コナミグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コナミグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証プライム市場に上場し、デジタルエンタテインメント、アミューズメント、ゲーミング&システム、スポーツの4事業を展開する企業です。直近の業績では、主力タイトルの好調や各事業の堅調な推移により、売上収益および各利益段階において過去最高を更新し、増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社コナミグループの有価証券報告書(第53期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はIFRSです。

1. コナミグループってどんな会社?


エンタテインメントとスポーツの分野で、顧客に「価値ある時間」を提供する企業集団です。

(1) 会社概要


1969年に創業し、1973年にコナミ工業を設立しました。1984年の大阪証券取引所新二部上場を経て、1988年に東京証券取引所第一部に上場しました。2006年には持株会社体制へ移行し、2016年にグループ会社の事業再編を実施してコナミアミューズメントが発足しました。2022年には商号を現社名に変更しています。

連結従業員数は5,045名、単体では250名体制です。大株主の構成は、筆頭株主は信託銀行(信託口)、第2位は創業家が理事長を務める財団法人、第3位は創業家の資産管理会社となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 20.06%
一般財団法人上月財団 12.61%
KOZUKI HOLDING B.V. 11.58%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表執行役社長(グループCEO)は東尾公彦氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
上月 景正 代表取締役会長(取締役会議長) 1973年コナミ工業設立。1987年より現職。一般財団法人上月財団理事長も務める。
東尾 公彦 代表取締役社長(グループCEO) 1997年入社。コナミリアルエステート社長、コナミデジタルエンタテインメント会長等を歴任し、2020年より現職。
早川 英樹 取締役 1996年入社。コナミデジタルエンタテインメント社長、日本eスポーツ連合会長等を歴任し、2020年より現職。
沖田 勝典 取締役 1990年入社。コナミアミューズメント社長、日本電動式遊技機工業協同組合理事等を歴任し、2020年より現職。
松浦 芳弘 取締役秘書室長 2005年入社。那須事業所総支配人、社長室長を経て2017年取締役就任。2019年より現職。


社外取締役は、山口香(筑波大学体育系教授)、久保公人(元文部科学省スポーツ・青少年局長)、樋口靖(元株式会社熊谷組社長)、ゼッターランドヨーコ(嘉悦大学准教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「デジタルエンタテインメント事業」「アミューズメント事業」「ゲーミング&システム事業」「スポーツ事業」を展開しています。

デジタルエンタテインメント事業

モバイルゲーム、家庭用ゲーム、カードゲーム等のデジタルコンテンツおよび関連製品を制作・販売しています。代表作には「eFootball」「プロ野球スピリッツ」「遊戯王」シリーズなどがあります。

収益は主に、モバイルゲームのアイテム課金や家庭用ゲームソフトの販売代金から得ています。運営は主に株式会社コナミデジタルエンタテインメントが行っています。

アミューズメント事業

アミューズメント施設向けのアミューズメント機器(ビデオゲーム、メダルゲーム等)や、ぱちんこ・パチスロ機器の制作・製造・販売を行っています。「麻雀格闘倶楽部」や「beatmania」シリーズなどを提供しています。

収益は、機器の販売代金や、電子マネー「PASELI」等を通じたサービス利用料(e-AMUSEMENT Participation)から得ています。運営は主に株式会社コナミアミューズメントが行っています。

ゲーミング&システム事業

カジノ施設向けのスロットマシン等のゲーミング機器や、カジノマネジメントシステムの制作・製造・販売およびサービス提供を行っています。北米、豪州、アジア等の市場で展開しています。

収益は、ゲーミング機器やシステムの販売代金、およびレベニューシェア(参加型)契約による収益分配から得ています。運営はKonami Gaming, Inc.やKonami Australia Pty Ltd等の海外現地法人が行っています。

スポーツ事業

スポーツクラブ施設の運営や、スイミング・体操・ダンス等のスクール運営、スポーツ関連商品の開発・販売を行っています。また、自治体や学校向けの施設運営受託や指導受託も展開しています。

収益は、会員からの会費やスクール受講料、法人契約料、商品の販売代金、および受託事業における委託料から得ています。運営は主にコナミスポーツ株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上収益が連続して増加傾向にあり、特に直近の2025年3月期は大幅な増収となりました。税引前利益も変動はあるものの高い水準を維持しており、2025年3月期には1,000億円を突破しています。利益率も10%台後半から20%台半ばで推移しており、高い収益性を確保しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 2,727億円 2,995億円 3,143億円 3,603億円 4,216億円
税引前利益 356億円 752億円 471億円 827億円 1,040億円
利益率(%) 13.0% 25.1% 15.0% 22.9% 24.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 323億円 548億円 349億円 592億円 747億円

