未来工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

未来工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京・名古屋証券取引所に上場し、電設資材や管工機材の製造販売を行う企業です。第60期連結売上高は451億円と増収により過去最高を更新しましたが、原材料価格の高止まり等により営業利益は69億円と減益になりました。「常に考える」を理念に独自の製品開発を推進しています。


※本記事は、未来工業株式会社 の有価証券報告書(第60期、自 2024年3月21日 至 2025年3月20日、2025年6月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 未来工業ってどんな会社?


電設資材および管工機材の製造販売を主力とし、独創的な製品開発と提案力で業界内での地位を築いています。

(1) 会社概要


1965年に設立され、1991年に名古屋証券取引所市場第二部に上場しました。2003年に未来の完全子会社となり上場廃止しましたが、2006年に親会社を吸収合併して再上場を果たしました。2018年には東京証券取引所市場第一部へ上場し、現在は東証プライム市場および名証プレミア市場に上場しています。

同社グループの連結従業員数は1,271名、単体では843名です。筆頭株主は創業家関連と推測される資産管理会社で、第2位は投資育成会社、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
未来A.K.O 13.84%
名古屋中小企業投資育成 8.68%
日本マスタートラスト信託銀行(株式付与ESOP信託口・75647口) 5.87%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は中島靖氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
中島 靖 代表取締役社長 1987年同社入社。経営企画部長、取締役経営企画部長、常務取締役を経て、2024年6月より現職。
川瀬 渉 常務取締役兼 経理部長 1981年岐阜信用金庫入社。1987年同社入社。経理部長、取締役経理部長兼総務部長などを経て、2023年9月より現職。
山田 雅裕 取締役相談役 1987年同社入社。未来(吸収合併会社)監査室長、神保電器代表取締役社長、同社代表取締役社長を経て、2024年6月より現職。
山内 弘治 取締役営業部長 1985年同社入社。未来精工代表取締役などを経て、2015年3月より現職。
後藤 茂之 取締役製造部長 1987年同社入社。2014年製造部長就任。2018年6月より現職。
吉澤 信幸 取締役総合企画部長 1987年同社入社。知財法務部長、総務部長、総合企画部長を経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、磯部隆英(元名古屋中小企業投資育成取締役)、竹内裕美(弁護士法人鬼頭・竹内法律事務所パートナー)、増成邦彦(税理士法人おおがき会計社員税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「電材及び管材事業」「配線器具事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 電材及び管材事業


電線管類、配線ボックス類、給水給湯用樹脂管類およびその附属品などの製造販売を行っています。建築工事現場における作業の省力化や合理化を目指した製品群を展開し、業界の支持を得ています。

製品の製造販売は主に未来工業が担当しています。製造工程で使用する金型等は未来精工から、樹脂原料等は未来化成から購入し、製品輸送の一部は未来運輸が行うなど、グループ各社が連携して事業を運営しています。

(2) 配線器具事業


住宅やオフィスで使用されるスイッチ、コンセント等の配線器具の製造販売を行っています。安全性や効率性、デザイン性を重視した製品開発を進めています。

この事業の運営は、主に子会社である神保電器が行っています。

(3) その他


省力化機械および樹脂成形用金型の製造販売、運送業、建設業、樹脂原料等の販売、電気通信事業、ケーブルテレビ事業などを行っています。

運営は事業ごとに分かれており、未来精工が機械・金型、未来運輸が運送、未来技研が建設、未来化成が樹脂原料販売、ミライコミュニケーションネットワークが電気通信、アミックスコムがケーブルテレビ事業をそれぞれ担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は増加傾向にあり、直近では450億円を超え過去最高を更新しています。経常利益は40億円前後で推移していましたが、ここ2期は70億円台へと大きく伸長しました。利益率は10%台後半の高水準を維持しており、収益性の高さがうかがえます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 361億円 369億円 396億円 441億円 451億円
経常利益 41億円 40億円 42億円 75億円 71億円
利益率 11.4% 10.7% 10.5% 17.0% 15.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 28億円 25億円 27億円 51億円 48億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、原材料価格やユーティリティコストの上昇等の影響により、売上総利益および営業利益は前期に比べてやや減少しました。それでも営業利益率は15.3%と高い水準を確保しており、効率的な事業運営が継続されています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 441億円 451億円
売上総利益 178億円 178億円
売上総利益率(%) 40.3% 39.4%
営業利益 73億円 69億円
営業利益率(%) 16.6% 15.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が25億円(構成比23.1%)、運賃が22億円(同20.3%)を占めています。売上原価は274億円で、売上高に対する構成比は60.6%です。

