※本記事は、東洋電機株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
東洋電機グループは、監視制御装置、配電盤、変圧器、センサなどの製造・販売を主軸とする電気機器事業を展開しています。また、再生・機能性樹脂ペレットの製造・販売も手掛けています。
単体従業員数は212名、連結従業員数は366名です。同社グループの事業セグメントは、国内制御装置関連事業、海外制御装置関連事業、樹脂関連事業の3つです。
主な国内グループ会社は、東洋樹脂、アドヴァンコーティング(金属部品等の粉体塗装)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
東洋電機は、従業員の安定的な就業を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていると考えられます。給与水準は、同社の事業特性や規模に応じた水準であり、働きがいを追求する人材戦略が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の定着を重視する傾向が見られ、平均勤続年数から、長期にわたってキャリアを築くことが可能な環境であることがうかがえます。また、平均年齢は、幅広い世代の従業員が活躍していることを示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,897,000円 |
| 平均勤続年数 | 16.7年 |
| 平均年齢 | 44.3歳 |
| 単体従業員数 | 212人 |
| 連結従業員数 | 366人 |
| 単体のグループ内比率 | 57.9% |
同社グループは、一部の連結子会社を除き、確定給付型の制度として、規約型確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を設けています(確定給付型=給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は14.3億円、年金資産は10.3億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
東洋電機グループは、人材を将来価値を創出する重要な資本と位置付け、長期的な企業価値向上の源泉として人的資本への投資を推進しています。教育研修や技術継承の推進により個々の能力向上と組織力の強化を図り、従業員の主体性を引き出し、エンゲージメントを高めることで、持続的な成長と価値創出を実現する方針です。
給与その他の給付の額及び内容の決定については、物価動向や業績、労働市場の水準等を総合的に勘案し、継続的な賃上げと適正な処遇を行うことで、人材の確保・定着と生活水準の向上を図り、企業価値向上への好循環を目指しています。
従業員一人ひとりがやり甲斐や充実感を持って仕事をしていくことがものづくり、発展を支える原動力と考え、年齢、性別、国籍などの属性にかかわらず、全員が「働き甲斐」を感じられる会社を目指して環境づくりを進めています。2018年より女性活躍推進に主眼をおいた取り組みを開始しており、キャリアビジョン制度の導入、社内風土や意識改革のための研修の実施、専門性スキルアップのための外部研修プランの紹介、多様な人財の活躍を支援するための制度改定などを実施しています。
働き方改革の一層の推進と共に社員が活躍し易い職場環境を整え、「技術継承の見える化」活動に取り組み、次世代を担う技術者の育成に努めています。将来的に組織の意思決定に関わる女性社員を増やすためのキャリア意識の醸成にも注力しており、階層別の教育体系に基づき、必要な一般知識、専門性のカリキュラムを紹介、受講することで段階的にプロフェッショナル人財へと導く方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 5.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 80.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 61.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 77.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 48.5% |
人材育成・エンゲージメント
人財の育成に関する指標は、連結グループに属する会社では行われていないため、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 技術継承のための年間教育研修時間 | 547.7時間 |
| 一人当たりの年間教育研修費用 | 4.1万円 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
東洋電機は、国内および海外で制御装置関連事業を展開し、さらに樹脂関連事業も手掛ける企業です。生産設備を支援する技術と製品を提供することで、社会のインフラや産業の発展に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に「国内制御装置関連事業」「海外制御装置関連事業」「樹脂関連事業」の3つのセグメントで事業を展開しています。各事業は、顧客との契約から生じる収益を主な収益源としています。
国内制御装置関連事業
監視制御装置、配電盤、乾式変圧器、センサ、表示器の製造および販売を行っています。エンジニアリング部門では搬送制御装置や監視制御装置、機器部門ではセンサや空間光伝送装置、表示器、変圧器部門では乾式変圧器などを提供しています。
収益は、これらの製品の製造・販売およびエンジニアリングサービスから得ています。運営は、東洋電機およびアドヴァンコーティングが行っています。当連結会計年度の売上高は前期から減少しました。
海外制御装置関連事業
配電盤、センサの製造および販売を行っています。中国やタイを拠点に、海外の生産設備を支援する事業を展開しています。
収益は、海外市場における配電盤やセンサの販売から得ています。運営は、南京華洋電気有限公司およびThai Toyo Electric Co.,Ltd.が行っています。当連結会計年度の売上高は前期から減少しました。
樹脂関連事業
再生樹脂ペレットの製造および販売を行っています。事務機器関連向け製品の受注が好調に推移しています。
収益は、再生樹脂ペレットの製造・販売から得ています。運営は、東洋樹脂が行っています。当連結会計年度の売上高は前期から増加しました。
