※本記事は、アオイ電子株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、電子部品の製造・販売を主たる事業としています。IC、光学センサー、ウェハーレベルパッケージ、LEDなどの集積回路や、プリントヘッド、各種センサーといった機能部品を手掛けています。
単体従業員数は1,489名、連結従業員数は1,944名です。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)ハヤマ工業(電子部品のめっき加工)、(連結子会社)ハイコンポーネンツ青森(半導体(小型IC等)の製造)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アオイ電子は、高度な技術力と品質競争力を維持・強化するため、人材を最も重要な経営資源と位置付けています。技術革新とグローバル競争に対応できる専門性の高い人材の確保と育成、そして組織力の強化に重点を置いた働き方を推進している会社です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、比較的長い平均勤続年数と平均年齢から、従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境である傾向がうかがえます。単体従業員数が連結従業員数の大部分を占めており、グループの中核を担う存在であることが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,809,061円 |
| 平均勤続年数 | 17.2年 |
| 平均年齢 | 42.4歳 |
| 単体従業員数 | 1,489人 |
| 連結従業員数 | 1,944人 |
| 単体のグループ内比率 | 76.6% |
同社および連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型と確定拠出型の両制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
退職一時金制度があり、退職給付として、給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
なお、確定給付制度における退職給付債務は65.6億円、年金資産は95.6億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、高度な技術力と品質競争力の維持・強化のため、人材を最も重要な経営資源と認識し、経営戦略と整合した人材戦略を推進しています。特に、技術革新の加速とグローバル競争の激化に対応するため、専門性の高い人材の確保・育成と組織力の強化に重点的に取り組んでいます。
従業員の給与や賞与については、会社の経営環境や業績動向を考慮しつつ、個々の職務内容や成果が適正に反映されるよう、段階的な評価・処遇運用の整備に努めています。今後も会社の成長段階に合わせ、インセンティブ機能と組織の安定性を両立させる処遇方針の構築を推進していく方針です。
人材育成においては、「人を育て、人が育てる企業」という基本方針のもと、社員一人ひとりが会社とともに成長し、会社への貢献と自己実現を高い次元で両立させることを目指しています。具体的には、雇用におけるあらゆる差別を排除し、平等な機会を提供するとともに、教育研修制度および人事評価・処遇制度の継続的な整備・充実に注力しています。
管理職等の登用にあたっては、性別、年齢、国籍、採用区分等の属性にかかわらず、個人の能力、経験および実績に基づき、公正な評価指標に則って実施し、多様な視点や価値観を経営に反映できる組織体制の構築を推進しています。また、多様な人材がその個性を活かし、心身ともに健康で意欲的に働くことができるよう、ワークライフバランスの推進や福利厚生の充実など、心理的安全性の高い職場環境の整備を多角的に進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。各指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 1.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 65.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 69.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 43.3% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ハイコンポーネンツ青森㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 3.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 33.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 70.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 71.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 70.6% |
▼ 青梅エレクトロニクス㈱
青梅エレクトロニクス㈱には、女性のパート・有期労働者が在籍しておりません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 65.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 63.2% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 研修プログラム実施件数 | 105件 |
| 延べ開催日数 | 159日 |
| 延べ受講者数 | 6,888名 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アオイ電子は、電子部品の製造・販売を主たる事業内容とする企業です。同社グループは、アオイ電子と連結子会社3社、持分法適用関連会社1社で構成されています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、電子部品の製造販売を事業内容とする単一セグメントで事業を展開しています。事業部門としては「集積回路」と「機能部品」の二つがあり、それぞれ異なる製品を提供しています。
集積回路部門では、IC、光学センサー、ウェハーレベルパッケージ、LEDなどの製品を製造・販売しています。携帯情報端末向け部品や民生機器向け部品の受注が増加しており、同社が製造・販売を担い、連結子会社が半導体製品の製造やめっき加工の一部を委託により行っています。
