ウシオ電機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ウシオ電機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。露光用ランプやシネマプロジェクターなど、光技術を核とした産業用製品・装置の製造販売を主力とする。当連結会計年度は、半導体市場の低迷等により売上高は前期比微減、営業利益は減益となったものの、投資有価証券売却益の計上などにより親会社株主に帰属する当期純利益は増益となった。


※本記事は、ウシオ電機株式会社 の有価証券報告書(第62期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ウシオ電機ってどんな会社?

光源や光学装置等の産業用製品をグローバルに展開する「光」のソリューションカンパニーです。

(1) 会社概要

1964年に設立され、産業用光源の開発・製造を開始しました。1970年に東京証券取引所市場第2部に上場し、1980年に同市場第1部へ指定替えとなりました。1992年に米国の映写機部門を買収しChristieグループを設立、映像分野へ本格参入しました。2014年にはアドテックエンジニアリングを完全子会社化し、露光装置事業を強化しています。

連結従業員数は6,013名(単体1,677名)です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位も同様の信託銀行系ファンドです。第3位も資産管理を行う外国銀行系の常任代理人となっており、機関投資家や海外投資家が上位を占めています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 16.16%
ビービーエイチルクス フイデリテイ フアンズ グローバル テクノロジー プール 5.84%
ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505301 5.20%

(2) 経営陣

同社の役員は男性7名、女性4名の計11名で構成され、女性役員比率は36.4%です。代表取締役社長執行役員社長CEOは朝日崇文氏です。社外取締役比率は63.6%です。

氏名 役職 主な経歴
朝日 崇文 代表取締役社長執行役員社長CEO 沖電気工業を経て2017年に入社。経営統括本部長、CFO等を歴任し、2024年4月より現職。
中野 哲男 取締役執行役員副社長COOCSuO 1988年入社。光源事業部長、ESG推進本部長等を歴任し、2024年4月より現職。
神山 和久 取締役常務執行役員フォトリソ事業部長 1995年入社。CHRISTIE DIGITAL SYSTEMS社長、Life Science事業部長等を歴任し、2024年4月より現職。


社外取締役は、佐々木豊成(生命保険協会代表理事副会長)、松﨑正年(元コニカミノルタ取締役会議長)、間下直晃(ブイキューブ社長)、増山美佳(増山&Company社長)、杉原麗(弁護士)、須永明美(公認会計士)、有泉池秋(元日本銀行)です。

2. 事業内容

同社グループは、「Industrial Process事業」、「Visual Imaging事業」、「Life Science事業」、「Photonics Solution事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) Industrial Process事業

半導体製造プロセス等で使用される露光用ランプ、OA用ランプ、光学機器用ランプ、露光装置、キュア装置、EUV光源などを提供しています。主な顧客は半導体メーカーや電機メーカーなどの産業分野です。

製品・装置の販売および保守メンテナンスサービスにより収益を得ています。運営は主にウシオ電機、株式会社アドテックエンジニアリング、ウシオライティング株式会社、USHIO AMERICA,INC.などが行っています。

(2) Visual Imaging事業

映画館向けのシネマ用ランプ、デジタルシネマプロジェクター、一般映像向けプロジェクター、映像関連機器などを提供しています。映画館、公共施設、イベント事業者などが主な顧客です。

機器の販売および保守メンテナンスサービスにより収益を得ています。運営は主にウシオ電機、ウシオライティング株式会社、株式会社ジーベックス、CHRISTIE DIGITAL SYSTEMS各社などが行っています。

(3) Life Science事業

環境衛生製品や紫外線治療機器などを提供しています。医療機関や衛生管理を必要とする施設などが主な顧客です。

製品の販売により収益を得ています。運営は主にウシオ電機、USHIO GERMANY GmbHなどが行っています。

(4) Photonics Solution事業

固体光源(レーザー、LED等)を提供しています。産業機器メーカーや研究機関などが主な顧客です。

製品の販売により収益を得ています。運営は主にウシオ電機、Necsel Intellectual Property,Inc.などが行っています。

(5) その他事業

電源機器等の製造販売および不動産賃貸事業を行っています。

製品販売および賃貸料により収益を得ています。運営はウシオ電機およびグループ会社が行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上高は2021年3月期から回復傾向にありましたが、当期は前期比で微減となりました。経常利益は2023年3月期をピークに減少傾向にあります。一方で、当期純利益は当期において過去最高益を記録しています。これは投資有価証券売却益などの特別利益計上が寄与したものと考えられます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,186億円 1,488億円 1,750億円 1,794億円 1,776億円
経常利益 34億円 152億円 201億円 161億円 125億円
利益率(%) 2.9% 10.2% 11.5% 9.0% 7.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 54億円 75億円 139億円 200億円 277億円