同社グループの売上高は、国内制御装置関連事業が最も大きく、これに樹脂関連事業、海外制御装置関連事業が続きます。当連結会計年度は、樹脂関連事業が増収となった一方で、国内制御装置関連事業と海外制御装置関連事業は減収となりました。
なお、外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める特定の相手先はありません。為替レートの変動は海外制御装置関連事業に影響を与える要因の一つとなっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 国内制御装置関連事業 | 77.1億円 | 74.0億円 |
| 樹脂関連事業 | 7.4億円 | 8.3億円 |
| 海外制御装置関連事業 | 9.0億円 | 6.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は増減を繰り返しながら推移しています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も同様に変動が見られますが、当連結会計年度は経常利益が増加しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 77.0億円 | 75.7億円 | 88.3億円 | 93.5億円 | 88.7億円 |
| 経常利益 | 1.8億円 | △4百万円 | 4.3億円 | 3.5億円 | 4.2億円 |
| 経常利益率 | 2.4% | △0.1% | 4.9% | 3.7% | 4.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 83百万円 | △2.8億円 | 4.5億円 | 2.8億円 | 2.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 19.49 | △65.91 | 106.25 | 67.12 | 62.90 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期からわずかに減少しています。一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期から増加しており、組織全体の収益効率が改善している傾向が見られます。これらの指標は、同社グループの事業規模と従業員による収益創出能力を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 24.5百万円 | 24.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.8百万円 | 1.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
東洋電機グループの財務状況は、自己資本比率が高く、手元資金も厚い状態です。本業で安定した資金を生み出し、投資活動も行いながら、自由に使える資金を確保していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を上回る水準で推移しており、安定した状態を示しています。また、手元資金も増加傾向にあり、不測の事態への耐性があると考えられます。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っていますが、自己資本の厚みは維持されています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 63.5億円 | 67.8億円 |
| 自己資本比率 | 57.4% | 60.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.6% | 4.1% |
| 現金及び預金 | 24.6億円 | 26.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローがプラスに転じ、大幅に増加しています。これは、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少、仕入債務の増加などが主な要因です。投資活動によるキャッシュフローは、定期預金の預入や有形固定資産の取得により資金を使用しています。
その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローはプラスとなっており、本業で得た資金が投資を上回り、自由に使える資金を確保している状況です。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の純減額や長期借入金の返済により資金を使用しています。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を行いながら、将来に向けた投資も継続し、財務の健全性を保っていることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる傾向にあると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △0.8億円 | 8.9億円 |
| 投資CF | △2.0億円 | △3.7億円 |
| 財務CF | 1.8億円 | △5.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △2.8億円 | 5.2億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、事業を展開する市場において厳しい競争に直面しており、製品の販売価格が競争環境により抑制される状況にあります。原材料価格高騰の影響を緩和するための販売価格の適正化が重要課題となっています。
また、同社グループの売上高は、主要得意先からの製品製作の受託比率が高まりつつあり、特定顧客への依存度が増加しています。これら主要得意先の受注・生産動向や外注政策が大きく変動した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、デジタル人財の育成・確保を進めるとともに、ベテラン社員が保有する技術の継承を目的とした「技術継承の見える化」を推進しています。これらの取り組みは、将来の事業継続性や競争力維持のために重要な課題であると認識されています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
