※本記事は、リオン株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
リオンは、微粒子計測器、医療機器、環境機器の開発、製造、販売、サービスを手掛けています。同社グループは、これら3つの事業領域で社会に貢献しています。
単体従業員数は499名、連結従業員数は1,003名です。セグメントは微粒子計測器事業、医療機器事業、環境機器事業の3つです。
主な国内グループ会社は、当社 (開発・製造・販売)、九州リオン (販売)、リオンサービスセンター (サービス)、リオンテクノ (製造)、九州リオン (製造・販売)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
リオンは、医療機器や計測器を通じて社会貢献を目指す企業です。技術立社としての強みを活かし、従業員一人ひとりの成長と多様性を重視する環境づくりに取り組んでいます。安定したキャリア形成を支援する制度と、安心して働ける福利厚生が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
リオンでは、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、長期的なキャリア形成が可能な環境がうかがえます。多様な人材がそれぞれの専門性を高めながら、安定して働き続けられる組織を目指していることが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,096,000円 |
| 平均勤続年数 | 16.8年 |
| 平均年齢 | 41.3歳 |
| 単体従業員数 | 499人 |
| 連結従業員数 | 1,003人 |
| 単体のグループ内比率 | 49.8% |
リオンでは、退職給付制度として確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。これらの制度は同社および連結子会社に適用されます。
退職一時金制度もあり、確定給付企業年金制度(積立型制度)ではポイント制に基づいた一時金または年金を支給し、退職一時金制度(非積立型制度)ではポイント制に基づいた一時金を支給しています。
なお、退職給付債務は44.3億円、年金資産は47.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
リオンは、中期経営方針の実現に向けて、従業員一人ひとりが能力を発揮し、新たな挑戦ができる環境づくりを人材戦略の基本方針としています。個人の志向や適性、強みに応じたキャリア形成を促進し、グループの成長に貢献する人材の育成に注力しています。
人事評価制度や給与・賞与の決定においては、従業員が成長を継続して実感できることを重視しています。「職務遂行能力」「姿勢・意欲」「業務成果」の3つの側面から評価を行い、個人の能力や貢献を給与に反映する仕組みです。賞与は個人の業績と同社グループの業績に連動させ、成果創出への意欲を高める設計となっています。
同社グループは、イノベーションの実現と国内外市場の拡大のため、性別・年齢・国籍・障がいの有無等に関わらず、多様な人材が最大限の力を発揮できる職場環境の実現を目指しています。特に「技術立社」として、従業員が安心してチャレンジできる環境を提供し、技術革新を推進する土台を築いています。
具体的な取り組みとして、新卒採用では専門性を高めるコース別採用を導入し、経験者採用では丁寧なすり合わせを通じてスムーズな入社を支援しています。人材育成では、上長との定期的なフォローアップ面談や、OJT、階層別研修、eラーニングなどを通じて、積極的かつ効果的な学習機会を提供しています。また、福利厚生も充実しており、心の健康ケアや身体の健康増進、ライフイベントごとの支援制度、退職後の資産形成支援など、従業員が安心して働き続けられる環境を整備しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。同社の賃金制度は年齢や性別に関係なく同一の賃金体系となるよう設計されていますが、女性管理職比率の低さや扶養家族手当等の支給対象者の偏りにより男女間で賃金格差が生じています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 81.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 80.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 80.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 81.5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
リオンは、微粒子計測器、医療機器、環境機器の3つの事業を主軸に、開発から製造、販売、サービスまでを一貫して手掛ける企業グループです。多岐にわたる分野で専門性の高い製品とサービスを提供し、社会の様々なニーズに応えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、微粒子計測器事業、医療機器事業、環境機器事業の3つの報告セグメントで事業を展開しています。各事業において、製品の引き渡しまたは顧客の検収時点で収益を認識しており、国内販売では出荷時点で収益を認識するモデルを採用しています。また、契約締結後の値引きやリベートといった変動対価も収益モデルに含まれています。
微粒子計測器事業
この事業では、微粒子計測器の製造販売等を行っています。収益は、半導体関連市場における設備投資需要の継続を背景に、半導体製造工場で使用される液中微粒子計の販売から主に得ています。前期と比較して販売は好調に推移しましたが、設備増強や最先端機種に関連する開発費の増加により、利益面では減益となりました。
医療機器事業
医療機器事業では、補聴器や医用検査機器の製造販売等を手掛けています。収益は、新製品のリオネットプラスが販売に貢献した補聴器と、大型聴力検査室の販売が好調な医用検査機器から得ています。補聴器は前期と比較して増収に貢献し、医用検査機器は前連結会計年度と同水準の売上高となりました。これらの結果、医療機器事業全体では増収増益となっています。
環境機器事業
環境機器事業は、音響・振動計測器の製造販売等を行っています。収益は、これらの計測器の販売から得ています。前期と比較して売上高は増加傾向にあります。
