コナミグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コナミグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場およびロンドン証券取引所に上場するコナミグループは、デジタルエンタテインメント、アーケードゲーム、ゲーミング&システム、スポーツの4事業を展開しています。主力のデジタルエンタテインメント事業が好調に推移し、直近の業績は売上収益と当期利益ともに増加となる増収増益を達成しています。


※本記事は、コナミグループ株式会社の有価証券報告書(第54期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. コナミグループってどんな会社?


ゲームからスポーツクラブ運営まで幅広いエンタテインメント事業をグローバルに展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1969年に創業し、1973年にアミューズメント機器の製造を目的として設立されました。1984年に大阪証券取引所新二部へ上場を果たし、1988年には東京証券取引所市場第一部へ上場しています。2006年に純粋持株会社へ移行し、事業の多角化とともに現在の体制へと発展を遂げました。

現在の同社グループは、連結で5,186名、単体で259名の従業員を擁しています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行となっており、第2位には一般財団法人が、第3位には外国法人が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 20.91%
一般財団法人上月財団 12.61%
KOZUKI HOLDING B.V. 11.58%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長(グループCEO)は東尾公彦氏が務めており、社外取締役の比率は44.4%となっています。

氏名 役職 主な経歴
東尾公彦 代表取締役社長(グループCEO) 1997年同社入社。取締役兼執行役員副社長等を経て、2020年4月より現職。
上月景正 取締役会長 1969年同社創業、1973年設立。1987年代表取締役会長を経て、2026年6月より現職。
早川英樹 代表取締役専務 1996年同社入社。コナミデジタルエンタテインメント代表取締役社長等を経て、2026年6月より現職。
沖田勝典 取締役 1990年同社入社。コナミアミューズメント代表取締役社長等を経て、2020年6月より現職。
松浦芳弘 取締役秘書室長 2005年同社入社。那須事業所総支配人、社長室長を経て、2019年8月より現職。


社外取締役は、山口香(筑波大学体育系教授)、久保公人(尚美学園大学名誉教授)、樋口靖(元熊谷組代表取締役兼執行役員社長)、ゼッターランドヨーコ(オフィスブロンズ取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「デジタルエンタテインメント事業」「アーケードゲーム事業」「ゲーミング&システム事業」「スポーツ事業」および「その他」事業を展開しています。

デジタルエンタテインメント事業
モバイルゲームや家庭用ゲーム、カードゲームなどのデジタルコンテンツの制作および販売を行っています。高性能化するデバイスや次世代通信システムに対応し、ゲームをスポーツとして捉えるeスポーツの展開も含め、世界中のユーザーに向けて多様なエンタテインメント体験を提供しています。
主な収益源は、ユーザーからのゲーム内アイテム購入費用やソフト販売代金です。オンラインゲーム等においては、提供期間にわたって定額で収益を認識するモデルも採用しています。運営は主にコナミデジタルエンタテインメントが担当しています。

アーケードゲーム事業
アミューズメント施設向けにビデオゲームやメダルゲーム、プライズゲームなどの企画、制作および販売を行っています。また、電子マネーサービスやネットワークインフラを活用したサービスなど、施設運営をサポートするソリューションも提供しています。
収益は、施設運営者へのゲーム機器本体の販売代金のほか、ユーザーのプレー料金を施設運営者とシェアするサービス(レベニューシェアモデル)から得ています。運営は主にコナミアーケードゲームスが担当しています。

ゲーミング&システム事業
北米や豪州などカジノが合法化されている海外市場に向けて、スロットマシンなどのゲーミング機器やカジノマネジメントシステムの開発、製造、販売およびサービス提供を行っています。また、オンラインインタラクティブ分野での市場シェア拡大にも取り組んでいます。
カジノ施設運営者へのゲーミング機器等の販売代金が主な収益源です。また、機器の利用状況に応じたレベニューシェアによる収益も得ています。運営は海外子会社のKonami Gaming,Inc.やKonami Australia Pty Ltdが担当しています。

スポーツ事業
スポーツクラブの運営や、スイミング、体操、ダンス、テニス、ゴルフなどの各種スクールの運営を行っています。また、小中学校の水泳授業の受託や自治体向け健康増進支援など、地域社会のニーズに合わせたサービス展開も推進しています。
主な収益源は、施設を利用する会員からの会費収入です。また、自治体等からの施設運営受託に伴う受託収入や、スポーツ関連商品の販売収入なども含まれます。運営は主にコナミスポーツが担当しています。

