※本記事は、株式会社エスティック の有価証券報告書(2026年3月期、2025年3月21日 ~ 2026年3月20日、2026年6月17日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
エスティックグループは、ナットランナ、ハンドナットランナ、サーボプレス、ネジ締付装置の製造・販売および修理・点検を主な事業としています。国内外の自動車メーカーや自動車部品メーカーの組立工程で利用される製品を提供しています。
単体従業員数は201名、連結従業員数は228名です。同社グループの事業セグメントは単一です。
国内においてはエスティックがナットランナ、ハンドナットランナ、サーボプレス、ネジ締付装置の製造・販売および修理・点検を一手に担い、海外3社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
エスティックは、従業員一人ひとりの成長と働きがいを重視し、多様な働き方を支援する環境づくりに取り組んでいます。人材育成やワーク・ライフ・バランスの充実を通じて、従業員が能力を発揮できる職場を目指していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
エスティックでは、従業員の平均年齢が40代前半であり、平均勤続年数も9年と比較的長く、人材の定着傾向が見られます。これは、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っている可能性を示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,900,000円 |
| 平均勤続年数 | 9.0年 |
| 平均年齢 | 41.0歳 |
| 単体従業員数 | 201人 |
| 連結従業員数 | 228人 |
| 単体のグループ内比率 | 88.2% |
エスティックは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。これらの制度は提出会社および一部の連結子会社に適用されています。
退職一時金制度も存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
エスティックは、「人」を最も重要な経営資源と位置づけ、従業員一人ひとりが個の力を高め、働きがいと誇りを持てる環境づくりを目指しています。人権と多様性を尊重し、中長期的な人材育成とダイバーシティの推進、労働環境の整備に注力しています。
具体的には、階層別研修や管理職向けのハラスメント研修、目標管理制度を通じた自己実現のサポートを行っています。また、育児や介護と両立できる働き方を提供するため、育児・介護関連制度の推進、フレックスタイム制度や時差出勤制度の導入、有給休暇取得促進活動を実施しています。
さらに、「人と組織が健康でイキイキと働ける環境を創出する」という目標を掲げ、健康経営を推進しています。代表取締役を健康経営責任者とし、産業医や産業保健師、健康保険協会と連携しながら、従業員の心身の健康をサポートする体制を構築しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社及び連結子会社は、女性活躍推進法及び育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは記載されていません。
人材育成・社内環境整備に関する指標
これらの指標に関する目標及び実績は、データ管理の制約から提出会社での開示としています。
| 指標 | 2026年度目標 | 2025年度実績 |
|---|---|---|
| 男性育児休業取得率 | 80.0% | 80.0% |
| 年次有給休暇取得率(一般) | 82.0% | 81.0% |
| 年次有給休暇取得率(管理職) | 65.0% | 62.0% |
| 年次有給休暇取得率(合計) | 78.0% | 77.0% |
| 年間総労働時間/人 | 2,000時間 | 2,135時間 |
| 月平均時間外労働/人 | 12時間 | 11時間 |
健康経営に関する指標
| 指標 | 2026年目標 | 2025年実績 |
|---|---|---|
| 健康診断受診率 | 100.0% | 100.0% |
| ストレスチェック受検率 | 100.0% | 99.0% |
| 高ストレス者率 | 15.0%以下 | 16.1% |
| 喫煙率 | 20.0%以下 | 23.9% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
エスティックグループは、ナットランナ、ハンドナットランナ、サーボプレス、ネジ締付装置といった製品の製造・販売、および製品の修理・点検を主な事業としています。主に国内外の自動車メーカーや自動車部品メーカーを顧客とし、組立工程におけるネジ締め付けの品質管理に貢献しています。
同社グループは単一セグメントで事業活動を展開していますが、製品別に見ると、ハンドナットランナが最も大きな売上を占めています。次いでネジ締付装置、ナットランナが続き、これらが同社グループの主要な収益源となっています。当連結会計年度では、ネジ締付装置の売上が前期から大きく増加し、同社グループ全体の売上を牽引しました。一方で、ナットランナとハンドナットランナの売上は前期から減少しています。
同社グループの売上高に占める海外売上高の割合は過半数に達しており、特に米国市場やアジア地域(中国除く)での売上が回復・伸長しています。特定の顧客としては、Rhino Assembly Corporationへの売上が同社グループの総販売実績の一定割合を占める状況となっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ハンドナットランナ | 4兆5,712億円 | 4兆4,407億円 |