同社グループの売上高に占める海外売上高の割合は、当連結会計年度において約26.8%となっています。また、微粒子計測器事業においては、TAIWAN AMITY TECHNOLOGY CO., LTD.が主要な顧客の一つとなっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 医療機器事業 | 125億円 | 128億円 |
| 微粒子計測器事業 | 95.5億円 | 97.1億円 |
| 環境機器事業 | 58.0億円 | 60.3億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、当連結会計年度において全ての事業で販売が好調に推移した結果、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも過去最高を更新しました。過去5期間を見ても、売上高は一貫して増加傾向にあり、利益も堅調に推移していることがうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 226億円 | 239億円 | 257億円 | 279億円 | 285億円 |
| 経常利益 | 32.1億円 | 30.1億円 | 35.6億円 | 41.1億円 | 44.4億円 |
| 経常利益率 | 14.2% | 12.6% | 13.8% | 14.7% | 15.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 22.3億円 | 18.0億円 | 26.5億円 | 28.6億円 | 33.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 181.41 | 146.33 | 215.51 | 232.19 | 271.41 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて増加傾向にあります。これは、組織全体の効率化が進み、従業員一人ひとりの生産性が向上していることを示唆しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しており、収益性の改善が見られます。これらの指標の向上は、事業活動の成果が従業員一人ひとりの貢献に結びつき、会社の稼ぐ力が強化されていることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 27.6百万円 | 28.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.0百万円 | 4.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
リオンは、強固な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しており、事業活動を通じて着実に資金を生み出しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は非常に安定している状況です。自己資本比率はプライム市場平均を大きく上回る水準で推移しており、強固な経営基盤を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回っており、効率的な資本活用ができていることがうかがえます。手元資金である現金及び預金も増加傾向にあり、不測の事態への耐性も高いと言えるでしょう。このような安定した財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 314億円 | 348億円 |
| 自己資本比率 | 80.3% | 83.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.4% | 10.1% |
| 現金及び預金 | 60.1億円 | 85.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を稼ぎ、それを投資に回しつつも、手元に資金が残る優良な状態を示しています。営業キャッシュフローはプラスで推移しており、本業で着実に資金を生み出していることがうかがえます。投資キャッシュフローはマイナスとなっていますが、これは将来に向けた事業投資が行われていることを示唆しています。その結果、フリーキャッシュフローはプラスであり、本業で得た資金で投資を賄い、さらに余剰資金も生み出している状況です。このような資金の流れは、安定した経営基盤と将来への成長余力があることを示しており、雇用や給与の安定性にも寄与すると考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 34.4億円 | 41.7億円 |
| 投資CF | △16.9億円 | △7.5億円 |
| 財務CF | △7.5億円 | △9.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 17.5億円 | 34.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、補聴器や計測器などの各市場において、競合他社との販売競争が激化している状況です。これにより、価格下落や利益率の低下が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外売上高が全体の約27%を占めており、輸出先の政治・経済情勢の変化や為替変動が業績に影響を与えるリスクも認識されています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
リオンは、人々の健康と福祉に貢献することを社会的使命とし、技術力を基盤に社会貢献を目指す企業グループです。多様な人材が活躍できる環境を重視し、持続的な成長と企業価値向上に取り組んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
リオンは「すべての行動を通して 人へ 社会へ 世界へ貢献する」という企業理念を掲げています。人々の健康・福祉に貢献し、質の高い充実した生活の実現に寄与することを社会的使命と位置付けています。長年培われた技術力を駆使し、福祉の充実や環境保全に係わる課題に取り組み、広く社会に貢献する企業グループを目指しています。