(2) 損益計算書

売上高は前期比微減となりましたが、売上総利益率は35.0%と前期(36.2%)から低下しています。営業利益は前期比で減少しました。販売費及び一般管理費が増加したことが影響しています。当期純利益は特別利益の計上等により増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,794億円 1,776億円
売上総利益 649億円 622億円
売上総利益率(%) 36.2% 35.0%
営業利益 130億円 88億円
営業利益率(%) 7.2% 5.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与賃金が154億円(構成比29%)、研究開発費が128億円(同24%)を占めています。

(3) セグメント収益

主力のIndustrial Process事業は、半導体市場の投資抑制等の影響を受け減収減益となりました。Visual Imaging事業は、映画館市場の一時的な停滞等により増収ながら大幅な減益となりました。Life Science事業は増収となり赤字幅が縮小しました。Photonics Solution事業は増収増益(赤字縮小)となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
Industrial Process事業 821億円 789億円 109億円 96億円 12.2%
Visual Imaging事業 805億円 809億円 59億円 7億円 0.9%
Life Science事業 52億円 61億円 -23億円 -11億円 -17.7%
Photonics Solution事業 102億円 103億円 -15億円 -4億円 -4.0%
その他事業 13億円 14億円 1億円 1億円 6.0%
調整額 - - -1億円 -1億円 -
連結(合計) 1,794億円 1,776億円 130億円 88億円 5.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.4%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は創業以来、「光」が持つ可能性を信じ、光を「あかり」としてだけでなく「エネルギー」として利用することで、社会課題や世の中の技術革新に貢献することを事業方針としています。「光」のソリューションカンパニーとして、人々の幸せと社会の発展を支えることを目指しています。

(2) 企業文化

創業時に「ウシオが社員の英知によって成長し、一人ひとりの人生の中になくてはならない生きがいのような存在になっていけたら」という想いのもと策定された「四つの基本方針」を重視しています。また、「私たちの行動指針10」を通じて、高い企業倫理と公正な事業活動の実践を求めています。

(3) 経営計画・目標

2030年の目指す姿に向けた新成長戦略「Revive Vision 2030」を掲げています。2024年度から2026年度をPhase Iとし、以下の数値目標を設定しています。
* 2026年度:ROE 8%以上
* 2030年度:ROE 12%以上

(4) 成長戦略と重点施策

「経営効率を重要視した成長戦略」を掲げ、成長分野であるIndustrial Process事業へリソースを集中します。特に半導体アドバンスドパッケージ関連の露光装置事業を成長ドライバーと位置づけ、アプライドマテリアルズ社との提携等によりフルラインアップ化を進めます。不採算事業についてはポートフォリオ変革を実行し、収益性の向上を図ります。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

「ビジョンに近付くための人財の質向上」および「成果を上げやすい職場環境作り」を中核に据えています。専門知識とビジネスマインドを持つ自発的な人財の採用・育成を進めるとともに、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、従業員エンゲージメントの向上、健康経営の推進に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.9歳 20.2年 7,775,480円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.8%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 69.1%
男女賃金差異(正規雇用) 68.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 62.6%


※男性育児休業取得率について、HTML原文では正規雇用労働者は84.2%、パート・有期労働者は対象者なしと記載されています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントサーベイ(61%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 各事業領域におけるリスク

Industrial Process事業では、研究開発の遅れや競合他社の先行、世界経済動向や米国関税措置による市場環境の変化が業績に影響を与える可能性があります。Visual Imaging事業では、映画館市場の構造変化やプロジェクター需要の減少、取引先の経営悪化等がリスク要因となります。

(2) サプライチェーン

原材料・部品の供給遅延や途絶、資源価格の高騰による原価上昇のリスクがあります。これに対し、代替案の検討、調達方針の立案、適正価格転嫁の仕組み作り等で対応を進めています。

(3) グローバル人財戦略

専門知識を持つ人財の確保困難や、熟練職員の技術・ノウハウ継承の滞りが競争力低下を招くリスクがあります。事業戦略に基づく人財要件の明確化や適切な報酬体系の検討等により、高度専門人財の確保を目指しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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