※本記事は、株式会社オーイズミの有価証券報告書(第58期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. オーイズミってどんな会社?
オーイズミは、遊技場向け機器の製造・販売や、蒟蒻・健康食品等を扱う食品・EC事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1974年7月に貨幣処理機の製造販売を目的に設立されました。2002年3月に東京証券取引所市場第二部に株式を上場して事業基盤を強化しています。その後、事業の多角化を推し進め、2012年には神奈川電力を設立して電気事業に参入しました。近年はM&Aを積極的に活用しており、2020年にオーイズミ下仁田、2022年には武内製薬などを子会社化し、食品・EC事業を新たな中核事業として拡大しています。
現在の従業員数は連結で398名、単体で162名です。大株主については、筆頭株主は事業会社のオーイズミホールディングスで、第2位は創業家で現代表取締役社長の大泉秀治氏、第3位も創業家の大泉充輝氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| オーイズミホールディングス | 47.25% |
| 大泉秀治 | 13.87% |
| 大泉充輝 | 4.50% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は大泉秀治氏が務めています。社外取締役の比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大泉秀治 | 代表取締役社長 | 1998年に同社へ入社。特販部長などを経て、2007年に取締役副社長に就任。2008年に代表取締役副社長を務めた後、2015年より現職。 |
| 大泉政治 | 代表取締役会長 | 1968年に有限会社大泉製作所を設立し代表取締役に就任。1974年の同社設立時に代表取締役社長となり、長年にわたり経営を牽引。2015年より現職。 |
| 柿澤孝勇 | 専務取締役 | 1987年に同社に入社。技術部長、購買部長などを歴任。2009年に執行役員となり、2015年に常務執行役員、2020年に常務取締役を経て、2022年より現職。 |
| 北村稔 | 取締役 | 1984年に同社に入社。長らく実務を経験し、2006年に管理部部長代理に就任。その後、2020年に取締役管理部長となり、現在に至る。 |
社外取締役は、鹿野美紀(弁護士)、山﨑泰男(元神奈川県警察大和警察署長)、甲原丈英(サポートインフィニティ社長)、中込淳之介(ありがとう社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「アミューズメント事業」「不動産事業」「電気事業」「食品・EC事業」および「その他」事業を展開しています。
■アミューズメント事業
遊技場向けの自動サービス機器やシステム機器、遊技機(パチスロ機、パチンコ機)等の開発・製造・販売、コンテンツ等の企画・開発を行っています。また、パチンコホール向けの周辺設備やソフトウエア、システム、ゲームソフト等のコンテンツ制作・販売も手掛けています。
収益源は、遊技場等からの製品販売代金や保守メンテナンス料などです。運営は主に同社が担うほか、高尾やレッド・エンタテインメント、オーイズミ・アミュージオなどの各子会社がそれぞれの製品やサービスを提供しています。
■不動産事業
同社グループが保有する店舗ビル、事務所用ビル、住宅用マンション等の賃貸事業を行っています。テナント企業や個人に対して良質な賃貸物件を提供し、安定的な不動産の保守・管理を徹底することで収益の確保に努めています。
収益源は、テナントや入居者からの不動産賃貸収入です。運営は主に同社が行っているほか、オーイズミラボや神奈川電力、オーイズミ・アミュージオなどの子会社も一部の賃貸物件の運営を担っています。
■電気事業
太陽光発電システムによる電力の供給を行っています。天候や自然災害のリスクに対応しながら、徹底した保守と管理を行うことで、発電した電力を安定的かつ継続的に供給する体制を構築しています。
収益源は、太陽光発電によって発電された電力の売電収入です。この事業の運営は、子会社である神奈川電力が単独で担っており、県央厚木第一、第二太陽光発電所や栃木太陽光発電所を稼働させています。
■食品・EC事業
人々の美容や健康意識の高まりを背景に、蒟蒻や蒟蒻ゼリー等の農産食品の製造加工販売、低糖質食品やサプリメント、プロテイン、化粧品等の開発・製造・販売を行っています。また、商品開発のノウハウを活用したOEM事業も展開しています。
収益源は、消費者への自社商品の販売代金や、提携企業からのOEM受託による製造販売代金などです。運営は、オーイズミ下仁田、オーイズミピュアルズ、武内製薬などの子会社が中心となって行っています。
■その他
人材派遣や職業紹介、労働者派遣などの人材紹介サービス事業、および損害保険代理店業務などの損害保険代理事業を展開しています。
収益源は、人材紹介や派遣に伴う手数料、および損害保険の取次手数料などです。運営は、非連結子会社であるオーイズミサポートやオーイズミライフが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績推移を見ると、売上高は安定して増加傾向にあり、直近の期間では217億円に達しています。経常利益は一時的に落ち込んだ期間もありましたが、当期は7億円まで回復しており、利益率も3.0%に改善しています。親会社所有者に帰属する当期利益も同様に回復基調を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 108億円 | 181億円 | 214億円 | 201億円 | 217億円 |
| 経常利益 | 6億円 | 11億円 | 10億円 | 0.7億円 | 7億円 |
| 利益率(%) | 5.2% | 5.8% | 4.7% | 0.4% | 3.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 3億円 | 3億円 | -5億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期間の201億円から当期間は217億円へと増加し、それに伴い売上総利益も拡大しています。営業利益も前期間の0.9億円から7億円へと大きく伸びており、収益性の抜本的な改善が見て取れます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 201億円 | 217億円 |
