ウシオ電機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ウシオ電機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ウシオ電機は東京証券取引所プライム市場に上場し、光学機器用ランプや露光装置を手がけるIndustrial Process事業、プロジェクターなどのVisual Imaging事業を主力に展開しています。直近の業績トレンドは、増収ならびに営業利益ベースで増益を達成し、堅調な推移を示しています。


※本記事は、ウシオ電機の有価証券報告書(第63期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ウシオ電機ってどんな会社?


ウシオ電機は「光」をエネルギーとして利用し、半導体製造や映像・医療分野で事業を展開するグローバル企業です。

(1) 会社概要


1964年に設立され、1970年に東証二部、1980年に東証一部(現プライム市場)へ上場しました。1992年に米国企業の映写機部門を買収し映像機器事業を拡大したほか、2026年3月にはドイツのランプ事業を買収するなど、積極的なM&Aによりグローバル展開を推進しています。

現在の従業員数は連結で5,898名、単体で1,475名体制となっています。大株主の構成は、筆頭株主に資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第2位に海外投資ファンドのビービーエイチルクス フイデリテイ フアンズ グローバル テクノロジー プールが名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 15.64%
ビービーエイチルクス フイデリテイ フアンズ グローバル テクノロジー プール 6.48%
りそな銀行 4.86%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性4名の計11名で構成され、女性役員比率は36.3%です。代表取締役社長兼執行役員社長 CEOは朝日崇文氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
朝日崇文 代表取締役社長執行役員社長CEO 沖電気工業を経て2017年同社入社。常務執行役員CFO等を経て2024年4月より現職。
中野哲男 取締役執行役員副社長COOCSuO 1988年同社入社。常務執行役員、ESG推進本部長等を経て2024年4月より現職。
神山和久 取締役常務執行役員フォトリソ事業部長 1995年同社入社。事業統括本部副本部長、Life Science事業部長等を経て2024年4月より現職。
木下誠 取締役(常勤監査等委員) 三菱UFJ銀行を経て2020年同社入社。グローバル人事総務戦略部門長等を経て2024年6月より現職。


社外取締役は、佐々木豊成(元生命保険協会代表理事副会長)、松﨑正年(元コニカミノルタ代表執行役社長)、間下直晃(ブイキューブ創業者)、増山美佳(増山&Company代表社員社長)、杉原麗(弁護士)、須永明美(公認会計士)、有泉池秋(きらぼし銀行社外監査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、Industrial Process事業、Visual Imaging事業、Life Science事業、Photonics Solution事業およびその他事業を展開しています。

(1) Industrial Process事業


半導体や電子部品等の製造工程で使われる露光用ランプやOA用ランプ、露光装置、キュア装置などを提供し、主に半導体・電子デバイス市場を顧客としています。

製品の販売や保守メンテナンスサービスから収益を得ています。運営は主にウシオ電機やアドテックエンジニアリング、ウシオライティングなどの同社グループが担っています。

(2) Visual Imaging事業


映画館やアミューズメント施設、一般企業向けに、シネマ用・データプロジェクター用ランプ、デジタルシネマプロジェクターや映像関連機器を提供しています。

製品の販売とそれに伴う保守メンテナンスサービスが主な収益源です。運営は同社に加え、ウシオライティング、ジーベックス、北米を拠点とするCHRISTIE DIGITAL SYSTEMS各社などが行っています。

(3) Life Science事業


医療や環境衛生の分野に向けて、環境衛生製品や紫外線治療機器などを提供し、ヘルスケア市場や環境関連市場の顧客にソリューションを届けています。

機器や関連製品の販売から収益を得ており、同社およびドイツを拠点とするUSHIO GERMANY GmbHなどのグループ会社が事業を展開しています。

(4) Photonics Solution事業


産業用および半導体市場向けに固体光源(レーザーやLEDなど)を開発・製造し、先端技術を支えるデバイス製品を提供しています。

デバイスおよびモジュール製品の販売によって収益を上げています。運営は同社やNecsel Intellectual Property,Inc.、USHIO GERMANY GmbHなどが担っています。

(5) その他事業


これら4つの報告セグメントに含まれない事業活動として、電源機器などの製造販売や不動産賃貸事業などを展開しています。

製品販売や賃貸収入が収益源であり、同社をはじめとするグループ各社が事業を運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


ここ数年間、売上高は1,700億円台で安定して推移しており、堅調な事業運営がうかがえます。経常利益率は一時的に低下したものの当期は改善傾向にあり、投資と利益確保のバランスを取りながら着実な収益性を維持しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,488億円 1,750億円 1,794億円 1,776億円 1,792億円
経常利益 152億円 201億円 161億円 125億円 133億円
利益率(%) 10.2% 11.5% 9.0% 7.0% 7.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 75億円 139億円 200億円 68億円 80億円

