、発電した電力の売電収入です。運営は、連結子会社の神奈川電力が担っています。
■(4) 食品・EC事業
蒟蒻ゼリー等の農産加工品のほか、プロテインや化粧品、美容雑貨などの開発・製造・販売を行っています。ECサイトを通じた直接販売や、小売店・卸売業者への販売を展開しています。
収益は、消費者への製品販売代金や卸売による売上です。運営は、オーイズミ下仁田(蒟蒻製品)、武内製薬(健康食品・化粧品)、バブルスター(健康食品)等が担っています。
■(5) その他
人材派遣や紹介、損害保険代理店業務を行っています。
収益は、人材紹介手数料や保険代理店手数料などです。運営は、非連結子会社のオーイズミサポート等が担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年3月期から2025年3月期までの業績を見ると、売上高は変動がありながらも200億円規模を維持していますが、直近では減少傾向にあります。利益面では、過去には高い利益率を確保していた時期もありましたが、直近の2025年3月期では利益が大きく落ち込み、最終赤字となっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 128億円 | 108億円 | 181億円 | 214億円 | 201億円 |
| 経常利益 | 17億円 | 6億円 | 11億円 | 10億円 | 1億円 |
| 利益率(%) | 13.6% | 5.2% | 5.8% | 4.7% | 0.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 1億円 | 3億円 | 3億円 | -5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は減少傾向にあります。売上総利益率も低下しており、収益性が圧迫されている様子がうかがえます。営業利益は前の期から大幅に減少し、営業利益率は低水準にとどまっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 214億円 | 201億円 |
| 売上総利益 | 71億円 | 64億円 |
| 売上総利益率(%) | 33.3% | 31.6% |
| 営業利益 | 10億円 | 1億円 |
| 営業利益率(%) | 4.8% | 0.5% |
販売費及び一般管理費のうち、その他が17億円(構成比27%)、販売促進費が12億円(同20%)を占めています。売上原価においては、商品及び製品製造コスト等が大半を占めています。
■(3) セグメント収益
アミューズメント事業はスマート遊技機特需の解消や販売台数未達により大幅な減収減益(赤字転落)となりました。一方、食品・EC事業はOEM事業の拡大等により増収となり黒字転換しました。不動産事業と電気事業は安定的な収益を維持しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 食品・EC事業 | 77億円 | 90億円 | -0.2億円 | 1.4億円 | 1.6% |
| アミューズメント事業 | 118億円 | 94億円 | 6億円 | -4億円 | -4.2% |
| 不動産事業 | 9億円 | 8億円 | 5億円 | 4億円 | 51.2% |
| 電気事業 | 10億円 | 10億円 | 5億円 | 5億円 | 50.9% |
| 調整額 | -0.3億円 | -0.3億円 | -5億円 | -6億円 | - |
| 連結(合計) | 214億円 | 201億円 | 10億円 | 1億円 | 0.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は「改善型」のキャッシュ・フロー状態(営業CF+、投資CF+、財務CF-)にあります。本業での現金収入に加え、固定資産の売却等により投資CFがプラスとなり、それらの資金で借入金の返済を進めています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1億円 | 4億円 |
| 投資CF | 1億円 | 4億円 |
| 財務CF | -1億円 | -18億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は47.0%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「創造的な仕事を行い、多くの人に愛される企業でありたい」という経営理念を掲げています。この理念のもと、長年培ってきたメカトロニクス技術を基盤に、アミューズメント事業をはじめ、食品・EC事業、不動産事業、電気事業において質の高い商品・サービスを提供し続けることを目指しています。
■(2) 企業文化
安定・継続的な成長と事業シナジーの創出を目指し、「ブランドイメージ向上」「企画・開発力強化」「生産性の向上・新規顧客の獲得」を基本方針として重視しています。市場ニーズへの適合、人材育成と先端技術への投資、ローコストオペレーションの徹底などを通じ、事業領域の拡充に取り組む姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
経営の効率化とともに、成長性と収益性の実現こそが企業価値の向上であると考え、「総資本利益率」を重要な経営指標として掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
食品・EC事業を今後の中核事業と位置づけ、新工場の開設による生産能力向上やOEM事業の拡大、グループ内でのECノウハウ共有によるシナジー追求を進めています。アミューズメント事業では、遊技機開発・販売体制の合理化とコスト見直しにより利益確保に注力しつつ、周辺機器需要の減少に対応して事業規模の適正化を図ります。不動産・電気事業は安定収益源として維持管理を徹底します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材は新卒採用を中心に確保しつつ、スキルや経験を持つ中途採用も積極的に行い、多様な知見を結集して生産性向上を図る方針です。年齢や性別に関係なく能力や意欲のある人材が活躍できる環境づくりを目指し、フレックスタイム制や半日有給休暇制度の導入など、柔軟な働き方の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 45.0歳 | 17.1年 | 5,248,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は法定開示の対象外であるため、有報には女性管理職比率等の必須記載事項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(27.29%)、年次有給休暇取得率(68.35%)、女性育休取得率/復帰率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 遊技機周辺機器に関する法的規制
主力製品のユーザーであるパチンコホールは風適法等の規制を受けています。製品自体は規制対象外ですが、ホールの新設・改装時に公安委員会の検査が遅れるなどした場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 遊技機に関する法的規制
パチスロ機やパチンコ機は、風適法に基づく「技術上の規格」に適合する必要があります。この規格が改正された場合、開発や販売に影響が生じ、業績に影響を与える可能性があります。また、検定有効期間は3年間と定められています。
■(3) 食品・EC事業に関する法的規制
食品・EC事業では食品衛生法や商品表示法などの規制を受けています。健康被害や法令違反が発生した場合、リコールや事業活動の制限を受ける可能性があり、業績に影響を及ぼすリスクがあります。



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