| ネジ締付装置 | 1兆3,011億円 | 1兆7,217億円 |
| ナットランナ | 1兆3,890億円 | 1兆2,063億円 |
| その他 | 6,200億円 | 6,649億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去数期にわたり継続的に増加傾向にあり、直近の当連結会計年度も前期から増収となりました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、過去数期にわたり増加傾向を示していましたが、当連結会計年度は前期から減少に転じています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 57.5億円 | 67.2億円 | 71.3億円 | 78.8億円 | 80.3億円 |
| 経常利益 | 12.0億円 | 15.3億円 | 15.5億円 | 17.2億円 | 16.6億円 |
| 経常利益率 | 20.8% | 22.8% | 21.8% | 21.9% | 20.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 8.2億円 | 10.8億円 | 11.3億円 | 11.8億円 | 11.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 82.67 | 108.69 | 113.99 | 118.73 | 116.72 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、当連結会計年度において前期から増加しています。一方、従業員1人あたり営業利益は前期から減少しています。これらの指標は、同社グループの事業規模と従業員数の関係性を示しており、売上高の増加に対して利益の伸びが追いついていない状況がうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 34.3百万円 | 35.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 7.1百万円 | 6.9百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で得た資金を将来に向けた投資に充てている状況を示しています。財務基盤の厚みと資金の流れから、現在の経営状態を読み解くことができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率とROEによって安定した状態を示しています。手元資金も一定の水準を維持しており、事業運営における資金的な余裕がうかがえます。これらの財務指標は、従業員の雇用や給与の安定性にもつながる重要な要素です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 106億円 | 115億円 |
| 自己資本比率 | 86.1% | 88.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.0% | 10.7% |
| 現金及び預金 | 33.6億円 | 27.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは5.9億円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益や減価償却費の増加要因があった一方で、売上債権や棚卸資産の増加、法人税等の支払いが減少要因となったためです。
投資活動によるキャッシュフローは9.4億円の支出となり、主に有形固定資産の取得による支出が影響しています。財務活動によるキャッシュフローは3.1億円の支出で、配当金の支払いが主な要因です。
これらの結果、フリーキャッシュフローは3.5億円のマイナスとなりました。本業で得た資金を上回る投資を行っており、将来の成長に向けた積極的な投資フェーズにあることがうかがえます。これは、今後の事業拡大や新たな機会創出につながる可能性があり、従業員の長期的な成長機会や安定性にも影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 20.6億円 | 5.9億円 |
| 投資CF | △0.9億円 | △9.4億円 |
| 財務CF | △2.8億円 | △3.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 19.7億円 | △3.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業は、売上の約90%が自動車産業向けとなっており、国内外の経済環境の変化や自動車の購買減少、設備投資額の減少が業績に影響を与える可能性があります。
また、海外売上高の割合が高まる中で、特に中国市場への依存度が増加しています。政治や経済の変化により海外での販売が困難になった場合や、為替変動による影響も業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
エスティックは、世界市場をターゲットに、お客様満足度100%を目指すグローバル企業です。事業を通じて社会課題の解決にも取り組む姿勢を示しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
エスティックグループは、事業ターゲットを世界に置き、お客様満足度100%を目指すことをスローガンとしています。メーカーとして新製品開発と既存製品のバージョンアップ開発に注力しています。販売面では海外での販売拡大を図り、世界市場をマーケットとしたグローバル企業を目指しています。