東洋電機は、FA業界向け制御機器メーカーとして、技術と信頼を基盤に社会貢献を目指す企業です。高い企業倫理と人間性尊重を掲げ、時代の変化に対応しながら共存共栄の社会づくりに貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、FA業界向け制御機器メーカーとして、これまで培ってきた総合エレクトロニクス技術を活用しています。常に新しい技術・商品・システム・サービス・信頼を幅広く提供することを目指しています。
経営理念として「高い企業倫理に基づき、人間性を尊重し、時代の変化に適切に対応しながら、共存共栄のもとに豊かな社会づくりに貢献する」ことを掲げています。これは、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を両立させるという同社グループのビジョンを示しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、会社が社会的存在であることを自覚し、継続的かつ適正な利益の創出を通じて事業の健全な存続と成長を目指すことを行動指針としています。法令と社会規範を遵守し、公正で自由な事業活動に邁進する姿勢を大切にしています。
また、個性と自主性を重視し、働き甲斐のある職場づくりを目指しています。広く社会との融和を図り、企業情報を公正かつ適切に公開すること、そして環境に配慮した事業革新に挑み、地球規模の環境保全に努めることも行動指針に含められています。従業員一人ひとりがやり甲斐や充実感を持って仕事をしていくことが、ものづくりと発展を支える原動力であると考えています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、環境・エネルギー対応を軸とした成長戦略の推進を重点テーマの一つとしています。脱炭素化や省エネルギーへの社会的要請を成長機会と捉え、環境負荷低減に資する製品開発や資源循環型の取り組みを進めています。
また、デジタル活用による生産性の飛躍的向上を目指し、生産・設計・営業プロセスにおけるデジタル活用を加速しています。新製品開発・営業の全社横断による総合力強化と価値創出にも取り組み、事業部門間の壁を取り払い、技術の融合と総合力の発揮を図っています。人財戦略の進化と組織力の強化も重要な課題であり、多様な専門性や経験を有する人財の確保に注力し、管理職研修の充実などを通じてマネジメント力の向上を図っています。レジリエンス経営の確立として、事業継続計画(BCP)に基づく事業継続マネジメント(BCM)の高度化や情報セキュリティ対策を含むリスク管理体制の強化も進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
東洋電機は監査等委員会設置会社制度を採用しており、取締役会の監督機能の強化とコーポレート・ガバナンス体制の充実を図っています。また、経営の意思決定および監督機能と業務執行機能の分担を明確にするため、執行役員制度を導入しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
東洋電機は、特定の株主が大きな割合を占めることなく、幅広い株主によって支えられている資本構成となっています。筆頭株主は有限会社城西であり、次いで東洋電機取引先持株会が上位に位置しています。また、金融機関や個人株主も上位に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社城西 | 10.15% |
| 東洋電機取引先持株会 | 7.54% |
| 商工組合中央金庫 | 5.48% |
| 百五銀行 | 4.52% |
| 松尾隆徳 | 4.08% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員SDGs推進室長は松尾昇光氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松尾 昇光 | 代表取締役社長執行役員SDGs推進室長 | 1998年日東工業入社、2001年同社入社。管理本部経理部長、取締役、常務取締役を経て、2012年代表取締役社長に就任。2018年より代表取締役社長執行役員、2020年よりSDGs推進室長を兼務し現職。 |
| 井澤 宏 | 取締役常務執行役員事業部・海外関係会社担当 | 1990年CKD入社。2007年同社入社、機器事業部製造部長。機器事業部長、取締役機器事業部長を経て、2018年執行役員機器事業部長。2020年より取締役常務執行役員事業部担当、2022年より事業部・海外関係会社担当となり現職。 |
| 加賀 美孝 | 取締役常務執行役員本社管理部門・国内関係会社担当 | 1988年商工組合中央金庫入庫。名古屋審査室長、東大阪支店長、浜松支店長を歴任。2020年同社出向取締役専務執行役員付、同年経営管理本部長。2021年より取締役常務執行役員、2022年より本社管理部門・国内関係会社担当となり現職。 |
社外取締役は、葛谷昌浩氏(公認会計士葛谷昌浩事務所所長・監査等委員)、井上誠氏(外堀通り法律事務所弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能強化を図っています。社外取締役は全員が監査等委員である取締役であり、会計および法務に関する専門的な知見を有しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして機能するよう、株主利益と連動した報酬体系を基本方針としています。社外取締役および監査等委員である取締役を除く取締役の報酬は、役位に基づく基本報酬、連結業績評価に基づく業績連動報酬、譲渡制限付株式付与による非金銭報酬で構成されています。社外取締役および監査等委員である取締役の報酬は、役位に応じた基本報酬のみとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 1.1億円 | 37.7百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 2名 | 12百万円 | 6.0百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 9百万円 | 4.5百万円 |
監査等委員を除く取締役3名の報酬等には、連結子会社からの役員報酬を含めています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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