その他
報告セグメントに含まれない事業として、遊技機事業などを展開しています。当事業における運営は主にコナミアミューズメントが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上収益と税引前利益ともに拡大傾向にあります。特に直近3期は連続して増収を達成しており、利益水準も着実に向上しています。利益率も20%台後半まで高まっており、収益性の向上が伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 2,995億円 3,143億円 3,603億円 4,216億円 4,937億円
税引前利益 752億円 471億円 827億円 1,040億円 1,407億円
利益率(%) 25.1% 15.0% 22.9% 24.7% 28.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 548億円 349億円 592億円 747億円 1,000億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上収益の拡大に伴い売上総利益と営業利益が順調に増加しています。売上総利益率は49%前後の高い水準で安定しており、営業利益率も24%から28%へと改善しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 4,216億円 4,937億円
売上総利益 1,989億円 2,432億円
売上総利益率(%) 47.2% 49.3%
営業利益 1,019億円 1,359億円
営業利益率(%) 24.2% 27.5%


販売費及び一般管理費(単体ベース)のうち、給与手当が19億円(構成比29%)、業務委託費が9億円(同13%)、役員報酬が8億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のデジタルエンタテインメント事業が増収増益を牽引し、全体の利益を大きく押し上げています。アーケードゲーム事業やスポーツ事業も堅調に推移し増益となる一方で、ゲーミング&システム事業は横ばいの売上に対し利益が減少しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
デジタルエンタテインメント事業 3,052億円 3,710億円 989億円 1,360億円 36.7%
アーケードゲーム事業 241億円 264億円 65億円 68億円 25.8%
ゲーミング&システム事業 427億円 431億円 74億円 37億円 8.6%
スポーツ事業 485億円 495億円 22億円 34億円 6.9%
その他 36億円 63億円 -5億円 5億円 7.9%
調整額 -24億円 -24億円 -53億円 -68億円 -
連結(合計) 4,216億円 4,937億円 1,091億円 1,436億円 29.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た資金を元に、借入金の返済や積極的な設備投資を行っており、健全な財務状態を維持している優良企業であると判断できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 1,146億円 1,357億円
投資CF -679億円 -553億円
財務CF -258億円 -519億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.1%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.4%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「『価値ある時間』をともに」をパーパスとして掲げています。ゲームやスポーツなどのエンタテインメントを通して、人々のウェルビーイング(心身の健康と幸福)の向上に貢献する商品・サービスを提供し、世界中の人々に夢と感動をお届けすることを社会的意義としています。

(2) 企業文化


1969年の創業以来、世の中のニーズを掴む先見性や飽くなきチャレンジ精神を大切にしています。「株主重視の基本姿勢」と「ステークホルダーとの良好な関係の維持と、良き企業市民として持続可能な社会の発展に貢献すること」を経営の基本方針に掲げ、教育、スポーツ、文化など幅広い分野への支援活動を展開しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、持続的成長の実現を目指し、資本コストの水準を把握した上で収益性と資本効率の向上に取り組んでいます。重要な経営指標として、売上高事業利益率、売上高営業利益率、売上高当期利益率、ROEを位置付けており、成長に不可欠となる人材や最高水準の研究開発環境などへの戦略的な投資を通じて企業価値の向上に努めています。

(4) 成長戦略と重点施策


テクノロジーの進化や社会情勢の変化に機敏に対応し、自らがスピード感をもって変革し続けることを戦略の中心に置いています。既存の主力コンテンツの収益基盤拡大や長年築き上げたIPの最大活用に加え、新たなIPの創出・育成に積極的に取り組みます。また、最先端技術を駆使したコンテンツ展開やeスポーツを通じた新体験の創出にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な成長をもたらす革新的な商品・サービスの創造の源泉は人材そのものであると考え、多様性の確保や育成に関する取り組みを行っています。性別や国籍などのダイバーシティを尊重し、女性の活躍推進やグローバルな採用活動を実施しています。また、従業員の心身のコンディションを整える「健康経営」にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 35.5歳 10.8年 8,502,600円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.6%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 76.8%
男女賃金差異(正規雇用) 75.8%
男女賃金差異(パート・有期) 92.9%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、研修満足度(90.8%)、1人あたり教育研修時間(20.8時間)、有給休暇取得率(74.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新しい製品・サービスのリリースに関するリスク


新しい製品やサービスを適時にリリースするためには、制作リソースや生産能力に加え、新技術やプラットフォームへの適合などへの対応が求められます。品質の高いサービスをタイムリーに提供できない場合、売上や利益計画に影響が生じる可能性があります。

(2) 市場における競争激化のリスク


エンタテインメントおよびスポーツ関連市場は競争が激しく、競合他社からの新製品リリースや新しい業態の娯楽・レジャーが続々と登場しています。これらが新たな競争を生み、市場における競争優位を持続させることが困難になる可能性があります。

(3) 消費者嗜好の急速な変化に関するリスク


対象市場はトレンドとブームが特徴であり、テクノロジーの進化などを背景に消費者の嗜好が急速に変化します。この変化に対応するためには技術革新や製品・サービスの刷新をスピード感をもって行う必要があり、対応が遅れた場合には業績に影響が生じる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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