(2) 損益計算書


売上総利益率は30%台半ばで堅調に推移しており、当期は増収効果に加えて構造改革による収益性改善が寄与し、営業利益率も前年から上昇しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,776億円 1,792億円
売上総利益 622億円 655億円
売上総利益率(%) 35.0% 36.6%
営業利益 88億円 120億円
営業利益率(%) 5.0% 6.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与賃金が143億円(構成比27%)、研究開発費が135億円(同25%)を占めています。

(3) セグメント収益


Visual Imaging事業が構造改革の効果で大幅な増益を達成し、全体の利益を牽引しました。また、Life Science事業とPhotonics Solution事業が黒字転換を果たし、各セグメントの収益性が改善しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
Industrial Process事業 789億円 771億円 96億円 65億円 8.4%
Visual Imaging事業 809億円 839億円 7億円 47億円 5.6%
Life Science事業 61億円 63億円 -11億円 1億円 2.2%
Photonics Solution事業 103億円 106億円 -4億円 6億円 5.3%
その他事業 14億円 13億円 1億円 2億円 13.6%
連結(合計) 1,776億円 1,792億円 88億円 120億円 6.7%


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業で利益を出し、資金調達も行いながら積極的な投資を継続している「積極型」の状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 204億円 181億円
投資CF 27億円 -141億円
財務CF -250億円 42億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は59.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「ウシオが社員の英知によって成長し、一人ひとりの人生の中になくてはならない生きがいのような存在になっていけたら」という想いのもと創業されました。光を「あかり」としてだけでなく「エネルギー」として利用することで社会課題や世の中の技術革新に貢献することを事業方針として掲げています。

(2) 企業文化


「会社の繁栄と社員一人ひとりの人生の充実を一致させること」を目指し、自発性のある人材の育成やダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。また、創業時からの文化として「グローバル・ニッチトップ」の考えを持ち、「光」に関わる技術的強みを活かして付加価値を提供する組織風土を形成しています。

(3) 経営計画・目標


新成長戦略「Revive Vision 2030」を策定し、資本最適化や収益性向上に向けた取り組みを推進しています。

* 2026年度にROE8%以上
* 2030年度にROE12%以上
* 自己資本を2,000億円以下に維持
* PhaseⅠ(2024~2026年度)で1株当たり70円の下限配当を設定、3年間で500〜600億円の自社株投資を実施

(4) 成長戦略と重点施策


「経営効率を重要視した成長戦略」を掲げ、不採算事業のてこ入れやポートフォリオ変革を実行し、注力領域であるIndustrial Process事業へ成長・開発投資やリソースを集中させます。AI進展等に伴う半導体アドバンスドパッケージのニーズ増に対し、露光装置のフルラインアップ化で市場のリーディングカンパニーを目指すほか、光源事業の収益基盤強化に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「ビジョンに近付くための人財の質向上」と「成果を上げやすい職場環境作り」を中核に据え、多様な学術領域の知識とビジネスマインドの双方を持った自発性のある人材の拡充に取り組んでいます。階層別研修や自薦型の「ウシオラーニングプレイス」を導入するほか、次世代リーダーの育成やキャリア形成支援を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.5歳 20.4年 7,993,595円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.9%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 71.7%
男女賃金差異(正規雇用) 71.3%
男女賃金差異(パート・有期) 71.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(62%)、労災度数率(0.33%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) Industrial Process事業の市場・技術動向


半導体パッケージや電子部品市場などにおいて、研究開発投資の成果が十分に得られない可能性や、競合他社に技術開発を先行されるリスクがあります。また、事業環境の変化による需要変動やサプライチェーンの混乱が収益力低下につながる可能性があります。

(2) Visual Imaging事業の構造変化


映画館などの取引先の経営悪化、映像コンテンツのストリーミングサービスの普及による消費行動の変化、シネマ用ランプから固体光源への代替加速などが、プロジェクターを中心とする映像装置の需要に影響を及ぼす可能性があります。

(3) サプライチェーンの途絶・調達コスト上昇


地政学リスクや法規制強化等による原材料・部品の供給遅延・途絶が発生し、操業停止を招くリスクがあります。また、資源の枯渇や需給逼迫により原価が上昇する懸念があり、価格転嫁等の仕組み作りで対応しています。

(4) グローバル人財の確保・育成


特定の専門知識やスキルを持つ人財を採用できず、競争力が低下するリスクがあります。また、豊富な経験を有する職員の技術やノウハウが継承されない懸念もあり、人事制度の構築や次世代経営幹部の計画的な育成を推進しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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