機能部品部門では、プリントヘッドや各種センサーなどを製造・販売しています。サーマルプリントヘッドの在庫調整が進展し、受注が増加する傾向が見られます。同社が製造・販売を行い、持分法適用関連会社がセンサー部品の販売先となっています。
同社グループは、高付加価値製品や先端分野向け製品の開発・拡充に積極的に投資しています。また、地政学的リスクの高まりに対応するため、サプライチェーンの再編を進め、事業構造の最適化と競争力強化に取り組んでいます。収益は主にこれら電子部品の製造・販売から得られており、特に日本国内での売上が大部分を占める構造です。主要な顧客として、日亜化学工業、ミツミ電機、日清紡マイクロデバイスの3社への売上集中が見られます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で変動が見られるものの、当連結会計年度においては増加に転じています。経常利益は前期から増加しており、当連結会計年度では受取技術料や為替差益が寄与しました。
一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は、当連結会計年度に減損損失を計上した影響により減少しています。過去には経常損失や親会社株主に帰属する当期純損失を計上した期もありました。営業活動によるキャッシュ・フローは継続してプラスを維持しており、本業での資金創出は行われている状況です。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 433億円 | 372億円 | 339億円 | 350億円 | 383億円 |
| 経常利益 | 41.3億円 | 5.0億円 | △12.9億円 | 4.2億円 | 7.3億円 |
| 経常利益率 | 9.5% | 1.3% | △3.8% | 1.2% | 1.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 28.0億円 | 15百万円 | △52.6億円 | 1.8億円 | 70百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 233.21 | 1.25 | △439.81 | 15.90 | 6.26 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から増加しており、事業活動における生産性の向上が見られます。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から横ばいとなっています。これらの指標は、同社グループの収益体質や組織の効率性を示すものであり、今後の事業展開における重要な要素となります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 17.4百万円 | 19.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.2百万円 | 0.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
アオイ電子グループの財務状況は、本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている段階を示しています。これにより、事業の成長と安定性の両面を追求している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
アオイ電子グループの財務基盤を見ると、自己資本比率はプライム市場の製造業平均を上回る水準にあり、安定した経営基盤を維持しています。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準で推移しています。手元資金として現金及び預金を十分に確保しており、事業運営における資金の安定性を示しています。これらの財務状況は、長期的な視点での雇用や給与の安定性につながる要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 429億円 | 432億円 |
| 自己資本比率 | 83.2% | 69.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 0.4% | 0.2% |
| 現金及び預金 | 177億円 | 163億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
アオイ電子グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、減価償却費や税金等調整前当期純利益の増加要因があったものの、棚卸資産や売上債権の増加により前期から減少しています。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出が主な減少要因であり、将来の成長に向けた設備投資を積極的に行っている状況を示しています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入れによる収入が増加要因となり、前期から大幅に増加しました。これらの資金の流れは、本業で得た資金を上回る投資を行っており、外部からの資金調達も活用しながら事業拡大を進めている状況です。このような資金の動きは、事業の成長性への期待につながる一方、資金の効率的な活用が今後の雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 14.5億円 | 8.8億円 |
| 投資CF | △78.5億円 | △76.5億円 |
| 財務CF | 93百万円 | 73.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △64.0億円 | △67.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
アオイ電子グループの売上高は、集積回路部門が約8割を占めており、その大部分が顧客との委託加工契約に基づくアセンブリ事業です。顧客の販売状況や市場環境に受注が大きく依存するリスクがあります。また、電子部品業界は技術革新による製品の陳腐化が激しく、半導体市況の変動が経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