| 売上総利益 | 64億円 | 75億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.6% | 34.6% |
| 営業利益 | 0.9億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | 0.5% | 3.3% |
販売費及び一般管理費のうち、販売促進費が15億円(構成比22%)、荷造運賃が14億円(同20%)、広告宣伝費が10億円(同15%)を占めています。
■(3) セグメント収益
アミューズメント事業は遊技機の販売増や市場での高評価機種の再販が寄与し、増収を達成しました。食品・EC事業はOEM事業の成長や新規顧客の獲得により売上を伸ばしています。不動産事業と電気事業も安定的に推移し、全セグメントにおいて増収となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 食品・EC事業 | 90億円 | 97億円 |
| アミューズメント事業 | 94億円 | 102億円 |
| 不動産事業 | 8億円 | 9億円 |
| 電気事業 | 10億円 | 10億円 |
| 連結(合計) | 201億円 | 217億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはプラスとなっており、営業で利益を出しながら借入等で資金を調達し、積極的な投資活動を継続している積極型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4億円 | 21億円 |
| 投資CF | 4億円 | -29億円 |
| 財務CF | -18億円 | 18億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.2%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.8%であり、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「創造的な仕事を行い、多くの人に愛される企業でありたい」という経営理念のもと、会社設立以来培ってきたメカトロニクス技術をバックボーンにさまざまな機器の開発・製造・販売を行っています。質の高い商品およびサービスを提供し続け、企業活動を通じて豊かな未来を想像し創造することを使命としています。
■(2) 企業文化
同社は、基盤事業であるアミューズメント事業をはじめ、成長事業としての食品・EC事業、安定事業としての不動産事業や電気事業など、各事業の特性に応じた柔軟な事業運営を重んじる文化を持っています。常に技術の向上とコストダウン、差別化を求められる環境のなかで、グループ一丸となって企業価値の向上と持続可能な成長に取り組む姿勢を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、経営の効率化を図るとともに、成長性および収益性の実現こそが企業価値の向上であると考え、総資本利益率を重要な経営指標として掲げて経営を行っています。
■(4) 成長戦略と重点施策
安定・継続的な成長と一層の事業シナジーを創出するため、「ブランドイメージ向上」「企画・開発力強化」「生産性の向上・新規顧客の獲得」を基本方針として掲げています。具体的には、市場ニーズにマッチした商品提供による顧客満足度の最大化、人材育成および先端技術研究への積極投資による開発力強化、そしてローコストオペレーションと提案営業力の強化による販路拡大に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、各事業の特性に応じた人材の確保および育成が事業運営の基盤であると認識しています。アミューズメント事業では遊技機開発等に係る知見を有する人材の確保に努め、食品・EC事業では商品開発やEC運用に関する専門的な知見の活用を図っています。事業の拡大や環境変化に対応した適材適所の人材配置により、持続的な事業運営を支える体制整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 44.9歳 | 17.3年 | 5,374,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 33.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 49.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 62.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | 45.7% |
また、同社は「人的資本」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(24.6%)、産後パパ育休取得率(60.0%)、年次有給休暇取得率(70.2%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 遊技機周辺機器等に関する法的規制
同社の主力製品である遊技機周辺機器の最終ユーザーである遊技場は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」や都道府県条例の規制を受けています。都道府県公安委員会による検査の遅れや、遊技機の技術上の規格改正が行われた場合、同社の業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 食品・EC事業に関する法的規制
食品・EC事業においては、「食品衛生法」や「食品表示法」など消費者の食の安全・安心に関する法的規制、および環境・リサイクル関連の法的規制を受けています。健康被害に関わる問題が生じ、食品リコールや事業活動の制限を受けた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 訴訟リスク
同社グループはコンプライアンス体制の強化を推進し、第三者の知的財産権を侵害しないよう注意を払うなど訴訟リスクの最小限化に努めています。しかし、事業を行う上で取引等に関連して予期せぬ訴訟を提起される可能性があり、その結果が業績に影響を与えるリスクが存在します。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。