(3) セグメント収益


主力の電材及び管材事業は増収ながら原材料高の影響で減益となりました。配線器具事業は価格改定やデザイン性の高い製品の販売が好調で増収増益を達成しました。その他事業は減価償却費の増加等により減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
電材及び管材 344億円 350億円 68億円 64億円 18.3%
配線器具 68億円 73億円 5億円 7億円 9.5%
その他 77億円 79億円 7億円 6億円 7.2%
調整額 -48億円 -51億円 0億円 0億円 -
連結(合計) 441億円 451億円 73億円 69億円 15.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た資金を元に、設備投資や株主還元、借入返済を行っており、財務の健全性は非常に高い状態です(健全型)。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 47億円 75億円
投資CF -32億円 -35億円
財務CF -50億円 -26億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.4%で市場平均とほぼ同水準である一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は79.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「常に考える」を社業の企業理念としています。ユーザーにとって使いやすい製品を提供するために、「絶え間ない新製品の開発」や「ユーザーに対する迅速な対応」を行い、各事業の拡大を目指しています。

(2) 企業文化


同社は創業以来、「社員の自主性及び創造性の重視」や「地域社会への貢献」など、時代を先取りした経営を行ってきました。他社と同じモノはつくらないというポリシーのもと、徹底的に使いやすさを追求した製品開発を行う文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社グループでは、継続的な収益拡大とともに、各事業の収益性を的確に表す指標として「売上高営業利益率」を重視しており、以下の目標を設定しています。

* 売上高営業利益率:12%

(4) 成長戦略と重点施策


住宅建築業界における製品群を充実させるとともに、認知度をより一層高めることを重要な課題としています。激しい競争を勝ち抜くため、効率化による経営体質の強化と、独自性の追求、顧客ニーズの的確な製品化を継続的に行う方針です。

* 電材及び管材事業:「ミライらしい」独創的な新製品の継続的な市場投入、既存製品の見直しによる収益拡大
* 配線器具事業:安全性、効率性、使い勝手を考えた製品開発を通じた次代の提案

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「常に考える」の実践を根幹とし、製品価値の最大化やユーザーへの迅速な対応、地域社会への貢献を担う人材の育成を目指しています。社員の自主性・創造性を高めるため、エンゲージメント向上と私生活の充実を重視し、多様な人材が能力を発揮できる社内環境づくりに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 47.5歳 23.8年 6,452,496円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.4%
男性育児休業取得率 46.2%
男女賃金差異(全労働者) 86.3%
男女賃金差異(正規雇用) 86.3%
男女賃金差異(非正規雇用) -%


※男女賃金差異(非正規雇用)については、対象となる労働者がいないため記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(1.9%)、平均年間休日数(135日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定事業への依存について


主力の電材及び管材事業や配線器具事業は住宅建築業界に大きく依存しており、新設住宅着工戸数の減少や激しい価格競争の影響を受ける可能性があります。また、原材料の供給中断や価格高騰が製品価格へ転嫁できない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 会社がとっている経営方針について


同社は特定顧客への依存回避のため、製品を問屋に直接販売するビジネスモデルを採用しています。しかし、販売店数の増大に伴う小口化や即納体制により物流費負担が増加傾向にあり、物流市況の動向によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 災害等に関するリスク


事業拠点は日本各地に展開しており、地震などの自然災害やテロ行為等により拠点やインフラに被害が生じた場合、事業活動に大きな支障をきたす可能性があります。設備の修復や拠点移転に多大な費用が発生し、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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