アオイ電子グループは、労働力人口の減少や技術革新の加速に伴い、高度な専門性を持つ人材の確保・育成を重要な経営課題として認識しています。人材獲得競争の激化や求職者の価値観の多様化により、計画通りに人材の確保・定着・育成が進まない場合、技術開発や生産性向上、新規事業展開に支障をきたす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アオイ電子は、情報社会を支える電子部品の生産を通じて、人々の暮らしに貢献することを使命としています。
「熱意」「誠意」「創意」をキーワードに、社会から信頼される企業グループを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
アオイ電子グループは、多様化する情報社会を支える電子部品の生産を通じて、常に人々の暮らしと深くかかわっていることを認識しています。
「熱意」「誠意」「創意」をキーワードに、信頼性の高い製品を安定的に供給することを使命と考えています。
同社グループは、「革新と創造」を続け、常に前進する企業グループを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「企業目的」「経営基本方針」「行動憲章」に基づく事業活動を通じて、社会から信頼される企業であり続けることを目指しています。
「革新と創造」を続ける企業グループとして、部門の壁を越えた知識・経験・技術の結集や「Speed is Power」を意識した迅速な対応を重視しています。
顧客に信頼されるモノづくりを徹底し、新工場での安定供給体制の構築、顧客目線に俊敏に対応できる営業体制の構築も目指しています。
また、あらゆる階層での「稼げる人材」の育成、会社業務の効率化・省力化、地球・社会に調和した会社経営に取り組むことを行動指針としています。
人材育成においては「人を育て、人が育てる企業」を基本方針とし、平等な機会の提供と能力発揮の支援、多様性の確保と公正な登用、心理的安全性の高い職場環境の整備を重点戦略としています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、地政学的リスクの拡大や金融政策の転換、エネルギー価格の変動、貿易摩擦の激化など、不確実性の高い国際経済関係を経営環境として認識しています。
電子部品業界においては、生成AIなどの先端技術による市場拡大が期待される一方で、携帯情報端末市場の成熟化やEV分野での普及減速といった課題も顕在化しています。
このような環境下で、同社グループは機動的な経営体制を構築し、部門の壁を越えた知識・経験・技術の結集、人材育成、業務効率化、地球・社会に調和した会社経営を重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アオイ電子は、持続的な成長と企業価値向上を最優先とし、経営の健全性、透明性、効率性を重視したコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。監査等委員会設置会社として、社外取締役を中心とした監督体制を強化し、迅速な意思決定と厳正な監視を両立させています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
アオイ電子の株主構成を見ると、筆頭株主は個人であり、公益財団法人や関連会社も上位に名を連ねています。複数の個人株主が上位に位置しており、創業家が同社グループの経営に一定の影響力を持っていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大西 以知郎 | 18.91% |
| 公益財団法人大西・アオイ記念財団 | 17.86% |
| アオイコーポレーション有限会社 | 10.27% |
| 西澤 知佐子 | 7.09% |
| 三菱UFJ銀行 | 3.13% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は木下和洋氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 木下 和洋 | 取締役社長(代表取締役) | 1980年3月 同社入社、2003年6月 取締役管理副本部長、2013年7月 常務取締役管理本部長、2022年6月 取締役社長(代表取締役)より現職。 |
| 青木 良二 | 取締役 管理本部長 | 1983年4月 同社入社、2012年7月 執行役員総務部長、2019年7月 執行役員管理本部長、2022年6月 取締役管理本部長より現職。 |
| 相沢 吉昭 | 取締役 先端パッケージ推進本部長 | 1985年4月 ㈱東芝入社、2020年3月 同社入社、2022年7月 執行役員第1技術本部長、2024年12月 取締役先端パッケージ推進本部長より現職。 |
| 多田 光德 | 取締役 第2生産本部 管掌 兼 先端パッケージ推進 副本部長 | 1992年4月 同社入社、2023年7月 執行役員第2生産副本部長、2024年12月 執行役員先端パッケージ推進副本部長、2025年6月 取締役第2生産本部管掌兼先端パッケージ推進副本部長より現職。 |
| 中尾 正己 | 取締役 設備開発本部長 | 1994年4月 同社入社、2023年7月 執行役員第2技術本部長、2024年12月 執行役員設備開発本部長、2025年6月 取締役設備開発本部長より現職。 |
社外取締役は、古田昭博氏(元香川県警察刑事部長・常勤監査等委員)、北山昇氏(税理士・元高松国税局調査査察部長・監査等委員)、橋本潤子氏(神戸大学大学院法学研究科教授・監査等委員)、大平文和氏(香川大学名誉教授客員教授・元香川大学理事・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社を採用しています。これにより、社外取締役を中心とした監督体制を強化し、経営の適法性および妥当性を厳正に監視する体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アオイ電子は、企業価値の持続的な向上と業績向上へのインセンティブを重視した報酬体系を採用しています。取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬は、月例の基本報酬と業績や株主還元を勘案した賞与で構成されています。監査等委員である取締役の報酬は、月例の固定報酬のみで、個々の職務と責任に応じて決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 100百万円 | 16.6百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 23百万円 | 4.6百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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