(2) 損益計算書


売上収益は前期比で約600億円増加し、それに伴い売上総利益も約400億円増加しています。売上総利益率は40%台後半を維持しており、営業利益率も20%台前半から後半へと向上しています。増収効果が利益拡大に寄与していることが読み取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 3,603億円 4,216億円
売上総利益 1,600億円 1,989億円
売上総利益率(%) 44.4% 47.2%
営業利益 803億円 1,019億円
営業利益率(%) 22.3% 24.2%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が250億円(構成比28%)、給与手当が18億円(同2%)を占めています。売上原価においては、サービス及びその他の原価が1,617億円(構成比73%)、製品売上原価が610億円(同27%)となっています。

(3) セグメント収益


全セグメントにおいて増収増益となりました。特にデジタルエンタテインメント事業は主力タイトルの好調により大幅な増収増益を達成し、全社の業績を牽引しました。アミューズメント事業やゲーミング&システム事業も堅調に推移し、スポーツ事業は価格改定等の効果もあり増益を確保しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
デジタルエンタテインメント事業 2,491億円 3,052億円 794億円 989億円 32.4%
アミューズメント事業 264億円 276億円 52億円 59億円 21.5%
ゲーミング&システム事業 397億円 427億円 62億円 74億円 17.2%
スポーツ事業 476億円 485億円 23億円 22億円 4.6%
連結(合計) 3,603億円 4,216億円 803億円 1,019億円 24.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFで得た資金の範囲内で投資を行い、借入金の返済や配当支払いを行っている健全型のキャッシュ・フロー状態です。本業でしっかりと現金を稼ぎ出し、将来への投資と株主還元、財務体質の強化をバランスよく進めています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1,031億円 1,146億円
投資CF -292億円 -679億円
財務CF -242億円 -258億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「『価値ある時間』の創造と提供を通して、常に期待される企業集団を目指す」ことを企業理念としています。また、経営の基本方針として「株主重視の基本姿勢」および「ステークホルダーとの良好な関係の維持と、良き企業市民として持続可能な社会の発展に貢献すること」を掲げています。

(2) 企業文化


1969年の創業以来、時代の変化を敏感に捉え挑戦を積み重ねてきた歴史があります。世の中のニーズを掴む先見性や飽くなきチャレンジ精神を大切にし、人々の趣味・嗜好や技術などの様々な変化に対応しながら発展を遂げてきました。スピード感をもって自らを変革し続けることを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、重要な経営指標として以下の数値を掲げ、資本コストの水準を把握した上で収益性と資本効率の向上に取り組んでいます。

* 売上高事業利益率
* 売上高営業利益率
* 売上高当期利益率
* ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)

(4) 成長戦略と重点施策


デジタル分野の技術革新や社会情勢の変化に対応し、持続的成長を目指しています。デジタルエンタテインメント事業では、マルチデバイス対応やeスポーツの推進、グローバル展開を強化します。アミューズメント事業やゲーミング&システム事業では、IPの活用や新技術の導入を進め、スポーツ事業では多様化するニーズへの対応や自治体との連携による社会課題解決に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材の多様性を尊重し、全ての従業員が能力を最大限発揮できる環境づくりを目指しています。具体的には、女性活躍推進やグローバル採用、次世代リーダーの育成に取り組んでいます。また、「健康経営」を推進し、従業員の心身のコンディションを整えることで、個人のパフォーマンス向上と会社の成長を両立させる方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 35.6歳 10.0年 7,898,848円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.2%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 75.1%
男女賃金差異(正規) 73.9%
男女賃金差異(非正規) 97.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、定期健康診断受診率(100.0%)、有給休暇取得率(73.5%)、ストレスチェック回答割合(99.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新しい製品・サービスのリリースに関するリスク

製品やサービスの適時リリースは、制作リソースや新技術への適合など多くの要因に左右されます。これらに適切に対応できず、品質の高い製品をタイムリーに提供できない場合、計画通りの売上や利益を確保できなくなる可能性があります。

(2) 競争に関するリスク

エンタテインメントやスポーツ関連市場は競争が激しく、競合他社からの新製品や、全く新しい業態の娯楽が登場し続けています。こうした競争環境の変化により、市場における優位性を維持することが困難になる可能性があります。

(3) 景気低迷に関するリスク

著しい景気の低迷により消費者マインドが悪化した場合、同社が提供するエンタテインメントやスポーツに関連する製品・サービスへの需要が減退し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 少子高齢化に関するリスク

国内外で進行する少子高齢化は、エンタテインメントやスポーツ関連市場の構造を大きく変化させる要因となります。市場環境の変化に対応できなければ、事業展開に影響が出る可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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