中長期的な経営戦略としては、世界市場での販売拡大のためのサービス拠点の充実を掲げています。また、新製品開発および事業提携や買収も視野に入れた事業領域の拡大、株主価値の向上を目標としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
エスティックグループは、サステナビリティ基本方針を制定し、ステークホルダーとの対話を尊重しながら事業を通じて社会課題の解決に取り組んでいます。具体的には、安心で環境に優しい製品の開発・製造、CO2排出量削減、廃棄物抑制、生物多様性保全を推進しています。
また、人権・労働問題に積極的に取り組み、安全で働きがいのある職場環境の整備に努めています。公正かつ透明性の高い企業経営を行い、法令及び社会の規範を含む企業倫理を遵守し、すべてのステークホルダーと強固な信頼関係を構築することを重視しています。
同社は「人」を最も重要な経営資源と考え、人権や多様性を尊重し、従業員一人ひとりが個の力を高め、働きがいと誇りを持てる環境づくりに取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
エスティックグループは、自動車産業の設備投資に密接な影響を受ける製品特性から、世界規模での自動車産業の設備投資に対応できる販売体制、サービスメンテナンス体制、生産体制の確立を不可欠な課題としています。利益の確保と海外販売拠点、サービス拠点、生産拠点への投資バランスを考慮しつつ、積極的な海外投資を行っていく方針です。
海外代理店の整備、拡充、教育も重要な戦略と位置付け、海外市場開拓に注力しています。健全かつ効率的な経営のため、法令遵守の徹底、コーポレート・ガバナンスの強化、リスク管理体制の強化、内部統制システムの整備も図っています。物価高騰による仕入部材価格や人件費の高騰の影響にも留意していく必要があると考えています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能の強化と経営の機動性向上を図っています。社外取締役が取締役会の過半数を占める構成により、客観的な視点からの経営監視を重視する体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成は、創業家や関連会社が上位に名を連ねる特徴があります。特定の株主グループが経営に一定の影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 鈴木 弘 | 13.03% |
| 日伝 | 11.23% |
| 弘鈴興産 | 8.02% |
| 長沼商事 | 5.61% |
| エスティック従業員持株会 | 5.50% |
なお、前事業年度末の筆頭株主であった鈴木 弘氏は当事業年度末では主要株主ではなくなり、鈴木 弘英氏が新たに主要株主である筆頭株主となりました。また、2026年2月10日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、遺産分割協議が整ったことにより、相続人である鈴木 弘英氏が2026年1月18日現在で1,692,000株(14.38%)を所有している旨が記載されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は5名(男性4名・女性1名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長執行役員は鈴木 弘英氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鈴木 弘英 | 代表取締役社長執行役員 | 2012年4月 同社入社、2015年1月 ESTIC AMERICA, INC.出向 Vice President、2017年6月 取締役就任 営業本部長、2020年6月 代表取締役社長就任、2025年3月 代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 伊勢嶋 勇 | 取締役副社長執行役員 | 1995年4月 同社入社、2005年6月 取締役就任 管理部長、2018年6月 専務取締役 管理部長、2025年3月 取締役専務執行役員就任、2026年3月 取締役副社長執行役員より現職。 |
社外取締役は、山本 純治氏(事業会社での営業経験)、大松 信貴氏(公認会計士・大松公認会計士事務所所長)、氏家 真紀子氏(弁護士・弁護士法人梅ヶ枝中央法律事務所パートナー弁護士)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会に監査等委員である社外取締役を置くことで、経営の監督機能の強化と機動性の向上を図っています。社外取締役は、それぞれの専門的知見を活かし、独立した立場から経営に対する適切な監査を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)の報酬について、企業価値の持続的な向上を促すインセンティブとして、固定報酬である基本報酬と譲渡制限付株式報酬を組み合わせています。監査等委員である取締役の報酬は、その独立性を考慮し、基本報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 61百万円 | 30.4百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 15百万円 | 3.8百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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