研究開発型企業として技術力を一層高め、基礎科学の高揚と応用科学の実践を推進することで、経営基盤の更なる拡充を図る方針です。中期的な経営方針としては、既存事業のさらなる成長に加え、経営資源の有効活用とあらゆるイノベーションによる新たなビジネスモデルの創出を掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
リオンは「技術立社」であり続けることを重視し、従業員が安心してチャレンジできる職場環境を提供することで技術革新を推進しています。持続可能な社会や環境の形成が中長期的な企業価値向上に繋がるとの認識のもと、事業領域にとらわれず社会貢献に資する幅広い活動を展開しています。
リスク管理においては、法令・社内標準等順守規定、リスク管理規定、内部通報規定等を整備・運用しています。企業理念や経営理念に加え、企業グループ行動規範を全社及びグループ各社に周知徹底しています。
人材の多様性を確保し、性別・年齢・国籍・障がいの有無等の区別なく多様な人材が最大限の力を発揮できる職場環境の実現を目指しています。一人ひとりの主体的なキャリア形成を促進し、それぞれの可能性を引き出すことで、グループの将来的な成長に貢献する人材を育成する方針です。
個人の能力と貢献を重視した人事評価制度を導入しており、「職務遂行能力」「姿勢・意欲」「業務成果」の3つの側面から評価を行っています。従業員エンゲージメントの向上や経営メッセージの共有を目的とした、部門や個人の業績・功績を表彰する制度も導入しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
リオンは、更なる業容の拡大を図るため、海外における販路の拡大に取り組むことを当面の課題としています。同社グループが培ってきた日本型ビジネスモデルを輸出するべく、相手国の状況に合わせた取り組みを進めています。また、製品の競争力を高めるために、基本性能の向上のみならず付加機能の拡充にも取り組む方針です。
より高い顧客満足度を実現することにより、同社グループの持続的な発展と企業価値の向上に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
リオンは、監査役会設置会社として、経営の健全性と透明性を重視したガバナンス体制を構築しています。取締役会は機動性を重視した構成となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は一般財団法人小林理学研究所であり、創業や研究開発との関連がうかがえる資本構成となっています。上位株主には信託銀行のほか、リオン取引先持株会やリオン従業員持株会も名を連ねており、多様なステークホルダーに支えられていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 一般財団法人小林理学研究所 | 25.39% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.66% |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 8.26% |
| リオン取引先持株会 | 3.98% |
| 株式会社みずほ銀行 | 1.70% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性8名・女性3名)で構成され、女性役員比率は27.3%です。代表取締役社長は加藤公規氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 加 藤 公 規 | 代表取締役社長 | 1997年同社入社後、事業支援本部企画・経理部長、執行役員経営企画本部長などを歴任し、2025年4月より代表取締役社長に就任し現職。 |
| 岩 橋 清 勝 | 代表取締役副社長 環境機器事業部長 | 1979年同社入社後、執行役員環境機器事業部開発部長、取締役技術開発センター長などを経て、2022年4月より代表取締役社長、2025年4月より代表取締役副社長に就任し現職。 |
| 清 水 健 一 | 取締役会長 | 1978年同社入社後、取締役経営管理統括部長、代表取締役社長などを歴任し、2022年4月より取締役会長に就任し現職。 |
| 篠 﨑 利 之 | 取締役微粒子計測器事業部長 | 1989年同社入社後、医療機器事業部営業部副部長、執行役員医療機器事業部長などを経て、2024年4月より取締役微粒子計測器事業部長に就任し現職。 |
社外取締役は、濱田喜久子氏(元ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社バイスプレジデント)、上田麻理氏(神奈川工科大学情報学部准教授)、高橋和伸氏(元双葉電子工業代表取締役社長)、江島真也氏(元独立行政法人国際協力機構理事)です。
同社は監査役会設置会社であり、独立社外取締役が経営に対して率直かつ建設的な助言と監督を行う体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の持続的な向上と株主・従業員との価値共有を推進する報酬体系を基本方針としています。社外取締役を除く取締役の報酬は、基本報酬、業績連動報酬、非金銭報酬(譲渡制限付株式報酬)で構成されています。社外取締役の報酬は、会社業績に関わらず基本報酬のみとなっています。報酬の種類ごとの比率は、基本報酬60:業績連動報酬25:非金銭報酬15を目安としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 1.6億円 | 39.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 14.4百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 33百万円 | 4.7百万円 |
連結報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の報酬開示は行われていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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